#インタビュー

株式会社landlink|野菜あらいのお水「ベジセーフ」で生命と文明の最適解をみつける

株式会社landlink 蓮見さん インタビュー

蓮見 知章

東京足立区で老舗クリーニング店の次男として誕生。

格安チェーン店の進出により技術あるクリーニング師たちが廃業に追い込まれる。それを救う為に株式会社landlinkを設立。銀座・六本木など高級衣類を使用する夜の業界専門のサービス “クリーニング・コンシェルジュCHAMPION. “を立ち上げた。

その後、娘の誕生をきっかけに食への意識が高まる。今まで培ってきた『洗う技術』を応用し、食べる前に残留農薬を落とす「野菜あらいのお水ベジセーフ」を開発した。現在は、2万人の定期会員がベジセーフを愛用している。近年では健康意識の高まりと共に、栄養価の高い野菜の皮を食べる為に使用する需要も増えている。

2021年3月16日には「栄養まるごとプロジェクト」が発足し、学校給食に向けて栄養価が高い給食提案と、食品ロス解決に向けて尽力している。

introduction

野菜の表面に付いた汚れを落とし、皮まで美味しく食べることができる「野菜あらいのお水ベジセーフ」を製造販売する株式会社landlink。創業78年の老舗クリーニング店でもあります。クリーニング業を営むlandlinkがなぜベジセーフを開発したのか。そこには生命と化学の最適解を追求する想いがありました。今回、landlinkの代表蓮見さんに食への想いや持続可能な社会の実現に向けての取り組みを伺ってきました。

大切なものを守るために安心できるものを作りたい

まず初めに事業内容を教えていただけますか。

蓮見さん:

弊社landlinkは、クリーニングの集配業が主な事業です。実家が創業80年のクリーニング店で、今は兄が継いでいます。弟として力になりたいと考え、2007年に会社を立ち上げました。その後、クリーニング集配業に加えて2013年からは「ベジセーフ」という野菜をあらう水の販売を始めました。

化学物質を使わないクリーニングの誕生

クリーニングの集配業を営むなかで、なぜ水の開発をするようになったのですか。

蓮見さん:

父親が70歳のときに、食道がんを患い他界したことがきっかけです。

クリーニング店は、化学物質を大量に使ってシミ抜きをするんですが、これが原因だったのかもしれないと感じるようになりました。後を継ぐ兄が父と同じように身体を害さないために「化学物質を使わないクリーニング溶剤を作ろう」と。これが研究の始まりです。

そこで、界面活性剤を使わずに汚れを落とす「アルカリ電解水」に出会い、いろいろな溶剤と組み合わせながら、身体に優しいクリーニング環境をつくりました。

「アルカリ電解水」とはどのようなものなのでしょうか?

蓮見さん:

アルカリ電解水は水を電気分解してアルカリ性にしたものです。アルカリ電解水の持つマイナスイオンの働きにより、汚れを浮かし、剥がし取ることができるので、界面活性剤と同様の効果を発揮します。

このアルカリ電解水を使うことで、汚れをしっかり落とせますし、私たちも安心して衣類を洗えるようになりました。

安心して安全に働ける環境作りがきっかけだったのですね。

蓮見さん:

そうですね。化学物質は便利で文明の力としていろいろな分野において利便性の向上において貢献してきました。その反面、人体や環境に影響のあるものも少なくありません。便利だから多用するのではなく、使用する上での最適解を導き出すことが大切だと私は考えています。ベジセーフもその想いがベースとなり誕生しました。

子どもたちの未来をよくするために開発された「ベジセーフ」

では、ベジセーフとはどのような商品なのかご紹介いただけますか?

蓮見さん:

ベジセーフは、野菜や果物の表面についた残留農薬や薬剤、汚れ、ワックス、アク、余分な油分(脂肪分)などを洗い落とすための洗浄水です。

こちらもアルカリ電解水なのでしょうか?

蓮見さん:

「アルカリ電解水」ではありますが、クリーニングで使っているものは食品には使えません。そのため「ベジセーフ」は、「還元型アルカリバブル電解水」と呼ばれる、99.9%の純水と0.1%のカリウムで作られています。

また、還元型であるため、触れたものを酸化させない性質を持っています。だから、ベジセーフで野菜を洗うと野菜がシャキッと美味しくなるのです。

化学物質が入っていないので、安心して食材に使用できるんですね。ベジセーフもやはりお父様がきっかけで生まれたものなのでしょうか?

蓮見さん:

父が最後に残してくれた「生きる」ことのあり方に加え、娘が生まれ、守らなくてはいけない存在ができたことも大きいですね。この子たちの未来をよくするために生きたいと考えるようになりました。

父の死をきっかけに化学物質に対して危険な意識を持ち、自分に子どもが生まれたことで、食べ物についても目を向けるようになりました。

そこから農薬について調べるようになりました。すると日本は化学物質や添加物の許認可も多い国で、農薬使用量が世界第3位ということに衝撃を受けたんです。また、海外では人体に影響が出ているという農薬を日本ではまだ使っていたりします。

農林水産省も1つの農薬に対して何億もかけて検査をしていますが、人体実験ができないので「100%安全」とは言い切れない状況です。こうした事実を知り、であれば、大事なものを守るために消費者である私たちが食べる前に何かできないかと考え、ベジセーフを作りました。

商品が良いだけでは売れない

そのような想いが込められているんですね。多くの方が安心安全な食べ物を口にしたいと願っていると思います。ベジセーフの販売開始後の消費者の反応はいかがでしたか?

蓮見さん:

自分では「いい商品ができた!」と思っていたのですが、はじめは全然受け入れて頂けませんでした。「うちの野菜が汚いのか?」と叱責も頂きながら、その一方で「これからの日本に必要だ」と言ってくれる人もいました。

そこからどのように認知を高められたのでしょうか?

蓮見さん:

SDGsが追い風となりました。ここ最近SDGsが浸透してきて、我々の掲げる「最適解」に共感を得られるようになりました。

また、コロナの影響もあり家でご飯を食べる機会が多くなったこともひとつのきっかけです。これにより食に関して見つめ直す方々が増え、ベジセーフが認知され理解されるようになったと感じています。その結果、好調に売り上げが伸びています。

否定からは何も生まれない。大切なのは現状を知り、
適切な答えを導くこと

素朴な疑問なんですが、最近では有機野菜が注目されています。その野菜にもベジセーフを使用する必要はあるのでしょうか。

蓮見さん:

実は、有機野菜は「農薬を使わないで栽培した野菜」というわけではなく、ガイドラインで定められた32種類の農薬は使って良いとされています。つまり、有機野菜であってもベジセーフは必要だと思っています。

やはり農薬を使わずに野菜を作るのは難しいものですか?

蓮見さん:

そうですね。今の日本の状況では難しいと思います。

農薬には、虫を殺したり、作物の病気を防いだりする効果があるため、生産性の向上に役立っています。

現在、日本の農家の平均年齢が67歳と言われているので、手間をかける体力がなく、農薬を使わないといけない状況にあるんです。

農家の方々も使いたくて使っているわけではないんですね。

蓮見さん:

また、無農薬の野菜が広がらない理由として、価格が高く簡単には売れないことも挙げられます。手間がかかる分、高くなってしまうのは仕方がないことです。

高くて売れなければ農家の方々の生活も苦しくなってしまいますよね。

蓮見さん:

なので、現時点で「農薬は悪いもの!無農薬が絶対いい!」と言い切ってしまうと、農家の人を苦しめるだけの結果になってしまいます。

否定からは何も生まれませんし、農家さんが頑張ってきてくれたおかげで、今の豊かな日本の食があります。その中で悪かった部分を少しずつ見直すべきところは少しずつ見直して、いいものを作り提供していくことが大切だと思っています。

そのためにもベジセーフが大きな役割を果たすのですね。

蓮見さん:

そうですね。そしてベジセーフを通して、持続可能な社会を実現するために何ができるのかを考え、色々と取り組みの幅を広げています。

具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか?

「#栄養まるごとプロジェクト」を通して栄養不足を解消

蓮見さん:

学校法人服部学園理事長・服部栄養専門学校校長を務める服部幸應先生と、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の濱祐宣先生と一緒に、小中学生に向けた新しい食育の形として、野菜の皮も含めてまるごといただく「#栄養まるごとプロジェクト」を展開しています。これは、昨今深刻な問題となっているフードロスの削減と、子どもの栄養不足の解消を目指したものです。

詳しく教えていただけますか?

蓮見さん:

日本におけるフードロスの半分は家庭から出ており、大半が過剰除去です。

過剰除去とは、調理する際、野菜の皮を過剰に剥いて捨ててしまうことを指します。これってやっぱり皮に付着した農薬とかを気にされる方が多いことも関係していると思うんです。そこでベジセーフで汚れを洗い落として、皮まで食べようじゃないかと。

皮まで食べると、育ち盛りの子どもにとって栄養面でもプラスになりそうですね。

蓮見さん:

はい。実は、厚生労働省のデータによると8割の子どもがビタミンやミネラル、食物繊維が足りていない「新型栄養失調」のリスクをかかえていると発表しています。これは、化学肥料を使用する農業になったことで野菜の栄養価が年々減少していることも関係しています。

飽食だと思っていた日本でも栄養が不足する人がいるんですね。

蓮見さん:

そうですね。カロリーは足りているものの、ビタミンを中心とした栄養が足りていない状態です。野菜の皮には、実の2.5倍以上の栄養が含まれています。皮を捨てずに食べることで免疫力を整える効果が期待できるんです。そこで、学校給食に皮の献立を日常的に取り入れて健康な体を作ることを目指しています。

また、きれいに野菜を洗って、皮や茎を食べることでフードロスの1/4を削減できるんです。

濱祐宣氏

「その調理、9割の栄養捨ててます!」を監修。健康と栄養のバランスを大切にし、日常で活かせる食事のノウハウの普及を目指しています。

服部幸應氏

学校法人服部学園理事長・服部栄養専門学校校長を務める傍ら、多数のメディアに出演・企画・監修を手掛けています。

学校から栄養まるごとプロジェクトを発信することで、子どもたちを通して家庭での食品ロスに関する取り組みにつなげることができるんですね。

農薬からの卒業を目指して

他にも土壌改良の取り組みを進めていらっしゃいますよね。

蓮見さん:

はい。安全な野菜を気軽に食べられるようにしたいとの想いから、JAあおぞらさんと土壌改良をしています。

土壌改良で安全な野菜が食べられるようになるのでしょうか?

蓮見さん:

本来、野菜は農薬がなくても育つと思っています。土壌改良によって、農薬なしでも野菜が育つ環境があれば、手間をかけずとも無農薬の野菜を作りやすくなる。そうすれば、将来的にはもっと手に取りやすい価格で安心安全の野菜を口にしやすくなると考えています。

鹿児島県志布志市有明町を区域としたJAです。「次代の農業を目指す開拓者精神」を理念に掲げ、地域に根差した生産活動をしています。

国民の「生きたい」という意識が少しずつ変わっていけばいいなと願っている

最後に、今後の展望を教えていただけますか。

蓮見さん:

日本は生きたいと思わなくても生きられる国です。そのため、「健康」や「生きたい」という意識が他国よりも低いのではないかと考えています。

また、世界を見ても寿命は長いかもしれませんが、健康寿命は長くありません。長期間病院にかかり、大量の薬を飲み、入院しながら余生を過ごす方も少なくはありません。

なので、農薬が直接的に人体に影響があるのか、土壌に影響があるのかはまだわかりませんが、健康寿命を伸ばすために、農薬は減らしても大丈夫な日本をつくっていきたいと思っています。

健康に過ごせる時間が伸びることは日々の活力にもつながりますね。

蓮見さん:

生きていく中で何を残せるのか、伝えられるのか考えた時に、私たちは、ベジセーフや栄養まるごとプロジェクトを通して心と体の健康への意識を高め、健康寿命を伸ばし、日本が幸せになることを祈っています。

貴重なお話、ありがとうございました!

【ベジセーフの使い方】

インタビュー動画

関連リンク

株式会社land link