株式会社秋葉牧場ホールディングス インタビュー
株式会社秋葉牧場ホールディングス
構成企業:株式会社秋葉牧場(観光業「成田ゆめ牧場」)
株式会社秋葉乳業(酪農業/製造業)ほか
業種 :酪農業/乳製品製造業/菓子製造業/観光業/飲食物販業/不動産業 ほか
所在地 :本社)千葉県八千代市緑が丘 2-2-10
成田ゆめ牧場)千葉県成田市名木 730-3
企業理念:「牛・自然・人をつなぎ、豊かな未来へつなぐ企業」
● 会社沿革
1887年 東京都江東区砂町に搾乳専業牧場「秋葉牧場」として創業
1937年 千葉県八千代市に移転
1953年 秋葉牧場を法人化
1976年 本社機能を八千代市に残し現在の千葉県成田市名木に牧場を開業
1987年7月 創業100周年、成田市名木に観光牧場「成田ゆめ牧場」を開設
1992年7月 成田ゆめ牧場内にオートキャンプ場を開設
2008年2月 本社自社ビル「秋葉緑が丘ビル」を建設
2013年4月 千葉県印旛郡酒々井町の酒々井プレミアム・アウトレットに直営店オープン
2018年 千葉県八千代市に第二牧場(育成牧場)を開設
2020年3月 株式会社秋葉乳業を設立
2020年12月 株式会社秋葉牧場ホールディングスを設立
2021年12月 成田ゆめ牧場内に新牛舎を開設
introduction
印旛沼や利根川などの自然に囲まれた千葉県成田市で、アクティビティや動物とのふれあいが楽しめる観光牧場「成田ゆめ牧場」。この牧場を運営する秋葉牧場ホールディングスは、1887年創業の酪農の歴史と、6次産業化による多角的な事業展開で、持続可能な酪農モデルを模索し続けています。今回は、秋葉牧場ホールディングス 観光本部 部長 鈴木 卓さんに、その想いと未来について話を聞きました。
乳価低迷を乗り越えるため顧客と繋がる道へ「成田ゆめ牧場」誕生秘話
–まずは、御社の歴史について教えてください。
弊社は、1887年に東京・江東区で搾乳専業牧場としてスタートしました。当時はまだ酪農という言葉が知られていなかった時代。当時はまだ酪農という言葉すら一般的ではなく、先代は西洋の最新技術を導入しながら、苦労を重ねていたそうです。
より良い牧草地を求めて1937年に千葉県八千代市へ移転した後、創業100年目となる1987年に酪農事業と並行して、千葉県成田市に観光牧場「成田ゆめ牧場」を開設しました。
–「成田ゆめ牧場」を開設したきっかけは何だったのでしょうか?
丹精込めて育てた牛たちの生乳から作る自家製品を、自分たちの手で多くのお客様にお届けしたいという想いからです。創業以来、ありがたいことに私たちの施設は、牛やヤギ、ヒツジなどの動物や自然とふれあえる場所として、子供から大人まで幅広い年齢層のお客様に愛される場所に成長しました。
また、「全国穴掘り大会」のようなユニークなイベントの開催や、製造業、通信販売、外部店舗の展開にも力を入れています。こうして製造から加工、販売までを一貫して行う6次産業として成長を遂げ今に至ります。これからも、お客様との絆を大切にしながら、事業を発展させていきたいです。
–「成田ゆめ牧場」では、酪農体験だけでなく、動物とのふれあいやさまざまなイベントも楽しまれていますね。
“牛・自然・人をつなぎ、豊かな未来へつなぐ企業”という企業理念のもと、お客様に「食」と「農」の大切さを五感で体感していただく機会を設けています。乳搾りやバター作りなどの酪農体験はもちろん、牧草地での動物たちと触れ合い、広大な自然の中で走り回るといった体験を通じて、命の尊さや食の大切さを実感していただけたら嬉しいです。
–近年、アニマルウェルフェアへの関心が高まっています。御社の取り組みについて教えてください。
2021年に新牛舎を新設する際にもっとも重要視したのが、牛にとって暮らしやすい環境であることです。牛のストレス軽減と健康を第一に考え、従来の個別管理ではなく、牛たちが自由に動き回れるよう広々とした空間を確保しました。新しい牛舎内には、自由に水を飲める給水設備やブラッシング装置など完備しています。
また、夏の暑さ対策として、牛舎内の温度を感知し自動で稼働する散水ファンやミストシャワーを導入するなど、牛にとって快適な環境づくりに努めています。
日本の酪農技術を世界へ。秋葉牧場ホールディングスが描く、グローバル展開
–酪農は環境負荷の大きい産業というイメージを持つ人もいますが、その点についてはどのようにお考えですか?
おっしゃる通り、酪農は温室効果ガスの排出や水質汚染など、環境に負荷をかけてしまう側面も あるのは事実です。
しかし、牛糞を堆肥として有効活用することで、土壌改良や農作物の生育促進、温室効果ガス削減につなげられることから、弊社では、牛糞堆肥を使った循環型農業にも積極的に取り組んでいます。
–具体的には、どのような取り組みをされているのでしょうか?
「成田ゆめ牧場」内には、トマトやイチゴなど季節に応じた野菜・果物をお客様が収穫体験できる農園があります。そこで使用する堆肥は、全て自社の牛糞から作られたものです。化学肥料を減らし、土壌の健康を保つことで、安心・安全な農作物を育てることができます。将来的には、堆肥の外部販売や、自社牧場での飼料用作物の栽培も視野に入れています。
–飼料価格の高騰は酪農家にとって大きな打撃になりますよね。
本当にその通りです。弊社でも、飼料の大部分を輸入トウモロコシや大豆粕に頼っているため、価格高騰の影響は深刻です。
そこで、今後は国内で生産された飼料米や麦類などの利用を増やしていくとともに、将来的には自社牧場での飼料用稲や牧草の生産も検討していきたいと考えています。
–御社では、海外展開も視野に入れていると伺いました。
はい、アジア諸国では経済成長に伴い、乳製品の需要が拡大しています。弊社では、高品質な日本の酪農技術と、6次産業で培った生産から加工、販売までを一貫して行うノウハウを生かし、海外への進出も視野に入れています。
–具体的には、どのような展開をお考えですか?
まずは、シンガポールで、現地の日本食レストランなどと提携し、期間限定の「成田ゆめ牧場」ブランドの乳製品販売を行い、市場調査を進めています。将来的には、インドなど、人口が多く乳製品の需要が見込まれる国への進出も検討している段階です。
–最後に、今後の展望についてお聞かせください。
創業以来、137年間、牛と共に歩んできた歴史と伝統を大切にしながら、これからもお客様に愛される企業であり続けたいと思っています。そして、安全・安心でおいしい乳製品を安定供給していくとともに、環境に配慮した持続可能な酪農モデルを構築することで、次世代に誇れる酪農を創造し、社会に貢献していきたいと考えています。
–貴重なお話ありがとうございました。
成田ゆめ牧場:https://www.yumebokujo.com/
株式会社秋葉牧場ホールディングス:https://akibabokujo-hd.com/