#インタビュー

株式会社ホロニック|地域資源を発掘して発信。人と人とのつながりつなぐコミュニティ創出企業を目指す

株式会社ホロニック

株式会社ホロニック 田中さん インタビュー

田中

湊川女子短期大学卒。幼稚園教諭を経て2000年、㈱ホロニックへ入社。07年、ガーデンシティクラブ大阪の担当となり、09年から総支配人。

introduction

株式会社ホロニックは、「地域資源を企画・編集する」ことをかかげ、その地でのホテル経営をはじめとした幅広い事業を展開する会社です。

同社が柱としているのは、人と人のつながりをつなぐ事業をすること。そのため、地域や社会課題の解決に向けた活動にも力を入れています。

今回は、ホロニックの田中さんに、ホロニックが実施する地域とつながりを作る活動の内容や、今後の展望などをお伺いしました。

事業の柱は「つながりつなぐコミュニティ創出」をすること

ー会社概要と事業内容を教えてください。

田中さん:

私たちは、「つながりつなぐコミュニティ創出企業」というビジョンに基づき、地域資源や伝統文化などの地域の魅力を発掘、発信することを目的に事業を展開している会社です。

具体的には、大きな事業として自社ホテル「セトレ」の経営および運営があり、他にもコンサル事業、物販の事業、業務委託を受けて運営する会員制のビジネスクラブなど、業態は多岐に渡ります。

また、地域や社会、地球の未来につながるSETREの挑戦を広く知ってもらうため、「SETRE jouney(セトレジャーニー)」というメディアも立ち上げました。

社名の「ホロニック」の由来は、ギリシャ語で個体を意味する「ホロン」です。誰か一人が引っ張る組織ではなく、「個性豊かな個人同士が有機的に調和して強い組織を目指す」といった想いが込められています。

ー「SETRE jouney(セトレジャーニー)で紹介されている活動には、どのようなものがあるのでしょうか?

田中さん:

例えば、つくる人と食べる人をつなぐ「オープンキッチン」があります。この企画は、食材をつくる生産者さまと料理をつくるシェフが、畑や厨房を飛び出してレストランに登場し、生産者さまにこだわりを伺ったり、調理したものをお客様と一緒に食べたりするものです。オープンキッチンがスタートしたきっかけは、“せっかく地元の食材を使っているのに、「生産者さん」や「作り手(シェフ)」のこだわりをお客様に伝えられないのはもったいない”という私たちの想いでした。

実際に参加されたお客様からは「食材にこんなこだわりがあったと知ることができて嬉しい」というお声を、生産者様からは「直接お客様の声を聞く機会は貴重なのでやりがいにつながる」というお声をいただいています。地域の方々のつながり作りの一環として、ますます力を入れたい取り組みの1つです。

地域資源を積極的に活用し環境保全につなげる

田中さん:

地域の森林を元気づけるため、「間伐材」を有効活用する取り組みにも力を入れています。

森林の樹木を健全に成長させるためには、定期的に間伐をしなければなりません。その理由は、木が増えすぎたり伸びすぎたりしてしまうと、日光が均等に届かず、うまく成長できなくなるからです。そして、その際に出た間伐材を活用することは、地域の森林の活性化につながります。

具体的には、ホテルで使う家具に間伐材を使用したり、「入浴木」や「アロマ木」として活用し、宿泊のお客様に体験してもらったりしています。他にも奈良や滋賀のホテルは、県産材を活用して建築されています。

また、琵琶湖の近くのホテルでは「琵琶湖を守る活動」も実施しています。琵琶湖に落ちているガラスは、水や風で研磨されてとても綺麗なものです。このガラスを利用して、ルームキーを作りホテルで使用しています。

さらに琵琶湖の生態系を守る啓蒙活動の1つとして、お客様に琵琶湖の外来魚であるオオクチバスを召し上がっていただいています。一般的には駆除をして捨てるオオクチバスですが、処理の仕方によっては淡白なお魚として楽しむこともできるからです。

ーここまでのお話は、すべてSDGs活動にもつながっていますね。

田中さん:

SDGsという面では、ホテルから出るゴミをゼロにすることを目標にしたZERO Projectも行っています。具体的には使い捨てアメニティの客室への設置は廃止し、お客様にお持ちいただく形に変更しました。ペットボトルのお水を冷蔵庫の中に置くことをやめてウォーターサーバーを設置したり、ミニボトル入りのバスアメニティの配布を辞め大容量ボトルへ変更したりして、プラスチックゴミを減らしています。

ー他にも、地域とつながりを作るような活動をされていれば教えてください。

田中さん:

東北被災地と私たちのコミュニティをつなぐ取り組みとして、「さくら並木プロジェクト」に参加しています。「さくら並木プロジェクト」は、大津波の到達地に桜を植樹する活動です。将来大津波が再来した際に、住民の方々の「避難」の目標となるように。東北の方々の強い想いと有志によって、桜並木が造成されているのです。

私たちは阪神淡路大震災を経験しており、2011年に発生した東北の震災は他人事には感じられませんでした。そのような思いから、「さくら並木プロジェクト」には震災発生直後から継続して携わってきました。具体的には、弊社をご利用いただいたお客様のご利用代金の一部を桜の苗の購入費用に充てたり、セトレのスタッフやお客様と共に現地での植樹にも参加をしたりしています。

将来を担う世代の提言を実現

ーここまでのお話もそうですが、御社は社会課題解決に向けた取り組みも多く実施されていますよね。その中でもCFO(未来創造最高責任者)設立は目を惹きました。詳しくお伺いできますか?

田中さん:

CFOは、これから未来を作っていく若い世代に「今後自分たちが生きていく未来がこうであってほしい」という視点から提言をしていただく制度です。

持続可能な社会をつくるために、将来を担う世代の目線から探ることを目的に設立しました。そのためCFOへの応募は、20歳未満の学生という縛りを設けています。現在、CFOには毎月役員会に参加してもらい、自分の意見を発表していただいています。この取り組みは今年で3期目に突入しました。

ーこれまでCFOの提言で実現した施策をお伺いしてもよろしいですか?

田中さん:

環境問題の観点から提言していただいた、「代替肉」メニューを実現しています。提供までには、料理長を含めて入念に研究を重ねました。他には、「部屋に置いてるゴミ箱を撤廃するのはどうか」という意見から、資源循環できるゴミ箱を導入しました。

会社としての活動すべてを、持続可能な社会の実現につなげていきたい

ー今後の展望をお聞かせください。

田中さん:

昨今、社会全体を通してSDGsへの取り組みは加速していると感じます。正解がひとつとは限らない、正解が見えない現代だからこそ、従業員一人一人が「何が正しいのか?」を自問自答し続けられるように。そして、「自分の仕事には、なにか社会的な価値があるのか?」「ホロニックには、果たして存在意義があるのか?」などを議論できるようなチーム作りをしたいと思っています。そうすることで、様々な発想が生まれ、SDGsの取り組みも加速していくのではと考えています。

ホロニックやセトレとして実施する1つ1つの活動がSDGsにつながるように、今後も努力を続けていきたいと思います。

ー貴重なお話をありがとうございました!