#インタビュー

マザーアース・ソリューション株式会社 | 人と環境にやさしいクレイで叶えるSDGsな未来とは?

マザーアース・ソリューション株式会社 羽田さんインタビュー

羽田 賀恵

マザーアース・ソリューション株式会社代表。

幼少期からのアレルギーや癌を患った経験から自然療法に目覚め、アメリカ薬草学やデトックス法、ローフード食事法、ホメオパシーディプロマを修得。その学びをブログで発信する傍ら、会社員時代の経験や海外在住経験をもとにオーガニックのローチョコレートの製造事業を開始。

その後、クレイを使った「温泉を超えた入浴剤」を開発し〈CLAYD〉をスタート。現在は、クレイを用いた天然由来成分のマスクやクレンジング、石鹸、マウスケアなど幅広くボディケア商品や、スパを展開している。

Introduction

マザーアース・ソリューション株式会社は、「CLAYD」というスキンケアブランドで、美容に関するオーガニックな商品の販売や、スパの運営を手がけています。

大地や自然が循環するように、身体の内側で起きている循環を大切にする。アメリカ西海岸で採取されたクレイ(灰)を使用した入浴剤をスタートに、様々なスキンケア商品を展開しています。

代表である羽田さんは、幼少期からのアレルギー体質や癌を患った経験から、「必要のないものは手放し、本当に必要なものだけを持つこと」の大切さを、商品を通して伝えています。

今回は、そんな羽田さんのクレイとの出会いから商品に込めた想い、今後の展開について伺いました。

人体の有害物質を吸着する、大地の恵み「クレイ」との出会い

–本日はよろしくお願いいたします。まずは、御社の事業内容について教えてください。

羽田さん:

アメリカの西海岸で取れたクレイを使用した化粧品ブランド「CLAYD(クレイド)」を展開する事業を行っています。クレイとは砂漠地帯の地下深く、数万年前から眠っていたミネラル豊富な泥を指します。

ネイティブアメリカンの時代から愛されているクレイを、弊社では入浴剤やボディケアプロダクトを中心に販売しています。

–クレイは、パックやヘッドスパなどでよく耳にするイメージがあります。なぜクレイを使った商品を扱おうと思われたのですか?

羽田さん:

私自身が、幼少期から「化学物質過敏症」で、食品や化粧品に含まれる汚染物質や添加物、遺伝子組み換え製品を食べたりすることで、体が反応して、排出しようとし、アレルギー反応が出てしまう体質なんです。

–化学物質に敏感に反応してしまうんですね。

羽田さん:

そうなんです。化学物質過敏症は、病院では治すことは難しいんです。どうにかして治す方法がないか、治療法を探していました。

–確かに、根治できないとまた繰り返してしまいますもんね。

羽田さん:

そうですね。ニューヨークで自然療法や、食や、環境についてなど、あらゆることを勉強しました。その結果、ようやく辿り着いたのが「大地の循環の流れに沿う」ことの大切さでした。

帰国し、日本で同じような悩みを持つ方に学んだことを伝えようと思っていた矢先に、東日本大震災が起こったんです。

私は放射性物質の影響をダイレクトに受け、鼻と喉から血が出る症状が現れました。これは、放射線を大量に浴びた時に現れる初期症状で、私だけではなく、幼い子どもたちまで鼻血が出るほどの影響力でした。

–影響力の大きさが想像できますね。

羽田さん:

自然療法を教えてくれたNYの師匠が連絡をくれました。そこで、放射性物資を吸着できる自然素材として、クレイの存在を教えてもらったんです。

様々な大学の文献などを読んでクレイのことを調べたところ、クレイは重金属などの人体に有害な物質を吸着する性質があると知りました。放射性物質のほとんどは重金属です。

〈クレイドの素材となるクレイ〉

–東日本大震災をきっかけに、クレイの効能を知ったんですね。

羽田さん:

そうですね。調べてみると、クレイの活用実例もたくさんあることがわかりました。

例えば、旧ソ連ウクライナ共和国で起きたチェルノブイリ原発やアメリカで起きたスリーマイル島事故など、原発事故に関わった作業員もクレイを使用していたんです。ロシアでは、クレイをチョコレートに混ぜて配っていたそうですよ。

–チョコレートに混ぜて食べるのには驚きました。口に入れても大丈夫なものなんですか?

羽田さん:

クレイにも様々なグレードがありますが、CLAYDのクレイは、生後すぐの赤ちゃんが間違えて溶いたお湯を口にしても大丈夫です。アメリカではその安全性の高さから、食品グレードに分類されているほどです。

シンガポールの病院では、毒を飲んでしまった患者さんに、毒素を吸着して体外に排出する薬として炭を処方していたそうです。先住民族であるネイティブアメリカンも同様に、お腹を壊した時にはクレイを水に溶かして飲んでいたんですよ。

–ずっと昔から、このクレイの安全性は立証されてきているのですね。

食品グレードのクレイを入浴剤に!評判を呼び商品化へ

羽田さん:

日本ではお風呂に入る習慣があるので、クレイを入浴剤として活用する方法を伝えるセミナーを始めました。使用した方は、眠れるようになったり、腰痛が緩和されたり、お肌が綺麗になったりと、セミナーを開催するたびに沢山の嬉しい声をもらいました。

<CLAYDのクレイの4つの体感>

さらにクレイの嬉しい点は、防腐剤が必要ないこと。

クレイは、防腐剤なんて使わなくとも、数億年前からずっと現在の形をキープしています。しかもクレイには、傷ついた細胞を整える力があるので、敏感肌・湿疹のある方・肌が傷つきやすい方、全ての肌質の方に自信を持ってオススメできます。

–どんな肌質でも使えるなんて、すごく優秀なスキンケアですね!

羽田さん:

そうですね。セミナーを受けた皆さんから届く嬉しいお声を聞くたびに、必要としている方にいつでもお届けできるようにしなければと思いました。そして、今から8年前にCLAYDを立ち上げ、商品化をしたんです。

最初は、看板商品である入浴剤からスタートしました。

現在は、入浴剤のみでなく、マスクやクレンジング、マウスケアなど、様々な商品ラインナップを揃えています。無農薬農場をもつ信州の契約工場と提携し、自然の恵みを最大限に生かしながらも、はっきりとした体感のある商品作りを心がけています。

手作りの温もりが残る梱包で、実現したい未来がある

–CLAYDの商品は、パッケージもとてもかわいいですよね。こだわっているところはありますか?

羽田さん:

ありがとうございます!パッケージにも、とてもこだわっているんです。例えば、商品の包装は出来るだけ、手作業で仕上げるようにしています。

入浴剤の「ONETIME」では、500種類ある写真をひとつひとつはめ込んだり、麻紐を小さい穴に通したり、写真の四隅を斜めに切ったりして、手間を掛けているんですよ。

–このパッケージにあるお写真は、商品ごとに写真が違うんですね。500パターンもあるのなら、毎回どの写真が届くか楽しみになりそうです。

※商品はオンラインでも店舗でも販売されています。

羽田さん:

そうですね。人の手が必要なデザイン構造を見て、「きっとこの商品は、人の手で誰かが作ってくれているんだな」と思ってもらえるパッケージになるよう工夫しています。

–なぜ「誰かが手作業で作ってくれたものだ」と伝わるようにしたいのですか?

羽田さん:

ものや、人を大切にする気持ちを、思い出してもらいたいからです。

大量生産・大量消費の現代では、商品の裏に隠れた「人」の存在が希薄になっていると感じます。

私たちが日頃手にしている商品は、人の想いが、様々な人の努力や手間をかけて形になって、人の手で運ばれて手元に届いている。そのことに気づいてほしいのです。

–確かに、郵送で届いた商品に手書きのメッセージカードが入っていたときには、気持ちがこもっている印象を受けました。それと似ていますか?

羽田さん:

そうですね。大量生産、大量消費の風潮は、誰かが一生懸命作っていることや、地球の資源を使っていることを、想像できていないことが原因なのかもしれません。

〈不法投棄のイメージ写真〉

–ものを大切にできない社会では、不法投棄なども問題になりますもんね。

羽田さん:

そうですね。また、手作りのパッケージには「多様性」のテーマも表現しています。

機械生産は効率的でコスパも良いですが、作る人も、使う人も、社会も機械のようになっちゃうんです。真四角で、個性のない、心の入りこむ余裕もない効率最優先の形。

また、一つ一つ違う写真のパッケージは「人間も大自然もそれぞれ違っている。人と違うその人らしさや、気持ちを大事にできる世界になるといいな」ということも伝えたいと思っています。

–パッケージも、人間も、個性があっていいということですね。素敵です。ですが、1つ1つ手作業で作るのは大変ではないですか?

羽田さん:

社会福祉法人施設の皆さんに協力していただいています。集中力や慎重さを必要とする作業が特に得意な方も多いんです。ですが、職を得るのが難しく、世の中の循環に加われず悲しい想いをしてしまうことが多くあるんです。

障がいを持っていたり社会で生きづらさをもつ方達も、様々な種類の仕事の中から自分にぴったりな作業に出会うと、こんなにプロフェッショナルなんだよ、と、多くの人に知って欲しい。

そして、外に出て生き甲斐を持って経済的自立もできて、楽しく働ける場を増やしたい、そんな願いから、CLAYDと彼らとお互いに協力して、ものづくりをしています。

–誰がパッケージを手作りするのか、という所まで、こだわっていらっしゃるのですね。

羽田さん:

はい。パッケージの他にも、「貼り箱」や「WEEK BOOKの和綴じ」の作業は職人さんにお願いして、伝統技術の継承にも力を入れています。

また一番人気の商品は、ずっと再利用可能な、硝子のボトルを使っています。その他容器もできる限り、環境に配慮したグリーンナノのプラスチックを使用しています。

–SDGsに関わる様々な問題に配慮しながら、商品を展開なさっているのですね。商品1つ1つの製造過程に込めた、羽田さんの想いに感動しました。

価値があっても、伝わらなければ意味がない

–最後に、今後の展望を教えてください。

羽田さん:

これからも、今はまだSDGsやクレイについて興味があまりない方にも商品を手に取っていただけるように、「ファッショナブルで、楽しい」CLAYDの魅力を伝えていきたいと思います。

–ファッショナブルさを重視しているのには、理由があるのですか。

羽田さん:

ファッショナブルに伝えようとしている理由は、理論や理想を真面目に伝えるだけでは、伝わらない場面が多いからです。昔は、オーガニックなんて言うと「宗教か」とか、「神経質すぎる」と言われたりね。

–身体や地球環境に優しいかどうか、という判断基準が浸透してきたのは最近ですもんね。

羽田さん:

CLAYDがようやく皆さんに知っていただけるようになってきたのも、「おしゃれで・楽しくて・気持ちよくて・ファッショナブル」だから。今では北海道から沖縄まで、百貨店やセレクトショップなど、500店舗以上のお店で取り扱っていただけるようになりました。

–「正しい」だけでは、受け入れてもらうことが難しいこともあるんですね。

羽田さん:

そうですね。長くかかって、ようやく学びました(笑)。

–そんな貴重な学びをシェアしてくださって、ありがとうございます!今まで様々なことを経験してきた羽田さんから、読者の皆さんにメッセージはありますか。

羽田さん:

ぜひ読者の皆さんには、自分の幸せに、本当に必要なもの、そして不要なものは何か、を発見してほしい。本当に必要で大事なものだけを選ぶという気持ちよさを思い出してほしいなと思います。

それはきっと、誰のためでもない自分自身の本当の気持ちや、自然の循環に寄り添うと見えてくると思います。

–貴重なお話をありがとうございました!

関連リンク

CLAYDホームページ