【個人ができること5選】目標5「ジェンダー平等を実現しよう」

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、女性やマイノリティを含め、誰もが平等で暮らしやすい社会を目指す目標です。

男性・女性といった生物学的な性差(Sex)に対し、ジェンダー(Gender)は、社会・文化の中で形成される概念のこと。

女性だから気が配れる」「男性だから仕事ができる」といった意識は、すべてこのジェンダーにもとづくバイアスからきています。

私たちは、社会の風潮によって、知らず知らずのうちにこうした固定観念が染みついてしまっているのです。

しかし、無意識だからこそ気が付きにくい「差別」に加担してしまう可能性もあり、ひとりひとりが意識して行動を変えていく必要があります。

そこで今回は、ジェンダー平等の実現に向けて個人ができることを5つあげてみました。

どれも簡単にできるので、ぜひチェックしてみて下さいね!

【その家事、誰がやっている?】家庭内タスクの役割分担を見直そう

ジェンダーバイアスを考えるとき、私たちにとって最も身近な場面は「家庭内の役割」です。

小さいころから母親に身のまわりの世話をしてもらってきた人も多く、家事をするのも女性、という固定観念を持っている人もまだ多いと思います。

しかし、それこそが「無意識のジェンダーバイアス」であるということに気が付く必要があるのです。

まずは、こちらの図をご覧ください。ILO(国際労働機構)が2018年に発表した「国・地域別における、男女のケアワーク時間(1日単位)」を示したものです。

ここでいう「ケアワーク」は、家事だけでなく、子どもの世話や家族の介護といった労働も含まれています。

出典:ILO

【表の見方】

・左から:世界、アフリカ、アメリカ、アラブ、アジア&太平洋、欧州&中央アジア、低取得の国々、中所得の国々、高所得の国々

・赤色が「給与が発生する仕事をしている労働時間(有償労働)」、青色が「無償の仕事をしている労働時間(無性労働)」を表し、地域ごとに左側を女性、右側を男性として比較しています。

このグラフを見ると、無償労働はほとんど女性が行っていることがわかります。

さらには有償労働と無性労働時間の合計は、どの国を見ても明らかに女性のほうが多く、長時間働いていることも読み取れるのです。

立派な仕事であるはずの家事労働は「女性がするもの」とされ、とてもジェンダー平等な状態とはいえませんよね。

では、具体的にどのようなアクションを取ればよいのでしょうか。

どんなアクションなの?

ここで提案するアクションは「家事・家庭内タスクのリスト化」です。

掃除や洗濯といった分かりやすい家事から、ごみ出しの仕分け・子育ての中で起きる細かいタスクのように、名前のない家事もあるはず。

また「いつも自分がやっているけれど、相手はこのことを知っているのかな?」と思うような家事もあるでしょう。

お互いに、普段家の中で行なっている家事・タスクをリスト化し、見直すことで、ジェンダーによる家事分担を俯瞰でき、考え直すきっかけになります。

どうすればいいの?

アクションはたった2ステップで、簡単に実践できます。

  1. 家事・家庭内タスクを書き出す
    普段、私たちが何気なくやっている家事・家庭内タスクについて、思いつく限りで書き出してみましょう。
    家族やパートナーがいる場合は、一緒に行うのがおすすめです。
    そうすることで、今まで「こんなことやっていたんだ」と相手が知らなかったタスクも、実はたくさんあるかもしれません。
  2. タスクを整理する
    すべて書き出したら、「一緒に出来ること」「やらなくてもいいこと」「当番制でできること」のように、タスクを整理していきましょう。

家事・家庭内タスクは、みんなが気持ちよく暮らせるよう、平等なルールを決めていくのがポイント。

お互い同じ環境のもとに暮らしているわけですから、できるだけ平等になるよう配分するのがベストです。

この取り組みをさらに詳しく知るには、ジェンダー平等を目指すNPO法人ジェンダーイコールが、過去に行なったクラウドファンディングのプロジェクト「ハッピーシェアボード」が参考になります。

気になる人は、ぜひチェックしてみて下さいね。

どのようにSDGsの達成につながるの?

家事タスクの見直しは、

ターゲット5.4

公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。

の達成につながります。

毎日行うものだからこそ、家族やパートナーの間でジェンダー意識を考え直し、みんなにとって平等で快適な暮らしの実現が大切です。

【寄付も、ボランティアも!】ジェンダー平等の活動を行なっている団体を応援しよう

次にご紹介するのは、「ジェンダー平等について活動している団体をサポートする」という取り組みです。

個人でできる範囲にはどうしても限界がありますが、団体を支援することで大きな活動の輪に参加できるでしょう。

どんなアクションなの?

世界には、女性やマイノリティの不平等を正すために、さまざまな活動を行う団体が存在します。

ジェンダー問題に興味を持ったら、インターネットで気になるキーワードを入れて、活動団体を検索してみましょう。

たとえば「ジェンダー 女性 団体」といった形で検索をすれば、たくさんの団体を見つけられますよ。

活動団体の多くは、寄付を受け付けていたり、ボランティアを募集していたりと、市民の応援を必要としていることも。

気になる団体をサポートしたい!と感じたら、思い切って参加してみてはいかがでしょういか。

どうすればいいの?

ひと口に「ジェンダー問題」といっても、さまざまな切り口があります。

  • 発展途上国の女性差別
  • 人身売買
  • 強制結婚
  • 労働
  • 教育

こうしたトピックについて活動する団体の中から、特に応援したいと考える一般社団法人やNPOを探してみましょう。

寄付は少額から、1回限りで受け付けている場合もあるため、はじめて寄付を行なう人は、無理のない範囲で試してみるのもいいですね。

また、イベントの手伝いといったボランティアを募集していることもあります。

該当団体が分からない場合は、アクティボのようなサイトで探してみましょう。

どのようにSDGsの達成につながるの?

活動団体の支援を行う取り組みは、目標5のさまざまなターゲットの達成につながることに加えて、SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」にもつながります。

ジェンダー問題は差別が根強く残っているため、差別の解消に取り組む団体のサポートは、世界全体の差別を解消することにも関わってくるのです。

【女性の声を反映するために】企業・組織のジェンダーバランスをチェック

続いてご紹介するのは、企業や政治といった組織において、男女比やマイノリティのバランスを気にしてみることです。

日本の社会に暮らす私たちにとって、会社や政府の仕組み・ルールを決めるリーダーの存在は重要です。しかし、男性の割合が多すぎると、女性の意見はなかなか理解してもらえず、声が通りにくくなってしまいます。

すると社会には男性にとって有利なルールばかりができてしまい、女性やマイノリティはますます生きづらくなってしまうのです。

こうした悪循環を断ち切るために、どんなアクションができるのかを見てみましょう。

どんなアクションなの?

個人がまずできることとして、企業・組織のジェンダーバランスをチェックして、「現状を知ること」が大事です。「知ること」で行動を起こせるようになります。

なぜ企業や組織のジェンダーバランスをチェックする必要があるのでしょうか。

企業や組織では、まわりからさまざまな意見を聞いてまとめ、最終的な決定を下す役員や管理職・リーダーのチーム編成が大切です。

組織の方針を決めるのはもちろん、組織に属するメンバーが、誰でも快適に働けるような環境づくりが求められます。

しかし、2021年に帝国データバンクが実施した「企業の女性登用に関する調査」によると、女性の女性登用の割合は、

  • 管理職が8.8%
  • 役員が11.8%

でした。

管理職の割合は、2013年以降、過去最高の数値とはいえ、日本政府が現在掲げている「2020年代の早いうちに、指導的な立場にある女性の割合を30%に」という目標には程遠いのが現状です。

また、2021年に発表されたジェンダーギャップ指数ランキングで、日本は特に、政治や組織の中心となる位置に女性が少なく、ジェンダーギャップ全体の指数を大きく下げていると指摘されています。この現状を変えるには社会全体で取り組まなければなりません。

そのためにも「ひとりひとりの意識が変わること」が重要です。ひとりでも多くの人がジェンダーについて考え、声を上げていけば、やがて社会の仕組みを変えるきっかけになり得るからです。

どうすればいいの?

あまり構えず、気になった組織のジェンダーバランスを、ウェブサイトなどで見てみましょう。政府はもちろん、企業・NPO団体なども、ある程度の役職まで名簿を公開している場合が多くあります。

特に政治は投票によって、誰を市民の代表に選ぶかを決められます。

自分が住む地域で、どのような議員さんが活動しているのかを、ウェブサイトやSNSでチェックし、投票時の参考にするとよいでしょう。

チェックだけでなく、気になる場合は問合せ直接面会を通じて、議員さんへジェンダーバランスについてどう考えているのか?を質問してみるのもおすすめです。

身近なテレビ番組・イベントにも注目

ほかにも、もうすこし身近な例として、

  • 普段から観ているテレビやショーの出演者
  • 気になるイベントの登壇者

など、ちょっとした場面で「誰が出ているのかな?」と見てみることも大事です。

テレビやイベントでは特に、発言者の声が大きく聞こえてしまいがち。テーマによっては性別による意見や考え方の偏りが原因で、社会に大きな影響を与えてしまうこともあります。

たとえば、ある業界の起業に関するイベントがあったとします。

そのイベントに登壇するプレゼンターが、全員男性だったどうでしょう。

そこでいくら「起業は女性にも簡単にできる」と主張しても、「起業=男性がするもの」というイメージを与えてしまいかねません。

もしそこに、女性が1人だけいたとしても、プレゼンターの全体数によっては、まだ同じ印象を受けるでしょう。

ですが、仮に10人中、少なくとも女性が4人程度いれば、はじめて「女性も参加しやすいイベント」になります。

さらに、男女にかかわらず登壇者のうち数人が、

  • 子どもがいる
  • 性的マイノリティである
  • 外国籍である

といった、多様性に溢れたメンバーであれば、さらに多くの人に開かれたイベントになるでしょう。

世界には、男女の性差はもちろん、さまざまな人が暮らしています。

組織・団体のジェンダーバランスを意識することで多様性を見つめなおし、誰にとっても暮らしやすく開かれた社会づくりに向かうことができるのです。

今回はイベント登壇者の例を挙げましたが、こうしたところからジェンダーバランスを考え、声を上げていけば、大きな企業や政府といった組織にも影響を与えることができるはずです。

どのようにSDGsの達成につながるの?

「組織におけるジェンダーバランスのチェック」は、

ターゲット5.5

政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する

の達成につながります。

また、組織の中で、積極的に女性やマイノリティの人々が声を上げられるようになれば、雇用・登用のきっかけになり、誰もがやりがいを感じながら仕事をする機会が得られ、目標8「働きがいも、経済成長も」の達成にも関連します。

【初心者におすすめ!】本やイベントで、ジェンダーを学ぼう

ジェンダー問題を知るには、外からのインプットが必要です。

どんなアクションなの?

初心者や、もっとジェンダー問題について学びを深めたい人に向けて、インプットの方法を2つ挙げてみました。

  • 本を読む
  • イベントに参加する

読書の利点は、じっくり時間をかけて、知識を深められること。そして、手元にあればいつでも見返し、復習ができることです。

誰に聞いたらいいか分からない、まずは基本的なことを知りたい場合に適しています。

イベントの利点は、みんなで一緒に学べること。また、イベントを通じて同じ問題に関心を持つ仲間を見つけられることです。

どうすればいいの?

書籍

まず書籍についてです。すでに多くの本が出ていますので、かえって探すのが難しいと感じる人もいるかもしれません。

そんなときは、まず最初に「はじめてのジェンダー論」を手に取ってみることをおすすめします。

ジェンダー額を研究する大学教授による入門書で、基本的なポイントをおさえながら分かりやすく説明されている本です。

その後に、男性だけでなく女性も平等に生きられるよう唱える「フェミニズム」や、発展途上国を中心に問題となっている「強制結婚」といったテーマに絞り、自分がより深めたいと思う内容を論じている本を探してみましょう。

イベント

イベントについては、インターネットで「ジェンダー問題 イベント」を探すのも有効ですし、あらかじめ気になるメディアや団体のSNSをフォローしておくと、事前に告知を受けられます。

最近は対面だけでなくオンラインイベントも盛んなため、自宅から気軽に参加できますよ。

すでに終了したイベントについても、Youtubeのような動画サイトでアーカイブ視聴できることがありますので、ぜひ探してみてはいかがでしょうか。

どちらの場合も、学びを通して、自分だけでは見つけられなかった視点や問題に出会える点がメリットです。

すでにある程度ジェンダー問題に関心がある人も、知識のアップデートという意味で、定期的に学びを得るためにぴったりな方法です。

どのようにSDGsの達成につながるの?

本やイベントを通してインプットをする取り組みは、SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」すべてのターゲットを達成するための第一歩となります。

まずは関心を持ち、目を向けてみることが大切です。

また、ジェンダー問題から見えてくる、発展途上国の「貧困」や「教育」といったキーワードは、ほかのSDGs目標1「貧困をなくそう」目標4「質の高い教育をみんなに」にもつながります。

【身近なところから輪を広げる】自分の考え・学びをみんなに伝えよう

最後にご紹介するのは、これまでのアクションで学んできたことを、周りの人へ伝え、アウトプットする取り組みです。

どんなアクションなの?

アウトプットには、さまざまな形が考えられます。

  • SNSでの発信や、賛同できるポストへの「いいね!」や拡散
  • 家族や友人と、ジェンダー問題について話し合ってみる
  • 普段の生活で触れる、メディアや広告のイメージ・発言に目を向けてみる

どれも小さなことのように思えますが、意外とまわりの人にとっても「気になっていたけど言えなかった」「考えてみればそうかもしれない」ということがあるはず。

アウトプットを通して、ひとりでも多くの人とジェンダー問題を共有し、声を上げていくことが大切です。

どうすればいいの?

まずは家族や友人のような、身近な人たちに「ジェンダー問題」について話してみてはいかがでしょうか。

いきなり話を始めるのは不自然かもしれませんが、一緒に観ているテレビやドラマの発言から、ジェンダーについて考えを深めたり、共通の話題から広げたりすれば、それほど抵抗はないかもしれませんね。

もし自分自身の考えを書くことに抵抗がある場合は、SNSを通して、共感できる投稿を拡散することも有効です。

たとえば、SNSでジェンダー論について発信している人は、探せばたくさんいます。

投稿の拡散を見た人が「これは問題だ」「共感できる」と思ってくれれば、そこから輪が広がりますよ。

どのようにSDGsの達成につながるの?

学んだことをアウトプットする取り組みは、SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」のすべてのターゲットの達成において、最も大切なポイントのひとつです。

知るだけで終わらせず、行動に移すことで、ジェンダーについて関心を持つ人が増えるきっかけになります。

一気にたくさんの人へ影響を与えようと考える必要はありません。身近な人へすこしずつ伝えていくだけで、やがて行動の輪が広がるものですよ。

まとめ

今回は、SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」について、個人ができることを5つ紹介しました。

ひとつひとつは、本当に些細な行動のように思われるかもしれませんが、小さな出来事の積み重ねによって、やがては社会は大きく変わります。

ジェンダーは根深い問題だからこそ、ひとりひとりが考え、行動することが大切なのです。