株式会社ペンシル | 九州ではじめて「SDGs宣言」を発表!IT系コンサル企業の目指す社会とは

株式会社ペンシル 倉橋美佳さん インタビュー

倉橋 美佳

福岡市生まれ。九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)卒業後、2003年に株式会社ペンシルに入社。通販サイトを中心にサイトの企画運用・プロモーション設計・運用等、総合的なWebコンサルティングに従事。仮説と検証に基づく改善を実施するため、サイト分析ツール「スマートチーター」プロジェクトを主導し自社開発を行う。2014年、アジア圏へのクロスボーダーEC事業支援を開始。台湾を皮切りに、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、シンガポール等へのEC支援サービスを構築。台湾やベトナムでも現地オフィスを設立し、グローバル展開を含めたペンシルグループ全体のWebコンサルティング事業を率いる。2016年、ペンシル代表取締役社長に就任、ダイバーシティ経営やDX経営を行う。イベントや講演会では講師やモデレーターとして多数登壇。SFO(シニアフレンドリー最適化)をはじめ、デジタルデバイドの解消に向けても取組を推進中。

introduction

株式会社ペンシルは、福岡県に拠点を置く、研究開発型インターネットコンサルティング会社です。1995年の創業以来、数々の企業のデジタル戦略を立て、有名企業での成功事例を作るなど、堅調に規模を拡大してきました。

ペンシルは九州のIT企業で初めて「SDGs宣言」を表明しました。さらには、2017年には経済産業省による「新・ダイバーシティ経営企業100選」に、九州に本社を置く情報通信業界で初めて選出されました。

ペンシルがここまで多くの実績を積み上げてきた理由、SDGsに取り組む背景などについて、代表の倉橋さんにお話を伺いました。

「営業しない」インターネットコンサルティング会社

-まずは、御社の事業内容を教えてください。

倉橋さん:

弊社は企業のデジタル戦略に対して、コンサルティングを行っている会社です。
デジタル戦略は、現代の企業にとって重要な役割を担っています。その企画・戦略の立案から、サイトの制作・構築・運用から、プロモーション(販促)といった実行面でもお手伝いをしています。また、ただ作って終わりではなく、施策を行った後の結果の検証・解析・分析まで一気通貫で行っています。

お客様との打ち合わせ

-デジタル戦略関連の課題解決を、ワンストップでできることが強みなんですね。

倉橋さん:

そうですね。他には、「営業しない会社」という姿勢を貫いている点も、他の企業とは異なる特長だと思います。

-営業せずに顧客を獲得するのは難しいイメージですが、どのようにお客様とつながるのでしょうか?

倉橋さん:

ありがたいことに、ご紹介や問い合わせをきっかけに、お仕事をご一緒させていただく場合がほとんどです。
紹介や問い合わせをいただく際は、お客様が「困ったこと」を抱えているケースが多いんです。私たちはプロとして、お客様の悩みを丁寧にヒアリングし、困りごとに寄り添い、一緒に解決していきます。伴走する姿勢を大切にしているところや、解決のための提案内容を評価してくださり、次の案件に繋がることもよくあります。

◆株式会社ペンシルの主な取引先

-大企業が多いですね。これらの多くが、営業なしで獲得した案件なのは本当にすごいです!
具体的には、どのような流れで課題を解決なさるのですか?

倉橋さん:

ウェブ施策で成功する過程は、意外と地道で泥臭いんです。

何か施策をやれば、パッと売上が上がるとイメージする方も多いかもしれませんが、実はそうではなくて。PDCAを1つずつ回して、小さな改善を積み重ねて、それがお客様の利益につながり、組織全体が良くなることにもつながっていく。

成功するまで、とにかく粘って地道に支援させていただいています。

-私たちが想像している以上に、粘り強さが重要なお仕事なんですね。

悩みの種が、SDGsを加速する「追い風」に

-では次に、SDGsの取り組みについてお伺いします。
御社ではどのように活動をなさっているのでしょうか?

倉橋さん:

弊社では、私たちが取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として、3つの柱を設定しています。1つ目が、地域社会に貢献する「環境(Environmental)」。2つ目が、多様性を意味するダイバーシティをメインにした「働きがい(Social)」。最後が、コンプライアンスや情報セキュリティといった「透明性が高い経営(Governance)」です。

倉橋さん:

特に、私たちのSDGs活動のルーツでもある「ダイバーシティ」には思い入れが強いです。2018年には、経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選」にも選定されているんですよ。

新・ダイバーシティ経営企業100選とは

ダイバーシティ経営に取り組む企業を増やすことを目的に、ダイバーシティ推進を経営成果に結びつけている企業の取り組みを評価する制度です。経済産業省主導の元、平成24年から令和2年まで実施されました。株式会社ペンシルは平成29年度において受賞しています。

-それは素晴らしいですね!どういった取り組みが評価されたのでしょうか。

倉橋さん:

主に、女性やアクティブシニア層の方が活躍できるような取り組みや、性的マイノリティ当事者への取り組みを評価していただきました。2019年に、九州に本社を置くIT企業としてはじめて(※1)SDGs宣言を出した際にも、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)はSDGs活動の主要な項目の1つとして含めています。

※1:2019年10月現在。株式会社ペンシル調べ。

-SDGs活動にかなり力を入れていらっしゃるのを感じます。
なぜ、ダイバーシティなどのSDGsへの取り組みに力を入れるようになったのでしょうか。

倉橋さん:

IT業界は人材不足が深刻で、「優秀な人材をどう確保するか」がずっと悩みの種だったんです。優秀な人材を確保するために試行錯誤していくうちに、人々の多様性を認めて、働きやすい環境を整えることが重要だと気づきました。悩みの種だと思っていた人手不足が、SDGsの取り組みに欠かせない、大切なヒントをくれた感覚です。

-それは、本社が福岡にあるという理由が大きいのでしょうか?

倉橋さん:

確かに人がたくさん集まる東京では感じにくい悩みかもしれませんが、最近では福岡も変わってきているんですよ。

人口の増加率は日本で一番で、特に若い世代が伸びているんです。福岡市長も、「シアトルのような街にしたい」とおっしゃっていて、新しいイノベーションにも挑戦しやすい風土だと感じます。

-街としても会社としても、人を大切にしていきたい気持ちは同じなんですね。

倉橋さん:

そうですね。私たちはデジタルを活用したコンサルティング会社ですが、サービスを提供するのはあくまでも「人」です。社員の個性をいかして、やりがいを持って働いてもらうにはどうしたら良いかを追求するうちに、ダイバーシティに行きつきました。

社員たちがモチベーション高く働いてくれることで、よりよいサービスが提供できるようになり、成果にも直結しています。そして、この良い循環の繰り返しが、世の中を動かす力にもなると考えています。

-ぜひ、御社のSDGs活動について詳しく教えてください。
今回は、若い方にもイメージしやすい、ダイバーシティ(多様性)と、環境保全、そして地域貢献の3点についてお伺いできればと思います。

倉橋さん:

わかりました。よろしくお願いします!

「インターネットの力で世界のビジネスを革新する」ペンシルの目指すSDGsとは

ダイバーシティウィークにて

1,多様性:働き方のカギは、共通理解を作ること

-まずは、ダイバーシティの取り組みについて教えてください。

倉橋さん:

ダイバーシティ(多様性)を認め合って働くためには、お互いの得意なこと・不得意なことなど、様々な共通理解を作ることがベースとなると考えています。そのため、ダイバーシティにまつわる様々な教育の機会を儲けているんですよ。

-例えば、どのような機会があるのでしょうか。

倉橋さん:

毎年必ず、ダイバーシティに関する研修を行っています。それ以外にも、ダイバーシティーウィークを儲けたり、ダイバーシティに取り組んでいる企業との座談会、映画観賞会を行ったりするなど、様々な角度から社員たちの理解を深めるようにしています。

-まずは、多様性とは何かを理解することが大切なんですね。

倉橋さん:

そう思います。また、「アクティブシニアの活用」として、現在60代以上の方が4名活躍してくださっています。同年代のお客様の気持ちに立ってサービスを考案できる強みを生かして、「シニアによる診断サービス」も始めました。企業のウェブサイトなどに対して、シニアならではの「使いにくい、わかりにくい」ポイントを見つけ出し、改善できるようにするサービスなんですよ。

-それぞれの得意なことをいかして働けて、会社の利益にも貢献できるので、やりがいも大きいでしょうね。働きやすさの面ではいかがでしょうか?

倉橋さん:

働きやすさに関しても、社内調査での期待値・満足度ともに高い値を出せています。

育休や時短勤務などの希望も出しやすい雰囲気があるので、男性の育休取得率も50%まで上がりました。

-50%ですか!それはすごいですね。

2,環境保全:IT企業でも、環境のためにできること

-続いて、環境保全への取り組みについて教えてください。

倉橋さん:

はい。弊社は製造業ではなく、何かものを作り出しているわけではないので、どのように脱炭素をしていくのか、直接的に関わる部分があまりないと感じていました。しかし、弊社のような中小企業のB to B企業は、日本国内で99%を占めています。

-確かに、原料や廃棄物が出るわけではないので、イメージするのが難しいですね。

倉橋さん:

そうですよね。しかし、弊社のような企業が環境問題に関して取り組むことが、日本全体にとってよいインパクトになると思い、2022年に「環境基本方針」を宣言しました。

-具体的に、どのような取り組みを行っているのでしょうか?

倉橋さん:

まず、自分たちが経済活動をするにあたり、どれくらいのCO2を排出しているかを計測することから始めました。CO2の計測は昨年度から行い、それを実際に削減する取り組みを今年から開始しています。2028年までにカーボンニュートラルを、2030年までにカーボンネガティブを実現する目標を立てています。

カーボンニュートラル、カーボンネガティブとは

カーボンニュートラルとは、温室効果ガス排出量と吸収量の総和をゼロにすること。カーボンネガティブは、温室効果ガスの排出量よりも吸収量の方が上回る状態を指します。

倉橋さん:

具体的には、会社で使う電気・水・紙といった資源を削減したり、再生可能エネルギーを利用したりする予定です。私たちだけでは削減できる量に限りがあるため、環境問題の改善に焦点をあてた団体への賛同・支援をするなど、様々な角度から環境を守る活動ができたらいいなと思っています。

-なるほど。確かに、ものづくりをしていなくても電気などのエネルギーは利用していますもんね!多面的に環境保全に向けて活動なさっている点も、さすがです。

3,地域貢献:雇用創造と教育のチカラで格差をなくす

-最後に、地域貢献の面ではいかがでしょうか。

倉橋さん:

はい。私たちは雇用創出や教育といった方法で、地域社会に貢献しています。

例えば雇用の面では、サテライトオフィスをいろんな場所に作ることで、通勤のしやすさが働きやすさにつながり、そして地域の雇用を創出することにもつながっています。

サテライトオフィス

倉橋さん:

教育の面では、地域の学校でインターネットの正しい知識を教える授業をしているんですよ。

-教育まで行っているんですね!

倉橋さん:

学校で授業をしている背景には、「デジタルデバイド問題」があります。インターネットが必須になっている現代社会ですが、使える層と使えない層でかなりの格差が生じてしまっているんです。

デジタルデバイドとは

インターネットなどの情報通信技術を使える人と使えない人との間に生じる格差、特に「情報格差」の意味で使われます。

倉橋さん:

弊社こそ、この問題に取り組むべきだと考え、学生たちに学びの機会を提供することで格差をなくしていきたいと考えています。インターンシップや職業体験を行う「ぴぃ学」もその一例として挙げられます。

小学校での教育

倉橋さん:

また、シニアのデジタルデバイドをなくすための研究や情報発信も行い、広く課題を認知してもらうことで、課題解決の糸口を探しています。

-現代社会が抱える課題に取り組むことが、地域貢献につながっているんですね!

環境問題とインターネットの問題解消に注力したい

-今後の展望を教えてください。

倉橋さん:

SDGsの取り組みについては、環境保全とデジタルデバイド問題に力を入れていきたいと考えています。

倉橋さん:

環境保全については、カーボンニュートラル、そしてカーボンネガティブの達成を目標にしています。

弊社は多くの企業にコンサルティングをしているので、お客様も巻き込みながら取り組んでいきたいですね。例えば通販をしている企業には、配送頻度を少なくすることや梱包材を工夫することを提案できると思います。CO2排出量を削減しながらも、事業の成功につなげていく。そういった視点で、一緒に取り組んでいきたいと思っています。

-1社だけで行うよりも、大きなインパクトが期待できますね。

倉橋さん:

デジタルデバイドに関する問題については、弊社が使命感を持って取り組むべきだと考えています。

特にシニア層は、インターネットに関する漠然とした不安感があると耳にします。また、若者でも有害な情報に接してしまったり、どうやったら正しい情報にアクセスできるのか悩んでいたりする人も多く、犯罪につながるケースもありますよね。

デジタルデバイド問題を解消するためには、教育が大事だと思うので、インターネットと正しく付き合う方法を発信していきたいですね。

-インターネットのプロである御社ならではの地域貢献ですね。

倉橋さん:

はい。どうしたら多くの人がもっとインターネットを使いやすくなるのか、便利なネット環境を作れるのかをさらに研究していきます。その研究を活用し、社会全体が良くなるように今後も取り組んでいきます。

-本日は、ありがとうございました。

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