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tabeloop(たべるーぷ) | 生産者の声から始まった、食品ロス削減に取り組むプラットフォーム

たべるーぷ 佐治祐二郎さん インタビュー

佐治祐二郎
上智大学卒業後、日系コンサルティング会社やM&A支援会社での勤務を経て2010年にバリュードライバーズ株式会社を設立。SDGs12.3の『2030年までに食品ロスを半減する』をゴールとして掲げ、まだ食べられるにも関わらず廃棄されてしまう食材を、レストランや消費者などの買い手に届けるフードシェアリングサービス「tabeloop(たべるーぷ)」を2018年にリリース。各種メディアで特集されると共に、消費者庁の食品ロス削減推進大賞にて審査委員会委員長賞を受賞するなど注目を集める。2022年には東京の世田谷区にて「食品ロス削減」と「エシカル消費」をテーマとした実店舗を構えるなど、新たなチャレンジを続ける。

introduction

tabeloop(たべるーぷ)は、食品ロス削減に取り組むオンライン上のプラットフォームです。農家や事業者は規格外や賞味期限間近などの商品を出品し、消費者はオンラインや店舗で購入できる仕組みになっています。WEBマーケティングや飲食店のコンサルティングを行う、バリュードライバーズ株式会社がたべるーぷを運営しています。

今回は、バリュードライバーズ株式会社の代表取締役・佐治さんに、たべるーぷを始めたきっかけや想いについて伺いました。

食品ロス問題に取り組む「たべるーぷ」誕生のきっかけ

–本日は、よろしくお願いします。早速ですが、まずは運営会社であるバリュードライバーズの事業内容について教えてください。

佐治さん:

当社は飲食店や小売店を支援するために立ち上げた会社で、WEBサイトを作ったり、マーケティング支援を行ったりしています。

–マーケティングを行う御社が、なぜたべるーぷを始められたのでしょうか?

佐治さん:

顧客から「お菓子が余っている」と相談を受けたことが始まりです。実は、食品業界では「3分の1ルール」が慣例となっています。賞味期限がまだ残っているにもかかわらず、残り期限が3分の1になると行き場がなくなり、結局廃棄しなければいけなくなっている現状なんです。(現在はルールを緩和されているチェーンもあります)

–3分の1ルールなんていうものがあるんですね!知りませんでした。

佐治さん:

そこで2014年に、お菓子を販売するウェブサイト「Sweets Pocket(スイーツポケット)」を始めました。まだ賞味期限は残っているのに、店頭で売れなくなったお菓子を詰め合わせて、定価4000円分のボックスを半額の2000円にして販売しています。

–売り手は廃棄せずに済み、消費者は安く買えるんですね。

佐治さん:

スイーツポケットが、食品ロス問題をテーマにした最初の取り組みでした。その後、他の食品関係の方々からも「お菓子以外にも扱ってほしい」という声をいただくようになり、2018年に食品版のプラットフォームである「たべるーぷ」を始めました。

規格外商品を取り扱う「たべるーぷ」と、農産物に特化した「産直たべるーぷ」

–たべるーぷはどのような仕組みなのでしょうか。

佐治さん:

食品ロスに特化したメルカリのようなものと言えばわかりやすいでしょうか。形が不揃いな野菜や包装が汚れているもの、賞味期限間近でスーパーに並べられない商品など、市場に流通されない商品を取り扱うオンライン上のサービスです。売り手は農家さんや食品関連の事業者、買い手は一般消費者だけではなく、飲食店の方もいます。会員登録した人だけが買えるサービスで、月額費や会員登録はすべて無料。売り手側は商品が売れたときに、最大15%の手数料が発生する仕組みです。

–たべるーぷの姉妹店「産直たべるーぷ」もありますよね。こちらはたべるーぷとはどのような点が違うのでしょうか。

佐治さん:

たべるーぷでは様々な商品を扱っていますが、産直たべるーぷは農畜水産物に特化したサービスです。というのも、新型コロナウイルスの流行が始まった時、ホテルや飲食店の経営が悪化し、売り先がなくなってしまった農畜水産物が大量に出ました。もの自体はいいのに、突然売れなくなってしまったんです。
大量廃棄されてしまう農畜水産物を救うため、2020年から産直たべるーぷを始めました。

–確かに、当時はホテルや飲食店の経営難がニュースでも取り上げられていましたね。

佐治さん:

たべるーぷと産直たべるーぷは少し性質が異なります。たべるーぷでは、賞味期限間近や訳ありの商品を「〇割引!」とアピールして売っていますが、産直たべるーぷで扱うのは、生産者の方が普段から販売されている商品です。

コロナなどの事情があって、品質に問題はなくても売れずに困っているものを販売しています。だから、客層も若干異なるんですよ。産直たべるーぷの方には「高くてもよいものがほしい」という方が多いですね。

–産直たべるーぷでは、具体的にどのような商品を取り扱っているのでしょうか?

佐治さん:

コロナの影響で売れなくなってしまった養殖のタイがありました。タイはホテルのレストランやお祝いなどの特別な場で提供されることが多いので、コロナで機会そのものがなくなってしまったんです。

養殖真鯛業者さんのインタビュー

養殖のタイは、いけすで3年かけて1.8kg程度に成長させてから売ります。売って空いたいけすに稚魚を入れて、また3年かけて成長させるという流れなのですが、売れないといけすが空かず、新たなタイを養殖できません。生産者が「もうタイを海に放流することも考えないといけないのかもしれない」と話し合っていたところ、産直たべるーぷで販売できました。

–そんな事情があることを知れば、「買いたい!手助けしたい!」と思う消費者はきっといますよね。現在、たべるーぷ全体の会員数はどれくらいいるのでしょうか?

佐治さん:

売り手は、農協や組合連合などのグループも含めて300ほどです。買い手側は約1万5000の登録があります。飲食店が10〜20%、あとは一般の消費者です。

–近年、食品ロスを扱うオンライン上のサービスが増えていますが、御社との違いはなんだと思いますか?

佐治さん:

B to Bが強いことですね。当社はもともと飲食店や小売店の支援を行っていたので、一般消費者だけではなく、多くのお店が顧客になっていることが強みです。突然、農畜水産物の食品ロス品が大量に発生することや、早く売らなければいけないこともあります。法人顧客がいることで、一気に買い取ってくれて問題が解決することもあるので、そこが当社の強みだと思いますね。

–大きな物量がさばけると、それだけ食品ロス削減に貢献できますね!

食品ロス削減と飢餓撲滅に取り組む想い「未来の子どもたちのために」

–御社がたべるーぷに取り組む上で、大切にしていることはなんですか?

佐治さん:

当社はSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」と目標2「飢餓をゼロに」に貢献することを目指しています。目標12では、2030年までに食品ロスを半減させる目標を掲げています。政府の発表によると、2020年の日本全体の食品ロスは約522万トンで、国民一人あたりが毎日お茶碗1杯分近くのご飯を捨てていることになります。当社はたべるーぷのプラットフォームを広げていくことで、この食品ロス削減に貢献していきたいと思っています。

–食品ロス削減の取り組みが、目標12に貢献するんですね。目標2の「飢餓をゼロに」には、どのように貢献しているのでしょうか?

佐治さん:

たべるーぷの収益の一部をFAO(国際連合食糧農業機関)に寄付しています。私たちは「生産・消費・環境・未来」の「四方よし」を掲げています。今だけではなく、未来の環境や子どもたちのことを考えて、次世代によい食と食文化を残していきたい想いがあるんです。
そのためにも、食品ロス削減と飢餓撲滅が大きなテーマです。余っているものを飢餓に苦しむ人々に直接届けようと考えたけれど、それは難しい。すぐに動けるものは寄付だと考え、FAOに寄付をして飢餓撲滅に貢献しています。

–「未来の環境や子どもたちのために」という想いが根底にあるからこそ、食品ロス削減と飢餓撲滅が大きなテーマなんですね。

産地と消費者をつなぎ合わせる役割を果たす「たべるーぷ」

–たべるーぷを運営していて、周囲の反応はいかがでしょうか?

佐治さん:

売り手側は喜んでくださる方が多いです。ショートケーキ用のいちごを栽培している北海道のいちご農家さんの例があります。ショートケーキ用のいちごは基準がすごく厳しくて、少し傷ついていたり、形が不揃いだったりすると売れないんです。月間で2トン近く廃棄していたものを当社で大量に取り扱うことができて、とても喜んでいただけました。

–毎月2トンも廃棄していたんですね!大量のいちごが救えたのはすごいことですね。

佐治さん:

買い手側のお客さんからも、反応をいただきます。2022年6月に初となる直営店舗をオープンしたのですが、なぜ割引しているのか裏側を説明すると、納得して買ってくださいます。事情を説明すると「そんなこと知らなかった。少しでも応援したい」と、一度購入されてから再度買いに来てくださることもあります。

–一般消費者にはなかなか伝わらないこともありますよね。たべるーぷが産地とお客様をつなぐ役割をしているのですね。

食品ロス削減のため、お客様に喜んでもらうために活動を続ける

–最後に、今後の展望について教えてください。

佐治さん:

先ほどもお話した直営店舗はオープンしたばかりなのですが、店でやっていきたい構想がいくつかあります。その一つが、店舗での共同購買です。

–共同購買とは、どんなものでしょうか?

佐治さん:

例えば、通常の小売店では売れなくなった、足が取れたカニが大量に余っていたとします。当社で50杯仕入れても、もし全部売れなかったら結局廃棄しなければいけなくなり、当社にもリスクがあります。
そこで、お客様に「こんなカニがあるんだけど、ほしい人いますか?」と、SNSを使って事前に連絡するんです。予約が取れた状態で一気に仕入れることによって、送料も安くなり、ロスも生まれません。お客様には店舗に受け取りに来てもらうことも可能にして、上手にオンラインとオフラインをつないで活用していきたいですね。

–生産者・消費者、そして間に入る御社も、WIN-WIN-WINの仕組みですね!

佐治さん:

そうですね。たべるーぷのWEBサイトや店舗を通して、多くの方に喜んでいただけたらと思います。そのためにも、もっと多くの方にたべるーぷを知ってもらえるように、今後も努力していきます。

–よい循環の輪がどんどん広がっていくといいですね!本日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

関連リンク

たべるーぷ公式サイト:https://tabeloop.me/
産直たべるーぷ公式サイト:https://sanchoku.tabeloop.me/