#インタビュー

株式会社NOLTYプランナーズ|「書いて」「対話して」SDGsを自分ごと化し、事業に落とし込む。サステナビリティ対応を起点として組織を変革するワークショップ「NOLTYサステナ」

株式会社NOLTYプランナーズ 松浦さん・内山さん インタビュー

松浦 一平
広島県生まれ。大学卒業以来、法人営業に従事してきた。NOLTYプランナーズには2016年に福岡担当で入社し、その後本社へ転勤。企業営業本部にて法人向け手帳の営業を精力的に行う中、副本部長の職務を担う。これまで企画開発系の部署でコラボ手帳、シニア向け商材など新たな分野を開拓してきた。現在は企業のSDGs推進をサポートする新事業の責任者として全国を又にかけ奔走。新事業のメインサービスである「NOLTYサステナ」ワークショップを掲げ、展示会にも積極的に出展している。読書が好きで、書籍のプレゼン合戦を行う「ビブリオバトル」のイベントにも出場したことがある。

内山 みのり
神奈川県生まれ。2021年にNOLTYプランナーズに入社し、学校向けマーケティング部門にてWEBマーケティング、『手帳甲子園』のイベント運営に携わる。2023年より事業管理本部に異動し、全社の広報を担当。趣味は楽器演奏と大学駅伝観戦。

introduction

ビジネスマンの必須アイテムである手帳。「NOLTY」の手帳は、誰しも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。そんな「NOLTY」を法人向けに展開している株式会社NOLTYプランナーズでは、SDGsへの取り組みも積極的に進めています。また、2022年の10月からは、SDGsワークショップ「NOLTYサステナ」のサービス提供をスタートしました。SDGsを自分ごと化し、事業に落とし込めるワークショップとはどのようなものなのでしょうか。

今回は事業の責任者である松浦さん、広報担当の内山さんにお話を伺いました。

手帳だけじゃない!「成長を支援すること」が事業の核に

–まずは事業内容についてご紹介をお願いします。

内山さん:

弊社は、1942年に設立された社団法人日本能率協会という団体がはじまりとなっています。今でこそ手帳の会社というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、「手帳を作ろう」と始まった会社ではありません。時代背景として、企業や工場の生産性を上げ効率化を図っていくことが求められたため、立ち上げられたコンサルティングの団体でした。

生産性を向上させるには時間管理が不可欠であったため、日本で初めて時間目盛りを入れて手帳を作ったのが「能率手帳」という商品です。能率手帳はリブランディングされ、今は「NOLTY」というブランド名で販売しています。

「NOLTY」ブランドの中でも弊社は、「ビジネスツール事業」と「学校向け人材育成事業」の2本を事業の軸としています。ビジネスツール事業は、主に企業様向け事業となっており、贈答用の手帳や社員手帳のご提供、今回ご紹介する「NOLTYサステナ」や「NOLTYえん」などを展開しています。

教育現場での人材育成事業は、「NOLTYスコラ プログラム」をはじめとするプログラムの提供を通じ、全国の中学生・高校生の資質能力の育成支援を行っています。

2つに共通することでもありますが「成長を支援すること」が、私達の事業の核になっています。

–次に、現在進められているSDGsの取り組みを教えてください。

内山さん:

これまでは環境負荷の軽減に注力してきました。

というのも、これまで事業を進めていく中で、お客さまから環境への対応についてご要望をいただくことが多くありました。そのため、2001年頃から先駆的に環境対応を行っています。また、これらの取り組みは、手帳のトップメーカーとして世の中に環境対応の重要さを発信する役割も担っていると考え、積極的に推進しています。

具体的には、NOLTYプランナーズ企画の手帳・カレンダー全商品で森林管理協議会の認証用紙を採用し、インクも植物油インクを使用しています。また、端材のリサイクル率は99%まで上がり、地球に優しい商品を作ることにもこだわってきました。社内においても、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)グループという枠組みの中で、CO2排出量の削減に向けて、LCAの算定にも取り組み始めたところです。

※LCA

製品の原材料の採取から廃棄またはリサイクルまでの過程で環境へ与える影響を定量的に評価するもの

もちろん環境以外の面でも取り組みを進めていて、中高生向けのスコラ手帳は、様々な生徒さんにお使いいただくためカラーユニバーサルデザインのCUD認証を取得しました。

※CUD

色覚の多様性に対応していることを保証するためのもの

そして2022年からは、企業のSDGsへの取り組みや社内浸透を支援するためのサービス「NOLTYサステナ」をスタートさせました。

ワークショップの内容はお客様の課題や状況に合わせてカスタマイズ可能です

–NOLTYサステナについてお伺いします。NOLTYサステナとはどのようなサービスなのでしょうか?

松浦さん

NOLTYサステナは、SDGsについての社員の自主性を育てるワークショップです。会社に言われたことに従って受動的に取り組むのではなく、自分たちで計画や目標を作ってSDGsに取り組んでいける力を身に付けるための構成となっています。

NOLTYサステナは、手帳事業でお客様とコミュニケーションを取る中で生まれました。弊社にオーダーいただく社員手帳は、企業理念やミッションを社員に浸透させたいという思いがこめられているケースが多くあります。その中で、お客様から「SDGsの理念やミッションについて、社員に浸透させるための手帳はできないか」というご相談や「SDGsが社内でなかなか自分ごと化していかない」というお悩みを伺いました。それであれば手帳よりも、ノートとグループワークを作っていこうという話になり、プロジェクトとしてスタートしました。

具体的なサービス内容としては、ワークショップ前に綿密な打ち合わせを実施し、お客様の課題や状況に合わせて、実施するワークの内容をカスタマイズしてご提供します。

ワークショップは二部構成となっており、オリジナルの「SDGs アクションパートナーノート」を使いながら進めます。

前半はファシリテーター(講師)による講義パートです。SDGsに関する基礎知識を学びながら、参加者は適宜ノートにチェックしたり、メモを取っていきます。

後半ではグループに分かれて、自分たちの事業や取り組んでいる仕事がSDGsとどのように関連しているか、SDGsの視点を日々の仕事にどう活かしていくのかを話し合います。

「書く」ことで自分の考えを整理し、それについて「対話」をすることで、日々の業務に落とし込むことを目指しています。

事業にSDGsを取り入れたいという需要が高まってきている。

–どのような企業が導入されているのでしょうか。

松浦さん

SDGsへの関心の高まりから、業種を問わず全国各地の企業様から取り組んでいきたいとお声がかかっています。現在、準備をしている案件も10数社ほどあり、忙しくなってきているところです。

これまでに実施いただいたのは、建設業や重工業、鉄鋼業といった業種のお客様です。親会社や関連する企業から、SDGsへの取り組みについて報告をするよう指示されることが多くなっているそうで、「真剣に取り組んでいきたいけれど、なかなか社員の視点や足並みが揃わない」という課題を抱えていらっしゃいます。

また、お問い合わせいただく企業様に共通しているお悩みは「SDGsへの取り組みをどう進めたらいいか分からない」ということです。サステナビリティの目標や事業KPIを設定している企業様もありますが、社員がそれを理解できずに行動に移せていないということもあるようです。

–NOLTYサステナを採用された企業は、SDGsの視点をどのように事業に活かしていかれるのでしょうか。

松浦さん

2022年10月に始まった新しいサービスということもあり、現在準備中の企業様が数多くいる状況です。

その中でも、実際に実施されたお客様からは「会社が大切にしてきた理念や思いがしっかりワークに反映されていて、SDGsについての取り組みを自分がどう進めていけば良いか分かった」「今までやってきた業務も、SDGsの視点に沿っていたということが分かった」などの声を多くいただいています。

理解が深まったことで、SDGsの視点から社内整理が行え、具体的な事業内容に落とし込む作業が進んでいるようです。

NOLTYサステナがつないだ新たなプロジェクト「NOLTYえん」

–展示会にNOLTYサステナを出されたことがきっかけで始まったSDGsの取り組みもあると伺いましたが、どのようなプロジェクトになりますか?

松浦さん

「NOLTYえん」のことですね。「NOLTYサステナ」という新サービスを始めたことによって、これまで接点がなかった新たなパートナーとの出会いにつながりました。

2022年10月のサービス開始のタイミングで、「AICHI SDGs EXPO」という展示会に「NOLTYサステナ」を出展しました。このとき視察に訪れていた、障がい者の就労支援を行っている「ありがとうファーム」の方に「何か一緒にできないか」と声をかけていただいたのです。

そこからコミュニケーションを重ねて商品化したのが、「NOLTY notebookブリックメモ ボーダーレスアートデザイン」です。これは弊社の人気商品である、ノートパソコンの手前にも置けるような横型ノートの表紙にハンディキャップアーティストの作品を取り入れたものです。商品の売上の15%が直接アーティストの収入になることも特徴です。

このプロジェクトは、私たちのお客様とありがとうファームのアーティストの方々の作品を1つの輪としてつなげたいという思い、また出会いを大切にしたいという思いから生まれたものでしたので、いろいろな「えん」(縁、円、援、延、巡)を総称し「NOLTYえん」と銘打ちました。

今後も賛同してくださるパートナーを募集し、コラボ製品などを企画していく予定です。

NOLTYサステナを広める課題と今後の展望

–どのようにNOLTYサステナを広めていく予定ですか?貴社の今後の展望もお聞かせください。

松浦さん

ここまでお客様と対話を重ねて感じることは「SDGsへの取り組みに課題感を持っていても、他社にサポートしてもらおうと考える企業が少ない」ということです。その中で、このようなワークショップによって、自社のSDGsについて考えることができる方法があるということを、たくさんの人に知ってもらいたいと思っています。

また、サービス内容についても今以上にサポートを充実させ、お客様に寄り添ったサービスを提供できるようにしていきたいと考えています。

そのためにも、ひとつひとつ、お客様からのご意見をお聞きし、改善に役立てていきます。そうすることで新しいイノベーションを起こしていける組織にしていきたいですね。

内山さん

社外へSDGsの取り組みを推進すると同時に、社内でもSDGsの取り組みを加速させていきたいと考えております。

トップダウンになるのではなく、社員自らSDGsにつながる視点を考え、行動に移すといった流れを作っていきたいですね。

–本日は貴重なお話をありがとうございました!

関連リンク

株式会社NOLTYプランナーズ HP:https://www.noltyplanners.co.jp/

「NOLTYえん」サービスページ:https://noltyplanners-en.studio.site