SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」に取り組む企業5選

目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、「世界中のすべての人が安全な水とトイレを使えるようにする」だけでなく、

  • 水質汚染の改善
  • 水辺の生態系の保護や回復
  • 水害の予防
  • 水資源の管理

など、あらゆる水に関する課題の解決を目指します。

そして、このような課題を解決するためには、政府や企業だけでなく実際に暮らしている地域住民の協力が鍵となるのです。

今回は「目標6に取り組みたい」と考えている企業や地域コミュニティー、個人に向けて、参考になる企業の取り組み事例を紹介します!

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)

株式会社エコまるくん

水がなくても水が生まれるトイレ」をキャッチコピーに、上下水道がいらない完全循環型のトイレを開発した株式会社エコまるくんは、無駄のない水洗式トイレになります。

水がなくても水が生まれるトイレ

災害時や上下水道の整備がされていない発展途上国など、通常の水洗トイレが設置できない場所でもエコまるくんは利用できます。

特徴としては、

  • 設置が簡単
  • 上下水道・電気はつながなくてよい
  • 空気を遮断して処理するため臭いが気にならない
  • 仮設トイレも循環式水洗トイレになる

などが挙げられます。

この中でもとくに注目したいものが循環式の水洗トイレです。

循環式の水洗トイレは下記の構造になっています。

【循環式水洗トイレの内部構造】

  • 固液分離槽:汚水を個体と液体に分離
  • 植物由来慮材:エコまるが独自に開発した慮材によって、アンモニアやCODを除去
  • 特殊慮材:汚水の色素を除去
  • 集水槽:きれいな水が集まる

このような流れで処理されます。

浄化水と濾材は再利用

さらに画期的なのが、処理された浄化水は生活用水として利用が可能であることです。そのため、農業用水などへの活用が期待されます。

さらに、濾材には植物由来オリゴ糖発酵特殊化合物を使っているため、約95%を再生リサイクルできます。原材料として使われた植物も土壌改良剤として活用されるので無駄になりません。

エコまるくんが貢献するSDGs

水や整備のない場所で設置するだけで利用できるエコまるくんは、世界のトイレのない地域での利用が期待されます。また、しっかりと設計されているため、女性や少女が利用するトイレとしても問題ありません。そのため、エコまるくんは目標6の次のターゲットに貢献しています。

6.2 2030年までに、女性や少女、状況の変化の影響を受けやすい人々のニーズに特に注意を受けながら、すべての人々が適切・公平に下水施設・衛生施設を利用できるようにし、屋外での排泄をなくす。

6.a 2030年までに、集水、海水の淡水化、効率的な水利用、排水処理、再生利用や再利用の技術を含め、水・衛生分野の活動や計画において、開発途上国に対する国協力と能力構築の支援を拡大する。

株式会社バンブーファクトリー

株式会社バンブーファクトリーは「竹林整備で地域貢献」をスローガンに、竹の用途開発に取り組む企業です。竹を原料とした土壌改良剤や活性炭などを製造しています。

浄化・浄水に優れた竹活性炭

バンブーファクトリーの特徴は、竹チップを活性炭へ加工した画期的な製造法です。原材料の竹も活性炭用に切るのではなく、間伐や整備で出たものを使っているため無駄がなく環境に配慮しています。

※賦活:活力を与え、炭から小さな穴(細孔)の多い活性炭に変える操作

また、木材が原料の炭よりも細孔と呼ばれる小さな穴が多いことで、下記のメリットがあります。

  • 匂いやアレルギー物質の吸着
  • 浄化
  • 浄水
  • 脱色精製

さまざまな特徴を持つ築活性炭はその良さを活かし、

  • 空気清浄
  • バイオトイレ
  • コスメ
  • サプリメント

と、幅広く活用されているのです。人や地球に優しい上に、さまざまな使い方ができる竹活性炭を、私たちも暮らしに中に取り入れたいですね。そして、バンブーファクトリーが現在、特に力を入れている事業がバイオトイレの開発です。

あまり聞き慣れない単語ですが、バイオトイレとはどのようなものでしょうか。水を利用する一般的なトイレと、異なる点も気になりますよね。次はバイオトイレについて、詳しく見ていきましょう。

バイオトイレの開発

ここでのバイオとは「微生物」を意味します。さらに、バンブーファクトリーで製造された竹活性炭とモミガラを混ぜ合わせることによって、発酵が促進され、微生物の活動が活発になります。

園芸や農業で利用される「腐葉土」が良い例でしょう。腐葉土は、落ち葉が微生物よって分解され、やがて土に変化します。さらには微生物は分解力に優れており、臭いを残さない処理が可能です。

この分解力は、人の排泄物にも効果があります。

分解の手順としては、

  1. 排泄物の混入
  2. 微生物の活性化
  3. 水分の蒸発促進
  4. 分解

となります。

さらにもうひとつの特徴が「水を使わない」ことです。バイオトイレは、微生物の分解力を利用して排泄物を土に返します。そのため、排泄物を流す際に利用していた水は必要ありません。

この効果により、下水道整備が行われていない場所でも利用でき、水質汚染などの心配もいりません。この仕組みは、環境にとても優しい画期的なアイディアと言えるのではないでしょうか。

バンブーファクトリーが貢献するSDGs

バイオトイレを利用することによって土壌や河川の汚染を防ぎ、生態系の環境保護にもつながるでしょう。これらの特徴から、バンブーファクトリーのバイオトイレは、目標6の次のターゲットに貢献しています。

6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含めて、水系生態系の保護・回復を行う。

富士フイルム株式会社

「写ルンです」という独特な名前と、一度聞くと頭から離れないCMに強い印象を受けた人は多いのではないでしょうか。写真フィルムで有名な富士フイルムは、今まで培ってきた技術を活かし人と環境に優しい製品・サービスの提供を目指します。

現像廃液の問題

現像廃液とは

フィルムカメラで撮影した写真の元となるものを、現像液で処理した際に出る廃液。

最近はデジタル化が進み写真を現像する人も少なくなりましたが、今でもレントゲン撮影や半導体などに応用されています。

少なくなったと言っても国内では、年間約20万トンの廃液が発生しているそうです。これまでは、海に流すなどでの処理されていましたが、ロンドン条約にてこの方法は禁止されました。そのため現在は焼却での対応となりますが、廃液を運搬するためのコストなど新たな問題が出ているのです。

このコスト問題を解決したのが富士フイルムのCTPです。

CTPとは

「コンピューター・トゥ・プレート(Computer To Plate)」の略語になり、刷版の方法を意味しています。従来は印刷データをフィルムに印刷し、その後アルミ板に焼き付けていました。しかし、フィルムのコストや焼き付ける際に使用する薬品の廃液の問題など、不便な点が目立ちます。そのため、印刷データをアルミ板へ直接出力する方法であるCTPが誕生しました。

CTPから考える環境課題

今までのCTPは現像廃液が大量に発生しており、環境悪化につながると指摘がありました。これにより利用者などから、現像廃液の削減を求める声が多数寄せられていたと言います。この問題を解決したのが「廃液削減装置XR-2000 / 5000II / 1200J」と「再生水再利用装置XR-R60」です。

「現像廃液を即効的に減らせるシステム」を搭載しており、案業廃棄物として排出される灰液量を1/8にまで抑えることに成功しました。そして残りは再生可能な再生水に変換します。

【廃液削減装置/再生水循環装置運用イメージ】

引用元:FUJI FILM

この装置を開発したことによって、

  • 産業廃棄物を大幅に削減
  • 地球温暖化防止に貢献
  • 使う人にも配慮したエコ設計

上記3つを可能にしました。

とくに変換された再生水は下水道へ流すこともできる水質で、トイレの洗浄水としても利用が可能です。

富士フイルムが貢献するSDGs

現像廃液の量を減らすことによって、産業処理を行う際の資源の削減になり、省資源化に貢献しています。また、半分以上を再生水に変換できたことは、水質改善への大きな1歩だと言えるでしょう。

そのため富士フイルムは、目標6の次のターゲットに貢献しています。

6.3 2030年までに、汚染を減らし、投棄をなくし、有害な化学物質や危険物の放出を最小化し、未処理の排水の割合を半減させ、再生利用と安全な再利用を世界中で大幅に増やすことによって、水質を改善する。

シャボン玉石けん株式会社

福岡市にて、石けんの製造を行っているシャボン玉石けんは「健康な体ときれいな水を守る」を掲げ、環境と人に優しい製品作りに励んでいます。この企業が取り扱う商品の一番の特徴は「無添加」である点です。

本物の無添加石けん

シャボン玉石けんが考える「無添加」とは「石けん成分(液体は水も含む)以外は何も入っていない石けん」です。実は「無添加」の表記のハードルは低く、添加物が1種類入っていないだけでも無添加と表記できるほど。

しかし、シャボン玉石けんは人と環境のことを考え、本物の無添加にこだわっているのです。

水質や生態系に配慮した石けんづくり

石けんは合成界面活性剤と異なり、水質や生態系に悪影響を及ぼしません。海や川に排出されると、短期間で水と二酸化炭素になります。

上記のグラフを見ると合成洗剤は、3日経ってもほとんど分解されずに残っていることが分かりますね。人々が合成洗剤を使い続けると分解されずに残り、水質汚染が悪化するでしょう。

それに対して石けんは、半日ほどで約90%が分解されます。残った石けんカスは、微生物や生き物の餌になるため水質汚染の心配もありません。この事実を多くの人が知り、積極的に石けんを選ぶようになれば、美しい水質環境を保てるようになるでしょう。

シャボン玉石けんが貢献するSDGs

シャボン玉石けんの石けんは、無添加にこだわり石けん成分のみを配合しているため、海や川に流しても悪影響を及ぼすことがありません。そのため、目標6の次のターゲットに貢献しています。

6.3 2030年までに、汚染を減らし、投棄をなくし、有害な化学物質や危険物の放出を最小化し、未処理の排水の割合を半減させ、再生利用と安全な再利用を世界中で大幅に増やすことによって、水質を改善する。

株式会社NEXT LEVEL(奥芝商店)

引用元:奥芝商店

株式会社NEXT LEVELは大自然が広がり、さまざまな生態系が暮らす北海道にある企業です。創業から15年経ち、現在は「地域にとどまらず広く社会的責任を果たせるように精進していく」と、国内外問わずさまざまな取り組みに挑戦しています。

子どもたちが大人になる事を楽しみと思える世の中を

NEXT LEVELでは「子どもたちが大人になる事を楽しみと思える世の中を作り、世界を一つに」をグランドデザインに掲げています。SDGsへの取り組みもグランドデザインに沿ったものばかりです。

例えば、

  • フードロス削減 今まで捨てていたエビ頭のリサイクル
  • 高齢者の女性が生き生きと働ける飲食店「おくしばぁちゃん」
  • 被災地の方々の力になるために被災地への炊き出しを行う「災害被災地支援」

などに取り組み、日々達成に向けて活動しています。

そして、この取り組みは国内だけではありません。世界全体で目標を達成するために、途上国への国際協力も行っています。それが「カンボジア井戸掘り」です。

カンボジアに179個の井戸を

普段は奥芝商店で飲食店を経営し、町の活性化に力を入れている株式会社NEXT LEVELですが、2009年から水不足に悩むカンボジアに井戸を掘る事業をスタート。

カンボジアでは、人口の36%が安全な水を手に入れられず、汚染された泥水を飲む人もおり、解決には「井戸」が効果的です。

井戸は1つ掘ると、20人以上の人々がきれいな水を飲めるようになります。株式会社NEXT LEVELは現時点で80基の井戸を建設しており、1,600人の人々に安全な水を提供しました。

NEXT LEVELが貢献するSDGs

井戸を掘ることで安全な水を常に使えるようになり、農作物の栽培にも使われ飢餓の問題も軽減。泥水を飲んで感染症にかかる心配もありません。さらに遠くまで水を汲みに行かなくても良くなるので、子どもたちは学校へ、女性は職に就くことができるでしょう。

そのためNEXT LEVELは、目標6の下記のターゲットに貢献しています。

6.a 2030年までに、集水、海水の淡水化、効率的な水利用、排水処理、再生利用や再利用の技術を含め、水・衛生分野の活動や計画において、開発途上国に対する国協力と能力構築の支援を拡大する。

まとめ

今回は目標6「安全な水とトイレを世界中に」に取り組む企業を5つ紹介しました。

  • 微生物の分解力を利用し、水を使わず排泄物を処理するバイオトイレを開発した企業
  • 海洋汚染が問題視されていた現像廃液を、8/1にまで削減したCTPを開発した企業
  • 川や海に流しても短期間で、分解され生き物の栄養源になる本物の無添加石けんを製造している企業
  • 発展途上国であるカンボジアに、179個の井戸の建設に取り組んでいる企業

近年「自分たちにできることは何か」を考え、それぞれ得意な分野で目標達成に貢献している企業が増えています。あなたも社員や仲間と協力して、「自分たちならどうするか」を考えてみませんか。

そのアイディアが、地球の未来をより良いものへと変えてくれるでしょう。