
竹田 幹夫
昭和44年 相模原市役所入所
昭和62年 相模原市横山2丁目自治会長 現在に至る
平成24年 相模原市星が丘地区自治会連合会長 現在に至る
令和3年 相模原市自治会連合会長 現在に至る
共同住宅を含め自治会加入促進に取り組んでいる
Introduction
相模原市自治会連合会は、相模原市に22ある地区ごとの自治会連合会の意見を、市全体の意見として集約するための組織です。なるべく会員や役員の負担を軽くしながら、安全安心な街が維持できるよう、日々活動内容を見直しています。
今回は会長の竹田さんに、持続可能な自治会活動のために行っていることや、今後の展望などを伺いました。
若者からも好評!緑豊かで広々とした相模原市の自治会連合会
–本日はよろしくお願いします!まず初めに、相模原市とはどのような地域なのかお伺いしても良いですか?
竹田さん:
相模原市は、区画整理されていて住みやすい街だなと感じています。また緑も多く、とても広々としているところが好きと言ってくださる若い方が多いです。

–緑が多いのは嬉しいポイントですよね。その相模原市で、自治会連合会はどのような役割をになっているのでしょうか。
竹田さん:
相模原市に22ある、地区ごとの自治会連合会の取りまとめをしているのが、私たちです。自治会のイメージがつきづらい方もいるかもしれませんが、回覧板を回したり、こども会の運営をしたりしている、身近な活動をしている住民の集まりなんですよ。
–こども会、私の住む地域にもあって、お祭りなどを企画してもらっていました。懐かしいです!
竹田さん:
自治会の活動を行う上で必要となる助成金を代表して請求したり、市民の声を行政に反映してもらったりするために、意見を集約できる自治会連合会が産まれました。
それぞれの地区の代表に集まってもらって、相模原市をより良くするために話し合いをしているんですよ。
–行政と自治会の関係についてはどう感じていますか?
竹田さん:
市は自治会を市民の代表だと思って接してくれます。そのため新しい情報があればすぐ教えてくれますし、私たちの要望を実現しようと動いてくれるのがよくわかるので、とても頼りにしています。
難しいのは、年齢によって異なる要望をどう叶えていくか
–緑豊かで、市役所の方も市民とよく意見交換をなさっていて、相模原市はとても住みやすそうだなと感じました!運営していて、難しいなと感じたことはありますか?
竹田さん:
年齢層によって異なる要望を、うまくバランスをとりながら実現させていくのが難しいですね。

例えば、高齢層の自治会員からは、もっと利便性を高めてほしいといった意見が寄せられることがあります。具体的には「もっとバスの本数を増やしてほしい」「市民病院を作ってほしい」といった内容です。ただ、病院へあまり行かない若い世代からは、バスの本数や市民病院への要望は上がってこないんです。
–年齢層によって、どのような街にしたいか、という希望が異なるのですね。
竹田さん:
そうなんです。若い方たちは、相模原市の緑豊かで広々としたところを気に入ってくれていますからね。病院ができればその分、今公園などになっている土地が減ってしまう可能性もあるので、自治会で出た意見だから、と簡単に通すわけにはいかないんです。
–自治会に加入している方の中には、若い世代の方は少ないのでしょうか?
竹田さん:
一般的には、若い方は自治会に入らないと言われていますが、私は必ずしもそうだと思っていません。実際、相模原では小学生の子どもがいる世帯の約8割が自治会に加入しているんですよ。バランスよく希望を叶えるために、若い方を集めた懇談会も開催して意見を募っています。

–より良い街にするために、自分たちの意見を聞いてもらえるなんて、懇親会に参加した方々もきっと嬉しいでしょうね。
竹田さん:
そう思っていただけると私も嬉しいです。もちろん大きな病院ができると安心ですし、バスがたくさん走れば便利だと思うので、両立できれば良いかもしれません。しかし、これからの時代を担う若い方たちが「緑豊かで広々とした街」に魅力を感じてくれているなら、まずはその部分を残していかなければいけないのかな、と考えています。
経費や負担の削減が、自治会ならではのSDGsに
–自治会の活動にSDGsの考え方を取り入れることになったきっかけは何でしたか?
竹田さん:
2018年の会議でSDGsについて教えてもらう機会があり、「これは広めなければならない」と感じたことがきっかけです。そこから、会合の際にはSDGsについてお話しするようにして、まずはSDGsについて知ってもらうことから始めました。そして徐々に、SDGsに関連した活動内容も増えていったんです。
–具体的にはどのような活動をされているのでしょうか?
竹田さん:
自治会の会議でペットボトルの飲み物を出すのをやめて、マイボトルを持参するよう呼びかけたり、コロナ禍で開催できなかったバザーの品物を捨てるのではなく、保管しておくために自治会の物置きを提供したりしています。

–環境に優しい活動をされているんですね。
竹田さん:
もともとは、無駄な経費や役員たちの労力を削減するつもりで始めたことも多いんですけどね(笑)。
–例えば、どのような例がありますか?
竹田さん:
そうですね、例えば「防犯灯が切れた」とか「防犯灯をここに設置して欲しい」といった要望に対応するのも、実は自治会なんです。そこで、防犯灯を徐々にLEDに変えていくことにしました。
LEDの防犯灯は10年ほど交換が不要なので、従来の蛍光灯に比べて3倍ほど長持ちします。担当役員の対応頻度も下がり、電気代も安くなって良いことばかりです。
–交換頻度が下がれば、それだけ廃棄物も減って、地球にも嬉しいですね!
竹田さん:
確かにその通りですね。他には、回覧板で使用していた紙の削減にも取り組みました。
回覧板は、もともと情報提供元が個々に印刷したものを、班ごとに集約して回覧していました。それでは、印刷物を班ごとに分ける人の負担にもなりますし、紙資源ももったいないなと感じていました。そこで、今では地域情報誌一冊にすべてまとめて回すようにしています。情報誌にまとめることで、分配する人の負担を削減できますし、飛び込みで回覧版を回すことを防ぐ効果もありました。
–私も通常の回覧板が届いた数日後に、1枚だけ紙が付けられた回覧板を受け取ったことがありました。飛び込みの回覧紙が来ると、役員の方は「回覧を挟むバインダーが足りない!」と、大変そうでしたね。
竹田さん:
「自治会役員の活動はこんなに大変なのか」と思われてしまうと、役員を担ってくれる人が減ってしまうんです。だから省ける労力は省いていきたい。そして、労力を省くことで無駄な資源を使う必要がなくなり、結果的にSDGsに結びついていくんだと考えています。これからも色んな方の意見を聞いて、労力が減らせる部分は減らしていこうと考えています。
やる気と次の一手に繋がる!さがみはらSDGsパートナー登録
–SDGsに取り組むにあたって、何か工夫されたことはありますか?
竹田さん:
さがみはらSDGsパートナー制度に登録しました。パートナー登録をしていることで、情報交換や意見交換の場に参加でき、多くの情報が集まるようになりました。また、良い取り組みをした企業や団体は表彰されるので、「自治会でも同じような活動ができないかな?」と参考にすることもありますよ。
–同じ相模原市内の企業や団体なので、次の行動に移すヒントにもなりやすいのですね。
竹田さん:
そうですね。「さがみはらSDGsパートナーの一員として、相模原市のために一緒に行動していきましょう」とアナウンスすることで、役員の皆さんに活動の意義ややりがいを感じてもらえるようになりました。その点も、参加してよかったなと感じています。

市民の小さな心がけ1つで、街はきれいに・住みやすくなる
–最後に、今後の展望を教えてください。
竹田さん:
自治会の会員一人一人が、SDGsのために自分にできることに取り組める機会を増やしていきたいなと考えています。
加入率が低いと言われている自治会ですが、実際に加入している人数は相当なものです。私たちの活動がきっかけとなってそれぞれが行動を起こせば、大きな力になると思っています。
–各会員にはどのようなことに取り組んでほしいですか?
竹田さん:
例えば、街の美化活動を目にした際に、「街がきれいになってカラスが減った」ことに気づいて、家族との話題にするだけでも良いんです。
話題になることでみんなが意識できて、次の行動に繋がっていきますからね。
川を掃除しなくても、出先で出たゴミは持ち帰るなどして、川にゴミが流れないようにすればいい。こういった一人一人の小さな心がけが、川だけでなく、その先の海の美しさを守ることに繋がるわけです。
–「地域のみんなで集まって掃除をしましょう」と呼びかけるのは大変ですが、一人一人が日頃から美しい街づくりについて話題にし、意識することなら大きな労力も必要ありませんね。
竹田さん:
「自治会の活動は大変だからなくそう」と言われることもありますが、安全安心な街づくりのために必要なことは、なるべく負担が少ない状態で続けていけるよう、これからも考えていきたいです。

–誰かがやらなければならないことを長く続けられるように、形を変えていくことは大切なことだと思います。
今日は貴重なお話しを聞かせていただき、ありがとうございました!