#インタビュー

HelloWorld株式会社|「世界中に1ヵ国ずつ友達がいることが当たり前の社会」を目指して

HelloWorld株式会社

HelloWorld株式会社 兒玉優香さん インタビュー

HelloWorld株式会社

兒玉優香

日立製作所に新卒入社後、中途採用を手掛けるビズリーチに転職。カスタマーサクセスとしてMVP受賞の後、BtoBマーケにキャリアチェンジ。東京→沖縄に移り、ユーザベースグループのミーミルにフルリモート第一号として入社、エキスパートネットワーク事業グロースと組織開発に従事。沖縄のアツい風に吹かれ、原体験から持っていた教育事業に対する思いに火がつき、HelloWorldにジョイン。まちなか留学事業統括ディレクターおよび全社PR責任者。自身も2児の母として、子どもたちの選択肢と可能性を広げるべく事業開発中。

introduction

ただでさえ準備とチャンスが必要な海外留学が、コロナ禍によってより遠いものになりました。閉鎖的なコロナ禍だからこそ、世界中の人たちとつながりたいという熱い想いを持つ企業があります。今回は、日本にいながら誰でも気軽に国際交流ができるプログラムを提供しているHelloWorld株式会社の兒玉さんにお話を伺いました。

-まずは、HelloWorld株式会社について教えてください。

兒玉さん:

弊社は2020年からスタートした会社で、「まちなか留学」と「WorldClassroom(ワールドクラスルーム)」の2つの事業が大きな柱です。ご存じの通り、この時期はコロナ禍真っ只中でした。移動制限があるなど窮屈な世の中でしたが、外国人と気軽で自由に交流を深める機会を設けたいと事業を始めました。

私たちは「世界中に1ヵ国ずつ友達がいることが当たり前の社会」を目指すことで、争いごとのない平和な世界を実現できると考えています。そのため会社名の‘’HelloWorld‘’は、世界中で誰にでもHelloと言えるような関係性をみんなで築きたいという想いが込められています。

「まちなか留学」は、ホストファミリー・留学体験者の両方の人生を豊かにするスパイス

–2つの事業について詳しくお聞かせください。まずは「まちなか留学」についてお願いします。

兒玉さん:

「まちなか留学」は、日本に住んでいる外国人のお宅で24時間〜3日間ほどのショートホームステイを体験するというもので、関東と沖縄で展開しています。

「まちなか留学」のホストファミリー

参加者はホストファミリーと一緒に料理を作って食べたり、買い物に行ったり、カードゲームをしたりと充実した時間を過ごされています。参加者の層は中高生が中心ですが、特に年齢制限は設けていないので、未就学児から学生、社会人まで幅広い年代にご利用いただいています。(未就学児の場合、保護者同伴などの条件あり)

最近は、シニアからの問い合わせも増えていて、英会話を習っていても実践する機会がないので利用したいというニーズもあるんですよ。

とはいえ、初めての環境で英語に自信がない方々も多く、「まちなか留学」に参加する前は緊張や不安感をもたれる方がほとんどです。でも、ホストファミリーと1日過ごした後は、表情も柔らかくなり、楽しんでいただけているんだなと実感します。お別れの時にさみしくて泣く子もいるんですよ。また、「英語が聞き取れた」「自分の拙い英語でもコミュニケーションができた」といった体験を通して、自信にもつながっているようです。

ホストファミリーに関しては、現在50ヵ国以上の方々に登録いただいています。皆さん英語が流暢な方々ばかりです。職業はさまざまで、外資系で働いている方や学校の先生、日本に長く住んでいてリタイアされている方などがいます。日本に住んでいるけど日本人との交流が少なくもっと日本に貢献したいとお考えになっている方も多いんです。そして「まちなか留学」を通して、自分たちの文化を知ってもらえることに喜びを感じていらっしゃいます。

例えば、日本では宗教について馴染みがない方も多いですよね。ホストファミリーにはさまざま宗教を信仰されている方がいます。実際に「まちなか留学」で、手でご飯を食べる習慣やお祈りの文化などを体験して、文化のさまざまな側面を知ってもらったり、もっと国の文化を知りたいと感じてもらったりと、理解されやすいと感じているホストファミリーもいらっしゃいます。

-日本でもそのような体験ができるなんて素晴らしいですね!「まちなか留学」を始めようと考えたきっかけはありますか?

兒玉さん:

留学経験は、子どもの視野を広げる良い機会になるにもかかわらず、その機会を得られるのはごく一部です。日本には200以上の国と地域からの外国人が住んでいますが、彼らのお宅にホームステイすれば、留学と同じ体験ができるのではないか?と考えました。加えて日本に住む外国人からも、なかなか日本人のお友達ができないという声を聞き、両者をマッチングすればいいのでは?とアイデアが生まれ、具体的な事業展開に至りました。

「まちなか留学」のホストファミリー

事業を進める中で、当社が実施したプログラムの満足度の調査では、満足した方が97%、英語学習に対しての意識が高まったとお答えいただいた方が89%もいらっしゃいました。卓上での文法の勉強ではなく、言語はコミュニケーションのツールなんだと気づけることがとても大切なんだと思います。

また、修学旅行で「まちなか留学」を取り入れてくださっている学校も増えてきました。普段の授業では英語に苦手意識がある生徒さんも「まちなか留学」を経験することによって、異文化コミュニケーションを楽しんでいます。先生方からも、「子どもたちの成長が目に見えて実感できてよかった」というお声をいただいています。

学生の時に「まちなか留学」を体験した子たちが、大人になってどのような成長を遂げたかという調査も今後していく予定です。きっと良い成果がでるんじゃないかなと思っています。

SDGsが目指す「誰一人取り残さない」グローバル社会を。より多くの子どもたちに国際交流を体験してもらいたい。

HelloWorld株式会社

-それではもう一つの重要な柱である「WorldClassroom」についても教えてください。

兒玉さん:

「WorldClassroom」は、音声認識の技術を用いた英語スピーキングの練習とオンラインで国際交流ができるシステムです。実践体験が英語教育の成長を促すという「まちなか留学」から得た知識を元に、学校単位で異文化交流をしてもらいたいという想いから始まったサービスです。

現在の日本の教育現場では、ギガスクール構想により、生徒一人につき1台端末を持っています。「WorldClassroom」は、音声認識の技術を用いた「※EdTech(エドテック)」ツールで、学校の先生が設定した英語課題について一人ひとりが端末に向かって読む練習をし、スコアが算出されます。子どもたちはゲーム感覚で英語の発音を学ぶことができるので楽しく勉強できるんです。

「EdTech(エドテック)」

教育(Education)という単語とテクノロジー(Technology)という単語を合わせた造語。ITなどのテクノロジーを用いた新しく教育産業に参入している企業やアプリケーション、端末などを指します。

これまでの学校サイドの問題として、子どもによって学習速度にばらつきがあるため、授業で一人ひとりに合った学習を提供することが難しい現状がありました。それぞれの端末を使ってトレーニングできる「WorldClassroom」は、生徒一人ひとりのペースに合わせた学習ができます。学習の早い子にはどんどんすすめてもらい、遅い子には先生が横について、じっくり教えられるんです。また、システムが評価をしてくれるので、先生の長時間労働や過重労働の環境改善へもつながると思います。

そして、日々の授業で学習した英語を実際にアウトプットするために、国際交流の場をご用意しています。交流相手の学校は、台湾やトルコ、インドネシアなどさまざまです。時差の問題もあるので、交流相手国は時差が少ない国を選定していますね。現時点の実績として20ヵ国の学校にご参加いただいています。

同世代の子どもたち同士での国際交流という点は大きなメリットです。相手も英語のネイティブではないので、お互いがそれぞれ勉強になるわけです。日本だけでなく相手先の国の子どもたちも負けないように頑張るぞ!とお互いの英会話に刺激をもらい合っているようです。

「WorldClassroom」は、はじめは沖縄の学校に導入していただきましたが、昨年度から県外での導入も進み、今年度は北海道から九州まで導入範囲を拡大しています。今後は海外の学校にも「WorldClassroom」の学習ツールが普及するように活動していく予定です。

すべての子どもたちに海外留学と同等の教育機会を!生活困窮世帯の子どもたちへの取り組み。

-日本のみならず、海外の子どもたちも良い体験ができて素敵ですね。他にはどんな取り組みをされていますか?

兒玉さん:

より広く多くの子どもたちへ感動を届けたいと思い、取り組んでいます。

「まちなか留学」は有償のサービスなので、利用したくても利用できない子どもたちもたくさんいるのが現状です。そんな子どもたちでも無償で「まちなか留学」を体験してもらいたいという想いから「まちなか留学基金」を創設しました。

地元企業やホストファミリーの方々、個人の方々からのご協力で、「まちなか留学基金」の運用がスタートし、2023年4月の第1弾には沖縄の48人の子どもたちに「まちなか留学」を無償提供することができました。

子どもたちからは「このような体験ははじめて」「機会をくれてありがとう」と、感謝の言葉をたくさんいただきました。もちろん第2弾への準備もすすめているところです。「まちなか留学基金」をもっと大きな規模にしていきたいですね。

-より多くの子どもたちへ「まちなか留学」の体験をプレゼントする取り組み、すばらしいです。御社の今後の展望についてお聞かせください。

兒玉さん:

今、「まちなか留学」のニーズがとても高まっています。

そんなニーズにお応えして、もっと多くの方々にご利用いただけるよう、ビジネスとソーシャルインパクトの両立に全力を注ぎたいですね。さらに多くのホストファミリーの方々にご参加いただくことで、その輪はもっと大きくなると思います。

わたしたちの質の高い教育機会がもっと普及することで、多様性の大切さを知り違和感なく異文化を受け入れることのできる子どもたちを育成していきたいです。多様性はイノベーションの源泉となります。最初にお話したんですが、わたしたちは「世界中で誰にでもHelloと言えるような関係性を築くこと」を目指しています。世界が繋がり、もっと世界の距離が近くなる。そうすれば、世界から戦争をなくすことも可能なんじゃないかなと思っています。

-子どもたちの未来のために。とても素敵な取り組みをたくさんされていますね。今後もHelloWorld株式会社から目が離せません。

関連リンク

まちなか留学サービスページ https://hello-world.city/

WorldClassroomサービスページ https://classroom.hello-world.city/

まちなか留学基金サイト https://hello-world.city/donation/

コーポレートサイト https://inc.hello-world.city/