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日本リユースシステム株式会社 |リユースの促進とワクチンで社会に貢献

日本リユースシステム株式会社 辻本真子さん インタビュー

辻本 真子

京都府生まれ。関西大学卒業後、一社を経て現在の日本リユースシステム株式会社へ入社。「古着deワクチン」「お針子事業」の運営を主軸に、企業様へのOEM展開や別事業含め営業全般を担う。

introduction

日本リユースシステム株式会社は、リユース品やリサイクル品の輸出および国内販売などを展開する会社として、2005年に設立しました。「三方よし」を企業理念に、「捨てさせない屋」として、生き物を除く様々な理由で不要とされるものの再利用を進めています。海外にも活動拠点を持ち、現在アメリカ、カンボジア、モンゴルなど7か所に展開。単なるリユースに留まらず、リユースと社会貢献をかけ合わせた事業「古着deワクチン」に力を入れています。

今回、このユニークな取り組みをされている日本リユースシステム株式会社に、お話を伺いました。

リユース×社会貢献「古着deワクチン」

–本日はよろしくお願いします。まず、「古着deワクチン」とは、どのような取り組みか教えてください。

事業の仕組み

辻本さん:

「古着deワクチン」では、一般のご家庭や会社で不要になった衣類やバッグ、靴、アクセサリーなどを回収しています。お客様には3,300円で専用の回収キットを購入していただき、その中にある袋に不要になったアイテムを入れて発送するだけで、簡単便利に部屋のお片づけができるものとして利便性を提供しています。

さらに、回収キットが一つ購入されるごとに、5人分のポリオワクチンを開発途上国の子どもたちに寄付しています。お部屋が片づけられるだけではなく、社会貢献にもつながる「お部屋も心もスッキリする」取り組みです。

ポリオワクチンとは

手足に麻痺が残る、変形するなどの症状が出るポリオ(脊髄性小児麻痺)を防ぐワクチン。日本では現在ほとんど見られないものの、開発途上国ではワクチンが行き届いていないため、依然として脅威となり、ポリオが原因で命を落とす子どももいます。

–家で眠っている不要になった衣類等を送るだけで、社会貢献にもなるんですね。

辻本さん:

その通りです。ワクチンは、認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会を通して、ミャンマーやラオス、ブータン、バヌアツなどの国々に届けられています。「古着deワクチン」事業は2010年から開始しましたが、今までに累計約380万人分のポリオワクチンを開発途上国の子どもたちに届けることができました。

–多くの子ども達の命を救えるのですね。

辻本さん:

はい。さらに、回収キットの製造や封入は日本国内の福祉作業所で、障がいのある方に行っていただいています。

福祉作業所で働く方々

開発途上国の子ども達の健康に貢献するだけではなく、国内の障がいがある方の仕事にもつながっているんですね。

カンボジアの障がい者や貧困層の雇用を創出

–国内で回収した衣類等は、どのように活用されているのでしょうか?

辻本さん:

日本で簡単な点検や仕分けをした後、カンボジアの直営センターに送っています。そこで、現地スタッフが1点ずつ消臭や抗菌加工を施し、無臭のキレイな状態で陳列、販売しています。カンボジアの一般的なリサイクルショップは、においがあったり、汚れているものが多かったりするんですが、当社の直営センターではこだわりを持って、清潔な商品を販売しています。

カンボジアの直営センター

–店内はカンボジアと言われなければわからないくらいキレイですね!

辻本さん:

社訓「挨拶 掃除 整理整頓」に基づいて店舗作りをしています。清潔な店舗を作り、丁寧な接客を心がけ、現地のスタッフとともに運営しています。

–現地ではどのような人を雇用しているのでしょうか?

辻本さん:

カンボジアの貧困層の方と、障がいがある方を雇用しています。障がいに関しては、ポリオの後遺症を抱えた方がほとんどで、筋肉収縮によって手足が曲がったり、極端に足が短かったりする症状を持っている方が多くいます。また、現地直営センター(小売り)での販売時、1商品販売ごとに、1ポリオワクチンの寄付も行っています。

カンボジアの現地スタッフ

このような障がい者や貧困層の方々は、センターで働き、「自分が商品を販売することで、ポリオワクチンが届けられる」ことに喜びを感じています。今までは「支援される側、与えられる側」だったのが、センターで働くことで「はじめて誰かの役に立てた」と生きがいを感じているんです。皆さん入社してから、どんどん生き生きして、楽しそうに働いてくれています。

–とても意義深い事業ですね。センター運営で気を付けていることはありますか?

辻本さん:

彼女、彼らにモノを与えるだけでは、私たちがいなくなったとき、継続できなくなってしまいます。一過性のものではなく、自分自身でお金を稼ぐ、生きていく術を身につけられるのが本当の意味での支援だと考えています。

そのため、すべてを当社で管理するのではなく、障がいがあるスタッフがマネジメントできるよう指導しています。彼らの自立につながるよう促しているんです。

–「古着deワクチン」一つの事業だけで、「貧困や福祉の問題解決」や、不要になった衣類のリユースで「廃棄物、温室効果ガスの削減」と多くの課題に貢献していますね。

辻本さん:

そうですね。これらの総合的な取り組みが評価され、2019年に「第3回ジャパンSDGsアワード」特別賞(SDGsパートナーシップ賞)を受賞しました。

約10年で感じる変化

–「古着deワクチン」の事業は、約10年続いていますが、その間の変化などは感じられていますか?

辻本さん:

事業を始めた10年前より、人々の意識や考え方が変わってきたのを感じています。「安いから」という理由だけで商品を買うのではなく、何か価値があるものを見極めて選択するようになってきていると思います。「社会や環境にとっていいもの」だからと、価値を感じて当社のサービスを選んでいただける方が増えていますね。SDGsが浸透してきているのも影響していると思います。

–人々の意識が高まり、社会貢献の意味合いが強いものが支持されているんですね。

辻本さん:

はい。当社は特にSDGsを意識して運営していたわけではありませんが、たまたま今の時代とこの仕組みがマッチして、多くの方から評価をいただいていることを感じます。しかし、根底にあるものはあくまでもビジネスです。ビジネスが成長することで、さらに社会貢献ができると思っています。よりよい循環を作って、事業も社会も持続可能にしていきたいですね。

アップサイクルで着物を蘇らせる「お針子事業」

–もう一つの特色ある事業「お針子事業」について、教えてください。

辻本さん:

Kimono Upcycle Cloth「ohariko」という商品名で、廃棄される着物や帯を加工し、生地素材として販売をするのが「お針子事業」です。これは古着deワクチンで集まった、不要になった着物や帯を、モンゴルで洗浄、抗菌などの処理をして反物に蘇らせる取り組みです。ここで働くモンゴルの方も、障がい者や貧困層、シングルマザーなどの社会的に弱い立場にいる人々を採用し、現地で新たな雇用を生み出しています。

2017年に開始した事業ですが、着物や帯の廃棄減少と温室効果ガスの削減につながる点が評価され、「環境 人づくり企業大賞2019」で環境大臣賞(最優秀賞)を受賞しました。

–モンゴルで蘇った反物は、どこで販売されているのでしょうか?

辻本さん:

モンゴルや中国、ロシアなどの周辺国、日本などで販売されていますが、最近ではカンボジアへの流通も開始しました。カンボジアの個人や業者の方が買いに来ますが、現地在住の西洋の方にも人気なんです。やはり日本らしい柄やデザインは海外で人気がありますし、捨てられる寸前から生まれ変わった美しい反物に、皆さん驚かれます。

そして、今後はKimono Upcycle Cloth「ohariko」を「アップサイクル生地」として、北欧に向けて輸出する予定です。

アップサイクルとは

廃棄物や不用品に、デザインやアイディアといった新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせること。「リメイク」とも似ていますが、リメイクには価値を上げる(アップ)ものと、雑巾のように価値を下げて(ダウン)利用するという両方の意味が含まれます。アップサイクルは価値を上げるもののみを指します。

北欧は、かなり前から環境に配慮した暮らしやSDGsの考えが人々に根付いています。そのため、社会的に意義のある当社の商品は、北欧の人々に受け入れられると考えています。「不要になったものを有効活用し、さらに障がい者の雇用創出にもなる」というストーリーを含めて、紹介していきたいですね。

–いい循環がどんどん世界中に広がっていきそうですね!

今後の展望

–北欧進出以外に、今後の目標はありますか?

辻本さん:

現在約30か国との取り引きがありますが、今後はさらに世界に向けて発信し、古着deワクチンで集まった衣類等の選別、小売り、卸、再輸出を担う直営のセンターも増やしていきたいと思っています。そして、ビジネスを通して、より多くの子どもたちの命を救いたいですね。

–具体的に計画されていることもあるのでしょうか?

辻本さん:

まずはカンボジア国内での拡大ですが、カンボジア政府認定施設との事業提携を始めています。衣類の再輸出事業を拡大し、さらに雇用創出が進む予定です。そこでも、障がい者や貧困層の方を迎え入れる計画をしています。

–事業が拡大することで、さらに人々の幸せに貢献できますね。

辻本さん:

はい。開発途上国に必要なのは、一時のお金ではなくビジネスだと考えています。場所やシステムを提供し、現地の人々の自立を促しながら、持続的に働いていける仕組みを整えるのが当社の役目ですね。今後も現地の方と連携して、取り組んでいきます。

–本日は、ありがとうございました。

インタビュー動画

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