日本では水洗トイレや水道など、水を自由に使えることが当たり前となっています。しかし、世界には安全な水を使うことができない地域もあります。
飲み水に関しては世界人口の3人に1人が、安全に管理された水を使用できていません。
そのほかにも、手洗い場やトイレなどの衛生環境が整っていない地域では、野外排泄が原因で感染症が発生するなど、多くの問題を抱えています。
日本ではこのような問題は見られませんが、生活排水による水質汚染が問題となっており、約1,100万人が汚水処理施設を利用できていないと環境省が発表しています。つまり地域によっては、生活排水をそのまま流しているということです。
このような水に関する問題を解決するための目標が、目標6「安全な水とトイレを世界中に」です。
水は私たちが生活していくうえで、切ってもきれない大切なものです。未来の水資源を守るために、今回は日本や世界で起こる水の問題に対して、私たちができることをご紹介します!
目次
寄付でトイレの設置を応援しよう
個人ができることの一つに寄付があります。
世界には、トイレのない生活を送る人がまだまだたくさんおり、そのような地域では、屋外排泄をするしかなく、不衛生な状態が続いているのです。(屋外排泄を行っている人数は、6億7,300万人にもなるとユニセフ協会から発表されています。)
屋外排泄は細菌が体内に入ったり、周辺の水が不衛生なものになったりするため、特に子ども達はひどい下痢に襲われ、最悪の場合命を落としてしまうこともあります。
このように清潔なトイレを設置することは、不衛生な水の発生を防ぎ、衛生環境を整えることにもつながるのです。
ここでは、トイレや水を世界中に届けようと活動をしているNGO・NPO団体をご紹介します。
ウォーターエイドを支援しよう
ウォーターエイドは、水と衛生を専門とした国際NGOで、世界34ヵ国で子供たちへの衛生教育や水ポンプ・トイレの設置を行っています。
さらに、設備を使い続けるためのシステムや修理ができる人を育てる人材育成も行っていて、壊れて直し方がわからずに長い間放置されることを防げます。
ウォーターエイドの支援方法は、公式サイトにアクセスし寄付をするだけです。
公式サイトでは、毎月定額寄付をする方法や単発で寄付する方法などを用意しています。決済方法に、クレジットカードが使えるのでその場で送ることも可能です。
ぜひ一度公式サイトを訪れてみてくださいね。
Napiaの製品を購入してユニセフへ寄しよう
トイレットペーパーなどを販売するNapiaでは、ユニセフと協力して「千のトイレプロジェクト」を実施しています。
私たちがNapiaの対象商品を購入することで、売り上げの一部がユニセフに寄付され、東ティモールのトイレを作る支援へとつながる仕組みです。
プロジェクトは毎年11月1日〜1月31日まで開催され、その期間にトイレットペーパーやティッシュペーパーを買うことで参加できます。
ぜひ、対象商品をチェックしてみてください。
どのようにSDGsの達成につながるのか
寄付や支援プロジェクトに参加することは、目標6のほとんどのターゲットの達成に貢献します。
国際支援では水の支援と共に、各地域での衛生意識改革も行われています。これにより、誰もが安心して過ごせ、世界中で当たり前にトイレや水が使えるようになることを目指しているのです。
水を節約して未来を守ろう
水の節約も個人ができることです。
国土交通省の資料によると、現在アジアやアフリカを中心に水不足に陥っています。さらには、今後世界の人口増加や気候変動により、2050年には世界人口の約40%が水ストレスのある地域に住むことになると予測されているのです。
このような未来を変えるためにも節水が重要な取り組みとなるでしょう。そこでここでは、節水に関するヒントとなるような情報を紹介します。
節水に便利!道具を使って家の水を節約しよう
水は気をつけていても、うっかり出し過ぎてしまうこともありますよね。そこでおすすめなのが節水のアイテムを使うこと。日頃の流水量を調整して、節水を心がけしましょう。
シャワーヘッドを交換しよう!
少量の水でいつも通りの水圧を可能にするシャワーヘッドは、快適且つ節水につながるアイテムです。
おすすめは、最大80%もの節約につながる日丸屋製作所が作るシャワーヘッド。止水ボタンや角度調整もできるため人気の商品です。
蛇口の水を節約!
洗い物や洗面台の蛇口も水量が気になるところ。水量が多くて飛沫が飛ぶのが気になる人も少なくありません。
そんな悩みから開放してくれるのが、節水泡沫器です。取り付け方法は蛇口の先を交換するだけなので手間がかかりません。
トイレの水を少なくする!
タンクに入れるだけで、トイレの水を少なくする節水リングもおすすめです。タンクに入れたリングの重みで水が出たと認識し、早く蓋が閉まります。
このようなアイテムを使えば、ストレスなく水を節約することができるので、試してみてはいかがでしょうか。また、節水することは水だけでなく、エネルギーも削減できるため、次で詳しく見ていきましょう。
節水をしてCO2の削減に貢献!
水は浄水場や下水施設で処理したり、供給するためにポンプで汲み上げるなど、多くの場面でエネルギーを要します。つまり、節水でこれらのエネルギーも削減できればCO2の削減となり、地球温暖化防止に貢献できるのです。
東京水道局では、水の流しっぱなしによる水の使用量とCOsの排出量を公開しています。
この表から計算すると、1リットルあたりのCO2排出量は約0.25グラムになります。
東京都水道局によれば、家庭で1人が1日に使う水の量は214リットル。そのため、私たちは毎日水を使うことで約53.5グラムのCO2を排出しているのです。(ちなみに杉の二酸化炭素吸収量が1日あたり約38グラムと言われています。)
このように、日頃の何気ない行動を数値化してみると、私たちが環境にどのような影響を与えているのか考える良い機会となるはずです。未来の環境を守るためにも、節水に取り組んでみてはいかがでしょうか。
バーチャルウォーターの節約も考えよう
続いて紹介するのは、バーチャルウォーターの節約です。バーチャルウォーターとは、
食料を輸入している国(消費国) において、もしその輸入食料を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものです。
引用:環境省 Virtual water
食料自給率が低い日本は、輸入大国であると同時にバーチャルウォーターの消費大国でもあると言われています。
東京大学の研究グループの発表によると、1キロのとうもろこしを栽培し出荷するまで、1,800リットルの灌漑用水が必要としています。
つまり、輸入すればするほど世界の水を大量に消費していることとなるのです。
このようなバーチャルウォーターを減らすためにも、
- 必要なものを必要な分だけ買うこと
- 地産地消を心がける
といったアクションが推奨されています。
ぜひ買い物のときに思い出してくださいね。
どのようにSDGsの達成につながるのか
水を節約するアクションを起こすことは、以下のSDGs目標の達成に関連しています。
6.5 2030 年までに、必要に応じて国境を越えた協力などを通じ、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
6.6 2020 年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含めて、水系生態系の保護・回復を行う。
6.b 水・衛生管理の向上に地域コミュニティが関わることを支援し強化する。
将来的に安定した水の供給を確保し続けるためにも、水の節約を心がけたいですね。
川と触れ合い、水について学ぼう
目標6のターゲット6.6には、
2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。
と掲げられています。
このターゲットを達成させるためにも、生態系について知ることが大切です。
日本では、科学館やNPOが水と触れ合う機会を持ってもらおうと、川やダムなどで学習会、イベントを実施しているので、家族や友達と参加してみてはいかがでしょうか。
相模川ふれあい科学館で川の生物に触れよう
神奈川に流れる相模川は、昔から人々の生活や森を支えてきた川です。川や周辺地域にすむ魚や生物たちを展示している「相模川ふれあい科学館」では、大型モニターやタッチパネルを使って、自然と生き物について学べたり、魚に餌をあげる体験ができます。
体験して学ぶことで、水に住む生態系の大切さを実感できるはず。休みの日に家族や友人と出かけてみませんか?
多摩川ふれあい教室

府中市郷土の森博物館では月に一回、自然保護や自然愛護に関する活動を行っているNPO多摩川センターが企画する「多摩川ふれあい教室」を実施しています。
これは、
- 四季にそれぞれの虫や植物
- 夜に活動する生物
- 洪水と暮らしについて
- 多摩川が作った街
などについて体験しながら学べる教室です。
体験を通してさまざまな発見ができ、自分の生活と自然や水がどのように関わっているのか考えるきっかけになるかもしれません。※緊急事態宣言中はイベントを中止しています。
どのようにSDGsの達成につながるのか
水に住む生態系について学ぶことは、目標6「安全な水とトイレを世界中に」の問題を改めて考えるきっかけになり、先述したターゲット6.6の達成に貢献できるでしょう。
ぜひ自分の地域に流れている川を検索し、管理している団体のイベントを見つけたら、家族や友達と参加してみてくださいね。
石鹸・洗剤を使いすぎない!
きれいな水を守るためには、石鹸や洗剤を環境に良いものに切り替えることも大切です。
日本石鹸洗剤工業会によると、汚水処理がされている地域では、界面活性剤の水に与える影響はほとんどないと発表されています。とはいえ、ほとんどの家庭が毎日使うものだからこそ、少しずつ川の水や生態系にダメージを与えてしまっているかもしれません。
そのため環境に良い洗剤に切り替えることは、将来の水を守る行動と言えるのです。
海に流せる洗剤!自然にかえる洗剤を選ぼう
洗剤を選ぶ際は、
- 自然由来のものであること
- 分解が早く環境の負担にならないもの
の視点を持つことがポイントです。
ここでは、筆者が特におすすめしたい洗剤を紹介します。
All things in Nature
からだとこころに良いものを販売・発信する「スローヴィレッジ」と、水の環境改善につながる商品開発・販売をする「がんこ本舗」、海をきれいにする活動をする「エコサーファー」3社のコラボで生まれた「All things in Nature」。
すすぎ0回で洗濯ができる画期的な洗剤で、成分の70%が21日で生分解されます。手洗いやドライマークにも対応し、ふんわりと仕上がるので柔軟剤もいりません。
「All things in Nature」は売り上げの一部を、海から人工物を無くしきれいにする「ビーチマネー」の活動に寄付。ちなみに、がんこ本舗では「洗濯洗剤 海へ…Step」という商品名で販売されています。
キッチン洗剤 森と…
こちらは「がんこ本舗」が開発した食器洗剤です。植物由来の中性洗剤で、油をナノ分解する作用があります。油を浮かせて汚れを落とす洗剤と違い、排水溝も匂いがつきません。
油が残らないことで、洗うときに使う水の量も減らせるのでおすすめです。
海をまもる洗濯洗剤
海をまもる洗濯洗剤は、クリーニング店とコインランドリーを経営しているSave the Oceanの社長が、海の環境問題へ目を向けたことで誕生しました。
コインランドリーやクリーニング店だけでなく、自宅でも使って欲しいと、家庭用のサイズも販売しています。海をまもる洗濯洗剤もすすぎ0回でも汚れを落とすことができる洗剤です。洗濯機を使う電気の節約にもなりますよね。
水の環境問題に貢献するためにも、今使っている洗剤を見直してみてはいかがでしょうか。
どのようにSDGsの達成につながるのか
石鹸・洗剤を環境に良いものに切り替えることは、以下のSDGs目標の達成に貢献します。
6.3 2030 年までに、汚染を減らし、投棄をなくし、有害な化学物質や危険物の放出を最小化し、未処理の排水の割合を半減させ、再生利用と安全な再利用を世界中で大幅に増やすことによって、水質を改善する。
また、水質を管理することは、目標14の海の豊かさを守ろうにもつながります。
生物は水なくては生きていけません。大切な水を汚さないよう過ごしたいですね。
水を大切にするサスティナブルコスメを使おう
最後に考えたいのが、毎日使うスキンケア商品についてです。スキンケア商品のほとんどがたくさんの水を使って作られているため、節水の観点からもサスティナブルなものに切り替えることが大切です。
そこで次では筆者がおすすめしたいサスティナブルなコスメをご紹介します。
日本でも有名なLASHのコスメで節水を!
地球に共存するすべてをハッピーにしたいという想いを掲げているLASHでは、サスティナブルコスメを作ろうと、固形の化粧品や石鹸を開発しています。
固形商品は、
- 制作段階から水を使わない
- コスメを劣化させる要素となる水を使わないことで保存料の添加も必要なくなる
と、環境にも肌にも良いコスメとなっているのです。
詳しくは公式サイトをチェックしてみてください。
環境保全を配慮!ドモホルンリンクル
日本でおなじみのドモホルンリンクルは、生産時に利用する水から、工場のトイレにいたるまで、地下に流れる伏流水と雨水を利用。水を無駄なく使えるよう最新の設備を整えているそうです。
「化粧品には欠かせない水を大切に使う」そんな想いが込められているのですね。
毎日使うコスメだからこそ、素材や作り方まで配慮したものを選んでみてはいかがでしょうか。
どのようにSDGsの達成につながるのか
環境に配慮したコスメを選ぶことは、以下のSDGs目標の達成に関連しています。
6.4 2030 年までに、水不足に対処し、水不足の影響を受ける人々の数を大幅に減らすために、あらゆるセクターで水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取・供給を確実にする。
6.5 2030 年までに、必要に応じて国境を越えた協力などを通じ、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
未来の水を守るために、コスメを変えることを検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では目標6「安全な水とトイレを世界中に」の達成に向けて個人ができることを紹介しました。
私たちの生活とは切っても切り離せない存在である水。日本に住んでいるとどこで自由に水が使えるため、「大切に使おう」という意識を持つことはなかなかできないかもしれません。
しかし、現在水に関するさまざまな問題が発生しているのは事実です。将来にわたって世界中の人たちが安心して水を使えるよう、私たちにできることを考えていく必要があるのです。
この記事をきっかけにできることを考えてみてはいかがでしょうか。