ソーイング竹内 | フードロスと衣類廃棄の課題に向き合うエプロンを開発

ソーイング竹内 竹内祐太さん インタビュー

竹内 祐太

1994年3月22日、兵庫県多可郡生まれ。2016年4年制大学卒業後、青山商事に就職し上京。店舗販売スタッフとリクルーターとして在籍し販売・発注・人事業務サポートを経験。その後、服飾雑貨メーカーにて勤務し、紳士服チェーンを中心に雑貨、靴下を販売する営業マンとして、商品企画・提案・顧客管理などを行う。2020年、新型コロナウイルスのパンデミックを機に、家業(株)ソーイング竹内に入社。営業とファクトリーブランドのクリエイティブディレクターを兼任し、会社とブランドのPR活動やSDGsの取り組みにも積極的に参加し、持続可能なものづくりを目指している。

introduction

ソーイング竹内は、繊維産業の盛んな兵庫県多可町にある縫製・加工・卸売を行う会社です。お客様からの依頼を受け、エプロンやミトンなどのキッチンファブリック、バッグ、服飾雑貨の縫製などを手掛けています。近年では、地域産で質の高い生地を使い、確かな縫製技術を活かしたオリジナル商品の製造販売にも力を入れています。

エコという言葉が浸透する前から環境問題への取り組みを行っており、その精神がオリジナル商品開発にも活かされています。SDGsに取り組むようになったきっかけや、フードロス問題に対応した新商品の開発などのお話を聞きました。

創業当時から環境問題に取り組む

まず、ソーイング竹内さんの事業内容を教えてください。

竹内さん:

弊社がある兵庫県多可町は、播州織が有名な200年以上続く繊維産業のまちです。弊社では播州織を含む様々な生地を使って、服飾雑貨の縫製・加工・卸売りをしています。お客様の依頼で商品を作るOEM生産(委託を受けて他社のオリジナル製品を生産する)がメイン事業です。最近になって、自社開発のオリジナル商品も作るようになりました。

SDGsに力を入れ始めたきっかけは、なんだったのでしょうか。

竹内さん:

創業当時から「もったいない精神」のある会社だったんです。繊維業は裁断によってたくさんゴミが出るので、いかにゴミを減らすかを常に考えながらやってきました。

特にSDGsに力を入れるきっかけになったのは、「エコ」という言葉が出始めたくらいの2000年前後です。得意先からエコバッグの製作を依頼され「エコな商品を作るのならば、工場もエコじゃないといけないのでは」と考え、環境問題にさらに力を入れて取り組むようになりました。

具体的にどんなことをされているのでしょうか?

竹内さん:

「エコアクション21」という環境省が定めているガイドラインに基づいて、取り組んでいます。2004年にこの認証を取得して、2年に一度更新しながら現在も継続しているんです。

たとえばCO2排出量を数値化し前年と比べることで、二酸化炭素削減につなげています。会社で使用している車のガソリン代や配送が1日に何回来ているか、冷暖房は何時間使用したかなどを細かく管理し、数字で把握しています。また、弊社の使用電力の一部は社屋屋上設置の太陽光発電でまかなっているんですよ。

中小企業でそんなに細かいことをするのは大変ではないですか?

竹内さん:

弊社は30人弱の規模ですが、創業当時から環境に配慮しているので今は習慣化できています。ただ、取り組みを始めた2000年代前半は、ゴミの分別もなく、焼却炉でゴミを燃やしていたような時代だったので、当時は社内の反発もあったそうですけどね。

そんな時代から、継続して環境のことに取り組んでいるのはすごいですね!

竹内さん:

はい。そして弊社の継続的な取り組みが評価され、「エコアクション21オブザイアー2021」のソーシャル部門で金賞(環境大臣賞)を受賞しました。

フードロスと衣類廃棄の課題に向き合う「BF KITCHEN」

ここからは、商品開発に関してお話を伺います。最近、新商品の開発に力を入れているそうですね。

竹内さん:

はい。廃棄されている栗やブルーベリーなどの食品を使って染色した、エプロンやミトンなどのブランド「BF KITCHEN」を新たに立ち上げました。

弊社はいわゆる「モノづくり」の末端を担う縫製工場ですが、自分たちで考えて商品を作って発信するのは苦手だったんです。しかし、せっかくエコファクトリーとして世間からの評価もいただいているので、弊社の特性を活かした商品開発がしたいという想いから生まれた商品なんです。もともとキッチン用品で創業した会社なので、原点回帰の意味も込めました。

BF KITCHENはどんな商品なんでしょうか。

竹内さん:

このプロジェクトには2つの意味があります。食品と衣類はどちらも廃棄物が多い産業として問題を抱えています。その2つを解決する取り組みとして、廃棄される食品を使って染色し、生産の過程で出る繊維ゴミは100%リサイクルしているんです。

食品はどんなものを使っているんですか?

竹内さん:

今まで捨てられてしまっていた食材を、生地を染色する材料として使っています。また、生地はオーガニックコットンを使用し地域産業の播州織で、地産地消にこだわっています。

繊維ゴミはどのようにリサイクルしているのでしょうか?

竹内さん:

裁断後の捨てるしかない生地をリサイクルしています。多い月で約32tの廃棄生地がありましたが、その中でも綿素材の生地は、細かく粉砕し工業用機械部品にリサイクルしています。綿素材の廃棄物はすべてこの方法で完全リサイクルができているんですよ。

食品で染色して商品化するときに、大変だったことはありますか?

竹内さん:

天然染料なので時期や湿度によっても色が変わったり、同じブルーベリーを使ってもすべてが全く同じ色にはならなかったりするところですね。また、食品には旬があるので、いつでも材料が手に入るわけではない部分も今後の課題です。「この色はこの期間限定です」として販売することも考えています。

販売はいつから始まっているんでしょうか?

竹内さん:

2022年3月Makuakeでのクラウドファウンディングを行い、5月より本格的に販売開始になります。環境問題への意識がある方や、ストーリー性のある商品に興味がある方に届いたらいいなと思います。さらには、環境問題に関心のない層にまで届いたらうれしいですね。

少子高齢化問題を抱えた地域に貢献する

環境問題以外にも取り組まれていることがあるそうですね。

竹内さん:

弊社のある多可町は少子高齢化が進み、若者が少なく後継者不足が深刻です。地域を持続させるためにも、この地域出身の若者が一旦外へ出ても「戻ってきたい」と思える地域作りをしていく必要があると感じています。

そのために弊社も4年前に社屋を建て直し、明るい雰囲気のおしゃれな職場に生まれ変わりました。田舎の工場って暗くて汚くて寒くて……というところが多いんですよね。クリエイティブでおしゃれな若者が、働きたいと思えるような環境づくりを大事にしていきたいです。

ソーイング竹内の社屋

働く環境を整えることも、重要な地域貢献ですね。

竹内さん:

はい。他にも、コロナ禍で祭りやイベントごとなどの楽しみが少なくなってしまったので、弊社の敷地内でドライブインシアターを企画しました。地域の人や子ども達に楽しみを提供できる環境作りにも力を入れていきたいです。

最後に、ソーイング竹内さんの今後の展望を教えてください。

竹内さん:

弊社はSDGs目標12の「つくる責任 つかう責任」に取り組む義務があると感じています。なるべくゴミを出さず、クリーンなエネルギーを使ってものづくりができる弊社の特性を活かしたBF KITCHENのような商品づくりを今後もやっていきたいですね。お客様からの依頼で作る商品ももちろんですが、自社開発の商品もどんどん広げていきたいと思っています。

自社ブランドの一つROOTZIEL(ルーツィール)

環境問題に取り組みながら地域にも貢献する。この地域を代表するブランドになっていけるよう、ますます力を入れていきます。

本日はありがとうございました。

ソーイング竹内 関連リンク

公式サイト https://www.sewing-takeuchi.co.jp/

BF KITCHEN https://www.sewing-takeuchi.co.jp/bf-kitchen/