日本最大手のメガバンクである三菱UFJ銀行(以下MUFG)。
今では、街中や主要の駅に必ずといっていいほど目に入る銀行ですよね。
グローバルに事業を展開するMUFGは、「持続可能な環境・社会がMUFGの持続的成長の大前提である」との考えに基づき、国連の持続可能な開発目標SDGsに賛同しています。
MUFGは、ESG活動の中の環境(E)社会(S)に取り組むにあたって、SDGsの目標から関連課題を整理し、貢献するため、優先的に取り組む10の課題を特定しました。
この記事では、MUFGが特定した優先課題としている10の環境・社会課題をご紹介します。
三菱UFJ銀行のビジョンと事業内容
企業名 | 株式会社三菱UFJ銀行フィナンシャル・グループ |
SDGs | 1.3.4.5.7.8.9.10.11.13.16 |
サステナビリティレポート |
ビジョン Vision(中長期的に目指す姿)
世界に選ばれる、信頼のグローバルグループ
グループとしてさらなる成長を遂げ、お客様・社会へ貢献し続けるために。
MUFGは以下のことを大切にし、実践していきます。
- 信頼・信用
- プロフェッショナリズムとチームワーク
- 成長と挑戦
世界が進むチカラになる
VisionValuesPurpose |
これらをMUFJ Wayとして、MUFGグループが行動するにあたっての最も基本的な姿勢であり、全ての活動の指針とするものです。
経営戦略の策定など、経営の意思決定のよりどころとし、全役職員の精神的支柱として、諸活動の基本方針としています。
事業内容
総合金融グループに強みを発揮するため、グループ各社が密接な提携のもと、一元的に戦略を定め事業を推進する事業本部制を導入しています。
各事業本部は、お客様の幅広いニーズにお応えするため、グループ各社がそれぞれの強みを融合させた戦略の立案や施策の運営を行っています。
- デジタルサービス事業本部
- 法人・リテール事業本部
- グローバルCIB事業本部
- グローバルコマーシャルバンキング事業本部
- 受託財産事業本部
- コーポレートバンキング事業本部
- 市場事業本部
三菱UFJ銀行のSDGsの取り組み〜世界が進むチカラになる〜
それでは、MUFGが取り組む、SDGs達成に向けた10の優先課題を紹介します。
優先10課題 気候変動対応・環境保全少子・高齢化への対応インクルージョン&ダイバーシティ社会インフラ整備産業育成・イノベーション支援金融サービスへの平等なアクセス確保働き方革命貧困問題への対応教育格差の是正健康への脅威の克服 |
1. 気候変動対応・環境保全
MUFGは、気候変動対応・環境保全への取り組みを経営の最重要課題として認識しており、ビジネス機会とリスク管理の両面から対応しています。
気候変動対応にかかる世界のモメンタムは大きく加速し、MUFGにおいても2021年5月には「MUFGカーボンニュートラル宣言」を公表し、新たな一歩を踏み出しました。
MUFGは、2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロ、2030年までのMUFG自らのGHG排出量ネットゼロを掲げた「MUFGカーボンニュートラル宣言」を2021年5月に発表しました。
2022年4月には、その進捗を報告する「MUFG Progress Report」を発行しました。
カーボンニュートラル宣言以降の主な取り組み
- MUFG環境方針、MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク
- 自然関連財務情報開示タスクフォーム(TNFD)フォーラムの参画
2. 少子・高齢化社会への対応
資産形成・投資教育などを通じた人生100年時代への備えの支援を進めています。
また、グループの機能と提携先のネットワークを活用した円滑な事業承継・資産承継の支援、高齢化社会に対応した商品・サービスの開発、デジタルを活用したサービスの提供などを進めています。
- 老後の長生きへの備えや介護などの保証サポート、最適な資産形成
- 運用のご相談定期預金、開花預金、債権、投資信託、生命保険他、脆性優遇制度など幅広く提供
- 提携先のネットワークを活用し幅広いニーズに対応
- グループ一体でのソリューション提供
- M&A提案、信託による相続・不動産提案、証券による資産運用提案を実施
- 事業承継貸出等により合計1兆円超の資産・事業承継をサポート
- 無償で使える「予約型代理人サービス」:
認知・判断能力低下後の円滑な金融取引をサポート - 家族と一緒に資産を管理する「つかえて安心」サービス:
専用アプリを通じて本人・ご家族による資金管理可能 - 家族に届ける、自分誌アプリ「わが家ノート by MUFG」:
将来的な相続への備えをデジタルコンテンツで準備
- 職場体験学習と出前授業
- 教室で体験するインターンシッププログラム『株の力』
3. インクルージョン&ダイバーシティ
MUFGのインクルージョン&ダイバーシティ推進活動が目指すスローガン「認める。活かす。高めあう。〜グループ全員の力で、お客様の期待を超えるために〜」を設定し、グループ一体で取り組んでいます。
- 女性キャリアの形成支援
- 仕事とプライベートの両立支援
- 管理職の啓発
- あらゆる社員が活躍する職場づくり
- 海外拠点での活動
上位職の女性社員に対して、選抜研修やメンタリングプログラムなどを実施し、役員を目指す意識の醸成や、高度なスキルの習得機会を設けています。
- 育児との両立支援
・スムーズな職場復帰をサポート
・男性の育児参画を推進
・MUFG企業主導型保育園
・仕事と育児の両立支援企業として認定
- 介護との両立支援
介護を必要とする家族がいる社員には、情報提供やサービス提供を行うことで、そうでない社員には事前の備えを促すことで、スムーズな介護と仕事の両立を支援しています。
・介護セミナーを開催
・両立支援サービスの提供・両立支援ハンドブックの発行 - 不妊治療との両立
晩婚化等を背景に、不妊治療を受ける夫婦が増加している社会環境を踏まえ、働きながら不妊治療を受ける社員を支援します。
管理職の意識はダイバーシティ推進の成否を左右する重要な要素の一つです。
多様な部下の価値観やプライベートを理解し、働きがいを高め、成果も生み出す意識の浸透を目指し、さまざまな取り組みを実施しています。
取り組み事例
- ワークショップを開催
- 管理職による「イクボス宣言」
多様な社員一人ひとりが自分らしく働ける職場づくりを目指し、さまざまな取り組みを行っています。
- 障がい者:特例子会社の設置や、障がい特性に応じた職場環境整備により、障害のある従業員の活躍の場を広げています。
- LGTB
・MUFG人権方針への明記
・同性パートナーシップ認定
・さまざまな啓発活動の実施
・イベント協賛
- 柔軟な働き方の推進
- 家族の理解促進
インクルージョン&ダイバーシティの推進における課題は地域ごとに異なるため、それぞれの課題を踏まえた取り組みを各地域主導で行っています。
グローバルベースでダイバーシティを受け入れる風土を醸成するために、2010年より各地域の推進担当者間で好事例等の情報共有や、今後の共同に関するディスカッション等を行っています。
4.社会インフラ整備
持続的な社会を支えるインフラ投融資を推進。
金融犯罪防止、サイバーセキュリティ強化へのグループ・グローバルでの取り組みを通じた安心・安全な金融インフラの提供を行っています。
取り組み事例
- 渋滞の低減や排気ガスの削減に向けた鉄道インフラや水関連のインフラ整備、病院建設等、社会課題解決を目指すプロジェクトへの住棟に資金使徒が限定される、ソーシャルローンの提供を推進しています。
- サウジアラビアの電力会社が行う、環境負荷低減に資する送配電分野のプロジェクトに対し、国際協力銀行の地球環境保全業務の枠組みを活用して、協調融資による支援を実施しています。
5. 産業育成・イノベーション支援
MUFGは、経済の索引役たる成長産業の勃興や活力あるベンチャー企業の育成を支援することは、経済の停滞を回避し、持続的成長を達成する上で必要です。
そこでは、リスクマネーの供給をはじめとする金融機能の役割が重要だと考えます。
主な取り組み
- グループの顧客基盤を活用したビジネスマッチングなどによるベンチャー企業の事業成長・大企業の新規事業創出支援
- ベンチャーキャピタルによる創業段階での株式出資や、企業成長可能性検証を踏まえた事業性資金融資
6. 金融サービスへの平等なアクセス確保
マイクロファイナンスを通じた新興国・途上国での産業・雇用創出、米国における低中所得者層への助成金支援を含む住宅ローンの提供を通した住宅保有機会の拡大を進めています。
また、ブロックチェーンを活用したデジタル証券による信託商品の多様化に取り組んでいます。
主な取り組み
- HATTHA Bank Plc.を通じたマイクロファイナンスの提供
- Grab社との協働
- クルンシィ(アユタヤ銀行)における金融リテラシー向上に向けた取り組み
- ダナモン銀行における金融リテラシー向上に向けた取り組み
7. 働き方改革の推進
MUFGは、リモートワークや時差勤務制度などの積極的な活用を促進し、場所や時間に縛られない柔軟な働き方の実現を通じ、社員のモチベーション向上と業務効率化を推進しています。
主な取り組み
- 手続きのオンライン化による、お客様および自社の業務プロセス改善。
- 業務プロセス改善による働き方改革の促進やサテライトオフィスの活用。
- リモートワークの推進などによる柔軟な働き方の実現。
- 社員の意識調査結果などを踏まえたエンゲージメント向上施策。
8. 貧困問題への対応
MUFGは、SDGsの「誰一人取り残さない」という世界の実現に貢献するため、貧困問題に取り組んでいます。
金融機能を通じた支援に加え、寄付などの社会貢献を通じて幅広い活動を行っています。
MUFGは、将来を担う子どもたちに夢と希望を与え、寄付等を通じて社会の持続的発展に貢献するため、貧困家庭や闘病中の子供たちを対象に活動している※3団体に3年間で1.8億円の継続的な寄付を実施しています。
※3団体:認定NPO法人日本クリニクラウン境界、認定NPO法人Learning for All、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
MUFGは、「『公け』や『公共』に想いを馳せ、自らを考え、具体的に行動すること」を目的に、社員から社会貢献活動のアイディアを募集し、活動資金を会社が支援する枠組みである「MUFG SOUL〜熱い想いを社会のチカラに〜」を運営しています。
「認定NPO法人Learning for All」「公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン」の両代表と、三菱UFJリサーチ&コンサルティングより有職者を迎え、社内向け「子どもの貧困シンポジウム」を開催しました。
日本の「子どもの貧困」の実態や社会への影響なども概要に加え、各団体の活動内容を紹介。
最後は社員からの質問に登壇者が回答し、「子どもの貧困」という社会課題に対する知識を深めるとともに、社会課題について考えるきっかけの場となりました。
9. 教育格差の是正
教育は安定した社会の礎、かつ持続的な経済成長の源泉です。
従来、金融機関の使命として、金融リテラシー向上のための金融経済教育を推進してきましたが、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて浮き彫りとなった教育格差是正のため、より一層の支援を実施していきます。
取り組み事例
- 国連SDGsに関わる情報提供をサポート
- 教育現場の質の向上に貢献
- 新型コロナウイルス感染症拡大への対応
- 「Mentoring Works」プログラムを通じた学生支援
10. 健康への脅威の克服
人々が健康であり、社会機能の維持・向上を図ることは、持続的な経済活動の大前提です。
お客様や地域・社会、次の世代の人々が、健康的で多様な生き方を選択できるように、さまざまな取り組みを行っていきます。
取り組み事例
- インパクト投資で次世代ワクチンの研究開発を支援
- 低所得国および低中所得国向けの必須医薬品をサポート
- 新型コロナウイルス感染症長期化に伴う支援
- クルンシィ(アユタヤ銀行)による乳がんに関する認知度向上に向けた取り組み
- ダナモン銀行の新型コロナウイルスの感染症拡大への対応
まとめ
MUFGは、これからも優先的に取り組む10の環境・社会課題を起点に、事業戦略・リスク管理・社会貢献活動を推進しSDGsの目標達成に貢献していきます。
そして、こうした取り組みを着実に実施し、MUFGの持続的な成長の実現に邁進していきます。