私たちが毎日着用する下着。
生活に欠かせない存在であるものの、汚染されやすいことから廃棄物として処理されることが多くなっています。
そんな中、特に下着のリサイクル率が低い国・オーストラリアから竹繊維を採用した下着ブランド・Boodyが登場しました。
この記事では、環境負荷低減を目指すBoodyの取り組みや竹繊維がもたらす環境メリットなどについてご紹介していきます。
Boodyの基本情報
ニューサウスウェールズ州のシドニーに本社を構えるBoodyは、男性用・女性用の下着類を製造する企業です。
下着のほかにも、Tシャツ、ワンピース、パジャマ、靴下、レギンス、ベビー服などの取り扱いをしており、国内のさまざまなオーガニックマーケット、薬局、オンラインで販売を行っています。
オーストラリアの下着ブランドで初めてBコープ認証を受けた企業
Boodyがサスティナブルな企業として認知されている理由に、Bコープ認証(B Corporation)の存在があります。
Bコープ認証は社会的および環境的パフォーマンス、透明性、説明責任などの基準を満たしている企業が受けられる認定であり、持続可能性の高い企業を目指す上で意識すべき認証のひとつです。
Boodyは2021年にBコープ認証を受けていますが、オーストラリア及びニュージーランドにて初めて下着ブランドとしてBコープ認証を受けた企業となっています。
環境保全に取り組むオーストラリア発の代表的な企業としての地位を確立しており、オーストラリア国内のエコな製品を紹介するネット記事などでも頻繁に登場する有名ブランドです。
Boodyの製品の大きな特徴
Boodyが取り扱う下着類には、竹繊維が使用されているという特徴があります。
オーストラリアは下着類のリサイクル率が低く、毎年80万トンもの下着類が廃棄されています。
1人あたりに換算すると10kgにもなるため、Boodyは下着類が環境に与える負荷を懸念していました。
そこで登場したのが、竹繊維とオーガニックコットンなどを織り交ぜた素材の下着類です。
竹繊維はサスティナブルな素材として知られており、ファストファッションからスローファッションへ転換したい層からも高い支持を得ています。
また、Boodyでは下着類や衣料品をチューブ状に編むことにより、従来と比べて生地の無駄を省くことにも成功しています。
竹繊維がサスティナブルな素材と言われる理由
ここでは、Boodyが着目する竹繊維の環境メリットについてチェックしていきましょう。
①持続可能性の高さ
竹は成長速度が非常に速く、栽培時に必要な高さに育つまでに要する期間はわずか2~3か月です。
竹繊維を作るために大量栽培してもスピーディーに成長するため、ほかの繊維と比べるとサスティナブルな素材として認知されています。
②水の消費量削減
自生の竹はこまめに水やりする必要がないため、灌漑で消費する水を大幅に削減できます。
栽培に使用する水の量はコットンの3分の1とされており、植物由来の生地の中でも特に生産・収穫プロセスにおける持続可能性が高い植物です。
③汚染リスクが低い
竹は育成における管理が簡単で、農薬、殺虫剤、化学肥料がなくても自生するという特徴があります。
土壌が有害な成分を吸収することもないため、汚染リスクを回避しながら生産できます。
④リサイクルや堆肥可能
竹繊維はリサイクルに適しており、廃棄物の削減に役立ちます。
また、製品によっては堆肥化可能なものも多く、Boodyでも堆肥化OKな下着類を豊富に取り揃えています。
⑤着心地
竹繊維には、着心地におけるメリットもあります。
竹繊維は吸収性がコットンの4倍とされており、通気性が良いので湿気を逃す効果も高いのが特徴です。
また、静電性にも優れているため、季節を問わずに愛用できる素材として注目を集めています。
Boodyがそのほかに行うエコ活動とは?
環境に優しい竹繊維を採用しているBoodyですが、ほかにもリサイクル促進のための取り組みを実施しています。
以下では、これまでにBoodyが行ってきたエコ活動の詳細について解説していきます。
リサイクルプログラム
Boodyでは、顧客向けにリサイクルプログラムを提供しています。
顧客は35ドル分の配送ラベルを購入し、リサイクルしたいものを梱包した後に自宅まで回収に来た宅配業者に製品を引き渡す仕組みです。
対象となっているのは衣料品、帽子、ワイヤレスブラ、水着、靴下、靴、リネンなどで、パートナー提携している繊維リサイクル業者によって断熱材や新しい糸に作り替えられます。
尚、配送ラベルは35ドルとやや高額ですが、購入者はBoodyの商品と引き換え可能な35ドル分のバウチャーを受け取れるシステムになっているため、実質無料でリサイクルできる点が特徴です。
下取りイベント
Boodyでは、より多くの人々が気軽に下着をリサイクルできるように下取りイベントを開催しました。
古い下着の代わりに新製品のBoodyと無償交換できるというシステムで、イベントは2023年8月にニューサウスウェールズ州のボンダイで2日間にわたって行われました。
下取りに出された下着は洗浄された後、パートナー提携を結んでいる繊維リサイクル会社のUpparelに送られる仕組みです。
尚、下着類のリサイクルを行う際の大きな弊害のひとつに、衛生面における問題がありました。
素材を良好な状態で維持するには袋に入れて洗濯することが必須ですが、下着類を入れることで袋まで汚染される可能性が高くなります。
しかし、Boodyでは70度以上のお湯に30秒間浸せば溶ける水溶性の袋を利用することで、下着類を傷めることなくリサイクルすることに成功しました。
洗浄後の下着類はUpparelにて分別され、クッションやぬいぐるみといった新しい製品への作り替えに有効活用されています。
環境団体への寄付
Boodyでは、すべての売上の1%を「1% for the Planet」に寄付しています。
「1% for the Planet」は認定環境団体への寄付やサポートを行う国際組織で、全て企業からの寄付でまかなわれています。
企業が自社の収益を「1% for the Planet」に寄付することで環境問題に間接的に貢献できるというメリットがあり、大手アウトドアブランドのパタゴニアも1985年以来「1% for the Planet」のパートナー企業です。
パートナー企業は収益の1%以上を寄付する決まりで、Boodyも毎年寄付を通して世界中の環境保全に携わっています。
環境だけでなく健康にも良い下着ブランド!
環境への優しさにこだわっているBoodyですが、実は環境だけでなく人々の健康にも着目しています。
主成分である竹は抗菌性に優れており、Boodyの下着は抗菌及び防カビ効果の高い製品です。
繰り返し洗濯した後でも効果は持続し、長期的な着用後も嫌な臭いなどが発生しにくい点が特徴です。
また、化学繊維不使用ということもあり、敏感肌の人でも使える低刺激性の下着となっています。
竹繊維は通気性が良く、湿気を上手く逃がすことで皮膚のかぶれなどを最小限に抑えられるところも大きなメリットです。
尚、全てのBoodyの下着には、UPF50+の生地が採用されています。
日差しが強いオーストラリアは皮膚がんの発生率が世界で最も高い国と言われており、日焼け止めクリーム、サングラス、帽子などの紫外線対策が必要不可欠です。
Boodyでは日焼け止め機能付きの生地で下着を作ることによって、人々が日常的に紫外線から身を守れるように工夫しています。
どんなに環境に優しい素材であっても、人々が長く快適に着られなければサスティナブルとは言えません。
Boodyは人々が快適に着用できる下着を開発・販売することで、長期的な環境負荷低減を目指しています。
Boodyは日本でも購入できる?
Boodyの製品は、Boody Japanと呼ばれる日本専用のwebサイトにて購入可能です。
また、LoftやPLAZAをはじめとする店舗でも販売されているので、興味がある方はぜひチェックしてみましょう。
まとめ
下着は、私たちの生活に欠かせない必需品です。
さまざまな素材の下着が販売されていますが、下着の汚染による廃棄物の増加が環境問題に繋がっていることを忘れてはいけません。
環境負荷低減を目指すためにも、リサイクルしやすい素材の下着を意識的に選びましょう。