#インタビュー

おかえり株式会社|竹製トイレットペーパーで環境に対する世間の意識を変えたい

おかえり株式会社 取締役 増村さん インタビュー

増村 江利子

おかえり取締役/共同創業者。長野県 富士見町在住。国立音楽大学卒業後、Web制作、広告制作、編集を経てフリーランスエディターとして活動。SMOUT移住研究所編集長、SuMiKaマガジン編集長、greenz.jpシニアエディター。2017年に東京から富士見町に移住。三児の母として、犬二匹、猫三匹とともに、長野県諏訪郡の9坪の家にてDIY的暮らしを実践中。

introduction

2020年に設立されたおかえり株式会社は、竹を原料にしたトイレットペーパーを生活者のみなさんに届ける事業を推進しています。

取締役である増村江利子さんは、現在八ヶ岳の麓で電気にできるだけ頼らない生活を実践しています。そうした環境への意識から商品が生まれたと話す増村さんに、おかえり株式会社としてどのような取り組みを行っているのか、そこに込められた想いについて伺いました。

定期便で必要な分だけトイレットペーパーを配送

まずは、おかえり株式会社の事業内容について教えてください。

増村さん:

おかえり株式会社は、「バンブーロール」という、竹を原材料とするトイレットペーパーを定期便でお届けするサブスクリプションサービスを展開しています。「バンブーロール」は1箱18ロール入りで、お客様のお好みの頻度でお届けしています。

4人家族で1か月に1箱消費するくらいの量になります。

サービスを開始されたのは2021年1月で、つい最近なのですね。

増村さん:

はい。会社を立ち上げたのはそのひと月前の2020年12月で、ポートランド(米国オレゴン州)とタリン(エストニア)に住む友人と3人でスタートしました。

東日本大震災がきっかけで見直したライフスタイル

編集者だった増村さんが、どうしてSDGsに関連する事業を始められたのでしょうか。

増村さん:

きっかけは、2011年3月11日に起きた東日本大震災と福島原子力発電所の事故です。福島に原発があることは知っていましたが、福島から東京に電気が送電されていることを意識したこともなく、何も考えずにスイッチのオン・オフで電気を使っていたことに衝撃を覚えました。そこから、電気に依存した暮らしに疑問を抱くようになりました。

八ヶ岳の麓に移住して、これまでの暮らしを見直すことにしたんです。洗濯機だけは電気を使いますが、テレビや冷蔵庫、エアコンはもちろん、ありとあらゆる電化製品を使わずに生活しています。

食料の保存は冷蔵庫がなくてもできるし、暖をとるなら薪ストーブを使えば良いというように、日用品もできるだけ繰り返し使えるもの、できるだけごみにならない代替品を探していましたが、トイレットペーパーは代替品がないことに気づきました。リユースやリサイクルが難しい、でもなくてはならない日用品なんですよね。

こうしたことからトイレットペーパーに着目し、切っても切っても生えてくる竹でつくったトイレットペーパーの事業を始めました。

都会に住む身としては、電気のない生活は想像できません。どのような生活を送っているのでしょうか。

増村さん:

食料の保存や料理、洗濯など、分解して考えていくといいかもしれません。

たとえば食料の場合、肉や魚もいただきますが、毎日食べなくてもいいし、食べたいときにその日の夕食、次の日の朝食分だけを購入します。つくり置きはしません。野菜などは、新聞紙にくるんでストッカーに入れておくだけです。特になんの工夫もしていないんですよ。

そもそも小さな家なので、薪ストーブ1台で家じゅうが暖まります。また、水洗トイレの代わりに※コンポストトイレを自宅に設置しています。土に還すことをとても大切に考えているんです。私たちは畑からとれた野菜をいただくのに、体から出たものは畑へ戻していません。土はどんどん養分が減っている状態なのではないかと考えています。

微生物の力を借りて、家庭から排出される生ごみなどを堆肥化すること。ごみ処理や運搬コストの軽減に役立つ。

独立行政法人 国際協力機構

製紙業界での”竹”活用が森林・竹林保全のカギに

ここからは「バンブーロール」について伺います。トイレットペーパーの原材料は針葉樹や広葉樹、古紙からのリサイクルであるのが一般的ですが、竹のトイレットペーパーはどういう違いがあるのでしょうか?

増村さん:

原料が異なるだけで、製造工程は同じです。竹のトイレットペーパーって想像している以上に柔らかい質感なんですよ。また、バンブーロールは3層構造で厚手であることも特徴です。

やわらかい質感とは、固い竹からはなかなか想像がつかないですね。そもそも素材として、どうして竹に着目されたのでしょうか?

増村さん:

トイレットペーパーの主な原材料は、木材パルプもしくは再生紙で、日本では約6割が再生紙なのですが、大きな視点で見れば、トイレットペーパーやティッシュなどの家庭紙のために日々、森林が伐採されています。

一方で竹は世界で最も成長が早い植物の一種と言われていて、竹とラタンの国際機関・INBARが発表するレポートによれば、生育期間5年前後までの期間は針葉樹・広葉樹より二酸化炭素を多く吸収するとの検証結果も提示されているんです。

生産からお届けまで「サステナブル」を意識

現在のバンブーロールについて、素材以外へのこだわりについても教えてください。

増村さん:

バンブーロールをつくる工場で製造に使う電力は、100%水力発電を使っています。また、お届けするパッケージは段ボール・梱包のテープはすべてリサイクルできる素材でつくられており、納品書や説明書などは一切同封していません。生産からお届けまで、なるべく環境に配慮するよう心掛けています。

店頭で購入するのではなく定期便サービスがメインであるというのも特徴的ですよね。

増村さん:

トイレットペーパーは無意識に消費しているものだと考えています。定期的に届くことで、「今月は何ロール使ったかな」「まだ残りがあるから、次の配送はもう少し遅らせよう」と少しだけ意識を向けることができると思います。バンブーロールが使う人の意識を少しだけ変えるきっかけになれば良いなと考えています。

おかえり株式会社ではオウンドメディアでの情報発信も充実していますね。商品のメリットだけでなく、竹がどのくらいCO2を吸収するのかはさまざまな議論があり、それを正確に公表することに、誠実さを感じました。

増村さん:

ありがとうございます。そもそも竹林が、森林と比べてどのくらい炭素の吸収や蓄積をするのかを結論づけるには、まだまだ調査が足りていないように思っています。現時点で示すことのできるデータは、できる限り開示したいと考えています。

国産の竹で高品質なバンブーロールを

おかえり株式会社でバンブーロールの販売以外にも取り組んでいることはありますか?

増村さん:

2022年2月から「日本の竹でバンブーロールをつくろうプロジェクト」を開始しました。現在、バンブーロールの原材料である竹は、中国にしか生息していない竹を使って、中国で生産をしています。世界中には1,000種類以上の竹が生息しているのですが、中国の「慈竹(じちく)」は繊維を取りやすいので、トイレットペーパーの原材料としては最適なんです。

日本の竹をつかって品質のよいバンブーロールを製造するのは至難の業かもしれませんが、諦めきれず、今回プロジェクトを立ち上げました。現在、実証実験を行っているところです。

日本の林業は後継者不足などを抱えているので、「日本の竹でバンブーロールをつくろうプロジェクト」で国内の林業が活性化し、雇用の創出にもつながるといいですね。バンブーロールのほかにコンポスト事業も始めるようですが。

増村さん:

コンポスト事業は、まだ未公開です。楽しみにしていてください。

「ご当地」バンブーロールで地域活性化に貢献したい

最後に、今後の展望について教えてください。

増村さん:

「日本の竹でバンブーロールをつくろうプロジェクト」が進展すると、国内で大きな流れを生み出すことができると思っています。トイレットペーパーという日用品から環境に目を向け、竹などの非木材紙が注目されるように、さまざまな商品が変わるきっかけをつくれたらと考えています。

貴重なお話をありがとうございました!

関連リンク

>>おかえり株式会社

>>BambooRoll(バンブーロール)