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オーガニックコットンとは?メリット・デメリットと選び方のポイントを簡単に紹介

近年よく目にする「オーガニックコットン」。通常のコットンとは違い、環境にやさしい素材として注目を浴びています。

実際、2020 Organic Cotton Market Report(OCMR)の報告によれば、世界規模で生産量は年々増加傾向にあり、今後、オーガニックコットンは私たちの暮らしにより身近な素材となっていくでしょう。

そこで今回は、オーガニックコットンとは何か?、通常のコットンとの違いや、買い物の際に気をつけるべきポイント・SDGsとの関わりをご紹介します!

目次

オーガニックコットンとは?

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オーガニックコットンとは、有機農法で生産されたコットン(木綿)を指します。

主に繊維として利用され、私たちにとって身近な衣服やバッグ・カーテンといった幅広いアイテムに使われる植物素材です。

通常のコットンとは異なり、農薬や化学肥料を使わずに育てられ、一定の基準をクリアした繊維および商品のみ「オーガニックコットン」を呼ぶことができます。

では一体、オーガニックコットンにはどのような基準が設けられているのでしょうか。

オーガニックコットンの基準

日本にはまだ、オーガニックコットンについての明確な基準がありません。

しかし世界では、GOTS(Global Standard Textile Standard)をはじめとしたいくつかの認証機関があり、厳しい基準を設けています。

たとえば、以下の項目が挙げられます。

  • 栽培開始前の3年、その土地で農薬・化学肥料・殺虫剤を使用していない。また栽培期間中も使用しない
  • 従来の慣行栽培から有機栽培に切り替えたことで、生産者及びその家族の生活環境が向上している
  • 収穫後のオーガニックコットンは、すべての工程で通常のコットンと分け、絶対に混ざらないよう管理できている
  • 洗浄や加工の際に排出する水の管理・処理方法が適切である
  • オーガニックコットン製品の生産に携わるすべての人たちの人権を尊重し、子どもや女性・移民による強制労働を行なわない

また、出来上がった製品にほかの繊維や通常のコットンがブレンドされている場合、オーガニックコットンが入っている割合を示す必要があります。

このようにオーガニックコットンは、厳格かつ公正な基準をもとにつくられています。

つまり私たち消費者は、オーガニックコットンを選ぶことで、環境や労働者の人権をサポートすることができるのです。

【関連記事】オーガニックとは?目的や無農薬との違いを簡単に解説

オーガニックコットンと普通のコットンとの違いと背景にある課題

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ここまでオーガニックコットンの定義について見てきましたが、普通のコットンに比べて「環境・人権」に配慮している点がキーポイントです。

では、普通のコットンとの違いについて、更に深堀りしていきましょう。

一般的な広大なコットン畑で栽培する農法は、およそ70年前からはじまりました。

安定した品質のコットンを一度にたくさん収穫できる点がメリットですが、同時に多くの課題も浮き彫りになっています。

ここでは、

  1. 農薬散布による、生産者の健康被害
  2. 遺伝子組み換え綿が与える、環境への影響
  3. 過酷な強制・低賃金労働の実態
  4. 水の汚染・枯渇問題

の4点について、通常のコットン栽培で起きている課題を見ていきましょう。

課題①農薬散布による、生産者の健康被害

現代の主流なコットン栽培では、生育段階で大量の農薬や化学肥料・殺虫剤を散布します。広い面積でコットンだけを育てているため土壌の栄養・生態系バランスの管理が難しく、化学薬品に頼らざるを得ないのです。

WWFの報告では、世界の耕作面積のうち、コットンはたった2.5%しか占めていないにもかかわらず、世界で使われる農薬量の6%に昇ります。これは食べもの以外の作物で、最も大きな割合なのです。

殺虫剤に限ると使用割合は16%にもなり、いかに通常のコットン栽培で大量の化学成分が撒かれているのか分かります。

これだけ多くの化学薬品が土壌や空気中を漂うことで、ほかの生物や地球全体への悪影響は免れません。また、「生産者への健康被害」に着目すると、呼吸や肌への付着を通じて、農家自身にも悪影響を及ぼしてしまうのです。

農薬散布による農家の健康被害は、世界最大の生産量を誇る中国やインドを中心に、多数報告されています。特に貧しい地域では、マスク・防護服なしで農薬を扱っていることも多く、大量の化学成分を体内に取り込んでしまうのです。

また生産者本人だけでなく、周辺に住む家族や、農薬を吸い込んだ親によって生まれた子どもたちの病気や身体・精神異常も見られます。近年、農薬会社への提訴が相次ぎ、ようやく問題視されるようになっています。

課題②遺伝子組み換え綿が与える、環境への影響

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コットンの大量生産が可能になった要因は、農薬・殺虫剤のほかに遺伝子組み換え技術(GMO)の発展も関係しています。

遺伝子組み換えとは

ある生物から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、目的の植物の遺伝子へ人為的に組み込む技術のこと。

これによって出来たコットンは、特定の害虫や病気に強くなり、広い敷地で管理しやすいメリットがあります。

現在、大規模栽培で用いられるコットンの多くは、遺伝子組み換えによってできた種です。

ところが、ある一定期間は特定の害虫・病気に強くても、生き物は常に進化を続けるもの。いずれ虫や病原菌のほうが、遺伝子組み換えコットンに適応してしまうのです。

これによって引き起こされる問題のひとつは、生態系の崩壊です。突然ある生物が大量発生し、作物をすべて枯らしてしまったり、周辺に暮らす生き物の住環境を乱して絶滅に追いやったりと、さまざまな弊害を引き起こすことが考えられます。

農家は、作物につく害虫を駆除すべく、結局たくさんの化学農薬・殺虫剤を使用しなくてはならなくてはならず、自身の健康被害や環境汚染につながってしまうのです。

このように、農薬や殺虫剤の使用と遺伝子組み換え作物は深い関わりを持ち、負の循環を促す要素となっています。

課題③過酷な強制・低賃金労働の実態

次に挙げるのは、コットン栽培にかかわる労働者の人権に関する課題です。

まずは、こちらの図をご覧ください。statistaが発表した「2022年度の国別コットン生産量」を、国別ランキングで示した統計グラフです。

コットンは中国やインド・パキスタンといったアジア地域と、米国やブラジルのようなアメリカ大陸での栽培が中心です。

こうした国・地域では貧富差が激しく、貧困層の女性や子ども・移民など貧しい人たちを利用した強制労働が問題になっています。

WWFによると、コットン栽培のために世界で2.5億人もの労働者がおり、そのうち7%が発展途上国で暮らしています。

たとえば、作付面積で世界2位を誇るインドでは、およそ40万人もの子どもが働かされ、うち8割は女子。ほとんどは「親の借金返済のため」「家計を助けるため」のような深刻な理由を抱え、大人よりも安い賃金で雇われているのです。

この問題は、大人でも深刻です。特にインドは個人契約の農家が多く、企業雇用のような保証が整っていません。

その結果、2002年以降、30人に1人が自ら命を絶っているとのデータもあるなど、過酷な労働に疲れた大人たちが、農薬を飲んで自殺する事例が後を絶たないのです。

決してあってはならないはずの強制・児童労働ですが、発展途上国を中心に常態化しているのが現状です。私たちが通常のコットンを選択することは、違法な労働への加担につながりかねません。

課題④水の汚染・枯渇問題

化学成分を使用した農薬や肥料・殺虫剤が及ぼす環境への影響と同様に、コットン生産において大きな問題となっているのは「水の汚染・枯渇」です。

化学成分を利用していることで汚染はなんとなくイメージできると思いますが、なぜ枯渇してしまうのでしょうか。

地球上にある水のうち、淡水はわずか2.5%で、私たちが使える水はその中の0.01%です。私たちはこの貴重な淡水を、飲み水や生活水として利用し、すべての生き物と共有しています。

このような現状がある中で、WWFによると、1枚のTシャツを作るために使われる水の量は、なんと2,720リットル。想像を絶する膨大な量の水が使われているのです。

現在、私たちが気軽に購入できるコットン製品の多くは、インドや中央アジアで栽培されていますが、この地域はもともと乾燥地帯です。

生産地周辺の川や湖・地下水から水を調達していますが、これはつまり「その地に暮らす人・生物の水資源を奪っている」ともいえるのです。

このように、通常のコットンを選ぶことで、私たちが生産者の人権や健康、そして環境への悪影響に加担してしまう恐れがあります。

しかし、同じ素材でもオーガニックコットンを選択すれば、そうした問題への加担を避けられるのです。

オーガニックコットンはどう作られる?

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では、オーガニックコットンはどうやってつくられているのでしょうか?その工程を、簡単にご紹介します。

温暖で日当たりの良い環境での栽培が盛ん

コットンは、温暖で日当たりのよい環境を好みます。そのため緯度の高い欧州や北米地域よりも、日本を含むあたたかい国・地域での栽培が盛んです。

私たちにとって身近なコットンは、栽培方法にかかわらず、花が咲いた後の実(コットンボール)から出来ています。春に種をまき、秋に収穫したコットンボールは、まず種を取り除きます。そして繊維に加工して、ようやくさまざまなアイテムに利用できるのです。

オーガニックコットンの場合、基本的に化学成分の入った農薬や肥料・殺虫剤を用いずに育てなければなりません。そのため、栽培期間中は害虫や病原菌・雑草のケアが肝心です。

農薬を撒いて除草・害虫対策を行なう通常のコットン栽培とは違い、手作業での細やかな世話を必要とします。

また、収穫後から販売までの過程においても、ほかのコットンを混ざらないようにし、洗浄・染色の際もできるだけ環境に負荷をかけないように配慮するなど、あらゆる管理を徹底する必要があります。

同時に、生産者と取引先との公正性を尊重し、誰もが気持ちよく働ける環境が整っていることも、オーガニックコットン生産の条件です。

このように、オーガニックコットン生産には実にさまざまな工程があり、たくさんの人が関わってはじめてオーガニックコットンアイテムが出来上がるのです。

品質に違いはあるの?

ところで、オーガニックコットンは品質にどう影響するのでしょうか。

人によってそれぞれ考え方は異なりますが、通常のコットンとオーガニックコットンの品質の違いはそれほどありません。それよりも、生産に使用するコットンの品種による違いのほうが、品質に大きな影響を与えます。

よく見るような白い綿を付けるコットンでも、品種によって繊維の長さや質感が変わり、商品の肌ざわりも異なってきます。

たとえば、アメリカ原産の品種「スーピマコットン」は、農薬使用の有無にかかわらず「高級綿」といわれます。

また、品種そのものの違いだけでなく、繊維にする段階で糸の太さや撚りの強さを調節すれば、オーガニック栽培でなくても、作りたいアイテムにあわせて自由に変えることが可能です。

つまり、品質に違いはほとんどないため、それであればさまざまな面で配慮しているオーガニックコットンを選ぶ価値はあると言えるでしょう。

オーガニックコットンの特徴とメリット

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続いては、オーガニックコットンを選ぶメリットについてチェックしてみましょう。

メリット①子どもや赤ちゃんも安心して使える

オーガニックコットンは、基本的に有害な化学農薬・殺虫剤を使用していないので、大人はもちろん赤ちゃん・子どもにも安心です。

衣服や下着・タオルは、毎日のように肌に触れるものだからこそ、素材には気を付けたいですね。

メリット②環境にやさしい繊維

農薬・殺虫剤を使わないことで、空気や土壌を汚染する心配がありません。栽培地や周辺の環境に配慮できる点は、オーガニックコットンを選ぶ大きなメリットです。

また、生産過程で使用する水の量も、通常のコットンより少なくて済みます。

WWFによると、同じ面積で作る場合オーガニックコットンは通常のコットンに比べて91%の水を節約できるとの報告があり、この点でも環境にやさしい素材だといえます。

メリット③耐久性に優れている

これはオーガニックに限った話ではありませんが、コットンの特徴として「繊維が強く、耐久性に優れている」点が挙げられます。

もちろん、アイテムによって生地の薄さは異なるものの、コットンは植物繊維の中でも強度が高いため、摩擦や洗濯に耐えて長持ちするのです。

デニムやキャンバス地のように、タフな場面で活躍する布地がコットンでできている理由も、耐久性があるからです。

一度オーガニックコットンのアイテムを手に入れれば、短期間で買い替える必要がないのもうれしいポイントですね。

メリット④保湿性に優れている

残留農薬が少ないオーガニックコットンは、化学繊維と比較して保湿性に優れている特徴を持ちます。

保湿性があると言うことは肌触り、肌馴染みが良くお肌に優しいと言い換えることもできます。

オーガニックコットンのデメリット

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いくら環境にやさしく万能なオーガニックコットンでも、メリットがあればデメリットもいくつかあります。

デメリット①通常のコットンに比べて値段が高い

オーガニックコットンは、栽培~加工の過程で必要な手間が多いため、どうしても通常のコットンに比べると値段が張ってしまいます。

しかし、一度手に入れれば長く使えることや、環境・社会にやさしいことを考えれば、選択する価値はあるはずです。

ちなみに当サイトの編集長は、18歳のときに購入したオーガニックコットンTシャツを16年ほど使用しているそうです。さすがにくたびれてきてはいるものの、まだまだ着れそうだし、コスパがとても良いと言っていました。

デメリット②ほかの天然繊維に比べて、やや乾きにくい

コットンという繊維の特性上、保湿力が高い分、完全に乾くまですこし時間がかかる点は、デメリットといえるでしょう。

特に生地の厚いエプロンやバッグといったアイテムは乾きにくく、カビが生えるリスクに気を付ける必要があります。

特に雨の多い時期や湿気の多い環境での使用は避け、洗濯後は風通しのよい場所で乾燥させるようにしましょう。

オーガニックコットンを選ぶポイントは?

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オーガニックコットンを選ぶ際、ぜひ注意してほしいポイントがあります。

ここでは、

  • 認証マーク
  • デザイン
  • 染料

にフォーカスしてご紹介します。

認証マークをチェック!

先に述べたように、日本ではオーガニックコットンに関する明確な基準がまだ整っていません。

ただし、すでに世界ではさまざまな認証機関が存在します。生産~販売まで厳しい基準を設け、公正なオーガニックコットン認証を実施しているので、お買い物の際は安心して選んでよいでしょう。

<代表的な認証機関>

  • GOTS
  • Oeko-Tex
  • OCS
  • フェアトレード認証

以上の機関・団体は、どこも自然環境や人権について細かいチェックポイントがあり、第三者の立場で公正な評価を行なっているのが特徴です。

日本には、法律による明確な基準こそありませんが、世界的な認証機関が参加する有機農業連盟(IFOAM)のメンバーであるNOC(日本オーガニックコットン流通機構)による審査を受けられます。

それでも、現時点では認証マークがなくても「オーガニックコットン」を表示できてしまうため、購入の際は注意が必要です。信頼できる認証マークがあるかどうか、きちんとチェックしましょう。

品質もデザインも、好きなものを選ぼう!

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買い物の際、品質と同様に重視すべき点は「デザイン」です。

いくら品質がよいことをわかっていても、見た目がイマイチ・・・と思ってしまったら、購入後に長く使い続けるのは難しく感じてしまいますよね。

近年は、日本でも年代・性別を問わず使いやすいデザインの衣服や日用品が増えています。

ぜひ自分に合うアイテムを探してみてください。ひとつお気に入りのブランドが見つかれば、今後の買い物にも役立つはすですよ。

染料にも気を遣おう

これまで、オーガニックコットンは「化学農薬や肥料・殺虫剤を使わない」とお伝えしてきましたが、本来は繊維そのものだけでなく、染料にも気をつける必要があります。

現代の繊維業界では、ほとんどが化学染料を使っています。オーガニックコットン認証機関では「染色・加工の段階で、出来るだけ環境の負荷をかけないよう配慮する」といった条件がありますが、これは必ずしも化学物質ゼロという意味ではない点には注意しましょう。

たとえ少量でも、化学物質の入った水を流すことで、川や海に流れて周りの生態系・環境に影響を与える可能性があることを忘れてはなりません。

オーガニックコットンのアイテムは、あえて染色していない場合も多く、無漂白の自然なカラーを楽しめる点が魅力。

また選択肢があれば、植物染料を使った草木染めのアイテムを選んでみるのもいいですね。時間が経つにつれ、色や風合いが変わっていくので、愛着が湧いてくるはずです。

オーガニックコットン以外の自然素材ってある?

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ここまでオーガニックコットンの大まかな概要について見てきました。

近年、オーガニックコットンのような自然素材は、ファッションアイテムや日用品によく利用され、私たちにとって身近な素材となりつつあります。

このような自然素材は、種類が豊富で、選ぶアイテムや使用目的によっては、オーガニックコットン以外の方が適している場合もあるのです。

そこで今回は、代表的かつサスティナブルな一面を持つ自然素材をいくつか挙げてみました。

リネン(亜麻)

リネンは、1万年以上も前から人の暮らしに関わりのある、歴史の古い自然素材のひとつです。

原産地は小アジア地方といわれ、現在は中国北部やフランス・ポーランドのような、比較的寒い地方で栽培されています。基本的に農薬を使用しなくてもよく育つため、環境面に配慮した選択肢としてぴったりの繊維です。

特徴

吸水・発散性に優れ、水に触れると強度が増す点。そして、他の繊維に比べて汚れが落ちやすく乾きやすいため、洗濯回数の多い衣服やベッドシーツといったアイテムに活用できます。

夏の汗をかく季節は1枚で楽しめ、寒くなれば重ね着をして暖かく過ごすことができる、まさに万能素材。

ただし摩擦に弱く、日本では寒冷な地域でしか育てることができません。

原材料表示には「リネン」または「麻」と表記されています。

ヘンプ(大麻)

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ヘンプは、日本でも古くから利用されてきた素材です。現在は栽培のために自治体の許可が必要ですが、実は繊維だけでなく食用・医療に活用できる素材として、近年は世界中から注目を集めています。

農薬を必要としないヘンプは、基本的にどんな環境でも育てることが可能。さらにヘンプの根は土壌環境を整える効果があり、植えるだけで環境の改善につながる有用な植物なのです。

特徴

性質はリネンに似ていて、耐久性の高い繊維

しめ縄のような伝統品に用いられ、日本人にとってヘンプは欠かせない存在といっても過言ではありません。

ウール(羊毛)

最後に紹介するウールは、羊の毛から作られる動物繊維です。古代エジプトの頃から利用され、暮らしに身近な素材といえます。

特徴

水を弾き、空気を含んで保温効果を発揮するため、セーターやジャケットに最適。防臭のほか、燃えにくい性質を持つため、世代を超えて長く使い続けられる。

ただし、ウールは動物の命こそ奪いませんが、どこで・どのように作られているかについては、植物繊維以上に注意が必要でしょう。

なぜなら、一部の農場では「ミュールジング」と呼ばれる、羊の毛と一緒に皮膚まで刈り取る残虐な行為が行われている場合があるためです。

アニマルウェルフェアに即していないという意味で、動物の権利を優先する人たちはウールを好まないこともあります。

オーガニックコットン同様に認証を受けている場合や、小規模な生産者の場合はチェックできるので、お買い物の際に意識してみてくださいね。

このように、オーガニックコットンとは違った特性を持つ自然素材もたくさんあります。

求めるアイテムや用途に合わせて、より選択肢を広げてみるのもいいかもしれません。

オーガニックコットンとSDGsの関係

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環境や人権への配慮を経て作られたオーガニックコットンは、SDGsとも関連があります。

SDGs(Sustainable Development Goals)は「持続可能な開発目標」のこと。2015年に国連で採択され、

  • 経済
  • 社会
  • 環境

の3つを軸に、2030年までに達成すべき17の目標が掲げられています。

ここでは、オーガニックコットンとSDGsの目標との関係について、キーワードと一緒に確認していきましょう。

環境への貢献

コットン生産をオーガニックにすることで、土壌・水どちらの環境にも配慮することができます。

そのため、

淡水の水質改善を目指したSDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に

海の水質を目指したSDGs目標14「海の豊かさを守ろう

森林などの陸地の保全、生態系の保護を目指したSDGs目標15「陸の豊かさも守ろう

などに貢献します。

人権への貢献

生産者を中心に、オーガニックコットンの栽培に関わるすべての人たちの人権を守るという点では、

などに貢献します。

通常のコットン栽培からオーガニックコットン栽培に切り替えることで、より良い生活水準と健康を保証できます。

企業・消費者の意識改革

オーガニックコットンは、

など、コットン生産に関わる人だけでなく、取引を行う企業や、商品を購入する消費者の意識改革にも影響を与えることができます。

このように、オーガニックコットンとSDGsは、深い関わりを持っています。

私たちは、消費者としてオーガニックコットンを選択することで、地球を持続可能なものにするためのサポートができるのです。

おすすめオーガニックコットン商品2選

最後に、おすすめのオーガニックコットン製品についてご紹介します。

ひとくちに「オーガニックコットン」といっても、アイテムの種類は実にさまざまです。今回は「ファッション」と「日用品」のおすすめを、それぞれ紹介します。

【Organic Basics】のアンダーウェア

Organic Basicsは、デンマーク発のブランドです。男女問わず幅広いウェアを展開しています。

このブランドのなかでおすすめなのは、アンダーウェア。ベーシックで使いやすい形が特徴で、どの年代でも選びやすいデザインが魅力です。

ちなみに、Organic Basisのウェブサイトでは、毎年の年次レポートを公開しています。

  • 1年でどれくらいエネルギーや水を使用したか?
  • どこから原材料を調達しているか?

といった情報を誰でもチェックでき、素材の良し悪しだけでなく、すべての工程を消費者に見せ、透明性を確保しています。

【益久染織研究所のガラ紡ふきん

益久染織研究所(ますひさそめおりけんきゅうじょ)は、奈良県にある繊維会社です。

100%自然栽培の綿素材を用い、手で紡がれた「ガラ紡」は、洗剤や石鹸を使わなくても汚れが落ちる優れもの。台所の洗い物だけでなく、ボディタオル・洗顔用クロスとして活躍します。

ほとんどのアイテムは綿そのものの色・風合いを生かし、染料は基本的に藍などの自然染料を使用している点も魅力です。

ふきんだけでなく、靴下やベビーアイテム・布ナプキンのようなアイテムも並びます。

まとめ

今回は、オーガニックコットンの特徴や選び方といった基本的なポイントと、SDGsとの関わりについてお伝えしました。

同じコットンでも、環境や人権の視点で見てみると異なる現状があり、いかにオーガニックコットンを選ぶことが大切かを分かっていただけだのではないでしょうか。

いち消費者として正しい知識を学び、普段の暮らしに活かすことで、誰もにとってよりよい未来を目指すことが可能です。

是非みなさんも、お気に入りのオーガニックコットンアイテムを選び、最後まで大切に使ってくださいね。

参考文献
Textile Exchange「2020 Organic Cotton Market Report (OCMR) Released」
日本オーガニックコットン協会「オーガニックコットンとは」
GOTS the leading organic textile standard
WWF「Cotton | Industries」
WWFジャパン「コットンって環境に悪い?サステナブルファッション視点でのコットンの生産と利用」
OurWorld 日本語「害虫の大量発生迫られるGM綿の見直し」
厚生労働省「遺伝子組換え食品Q&A」
OurWorld 日本語「モンサント社の綿花事業における失態」
世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)「インド・コットン生産地の児童労働」
Statista「World cotton production by country 2019」
一般財団法人日本綿業振興会「栽培のポイント」
Wikipedia「Supima Cotton」
日本麻紡績協会「麻の基本知識」
Organic Basics「Impact Report 2021 – Our Footprint & Savings」