ホリスティック教育は、知識を詰めこむことが中心の従来型教育に代わる新たなアプローチとして注目を集めています。人間として広い範囲の成長を目指すこの教育法は、創造性や批判的思考力、環境意識、そして心身の健康を重視します。
ホリスティック教育がどのように社会問題を解決できるのか探ってみましょう。本記事では、ホリスティック教育とは具体的にどのような教育なのか、メリット・デメリット、実際の事例なども、わかりやすく解説します。
ホリスティック教育とは?

ホリスティック教育とは、人間を身体、感情、精神、知性の統合体として捉え、人間らしく、そして個性を大切にした広い範囲の成長を目指す教育アプローチです。この教育理念は、個人の多様な側面を包括的に育成し、調和のとれた人格形成を促進することを目的としています。
ホリスティック教育では、単に知識の習得だけでなく、感情的・社会的・精神的な発達も重視します。学習者の内なる可能性を引き出し、自己実現を支援することで、それぞれの個性を活かして、社会に貢献できる人材の全人的※な育成を目指しています。
それでは、ホリスティック教育の基本概念と関連する要素について見ていきましょう。
そもそもホリスティックとは
「ホリスティック」という言葉は、ギリシャ語の「ホロス(holos)」に由来し、「全体」「完全」という意味を持ちます。ホリスティック教育では、人間を部分ではなく、全体として捉えるという考え方が根底にあります。
つまり、知的な側面だけでなく、感情的な側面、身体的な側面、社会的な側面など、人間が持つあらゆる側面を総合的に育むことを目指しています。
ESDとの関係
ESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)は、ホリスティック教育と密接な関係にあります。ESDは、環境、貧困、人権などの現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組むことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。
ホリスティック教育とESDは以下の点で共通しています:
- 全体論的視点:個々の問題を孤立して捉えるのではなく、相互の関連性を重視
- 価値観の変革:持続可能な社会の実現に向けて、既存の価値観や行動様式の変革を促す
- 参加型学習:学習者が主体的に考え、行動することを重視
- 未来志向:現在の問題解決だけでなく、将来世代のニーズも考慮
文部科学省の「ESD(持続可能な開発のための教育)推進の手引」(2018年)でも、ホリスティックな視点の重要性が強調されています。
【ESDとは】
人材(タレント)マネジメント
ホリスティック教育の考え方は、企業の人材マネジメント(タレントマネジメント)にも影響を与えています。タレントマネジメントとは、組織の人材を戦略的に育成・活用する取り組みを指します。
ホリスティックな視点を取り入れた人材マネジメントでは、以下のような特徴が見られます。
- 全人的評価:従業員のスキルや実績だけでなく、価値観や志向性、潜在能力も含めて評価
- 個別化されたキャリア開発:一律のキャリアパスではなく、個人の特性や希望に応じた成長機会を提供
- ワーク・ライフ・バランスの重視:仕事と私生活の調和を図り、従業員の全人的な幸福を追求
経済産業省の「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書」(2020年)でも、このようなホリスティックなアプローチの重要性が指摘されています。
【経済産業省の調査による人材マネジメントの課題】
ホリスティック教育と似た言葉や教育以外でホリスティックが使われている分野について
詳しい内容に入る前に、ホリスティック教育と似ている言葉との違いや、教育以外でホリスティックが使われている分野について見ていきましょう。
オルタナティブ教育との違い
ホリスティック教育とオルタナティブ教育※は、しばしば混同されることがありますが、両者には重要な違いがあります。
オルタナティブ教育は、従来の学校教育システムに代わる選択肢を提供する広範な教育アプローチを指します。一方、ホリスティック教育は、オルタナティブ教育の一形態でありながら、より特定の哲学と方法論を持っています。
ホリスティック教育は、オルタナティブ教育の中でも特に人間の全体性と精神的成長を重視する教育アプローチであると言えます。その独自の哲学と方法論により、学習者の内面的な成長と外部世界との調和的な関わりを促進することを目指しています。
教育以外にホリスティックが採用されている分野
ホリスティックな考え方は、教育の分野だけでなく、私たちの生活のさまざまな場面で取り入れられています。
健康・医療分野
健康・医療分野では、従来の西洋医学に加え、東洋医学、自然療法などを統合し、心身全体を癒すことを目指す「ホリスティック医療」が注目されています。従来の西洋医学が病気の原因となる特定の部位に焦点を当てて治療するのに対し、ホリスティック医療は、心身のバランスを重視し、生活習慣や心の状態なども含めて治療を行います。
アロマセラピー、鍼灸、ヨガ、食事療法などが代表的な治療法です。これらの治療法は、身体的な症状だけでなく、心の状態も改善する効果が期待されています。
美容分野
美容分野でも、ホリスティックな考え方が取り入れられ、内側から美しくなることを目指す「ホリスティックビューティー」が注目されています。従来の美容が外見的な美しさに焦点を当てていたのに対し、ホリスティックビューティーは、食生活、睡眠、運動など、生活習慣全体を見直し、内側から健康的な美しさを追求します。
オーガニックコスメの使用、アロマセラピー、ヨガ、食養生などがホリスティックビューティーの代表的な手法です。これらの手法は、生活習慣や心の状態も改善することにより、心身のバランスを整え、肌のトラブル改善や若々しさの維持につながる可能性が期待されています。
ホリスティックセラピー
ホリスティックセラピーは、心身一体の健康を促進するためのセラピーです。カウンセリング、マッサージ、アロマセラピーなど、さまざまな手法を用いて、心身のバランスを整えます。
従来のセラピーが特定の症状に焦点を当てていたのに対し、ホリスティックセラピーは、心身全体の状態を考慮し、より根本的な原因を探りながら治療を行います。カウンセリング、アロマセラピー、ハーブ療法などが代表的なホリスティックセラピーです。
これらのセラピーは、ストレスの軽減、心の安定、自己成長を促す効果が期待されています。
ホリスティック経営
ホリスティック経営は、企業の経営を、単なる利益追求だけでなく、従業員、顧客、社会との関係性を重視し、持続可能な成長を目指す経営手法です。従来の経営が短期的な利益を重視していたのに対し、ホリスティック経営は、長期的な視点で企業の成長を考え、社会貢献にも力を入れます。
ホリスティック経営では、多様性と包容性、従業員のエンゲージメント向上、環境への配慮、社会貢献などが重視されます。
ホリスティック・コミュニケーション
ホリスティック・コミュニケーションとは、単に言葉で伝えるだけでなく、非言語的な要素や心の状態も含めて、相手とのコミュニケーションをとることです。従来のコミュニケーションが言葉による情報伝達に重点を置いていたのに対し、ホリスティック・コミュニケーションは、相手の感情や状況なども考慮しながら、より深く理解し合うことを目指します。
ホリスティック・コミュニケーションでは、相手の目を見て話す、共感的な態度を示す、非言語的なサインに注意を払う、などが重要です。
ホリスティックな考え方は、教育だけでなく、健康、美容、ビジネスなど、さまざまな分野で応用されています。従来の考え方とは異なり、全体を重視し、心身一体で健康や幸福を追求する点が特徴です。ホリスティックなアプローチを取り入れることで、より豊かな人生を送ることを目指します。*1)
ホリスティック教育の歴史

ここからは、ホリスティック教育の歴史について見ていきましょう。
ホリスティック教育の歴史は、古くは古代ギリシャの教育理念にまで遡ることができます。とはいえ、現代的な形でのホリスティック教育が注目されるようになったのは、20世紀後半の北米においてです。
日本においては、1990年代以降、西洋の教育思想の影響を受けながら、ホリスティック教育に関する書籍が出版され、徐々に専門家の間で知られるようになりました。一般に広く知られるようになったのは、2000年代以降、子育て雑誌や教育関連の書籍で取り上げられる機会が増えたからです。
ホリスティック教育の歴史における重要な出来事を時系列でまとめていきます。
1907年:モンテッソーリ教育の誕生
イタリアの教育者マリア・モンテッソーリが、子どもの自発的な学びを重視する教育法を開発しました。この教育法は、子どもの全人的な発達を促すという点で、ホリスティック教育の先駆けとなりました。
1960年代:ヒューマニスティック教育運動
アメリカを中心に、人間性心理学の影響を受けたヒューマニスティック教育運動が広がりました。この運動は、学習者の感情や価値観を重視し、全人的な成長を目指す点で、ホリスティック教育の発展に寄与しました。
1979年:ホリスティック教育の概念の提唱
アメリカの教育学者ロン・ミラーが、著書「Holistic Education: A Response to the Educational Crisis(ホリスティック教育:教育危機への応答)」でホリスティック教育の概念を体系的に提示しました。これにより、ホリスティック教育が一つの教育理念として確立されました。
1988年:国際ホリスティック教育協会(GATE)の設立
ホリスティック教育の理念を広めるため、国際的な組織「国際ホリスティック教育協会(GATE)」が設立されました。この協会は、世界各国のホリスティック教育実践者や研究者のネットワークを構築し、情報交換や研究の場を提供しています。
1990年代:日本でのホリスティック教育の広がり
日本では、1990年代に入ってホリスティック教育への関心が高まりました。1992年には日本ホリスティック教育協会が設立され、研究会や講演会が活発に行われるようになりました。
2000年:「持続可能な開発のための教育(ESD)」の提唱
国連が提唱したESDの概念は、環境、経済、社会の調和を目指す点で、ホリスティック教育の理念と共通しています。これにより、ホリスティック教育の重要性が国際的にも認識されるようになりました。
2015年:SDGsの採択
国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、多様な角度からのアプローチで地球規模の課題解決を目指しています。この動きは、ホリスティック教育の理念がグローバルな問題解決の場面で重要性を増していることを示しています。
このように、ホリスティック教育の歴史は、人間の全体性や調和を重視する思想が、時代とともに発展し、現代の教育課題に応える形で進化してきた過程と言えるでしょう。
代表的なホリスティック教育を推進する人物
ホリスティック教育は、特定の一人の人物によって提唱されたというよりは、古くから存在する教育の概念を現代的に解釈し、発展させてきたさまざまな教育思想家や実践家によって形成されてきました。
代表的な人物としては、
- ジョン・デューイ: 実体験に基づく学習を重視し、教育と社会生活とのつながりを強調したアメリカの教育哲学者
- マリア・モンテッソーリ: 乳幼児教育において、子どもの自発性を尊重し、感覚教育や操作教育を重視したイタリアの教育者
- ルドルフ・シュタイナー: シュタイナー教育の創始者で、芸術や音楽、自然との触れ合いを重視した教育を提唱
- カール・ロジャース: 人本主義心理学の創始者で、生徒の自己実現を支援する教育を提唱
などが有名と言えます。これらの教育思想家たちは、それぞれ独自の視点からホリスティック教育の概念を深め、発展させてきました。
ホリスティック教育の歴史を振り返ると、それは単に教育方法論の変遷ではなく、社会の変化や人間の価値観の変化と深く結びついていることがわかります。ホリスティック教育は、常に時代に合わせてその姿を変化させながら、より良い人間を育てるための教育を目指してきました。
次の章では、具体的にホリスティック教育は具体的にどのような教育なのかを解説していきます。*2)
ホリスティック教育は具体的にどのような教育なのか

国際ホリスティック教育協会(GATE)によると、ホリスティック教育は以下の原則に基づいています。
- 学習者の全人的な成長
- 学習者間の関係性の重視
- 生命の相互関連性の認識
- 批判的思考と創造性の育成
これらの原則からも、ホリスティック教育が知識の詰め込みだけでなく、人間性の全面的な発達を重視していることがわかります。
ホリスティック教育の目指すもの
ホリスティック教育は、学習者の知的能力だけでなく、感情、身体、精神性を含めた全人的な成長を目指しています。具体的には、
- 自己実現の促進
- 調和のとれた人格形成
- 社会性と共感能力の育成
- 創造性と批判的思考力の向上
- 環境意識と持続可能性の理解
などの育成が目標とされます。
ホリスティック教育のアプローチ
ホリスティック教育のアプローチは、従来の教育方法とは異なる特徴を持っています。
統合的学習
教科の枠を超えた学際的な学習(教科を分けずに、いろいろな分野を組み合わせた学び)を重視します。例えば、環境問題を学ぶ際に、科学、社会、経済、倫理など多角的な視点から考察します。
体験学習
座学だけでなく、実践的な体験を通じた学習を重視します。自然体験や社会貢献活動などを通じて、実感を伴った理解を促進します。
内省的学習
自己の内面と向き合い、自己理解を深める機会を設けます。瞑想やジャーナリング※などの手法を用いることもあります。
協同学習
他者との関わりを通じて、コミュニケーション能力や共感性を育みます。グループワークやプロジェクト学習が重視されます。
文部科学省の「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」(2019年)でも、これらのアプローチの重要性が指摘されています。
現状の日本の教育との違い
日本の教育は、これまで主に知識の習得に重きを置いてきました。一方、ホリスティック教育は、知識の習得だけでなく、人間として成長することを重視しています。
ホリスティック教育と現状の日本の主流教育の違いを以下の表にまとめました。
【ホリスティック教育と現状の日本の主流教育の違い】
日本の主流教育 | ホリスティック教育 | |
学習内容と方法 | 教科書中心の知識伝達型学習が主流 | 体験学習や探究学習を重視し、教科の枠を超えた統合的な学びを促進 |
評価方法 | テストの点数や偏差値による相対評価が中心 | 多面的な評価を行い、個々の成長過程を重視 |
教師の役割 | 知識を教える人としての役割が強い | 学習者の自発的な探究を支援 |
学習環境 | 教室内での座学が中心 | 自然環境や地域社会など、多様な場での学びを重視 |
心身の健康への配慮 | 学業成績が重視され、心身の健康は二次的な扱いになりがち | 心身の健康を学びの基盤と捉え、瞑想やヨガなどの実践を取り入れることも |
日本での実例
日本では、まだホリスティック教育を実践している学校は多くはありませんが、徐々にその数は増えています。
シュタイナー学校(全国各地):
芸術教育を重視し、子どもの発達段階に応じた独自のカリキュラムを実践しています。
自然との調和や全人的な成長を重視する点で、ホリスティック教育の理念と共通しています。
自由の森学園(埼玉県):
「いのちを大切にする」を教育理念に掲げ、自然との共生や平和教育を重視しています。
生徒の自主性を尊重し、体験学習や芸術教育にも力を入れています。
ホリスティック教育は、急速に変化する現代社会に対応できる柔軟な思考力と豊かな人間性を育むアプローチとして、今後ますます注目を集めることが予想されます。従来の教育方法の長所を活かしつつ、ホリスティック教育の理念を取り入れることで、より包括的で効果的な教育システムの構築が期待されています。*3)
ホリスティック教育が必要とされている背景

ここまでホリスティック教育について詳しく見てきましたが、なぜ今必要とされているのでしょうか。ここから、現代における課題と合わせて掘り下げて見てきましょう。
現代社会は、グローバル化、情報化、多様化が急速に進み、従来の画一的な教育では対応が難しくなってきています。日本の教育は、長らく知識の詰め込みや受験に重きを置いてきましたが、これにより以下のような問題が生じていると考えられています。
知識偏重型教育の限界:創造性や問題解決能力の低下
これまでの日本の教育は、知識の習得と記憶力を重視してきました。しかし、この方法は以下のような問題を引き起こしています。
- 創造性や批判的思考力の不足
- 実践的なスキルの欠如
- 学習意欲の低下
- 変化に対応できない人材の増加
画一的な教育システム:
一斉授業や標準化されたカリキュラムは、個々の学習者のニーズや個性に十分に対応できていません。これにより、
- 学習意欲の格差
- 不登校やいじめの問題
- 多様な才能の埋没
などにつながっていると指摘されています。
心身の健康への配慮不足:心身の病の増加
学業成績を重視するあまり、心身の健康や情緒的発達が軽視される傾向があります。
- ストレスや不安の増大
- 自己肯定感の低下
- 社会性やコミュニケーション能力の不足
などが、深刻な社会問題となっています。
ホリスティック教育が必要とされるその他の背景
従来の教育システムが招いたと考えられる問題以外にも、
- 多様性の尊重: 多様な価値観や文化が共存する社会になった
- AI時代の到来: AIの発展により、人間の仕事が変化し、創造性や人間関係構築能力がますます重要になった
- 幸福な社会の実現: 物質的な豊かさだけでなく、心の豊かさも重視する社会が求められるようになった
などの社会全体の潮流の変化も、ホリスティック教育が必要とされるようになった背景として考えられます。
ホリスティック教育は、このような従来の教育の限界を克服し、現代社会が求める人材を育成するための新しい教育モデルとして注目されています。個々の生徒の成長を促し、主体的な学びを大切にすることで、より豊かな社会の実現に貢献することが期待されています。*4)
ホリスティック教育のメリット

これまで、ホリスティック教育が従来の教育と異なる点や、現代社会において必要とされる背景について見てきました。では、具体的にホリスティック教育にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
個人の成長を促す
ホリスティック教育は、単に知識を詰め込むのではなく、一人ひとりの生徒が持つ可能性を最大限に引き出すことを目指します。これにより、以下の効果が期待できます。
- 自己肯定感の向上: 自分の強みや弱みを理解し、自己肯定感を高める
- 主体的な学び: 自ら課題を見つけ、解決していく力を養うことで、学習意欲を高める
- 創造性の開花: 多様な視点から物事を捉え、新しいアイデアを生み出す力を養うこ
- 問題解決能力の向上: 複雑な問題に対して、論理的思考力と創造性を活かして解決策を見つける
社会性と協調性を育む
ホリスティック教育は、個人だけでなく、社会の一員としての役割を重視します。
- コミュニケーション能力の向上: グループワークやディスカッションなどを通じて、効果的にコミュニケーションをとる力を養う
- 協調性の向上: 他の生徒と協力し、共同で課題解決に取り組むことで、協調性を高める
- 多様性への理解: 異なる価値観や文化を持つ人々との交流を通して、多様性を尊重する心を育む
などが実践されます。
心身の健康を育む
ホリスティック教育は、心の健康にも配慮し、心身一体で成長することを目指します。
- ストレス耐性の向上: 心理的な安定感を高め、ストレスにうまく対処できる力を養う
- 幸福感の向上: 自己実現感や人間関係の充実感など、心の豊かさを育む
- 自己肯定感の向上: 自分の価値を認め、自己肯定感を高めることで、心の健康を保つ
など、これまでの日本の教育ではあまり焦点を当てられなかった成長も重要視します。
実践されている取り組み
ホリスティック教育を実践する学校では、さまざまな取り組みが行われています。例えば、
- 体験学習: 自然体験、ボランティア活動など、実際に体験することで学ぶ機会を提供
- プロジェクト学習: グループで課題に取り組み、協働して解決策を導き出す学習を行う
- 芸術活動: 音楽、美術、演劇など、芸術的な活動を通して表現力や創造性を育む
- 心のケア: カウンセリングや瞑想など、心の健康をサポートするプログラムを提供
などが挙げられます。
ホリスティック教育で期待できるこれらのメリットは、急速に変化する現代社会において、柔軟性と適応力を持つ人材の育成に大きく貢献する可能性があります。*5)
ホリスティック教育のデメリット・課題

ホリスティック教育は、全人的な成長を目指す魅力的な教育アプローチですが、その実践にはさまざまな課題が存在します。それでは、ホリスティック教育が直面する主要な課題について考えていきましょう。
評価の困難さ
ホリスティック教育の成果を客観的に評価することは、極めて困難です。全人的な成長を数値化したり、標準化したりすることは、その本質に反する可能性があります。
従来の学力テストでは測れない能力や資質を、どのように評価するかが大きな課題となっています。
指導者の育成と確保
ホリスティック教育を実践できる指導者の育成と確保は、重要な課題の1つです。全人的な視点を持ち、多様な教育手法を使いこなせる教育者の養成には、時間とリソースが必要です。
また、現行の教員養成システムでは、ホリスティックな視点を持つ教育者を十分に育成できていない可能性があります。
既存の教育システムとの整合性
日本の現行の教育システムは、主に知識の習得と学力テストの結果を重視しています。ホリスティック教育の理念を、このシステムにどのように組み込むかが課題となります。特に、受験制度や学習指導要領との整合性を図ることは容易ではありません。
時間と労力の増大
ホリスティック教育は、個々の学習者に合わせたきめ細かな指導を必要とします。これは、教育者にとって大きな負担となる可能性があります。
限られた時間と人員で、どのようにして全人的な教育を実現するかが課題です。
日本の伝統的価値観との調和
ホリスティック教育の理念は、個人の自己実現を重視する西洋的な価値観に基づいています。一方、日本の伝統的な教育観は、集団への調和や規律を重視する傾向があります。
歴史的に培われてきた日本人の価値観と、ホリスティック教育の理念をどのように調和させるかが課題となります。
親の理解と協力の獲得
ホリスティック教育の効果を最大化するためには、家庭での教育も重要です。しかし、従来の学力重視の価値観から脱却し、全人的な成長を重視する教育方針に対する親の理解と協力を得ることは容易ではありません。
経済的負担の増加
ホリスティック教育を実践するには、従来の教育システムよりも多くの人的・物的リソースが必要となる可能性があります。これは、学校や保護者の経済的負担の増加につながる可能性があります。
これらの課題は、ホリスティック教育を日本の教育現場に導入する際に考慮すべき重要な点です。しかし、これらの課題を克服することで、より豊かで多様な教育環境を創出できる可能性があります。
ホリスティック教育の理念を日本の教育システムに適切に取り入れるためには、慎重かつ創造的なアプローチが必要となるでしょう。*6)
ホリスティック教育に取り組むためのポイント

日本の教育は長らく、受験に特化した知識偏重の傾向が強かったため、ホリスティック教育の実現には、従来の教育システムからの脱却が求められます。
それでは、学校や家庭において、どのようにホリスティック教育に取り組んでいけば良いのでしょうか?ここでは、日本の教育の現状を踏まえ、より実践的な視点から、ホリスティック教育を実現するためのポイントを考察していきます。
多様な学びの機会の創出
ホリスティック教育を実践する上で、多様な学びの機会の創出は非常に重要です。実際に体験する学習を充実させることで、教科書だけでは得られない貴重な学びを提供できます。
自然体験やボランティア活動、職場体験などを通じて、生徒たちは実社会との接点を持ち、より深い理解を得ることができるでしょう。
例①探究学習
探究学習を推進することで、生徒たちの主体的な学びを促進します。自ら課題を見つけ、解決策を模索するプロセスは、批判的思考力や問題解決能力の向上に繋がります。
例②芸術教育の重視
芸術教育を重視することで、生徒たちの創造性を育むことができます。音楽、美術、演劇などの活動は、感性を磨き、自己表現力を高める絶好の機会となります。
生徒の主体性の尊重
生徒の主体性を尊重することも、ホリスティック教育の重要な要素です。授業や学校行事の企画に生徒の意見を積極的に取り入れることで、学校生活への参加意識が高まり、自主性が育まれます。
例①自主的な学習の支援
自主的な学習を支援することで、生徒たちが自ら学習計画を立て、目標に向かって取り組む力を養うことができます。
例②評価方法の多様化
評価方法を多様化し、テストの点数だけでなく、学習のプロセスや成果、態度なども総合的に評価することで、生徒の多面的な成長を促すことができるでしょう。
教師の役割の変革
教師の役割も、ホリスティック教育の実践において重要な変化が求められます。教師はファシリテーター※としての役割を担い、生徒の学習を支援し、自ら考え、行動できるよう促します。
例①教師自身も生涯学習する
教師自身も生涯学習の意識を持ち、常に学び続ける姿勢を示すことで、生徒の成長を促すお手本となります。
例②チームティーチング
チームティーチング※を推進することで、複数の教師が協力して授業を行い、より効果的な学習指導を実現することができます。
家庭での実践
家庭でのホリスティック教育の実践も、子どもの全人的な成長にとって重要です。保護者は共感的なコミュニケーションを心がけ、子どもの話に耳を傾け、その意見や気持ちを尊重することが大切です。
家族で一緒に活動する体験を通じて、絆を深め、学びを共有することもできるでしょう。
例①環境づくり
自主性を育む環境づくりも重要です。日常生活の中で子どもが自分で決断できる機会を増やし、失敗を恐れずに挑戦できる雰囲気を作ることで、子どもの自主性と自信を育むことができます。
例②多様な価値観への理解を深める
多様な価値観への理解を深めることも、ホリスティック教育の重要な側面です。家族で旅行に行ったり、さまざまな人と交流したりすることで、子どもに多様な価値観に触れる機会を提供できます。
また、子どもと意見が異なる場合でも、相手の意見を尊重し、対話を重ねることで、互いの理解を深め、豊かな人間性を育むことができるでしょう。
ホリスティック教育は、一朝一夕に実現できるものではありません。しかし、学校、家庭、地域社会が協力し、少しずつでも実践していくことで、より良い未来を協力して模索することが重要です。*7)
ホリスティック教育とSDGs
ホリスティック教育は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に大きく貢献する可能性を秘めています。全人的な成長を目指すホリスティック教育の理念は、SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」という包括的なアプローチと深く共鳴しています。
この教育方法は、個人の多面的な発達を促すだけでなく、社会全体の持続可能性にも寄与する人材の育成を目指しています。ホリスティック教育がSDGsの目標達成に貢献できる主な点として、以下が挙げられます。
- 批判的思考力と問題解決能力の育成
- 多様性の尊重と包括的な視点の醸成
- 環境意識と持続可能性への理解の深化
- 社会的責任感と行動力の向上
それでは、ホリスティック教育と特に関係の深いSDGs目標について、具体的に見ていきましょう。
SDGs目標3:すべての人に健康と福祉を
ホリスティック教育は、心身の健康を総合的に捉える視点を提供します。ストレス管理技術やマインドフルネスの実践など、精神的な健康に焦点を当てた教育プログラムは、生涯にわたる健康的なライフスタイルの基礎を築くことができます。
また、食育や運動の重要性を学ぶことで、身体的な健康への意識も高まります。
SDGs目標4:質の高い教育をみんなに
ホリスティック教育は、この目標に直接的に貢献します。全人的な発達を重視するアプローチは、単なる知識の習得を超えた、真に質の高い教育を提供することができます。
例えば、体験学習や探究学習を通じて、生徒たちは実践的なスキルと深い理解を得ることが可能となります。また、個々の学習者のニーズに応じた柔軟な教育方法は、インクルーシブ教育※の実現にも寄与するでしょう。
SDGs目標12:つくる責任 つかう責任
ホリスティック教育は、消費と生産の関係性を包括的に理解することを促します。環境への影響を考慮した消費行動や、資源の有効活用について学ぶことで、責任ある消費者としての意識が育まれます。
例えば、エコロジカルフットプリント※の概念を学び、日常生活での実践につなげることができるでしょう。
【関連記事】エコロジカルフットプリントとは?計算方法や日本の現状、私たちにできること
SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を
ホリスティック教育は、環境問題を単なる科学的な課題としてではなく、社会、経済、倫理的な側面も含めた複合的な問題として捉えることを可能にします。このアプローチにより、気候変動の複雑な影響を理解し、個人レベルでの行動変容から国際的な政策提言まで、幅広い対策を考案・実行する力を育むことができます。
SDGs目標16:平和と公正をすべての人に
ホリスティック教育は、対話と共感を重視します。これにより、異なる背景を持つ人々との相互理解を深め、平和的な問題解決能力を育成することができます。また、社会や人権について学ぶことで、公正な社会の実現に向けた行動力を養うことができるでしょう。
ホリスティック教育とSDGsの関係性は、単に知識を教えるだけでなく、実践的なスキルと価値観を育成することで、持続可能な社会の実現に貢献する人材を育てる点にあります。この教育アプローチは、SDGsの目標達成に向けた重要な基盤となる可能性を秘めています。今後、教育現場でのさらなる実践と研究を通じて、その効果が具体的に検証されていくことが期待されます。*8)
>>各目標に関する詳しい記事はこちらから
まとめ

ホリスティック教育は、人間を身体、感情、精神、知性の統合体として捉え、全人的な成長を目指す教育アプローチです。この教育理念は、単なる知識の習得にとどまらず、個人の多様な側面を包括的に育成し、調和のとれた人格形成を促進することを目的としています。
ホリスティック教育に関しては、一部の機関や学校で「スピリチュアル」な印象を受ける説明や紹介がなされることがあります。実際に、ホリスティック教育の中には、スピリチュアルな要素を強く取り入れているものもあります。
しかし、これはホリスティック教育の一側面に過ぎず、全てのホリスティック教育がスピリチュアルな要素を含むわけではありません。
ホリスティック教育の本質は、人間の全体性を捉え、バランスの取れた成長を促すことにあります。スピリチュアルな要素を含むかどうかは、各教育機関や実践者の方針によって異なります。
重要なのは、
- ホリスティック教育の基本理念を理解する
- 「ホリスティックをうたっているから大丈夫」と妄信せず、実際の内容を確認
- 自分や子どもに適した教育アプローチを選択する
というステップを踏むことです。
現代の日本社会は、少子高齢化、人口減少、グローバル化、デジタル化など、さまざまな課題を抱えています。これらの課題は、教育の問題とも深く結びついています。
ホリスティック教育は、これらの社会問題を解決するためのヒントを与えてくれるかもしれません。例えば、ホリスティック教育は、多様な価値観を尊重し、共生社会の実現を目指します。
これは、多文化共生※が求められる現代社会において、非常に重要な考え方です。また、ホリスティック教育は、環境問題に対する意識を高め、持続可能な社会の実現に貢献することも期待できます。
【関連記事】多文化共生とは?海外・日本の現状や私たちにできること
個人レベルでも、自己啓発やライフスキルの向上に取り組むことで、ホリスティック教育の理念を日常生活に取り入れることができます。ホリスティック教育は、単なる教育手法の1つではなく、人間の成長と社会の発展に対する新たな視点を提供するものです。
この理念を適切に理解し、実践することで、個人の幸福度を上げ、より良い社会と持続的な発展につながる可能性があります。
人生100年時代を生きる私たちが、生涯学び続ける上で、ホリスティック教育を理解することは、多角的でより広い視野や学びのアプローチを得るヒントになるかもしれません。
<参考文献・引用文献>
*1)ホリスティック教育とは?
文部科学省『〈新しい能力〉と学習評価の枠組み』(2013年1月)
文部科学省『ESD(持続可能な開発のための教育)推進の手引』(2018年5月)
経済産業省『持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~ 人材版伊藤レポート ~ 』(2021年9月)
日本ホリスティック教育/ケア学会『本学会について ホリスティックという志向』
日本ホリスティック教育協会『理念』
日本ホリステック医学協会『ホリスティックとは』
日本保健医療行動科学会『ホリスティック・アプローチ』
MarkeTRUNK『ホリスティック・マーケティングとは?4つの構成要素を解説』(2020年5月)
henca『ホリスティックデザイン経営』
大阪がんクリニック『心理的ホリスティック療法|癌の光免疫療法はOGC大阪がんクリニック』
*2)ホリスティック教育の歴史
日本ホリスティック教育協会『日本ホリスティック教育協会の歩み』
隈元 泰弘,長谷川 重和『教育の原理と特別活動の展開ーホリスティック教育の視点からー』(2017年)
Yahoo!ニュース『詰め込みを拒否する教育を求めて~ホリスティック教育~』(2018年8月)
日本モンテッソーリ教育総合研究所『モンテッソーリ教育とは』
文部科学省『特別な配慮を必要とする幼児を含む教育・保育の実践課題に関する実態調査』(2019年)
高橋 節子『子どものための物理的環境とは何か――モンテッソーリ教育の場合――』
杉田 由仁『ジョン・デューイの公教育思想における「個性を活かす教育」ー楽しく学び生き生きと活動できる学校づくりに向けてー』(2014年)
梶川 萌『測定の時代における「個性」概念の再考 ジョン・デューイの1920年代から1930年代の思想変遷を手がかりに』(2023年)
日本シュタイナー学校協会『シュタイナー教育の概要』
シュタイナー学園『シュタイナー学園は教育課程特例校です』
岡本 則子『不登校の子どもへの支援の在り方-自らの課題解決をめざして、事例から学ぶ-』
マリア・モンテッソーリ・エレメンタリースクール『モンテッソーリ教育とは?』
日本モンテッソーリ教育総合研究所『マリア・モンテッソーリについて』
*3)ホリスティック教育は具体的にどのような教育なのか
中川 吉晴『ホリスティック臨床教育学がめざすもの――感情教育について―― 』
福若 眞人『オルタナティブ教育の新展開を踏まえた「ホリスティック教育/ケア」の原理的研究』
各務 美紀『ホリスティックなアプローチで音楽を生かした教育実践の研究―横断的に音楽を活用させた授業提案―』(2012年)
成田 喜一郎『カリキュラムデザイン研究の現在―1994.8から 2017.2までの学びと究めを踏まえて―』
日本教育医学会『ホリスティックな学校組織・カリキュラム改革を考える』(2020年)
国立教育研究所『複雑な環境においての教師教育:シンガポールの考え方』
おおぞら高等学校『【屋久島スクーリング】英語で屋久島を語ろう! ~「ホリスティック教育」と「グローバル教育」の融合~』
日月倶楽部『富士山ホリスティック農学校』
幸田 隆『ホリスティックな視点から多様性との関わり方を問う実践 ―社会科におけるダイバーシティ教育―』(2019年)
高橋 史朗『ホリスティック教育論の基本的観点についての一考察』
*4)ホリスティック教育が必要とされている背景
河野 和枝『<書評>『教育と福祉のホリスティックな支援-子どもと家庭を包み込む地域づくり』(2022年3月)
奥野 アオイ『ジョン P・ミラーの教育観と深い学び―「アクティブ・ラーニング」を再考する―』(2017年9月)
岩田 好司『異文化コミュニケーション論からホリスティック・コミュニケーション論へ』
日本経済新聞『子どもの「体験格差」、深刻に 貧困連鎖に懸念、支援急務』(2024年8月)
佐藤 博志『クリエイティブな教師 社会の変容,新しい教師の専門性,ポスト / ウイズコロナをめぐって』(2020年)
日本文教出版『ESDと気候変動教育(その13) 若者によるホリスティックな眼差し』(2023年2月)
石井 薫『環境マネジメントからホリスティック・マネジメントへの展開(1)』(2005年)
*5)ホリスティック教育のメリット
Yahoo!ニュース『詰め込みを拒否する教育を求めて~ホリスティック教育~』(2018年8月)
Yahoo!ニュース『日本初、「世界の注目私立トップ25」選出校の中身 人間の「全体性」重視のホリスティック教育とは』(2024年6月)
アジア・太平洋総合研究センター『【インド】国家教育政策2020』(2020年7月)
文部科学省『現在の教育に関する主な課題』
文部科学省『1.我が国における「学校」の現状』
文部科学省『今後の幼児教育の振興方策に関する研究会(第5回) 議事要旨』(2008年9月)
永田 佳之『日本 ホ リスティ ック教育協会編『持 続 可 能 な 教 育 社 会 を つ くる― 環境・開発・スピリチュアリティ― 』』(2007年)
梅澤 収『地域・学校づくりを ESD の観点で考える──大学の役割を問いながら』(2020年)
*6)ホリスティック教育のデメリット・課題
下田 好行『ホーリズムの視点に立った授業開発 : 課題解決のための協同的・表現的・創造的な学びを通して』(2013年)
下田 好行『学習意欲向上のための総合的戦略に関する研究-「知を活用する力」に着目した題材、教材・単元開発の枠組みとその実際-』(2018年3月)
東洋経済ONLINE『日本人の「教育改革論」がいつも的外れなワケ 課題は「子ども」ではなく「社員教育」にある』(2019年3月)
松下 佳代『教育におけるコンピテンシーとは何か―その本質的特徴と三重モデル―』(2021年)
松下 佳代『〈新しい能力〉による教育の変容── DeSeCo キー・コンピテンシーと PISA リテラシーの検討』
オハナ・デンタルクリニック関内『ホリスティックは怪しい?ホリスティック医学とは』(2023年8月)
*7)ホリスティック教育に取り組むためのポイント
日経XTREND『AIバイリンガルの作り方 松尾研もアントレプレナー育成に本腰』(2020年7月)
大野 早苗『外国語教育におけるクリエイティブ・ライティングの意義と方法―学習者のホリスティックな成長に向けた創造力と考える力の育成―』
日産財団『子ども、保護者、先生たちと語りあう 「学校のイマ・ミライ〜多様な可能性編〜」を開催!』(2020年8月)
日本国際理解教育学会『「学び論」プロジェクト社会変容と自己変容をつなぐ「架け橋」づくり』(2022年11月)
*8)ホリスティック教育とSDGs
国際連合広報センター『SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン』