株式会社マップトラベル|”旅行”の枠を超えた挑戦の数々で、ハワイや地元の環境保全に貢献

株式会社マップトラベル 代表取締役 大道さん インタビュー

大道 哲平

1978年2月1日生まれ 福井県敦賀市在住。2001年同志社大学商学部卒業後、放送・ISP事業を行う会社へ入社し、東京で始まった光ファイバーインターネット事業のセールス、入線交渉等を行う。2004年に大手ISPへ転職。エンタープライズ企業担当営業として、企業のHP、システム構築、NW構築等の営業を11年担当。2015年JTB中部へ転職。2年間名古屋にて法人営業を担当。2017年よりマップトラベルに専務取締役で入社。2021年10月に代表取締役就任。今に至る。福井に戻ってきたからには、いつか地元の海でサーフィンデビューしたい、という思いから、Uターン後すぐにまずはスイミングスクールに通い始め、はや4年半となる。

introduction

福井県敦賀市にある株式会社マップトラベル。コロナ禍の影響にも負けず奮闘しつつ、ハワイと地元の海を守るためにさまざまな施策を実行に移しています。地元の海のPRと保全活動のため、水島のデザインが入ったマイボトルを販売、その売り上げを寄付し海を守る活動に取り組んでいます。
今回は、持続可能な社会へ向けた旅行業界からのアプローチや活動に込めた想いについて、株式会社マップトラベルの代表取締役社長・大道 哲平さんにインタビューしました。

地元やハワイのきれいな海に貢献したい一心で、活動を開始

–早速ですが、御社の事業内容について教えてください。

大道さん:

株式会社マップトラベルは、1995年に福井県敦賀市で私の父が開業した旅行会社です。
国内と海外旅行の取り扱い比率は半分ずつくらいで、中でもハワイに特化した商品が充実しています。

私は、14年ほど東京で全く違う業種を経験していたのですが、40歳になり「残りの人生を地元に捧げたい」と思い、会社を継ぎました。しかし、私の代になってから新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、旅行業界は大打撃。状況は一変しましたね。

現在は、コロナ禍でも事業を継続し、地元の活性化に貢献することができるよう奮闘しています。空き家対策の事業や、婚活事業など、新しい事業にもチャレンジしています。この先の人生を、会社や地元の活性化のために捧げることが、生きがいになってきているんですよ。

–御社がSDGsに取り組まれたきっかけを教えてください。

大道さん:

2018年に、ハワイ州観光局認定のサテライトオフィスに認定されたことがきっかけです。
サテライトオフィスに認定されたご縁でハワイ島の植樹活動に参加したことが、当社のSDGs活動の第一歩になりました。

ハワイへの貢献としては、植樹活動のほかに「ハワイに流れ着いたマイクロチップを再利用」する活動もしています。ハワイに流れ着いたマイクロチップでアクセサリーを作り、売り上げの一部を、ハワイで日本人の方が運営する環境保護団体に寄付する仕組みを作りました。

ただ、そこからコロナ禍になり、ハワイに直接貢献することが難しくなりました。国をあげてステイホームを唱えているときに、遠方へ行ったり旅行を計画したりするのはご法度ですからね。

そこで、私たちも段々と意識が「地元でどうやって楽しむか」へと向いていき、地元のきれいな自然も守りたいなと考えるようになりました。コロナで直接ハワイには行けないけれど、ハワイにも何か貢献したい。こうした想いから、北陸のハワイ「水島」を守りたいというテーマに行き着いたのです。

旅行は、きれいな自然に触れることも楽しみの1つだと思うんですよね。環境破壊が深刻化していたり、汚染されたりする場所には、行きたいと思えない人も多いはず。だからこそ、ハワイでも「水島」でも、きれいな自然を守るための活動に力を入れたいと思いました。

マイボトルやビーチクリーンで、北陸のハワイ「水島」を守る

–ハワイでの活動経験から、地元「水島」の自然も守りたいと思われたのですね。具体的に、どのような活動をなさっていますか?

大道さん:

弊社ではSDGs活動の一環として、プラスチックごみ削減のための「水島オリジナルデザインのマイボトル」を販売しています。福井県が推進する「ふくいSDGsパートナー」の一員でもあることから、福井県のバックアップや、数多くのメディアで扱っていただいたおかげで、反響もとても良いんです。第1弾は売り切れ、第2弾の販売もスタートしており、今では弊社の看板商品になっています。

ふるさと納税の返礼品としても選定され、東京方面の方にも手に取っていただいているんですよ。何本もリピートしてくれている方もいらっしゃいます。遠く離れた東京・山手線の電車内で、「水島オリジナルデザインのマイボトル」を片手に出社している方がいると思うと嬉しいですね。

–なぜ、旅行を扱うマップトラベルで、マイボトルを販売しようと思われたのですか?

大道さん:

「水島オリジナルデザインのマイボトル」のヒントは、弊社の得意分野であるハワイにありました。

ハワイでは、マイボトルを持っている人を多く見かけます。気温が高いのでこまめな水分補給が必須ですが、冷たさをキープできるマイボトルを持ち歩き、ごみを出さない取り組みはハワイでは当たり前なんです。世の中にSDGsの問題が注目される以前から、すでにハワイでは「アロハプラスチャレンジ」という環境保全の運動が始まっていたほどです。こうした背景から、ハワイに住んでいる方は環境保全に対しての意識がとても高いんですよ。

水島でも、環境保全に対しての意識が高まってくれるといいなという願いも込めて、「水島オリジナルデザインのマイボトル」を販売することにしました。

そして「水島オリジナルデザインのマイボトル」は、売上の一部をビーチクリーン活動に寄付しています。

社員全員で水島のビーチクリーン活動に参加した際に、浜辺にごみが大量に捨てられている現実に驚かされました。中でも、ペットボトルのキャップ拾いが一番大変でしたね。拾っても拾っても、きれいにならないんです。日本は島国なので、このような環境汚染が全国各地で起こっているのかと思うと、とても悲しい気持ちになりました。我々がビーチクリーン活動を行うことはもちろん、売上の一部を寄付することで、なんとか貢献できないかと考えています。

こうした現実をより多くの方に知っていただくために、「まるでハワイ」な場所で行う環境保全活動ができないかも、今考えているところなんです。

全国には多くのハワイファンがいますので、ハワイに行きたい気持ちをグッと我慢している方もいらっしゃると思うんです。実際、海岸にフラダンスのダンサーがいて、ガーリックシュリンプを出すキッチンカーが出店するなど、ハワイの空気感を味わえる「ハワイフェス」は全国各地で定期的に行われています。

そこで、国内の「まるでハワイ」な場所に行くことができるツアーを企画しようと思っているんです。そのツアーのお土産に「水島オリジナルデザインのマイボトル」をお渡しして、ツアー売上の一部を先ほどお伝えしたビーチクリーン等の環境保護活動に寄付する予定です。

ツアーの一環として、お客様自身が環境保全活動に参加していただける仕組みもいいなと、ワクワクしながら考えているところなんですよ。

北陸新幹線の終点「敦賀」を、国内外から愛される街へ

–マイボトルや海の保全活動以外にも、旅行業界として持続可能な社会へ向けて取り組みたいと思っていることはありますか。

大道さん:

2023年度末に、金沢〜敦賀間で北陸新幹線が開通します。終点は、我が街「敦賀」ですので、この機会に地元の活性化に貢献できたらいいなと思っています。

今、「敦賀」では新幹線開業へ向けて数々の計画が動いています。人が歩きやすいように道を改装したり、新しいお店がオープン予定だったりと、敦賀市民全体の「街づくり」への意識が高まっています。ただ、どうやって金沢から終点の敦賀まで人を呼び込むか、という課題があるのも事実です。

別の自治体の例で言えば、瀬戸内海の直島(なおしま)では、株式会社ベネッセコーポレーションが草間彌生さんの大きな水玉の南瓜をシンボルにしています。こうしたアートがあることで、大きなイベントが無い時期でも、国内外からお客様が集まっていますよね。敦賀にも、そういったトガった施策が必要だと考えています。

例えば、地域に大きな箱モノの観光施設がなくても、倉庫街などにユニークなウォールアートを作ることでSNS映えスポットとして人を呼ぶことができますよね。大きな箱ものを作るのには何億もの予算が必要なのに対し、ウォールアートはそこまでの費用はかかりません。最近では、高校生を巻き込んで地面に絵を描こうという企画もあるんですよ。

–新幹線の開通は楽しみですね。最近では円安も進み、海外からの観光客の流入も増えてきたかと思います。その点についてはどのようにお考えですか?

大道さん:

実は、敦賀市に海外から旅行者を招いて、着地型で、持続可能な観光体験をしてもらうことを目的とした、「サステナつるが」というサイトを2023年2月に立ち上げる予定なんです(https://www.sustainable-tsuruga.jp)。

敦賀市は真鯛の養殖が盛んです。その敦賀真鯛の一本釣りを楽しんでもらい、そのあと漁師さんと一緒に真鯛をさばき、白いごはんと一緒に食べるプランを計画中です。また、昆布を削って職人と一緒にとろろ昆布を作るプランもいいなと思っています。そして、敦賀の魅力を体験してもらった次の日に、ツアーに参加した方みんなで海のクリーンアップを行い、環境問題の現実にも目を向けてもらう予定です。

おいしい海の恵みをいただくなら、その海をみんなできれいにしよう、持続可能な社会へ向かうための施策です。そして、町が活気づくことで、高齢化が進んでいる昆布職人の後継者問題への糸口にもなればいいなと考えています。

–海外からも、観光客の方がたくさん来てくださるといいですね。

大道さん:

そうですね。現在は、若い世代にもっと敦賀の魅力を知ってもらって、旅行者にだってPRできるよう、高校で体験型の授業も行っているんですよ。高校生たちが考えたツアー内容を実際に大人が体験したり、彼らに観光ガイドの役割を担ってもらったりしています。

「命のビザ」ってご存じですか?

第二次世界大戦の最中に、リトアニアの領事館にいた杉原千畝(すぎはらちうね)という人が、ナチス・ドイツによって迫害されたユダヤ人に独自の判断でビザを発行し、多くの人の命を救った話です。

この時に発行されたビザは、「命のビザ」と呼ばれています。実は、杉原千畝が発行したビザを受け取ったユダヤ人は、船に乗ってみんな敦賀市に来たんですよ。だから敦賀市には、「人道の港敦賀ムゼウム」という歴史を伝える博物館があったり、今でもユダヤ系の方たちとの交流があったりします。こうした歴史的背景も含めて、敦賀市をどのように旅行者に伝えるか、というテーマで授業をしています。

子どもたちにしかできないことってあると思うんです。子どもたちが真剣に考えたことには、大人も心を動かされやすい。だから子どもたちには、今しかできないことをどんどん体験して、たくさん学んで欲しいなと願っています。

–持続可能な社会に向けた旅行業界からのアプローチのお話、とても興味深いです。本日は、貴重なお話をありがとうございました。

関連リンク

株式会社マップトラベルHP:https://www.maptravel.co.jp/