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オーストラリアの郵便局が取り組むエコ活動とは?Australia Postの事例を見てみよう!

郵便局が取り組むエコ活動とは?Australia Postの事例を見てみよう!

環境大国であるオーストラリアでは、政府関連施設でのエコ活動が推進されています。

政府によって運営されているオーストラリアの郵便局・Australia Postでも多彩なエコ活動が行われており、特に温室効果ガスの削減に力を注いでいます。

この記事では、Australia Postが取り組む環境保全の詳細についてチェックしていきましょう。

Australia Postの基本情報

Australia Postの基本情報
出典:SpaceshipEarth

Australia Postは、オーストラリア連邦政府所有の郵便局です。

正式名称はAustralian Postal Corporationで、本社はメルボルンのバークストリート郵便局に位置しています。

郵便サービスの原型は1901年に設立され、現在のAustralia Postとしての運営は1989 年にスタートしました。

日本の郵便局と同様、国内及び海外への手紙や小包の配送、配送手配、切手や封筒の販売、私書箱利用のほか、証明写真の撮影やパスポート申請の手続きなども行っています。

オーストラリア政府が立てたカーボンニュートラルへの目標

オーストラリアでは、2022年に温室効果ガス排出削減目標が法制化されました。

これにより、オーストラリア政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成する計画を立てています。

主に環境負荷を軽減するための新たな技術導入や代替え案などに焦点を当てており、経済、雇用、ライフスタイルにおける悪影響を抑えながら温室効果ガスの排出をゼロにすることを目標に掲げています。

Australia Postが行うエコ活動の事例

Australia Postが行うエコ活動の事例
出典:SpaceshipEarth

オーストラリアは、2050年までのカーボンニュートラル実現を計画しています。

そのため、オーストラリア政府が所有するAustralia Postでも温室効果ガスの削減が求められており、以下のようなエコ活動を行っています。

エコな配送車の保有台数を増やす

エコな配送車の保有台数を増やす
出典:SpaceshipEarth

郵便局であるAustralia Postは、膨大な数の配送車を保有しています。

しかし、従来の車両では温室効果ガスが大量に排出されることから、過去3年間で電気自動車を4,635台に増やしました

2023年上半期で配送車全体の30%が電気自動車となっており、2023年下半期にかけてさらに500台を追加する予定です。

また、バイクの代わりとして電動自転車も導入しており、意外なことに以前と比べて3倍の配送量を実現しています。

2023年11月時点での電気自動車と電動自転車の合計台数は5,000台で、年間2,000トン以上(スギの木15万本分の年間吸収量)の温室効果ガス排出量を削減しています。

環境プロジェクトへの投資

温室効果ガス削減を意識しているAustralia Postでは、カーボンオフセットに力を入れています。

しかし、陸路に関しては電気自動車の導入などができる一方で、空路では温室効果ガスの排出量を抑えるのは困難です。

カンタス航空との連携で空路による温室効果ガスの排出量削減に努めていますが、カーボンオフセットの一環として以下のような環境保全活動への投資を行っています。

熱帯雨林の保護

熱帯雨林の保護
出典:SpaceshipEarth

オセアニア、アフリカ、南米で進められているのが、大規模な熱帯雨林保護プロジェクトです。

数百万ヘクタールの原生林の保護を目的としており、森林の伐採や山火事の被害を抑えています。

毎年数百万トンの温室効果ガス削減に繋がるプロジェクトであることから、Australia Postでも経済的な支援を行っています。

ブッシュ再生プロジェクト

ブッシュ再生プロジェクト
出典:SpaceshipEarth

オーストラリアは、低木を意味するブッシュが多く生い茂る国です。

ウォンバット、カンガルー、ワラビー、エミュー、カモノハシ、カワセミ、タスマニアデビルをはじめとするバリエーション豊富な野生動物たちがブッシュを生息地としているものの、外来種による被害も後を絶ちません。

特にキツネ、野犬、野生化した猫が多く、オーストラリアの固有種を捕食したり生息地を奪ったりといった被害が頻発しています。

ブッシュ再生プロジェクトでは、特定の場所にフェンスを設置することで外来種の侵入を防止します。

固有種の野生動物の保護はもちろん、植物が食い荒らされるリスクも軽減されるため、動植物の両方を守ることに繋がるプロジェクトです。

Australia Postはオーストラリアのエコシステムを守るために、ブッシュ再生プロジェクトへの投資も行っています。

山火事発生の防止

ノーザンテリトリー州アーネムランドでは、防火管理の不備による山火事の発生と森林やエコシステムの崩壊が懸念されていました。

ノーザンテリトリー州には世界自然遺産に登録されているウルルが位置しており、オーストラリアにとって自然の象徴とも言える州です。

そこで、アボリジニによる火災管理の非営利団体Arnhem Land Fire Abatement(ALFA)が設立され、防火管理の徹底と環境保全が進められています。

Australia PostはALFAの活動に対して投資を行っており、ノーザンテリトリー州のダイナミックな自然の保護に貢献しています。

温室効果ガスの排出量を削減する

温室効果ガスの排出量を削減する
出典:SpaceshipEarth

Australia Postでは、再生可能エネルギーへの投資による温室効果ガス削減を推進しています。

具体的には2019年度から2025年度にかけて15%の削減を目標としており、2025年までに配送センター、郵便局、オフィスをはじめとするAustralia Postの施設全体で100%再生可能エネルギーを導入する予定です。

2023年時点で、71の拠点に23,000枚以上のソーラーパネルを設置しています。

1,400世帯分の電力供給に匹敵するとされており、2025年までの残り2年間でさらにソーラーパネルの数を増やしていく計画です。

また、再生可能エネルギーの完全導入までにできるだけ多くの温室効果ガスを削減するため、施設内の電球をLEDに取り替えています。

メルボルン再生可能エネルギープロジェクト

Australia Postは、メルボルン再生可能エネルギープロジェクト(MREP)に創設時から参加している組織です。

メルボルン再生可能エネルギープロジェクトでは、企業や組織が長期間にわたって再生可能エネルギー施設と電力購入契約を結びます。

企業や組織が支払った電力費用は再生可能エネルギー施設の建設費に充てられ、建設後は再生可能エネルギーをメルボルン市内で供給するという仕組みです。

メルボルン再生可能エネルギープロジェクトは、Australia Postのほか、メルボルン大学、銀行、動物園、市議会をはじめとする14の団体が参加している大規模な環境保全活動です。

メルボルンから200kmの場所に位置するクロウランズ風力発電所から年間合計88 GWhの電力を購入しており、実にメルボルンの1万7000世帯以上への1年間分の電力供給量に相当します。

2023年時点での主な電力供給先は、メルボルン市内のショッピングセンター、オフィスビル、学校施設、工場などです。

96,800トンもの温室効果ガス排出量の削減に繋がっており、スギの木710万本分が1年間に吸収する二酸化炭素量に匹敵するとされています。

包装材料の見直し

包装材料の見直し
出典:SpaceshipEarth

カーボンニュートラルの促進を行っているAustralia Postですが、プラスチックやゴミ問題も意識しています。

Australia Postは、包装材料による環境の影響軽減とリサイクル促進を推奨するオーストラリア包装規約機構(APCO)のメンバーです。

従来、Australia Postでは数多くのプラスチック製品を包装材料に使っていました。

しかし、環境への負荷が大きいことから、コンサルティング企業であるSelerantと協力してエコな素材の包装材料を生み出しました。

2023年現在では、リサイクル由来やリサイクル可能な素材の製品が多く利用されています。

使用されている素材数も最小限となっており、処分する際にリサイクルしやすい点もポイントです。

Australia Postは埋め立てられる廃棄物を20%削減する同時に、リサイクル率を2025年までに70%に高めることを目標としています。

まとめ

温室効果ガス排出削減の法制化を受けて、Australia Postではいち早くカーボンニュートラルを到達できる道を模索しています。

また、ゴミ問題に対する具体的な活動も行っており、多方面における環境への負荷軽減を意識しています。

環境問題を解決に導くためにも、私たちもできることから少しずつ始めてみましょう。