NPO法人なかよし学園プロジェクト 中村雄一さん インタビュー
中村雄一(なかむらゆういち)
1978年生。通信制高校教諭を経て駿台予備校講師、家庭教師のトライトッププロ講師として活躍。また教育ジャーナリストとしてTV、新聞等メディアに多数出演、いじめ不登校問題から世界の途上国の教育支援まで幅広いテーマで教育を分析する。2007年になかよし学園を立ち上げ国内外の教育問題解決に行動を起こす。2019年には10年間続けてきた海外教育支援活動をNPO法人化。なかよし学園プロジェクト代表としてアジアアフリカ各国で授業を行いながら教育支援を行う。2022年よりコンゴ民主共和国北キヴ州親善大使。2023年にはイギリスWindsor城での国際会議に招待され、2024には国連スピーチを行う。
introduction
日本に住んでいると、戦争や貧困問題を身近に感じる機会はあまり多くはありませんよね。
「なかよし学園プロジェクト」は、世界各地での教育支援を中心に、防災教育や医療教育、平和教育を推進する非営利団体です。現在、カンボジア、ネパール、ミャンマーなどの9カ国で活動しており、戦争のない平和な未来を築くための取り組みを行っています。
戦争のない平和な世界を作るために
–はじめに、NPO法人なかよし学園プロジェクトのご紹介をお願いします。
中村さん:
なかよし学園プロジェクトは世界各国の教育支援活動を中心に防災教育、医療教育、平和教育など、現地パートナーと共に戦争のない平和な世界をつくる活動を行っています。
現在当団体はカンボジア、ネパール、ミャンマー、東ティモール、シリア、ルワンダ、ウガンダ、コンゴ民主共和国、南スーダンと9カ国で活動を行っています。
「日本の「すごい」で世界を応援する」を掲げ、日本全国の自治体、企業、学校、団体の皆さんとコラボレーションによって難民キャンプや少年兵更生施設を含む多くの現場で活動を行っています。
–では、この活動を始めた経緯についてお聞かせください。
中村さん:
私がこの活動を11年前に始めた時、海外活動は学生か現職をリタイアした方、もしくは青年海外協力隊など2年という時間を海外のために捧げなければできないという状況でした。
「世界を平和にするためには、誰でも参加できる環境を作らなければいけない」との強い思いで私たちは現在の活動モデルを構築しました。
日本の優れた商品やサービスを「教材」として、途上国の教育が届かない地域で教育活動を行う。日本の平和の歴史と相まって、多くの国々で私たちの活動は評価され、今では国際連合やイギリス王室で事例発表を行うという国際評価をいただくようになりました。
多くのステークホルダーが私たちへの寄付・ご支援を行うことによって、私たちは彼らのSDGsを実現し、世界の平和構築に役立てる。これが私たちのサービスの根幹であり、この活動が持続可能となる大きな仕組みです。
国際社会問題の解決が、その国の戦争の原因をなくすことにつながる
–この活動により、どういった社会問題が解決されているのでしょうか?
中村さん:
私たちがこれまで行ってきた事業として、
・カンボジア地雷原での教育普及事業
・ネパール地震被災後の学校での青空教室活動
・ミャンマー軍事政権下での日本語教育授業
・東ティモール貧困地域でのSTEM教育事業
・シリアアレッポ大学での日本語オンライン授業
・ルワンダ貧困地域での教育普及活動
・ウガンダ難民キャンプでの健康増進、感染症予防活動
・コンゴ民主共和国少年兵更生及び防災教育活動
・南スーダン難民キャンプでの教育普及活動
というものがあります。どれも政府や国連レベルでの活動が求められる難しいミッションです。
私たちは現地のパートナー及び政府関係者とタッグを組んでこれらの活動をNGO団体として行ってきました。私たちの活動によって現地の難民、ストリートチルドレン、少年兵といった国際社会問題の解決を行い、それがその国の戦争の原因をなくすことにつながっています。
日本発信のこのような活動がこれからグローバルスタンダードとなり、国際社会において日本の平和への貢献度が認められる。そんな規模で私たちは活動を行っています。
–この活動を通じて、新たな課題や問題は生まれなかったのでしょうか?
中村さん:
私たちはこれまで10年にわたって、「ボランティア団体」として活動を行ってきました。
多くの国で活動し、たくさんの人を笑顔に、平和にしているのに、いつも財政は逼迫し、活動する人間が自分を犠牲にしながら世界を平和にする。これは本当の平和とは言えません。
そこで、昨年度からの構造改革により私たちの活動をソーシャルビジネスに、全国の企業と連動した商品開発によりソーシャルプロダクツを生産し、講演会による活動の普及と講演を聞いた多くの人が「私も何か今できることで世界を平和にしたい」の声を実現する会員サービスの構築へと舵を切りました。
おかげさまで現在会員は85名、パートナーは30団体を超えました。これからもっと多くの人の「世界を平和にしたい」を実現します。
–最後に、今後どのように事業やサービス展開していくのか、展望をお聞かせください。
中村さん:
今、私たちは活動面では「NGO型国際連合ミニマムモデル」、組織面では「NGO型総合商社モデル」として事業を展開しています。
前者は現地のパートナーや行政と連携し、ボランティアの域を超えた積極的な平和構築活動を行い、平和構築理論を学び実践しています。
私たちの活動は2024年以降、国際連合経済社会理事会やニューヨーク本部、ACANS学術会議、ユネスコと多くの場で事例として報告し、高い評価を得ています。国連ではできない草の根活動を国連と同じパーパス、ミッションで行う。これがNGOとしての活動であると考えています。
後者はこの活動をサステナブルにするために、日本の多くのステークホルダーのリソースを私たちが理解し、現地途上国のニーズマッチングを行うことで日本のグローバル化やSDGsの達成、世界進出を応援します。
これらの活動を通じ、私たちはリーディングNGOとして世界平和の最前線で活動を続けていきます。
–お話を伺い、平和について改めて考えさせられました。貴重なお話をありがとうございました。
NPO法人なかよし学園プロジェクト公式サイト:http://www.nakayoshigakuen.net/npo/
メディア実績:http://www.nakayoshigakuen.net/npo/actions/media.html