#インタビュー

エネテクホールディングス株式会社 |再生可能エネルギー・電気設備・地方創生の3本柱でSDGsに取り組む

エネテクホールディングス株式会社 河口さん インタビュー

河口 雅志

1973年8月12日 岐阜県各務原市生まれ

2005年〜2015年 太陽光発電EPCライジングコーポレーションにて

太陽光発電システムの施工〜販売に携わる。

2015年〜現在 (株)エネテクディライト 代表取締役社長

太陽光発電のメンテナンス専門の会社として累計メンテナンス実績1G W以上

2015年〜現在 (株)エネテク 常務取締役

再エネ事業、電気設備工事事業、地方創生事業を手がける。

2018年〜現在 (株)エネテクホールディングス CSO

エネテクグループ8社の経営を行う。

Introduction

近年、気候変動の影響による自然災害が多発する中、環境に配慮し、災害時にも稼働できる再生可能エネルギーの発電に注目が集まっています。そのような背景から、建築設備の設計・工事を手掛けるエネテクホールディングス株式会社(以下、エネテクホールディングス)は太陽光発電や地方創生事業に注力しています。

今後も普及拡大が見込まれる再生可能エネルギーの未来について、そして、SDGsを見据えた取り組みについて、エネテクホールディングスの河口取締役と広報担当者の杉島さんに話を聞きました。

急速に普及した太陽光発電の管理に感じた危機感が、サービス立ち上げのきっかけに

–まずは事業内容を教えてください。

河口さん:

 エネテクホールディングスは、「トータルエネルギーソリューションカンパニー」として、グループ全体で不動産事業・建築設備事業・再生可能エネルギー事業などを展開しています。7社のグループ企業で構成されており、オフィスビルや商業施設、メガソーラーなどの建築物の設計・施工から保証・保険に至るまでサポートしています。

–再生可能エネルギーは、SDGsの中でも注目されているキーワードですね。SDGsの取り組みを開始されたきっかけを教えてください。

河口さん:

弊社がSDGsの取り組みを開始したのは10年以上前です。2011年に東日本大震災が起こり、ライフラインが被害を受け、自立分散型である太陽光発電などの再生可能エネルギーが注目されるようになりました。

当時、太陽光発電は設備の普及速度が非常に速かったこともあり、制度が追いついていない状態でした。

–具体的にどんな問題点があったのでしょうか。

河口さん:

建設の業界では通常、ビルや工場を作った後、竣工検査をします。それから設備を維持するためのメンテナンスをする必要があります。当時、太陽光発電ではそうした管理が行われておらず、危機感を感じていました。そこで弊社は、太陽光発電のメンテナンス事業「ソラパト」をスタートしたんです。

自社で一貫したサービスを提供

–市場のニーズの高まりに対し、現状の問題点を解決しなくてはと事業を立ち上げられたのですね。「ソラパト」は、どのようなサービスなのでしょうか。

河口さん:

太陽光発電システムは、自然災害だけでなくイタズラや雑草の繁茂など日常的なことがきっかけで故障などのトラブルが発生し、発電効率を悪化させてしまうことがあります。これらの不具合は、発電量モニターを見ているだけでは気づけないことも多いんです。そこで、定期的に人の目で点検し、メンテナンスを行うのが「ソラパト」のサービスです。

–ソラパトと他社のサービスの違いはなんですか。

河口さん:

太陽光発電のメンテナンス事業をしている会社は多くありますが、設備の工事、検査、改修とそれぞれ会社ごとに分業されていることがほとんどです。

弊社の場合は設備の設計から建設、検査、改修、メンテナンスまでを自社の従業員が担当しています。メンテナンス時も建設当時の状況や、設計の詳細が分かるので、ワンストップサービスが提供できます。

–導入からメンテナンスまで、一貫して任せられるのは安心ですね!

太陽光発電のメンテナンス事業には10年以上前から取り組まれているとのことですが、国全体として、太陽光発電など再生可能エネルギーに大きくシフトしている実感はありますか。

河口さん:

この1年は特に強く感じています。2021年は、日本が「脱炭素」に本格的に取り組み始めた一年でした。

杉島さん:

実は我々、3年ほど前には「もう太陽光はだめかな」と思っていた時期がありました。太陽光発電事業を始められる事業者さんは投資目的が多かったのですが、電力の買取価格が下がってきたため、投資家の人たちが魅力を感じなくなってきていました。そこで弊社は自家消費型太陽光発電に舵を切ったわけですが、当時はほとんど反応無し。それが2年ほど前から注目され始めました。

–再注目の要因は何だったのでしょうか?

杉島さん:

太陽光でCO2削減ができるということで、導入を検討される企業様が増えてきました。国も再生可能エネルギーを後押しする制度を作っていますので、今後も加速的に普及していくと思います。 

災害時に強いハイブリッド発電設備を開発・提供

–他にもSDGsへの取り組み事例はありますか?

杉島さん:

 はい。ハイブリッド発電設備「EGGS」を開発しました。これは太陽光とLPガス発電機、そして小型の蓄電池を組み合わせた発電設備です。

–なぜ「EGGS」を作ることになったのですか?

杉島さん:

3年くらい前から、気候変動による自然災害が多発するようになり、関東の台風でも大規模な停電が起こりました。1週間電気がこない、ガスが使えないとなると、病院では医療機器が稼働しなくなり、人命に関わる事態となってきます。

そうした中で太陽光発電が役に立ったのですが、太陽光は日が照っていないと発電できません。一方で蓄電池は導入コストが高いといった課題もありました。そこで、3種の電源を組み合わせた発電設備を開発することになりました。

EGGSは太陽光、蓄電池、LPガス発電それぞれのデメリットを補う制御によって長期間の給電を実現します。発電機で一般的なディーゼルの場合は騒音や排気ガスといった問題がありますが、LPガスは比較的クリーンで、貯蔵もできます。

–災害時の非常用電源としてLPガスが見直されているんですね。

杉島さん:

はい。簡単な発想だけどなかなか思いつかなかったということで、「コロンブスの卵」にちなんで「EGGS」と名付けさせて頂きました。

「EGGS」は、設置場所や導入費用、必要な電力量によって設計が異なります。小型の施設で導入する場合でも、予算に応じて設備を設計することができます。 

エネルギー事業からカフェ運営へ。目指すは地方創生

–災害に備えつつ、環境にも配慮した取り組みに注力されているのですね。

ところで、エネテクホールディングスでは、地方創生事業にも力を入れていますね。

河口さん:

現在は岐阜県東白川村で、きくらげやプリンを協力して作っています。村の特産品である美濃白川茶を使用して「東白茶寮(とうはくさりょう)」というプリンを作っています。

–エネルギーソリューションとは全く別の角度からの取り組みのようにも思えます。どんなきっかけで始められたのですか? 

河口さん:

 もともとは太陽光発電と農業のハイブリッドである「ソーラーシェアリング※」をやっていこうとしていました。パネルで日光が遮られても育つ農作物を調べたところ、きくらげが最適でした。そこで、太陽光発電でご縁があった東白川村でやることになりました。

ソーラーシェアリングとは

農地に支柱を立て、作物の上部空間に太陽光パネルを設置して日射量を調整しながら、太陽光を農業生産と発電とで共有する取り組み。 作物の販売収入に加え、売電による継続的な収入や発電電力の自家利用等による農業経営の更なる改善が期待できる。

–プリンはなぜ作ろうと思われたのですか?

杉島さん:

 きくらげの加工工場を弊社が運営するようになったのですが、そこ作られていたプリンがとても美味しかったため、商品名やパッケージなどを見直して販売していくことになりました。

ちょうど1年前にスタートし、年間で約5万個を販売しました。通販で買えるほか、百貨店などでも期間限定で置いてもらっています。 

–全国の方の手に渡る仕組みもできていますね。そうした取り組みによって、村にはどんな影響がありましたか。

杉島さん:

新たな雇用が生まれたほか、道の駅で売られている商品を買いに来てくれる方も増えました。そうした中、村で年間3,000人くらい来ていたというレストランが、コロナ禍で客が激減してしまい、昨年6月にエネテクホールディングスグループとしてそこでカフェ「クローチェ」を運営することにしました。

現在は月5,000人以上のお客様が来てくれています。遠方から多くのお客様に来ていただくとともに「東白川村って自然が豊かでいい所だね」と認知も広がり、村の方にも喜んで頂いております。

3本柱で事業展開、SDGsに貢献

–エネテクホールディングスの今後の展望を教えてください。

河口さん:

今後はSDGsにつながる3つを柱にしていきます。再生可能エネルギー、電気設備工事、地方創生です。

再生可能エネルギー事業は、今まで10年以上日本で培ってきた技術力があるので、インフラが整っていない東南アジアなど海外でも展開できるようにと考えています。

電気設備工事事業では、再生可能エネルギーを使った、省エネの設備づくりを目標にしています。災害が起きた時もバックアップ電源で事業が継続できるようなビル、工場づくりに力を入れていきたいです。

最後に地方創生事業は、さまざまな地域で展開できればと思っています。これからの時代は地方の時代と言われ、働き方も自由になってきています。そうなると、地方のエネルギーを循環させることも重要です。エネルギーや農業、飲食などの事業を通じて、地方創生に貢献できればいいと思っています。

–ありがとうございました。

インタビュー動画

関連リンク

>>エネテクホールディングス株式会社

>>ソラパト