#インタビュー

株式会社WOOC|空室を再生させ価値を生み出す!今あるものを大切にして環境問題・働き方改革にも貢献

株式会社WOOC オフィス事業戦略チーム 太田さん インタビュー

株式会社WOOC
2008年、株式会社リビング・エージェントとして設立。住宅管理・サブリース事業とレンタルオフィス事業「BIZcircle」を開始する。

2014年、 コワーキングスペース・レンタルオフィス事業「BIZcomfort」をスタート。

2017年、現在の社名「株式会社WOOC」に変更。

2023年11月現在、コワーキングスペース・レンタルオフィス事業「BIZcomfort」は全国に140拠点を数えるまでに成長している。

introduction

日本における「空き家・空室問題」は、現在解決すべき大きな社会課題です。

その中で、休眠不動産の価値や評価を見つめなおし、空室をシェアオフィスや住宅として再生し貸し出すことで、課題解決に取り組んでいるのが株式会社WOOC(ウォーク)です。

企業理念「空室にVALUE(価値)&DESIGN(デザイン)を!」を実践し、再生されたシェアオフィスは機能的でデザイン性に富み、多くの人が利用しています。

今回は同社のオフィス事業戦略チームの太田さんに、事業内容やSDGsへの取り組みなどについて伺いました。

「空室再生」を通し人と社会に貢献することが使命

–まず株式会社WOOCのご紹介をお願いいたします。

太田さん:

弊社は企業理念に「空室にVALUE&DESIGNを!」を掲げ、スクラップ&ビルド(老朽化したものを壊し、新しいものに作り変えること)の傾向が強い不動産業界において、空室再生を通して「今あるもの」に新しい価値を見出し、人と社会に貢献することを使命としています。

また「空室再生」をベースに、不動産業界の社会問題解決にも積極的に取り組んでいます。

社名の「WOOC」は「We are the Only One  real estate Company」から作られました。

不動産の空室を再生・収益化することを通して、唯一無二の会社を目指しています。

《ビフォー》

WOOCHPより引用

《アフター ・BIZcomfort横浜元町 ANNEX》

WOOCHPより引用

–次に、事業内容をお聞かせいただけますか。

太田さん:

主な事業は、空き家や空き店舗を借りあげて、シェアオフィスや賃貸住宅などの各目的に合わせた形に作り変え、貸し出すことです。

空き室などを提供するオーナー側と、シェアオフィスなどを借りるユーザー側のそれぞれにサービスを提供しています。

まず、オーナーに対するサービスが「サブリース事業」です。

長い間空室だったり、投資目的だったりする物件をオーナーから借りあげて改装し、レンタルオフィス・コワーキングスペースや賃貸住宅として貸し出します。

オーナーには改装の費用を投資としてお支払いいただきますが、契約期間中は賃料が必ず手元に入ります。加えて、シェアオフィスや賃貸住宅の運営は全て弊社が行いますので、手間もかかりません。弊社側は空き物件を有効利用できるという、お互いに無駄なく利用できるシステムです。

ユーザー向けに展開しているのが、賃貸住宅やレンタルオフィス・コワーキングスペースなど空室を再生させスペースを貸し出す事業です。

「『はたらく』をもっと自由に快適に!」をコンセプトとして、「BIZcircle(ビズサークル)」「BIZcomfort(ビズコンフォート)」というブランド名でレンタルオフィス・コワーキングスペースを運営しています。

「BIZcircle」は必要なものだけを揃え価格を抑えたレンタルオフィス、「BIZcomfort」は「はたらく」をもっと自由に快適に!というコンセプトのもと設備やサービスをさらに充実させたシェアオフィスです。法人登記・専用ポストなどのサービスを付帯し、個室が持てる「レンタルオフィス」、フリーアドレスの座席を提供している「コワーキングスペース」の2つのサービスを提供しています。

《BIZcomfort本厚木 1名用レンタルオフィス》

BIZcomfortHPより引用

《BIZcomfort横浜鶴屋町 4名用レンタルオフィス》

BIZcomfortHPより引用

《BIZcomfort錦糸町 コワーキングスペース》

BIZcomfortHPより引用

《BIZcomfort所沢駅前 コワーキングスペース》

BIZcomfortHPより引用

現在、北海道から関西エリアまで約140拠点※1を、24時間365日※2自由に使えるレンタルオフィス・コワーキングスペースとして展開しています。※1 2023年10月16日時点 ※2 一部対象外拠点あり

また、大きな特徴としては、利用者のライフスタイルに合わせた働き方ができるように、利用プランを選んでいただけることです。

例えば、コワーキングスペースの「全日プラン」ですと月額料金で、1拠点のフリーアドレスが24時間365日使い放題。「全拠点プラン」では全国のBIZcomfort拠点のコワーキングスペースや会議室が使えます。

お試し利用などには、利用した料金のみを払うライトプラン(入会金無料)など、様々なプランをご用意しています。

コワーキングスペースだけでなく、インターネットはもちろん、会議室やフリードリンク等のサービスも充実させています。

プラン料金が他社のシェアオフィスに比べてリーズナブルなことが多いのも「BIZcomfort」の特徴です。

利用される方は個人・個人事業主の方が多く、個人事務所、テレワークや出張先での仕事など、いろいろな使い方がされています。

–テレワークが定着してきた中で使い勝手のよいサービスは魅力的ですね。店舗を作る際のこだわりを教えてください。

太田さん:

弊社は、新しい働き方を応援し、どこのまちにも「BIZcomfort」があり、どこに住んでいても自分のオフィスが持てることを目指しています。

その中で、シェアオフィスの店舗を作る際には「空室再生」とともに「職住近接」と言うキーワードも大切にしています。

一般的にシェアオフィスは都心部にあることが多いのですが、弊社は住宅地やベットタウンにも出店しています。

住宅地での一般的なオフィスの運営は、借り手がつかず苦戦することもあります。そこを弊社がシェアオフィスとして再生することで、テレワーカーやエリア内で働く場所を求めている人達のワークスポットにできるんです。

また、マンションの一階部分は入居されにくく、賃料を下げることもありますが、シェアオフィスならば路面店であることが強みになります。

住宅とシェアオフィスのメリット・デメリットとを掛け合わせ、一階はシェアオフィス、二階以上は住居といった店舗も展開しています。

 そして「空室にVALUE&DESIGNを!」の企業理念の通り、オフィスのデザインも大事にしています。

同じような店舗を量産するのではなく、そのエリアに住んでいる人達や、用途によってデザインを変えたり、お客様の要望によって設備を変えたりと、進化させながら店舗展開を考えています。

《BIZcomfort 湘南茅ヶ崎》

BIZcomfortHPより引用
BIZcomfortHPより引用

《BIZcomfort 三条木屋町》

BIZcomfortHPより引用
BIZcomfortHPより引用

空室を借りるところから室内外のデザイン・工事・運営まで、一貫してその殆どを社内で手掛けている弊社だからこそ提供できるサービスだと思います。

「空室」こそが身近な財産。再生し再収益化することで持続可能な社会を作る

–使いやすそうで素敵なオフィスがたくさんありますね。では、御社が「空室再生」に取り組んだのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

太田さん:

弊社の代表取締役の阪谷は元々不動産会社に勤務していました。その時から、空き家・空室は日本の社会課題でした。

新しいものはもちろん素晴らしいけれど、今後の社会環境などを踏まえ、「今まで作ったものにある価値を活かしていかなければならない。『空室』こそが一番身近にある財産なのではないか」と考えたのがきっかけです。

2008年に起業した当時は、住宅のリーシングなどを手がけていました。

当時はまだテレワークなどの言葉が浸透する前でしたが、阪谷は「どこでも働ける時代が来る」という思いを持ち、大事にしていました。

その後、「一つの大きなフロアーを貸すよりも小さく区切って貸す方が、そこに必要な人が集まるのではないか。それにより、多くの利益が生まれ、かつ借りる人達も気軽に借りられるのではないか」と考え、個室だけのレンタルオフィスを扱ったのがシェアオフィス事業の始まりでした。

その後も、働くことが自由に快適になる時代を見据え、シェアオフィスだけでなくフリーで使えるコワーキングスペースなども増やしてきました。

一貫して「空室」に着目し、パソコン1つあれば、自分の好きな場所・時間で働けるオフィスづくりに取り組んできたんです。

BIZcomfortHPより引用

–御社はSDGsへの取り組みにも力を入れているとのことですが、空室問題に着目し、解決に力を入れることがSDGsの目標達成につながるということなのでしょうか。

太田さん:

弊社の企業理念には、社会問題をより楽しくポジティブに変えていこうという思いが込められ、創業当時から引き継がれています。

この思いは、人々の仕事の生産性の問題や、持続可能な生活を維持していく上でも大切な考えです。

空室を再生することで、立て替え工事で生じる産業廃棄物、CO2排出量を削減し、シェアオフィスを運営することで、働き方改革へ貢献でき、それがSDGsの取り組みに繋がっていると考えています。

また、空き家・空室問題は、社会的要因が変わっても大きな問題であり続けています。

例えばコロナ禍により、今まで集客に困ることのなかった場所、例えば都心部の大きな賃貸オフィス、人が集まるはずのベットタウンの商業施設、アーケード街の路面店など、以前はとても人気だった物件が一気に空室になってしまったと感じています。

そんな物件を再生し、人にも社会にも優しい、楽しく仕事ができる空間づくりを進めています。

居酒屋を再生 《ビフォー》

《アフター》

BIZcomfortHPより引用

2021年以降、コロナ禍でオープンした店舗は「空室再生」の意味合いが色濃くでている物件が多くあります。

例えば、パーティー会場やカプセルホテルなど、駅前の商業施設の空き店舗問題に貢献したシェアオフィスの展開が加速しました。

その他にも、バーカウンターや螺旋階段のあるホテルの結婚式会場がコロナ禍で全く利用されず、それをそのまま借りて利用したり、大阪メトロ職員の社員寮を一棟全て借りあげシェアオフィスとして再生させたりもしました。

《大阪メトロの社員寮を再生:BIZcomfort 四天王寺》  

BIZcomfortHPより引用
BIZcomfortHPより引用

《パーティ会場を再生:BIZcomfort 横浜元町ANNEX》 

BIZcomfortHPより引用
BIZcomfortHPより引用

また、オフィスだけではなく地産地消や廃材活用で、サステナブルなオフィスづくりにも取り組んでいます。

例えば、BIZcomfort千葉西口では千葉県産「山武杉」を使用したデスクや、デニムのアップサイクル素材を使用したデスク・チェア、使われた廃パレットをインテリアに再生した家具を取り入れてます。

《サステナブルなオフィス : BIZcomfort千葉西口》

BIZcomfortHPより引用
BIZcomfortHPより引用
BIZcomfortHPより引用
BIZcomfortHPより引用

–様々な店舗がシェアオフィスとして再生されているのですね。

事業以外でも社内でSDGsの取り組みは行われているのでしょうか。

太田さん:

小さなことですが、社内では節電の呼びかけや、使い捨てのカップを使わないようにマグカップの使用も推進しています。

実際に「BIZcomfort」のマグカップを作り、社内やシェアオフィスで利用者の方に使ってもらうようにしています。

また、「『はたらく』をもっと自由に快適に!」のスローガンの通り、社員も基本的にはテレワークや、「BIZcomfort」のオフィスでの就業が認められています。福利厚生としてプライベートでも利用できることも魅力ですね。

弊社には女性社員が多いのですが、就業時間もフレックス制を採用していますし、育休・産休から復職して管理職に採用されるケースも稀ではありません。色々なライフステージに合わせて働け、誰でも活躍できる環境となっています。

《トラベルワークアワード受賞 :BIZcomfort ザ ロイヤルパークホテル アイコニック東京汐留》

BIZcomfortHPより引用
BIZcomfortHPより引用

シェアオフィスの意外な使い方!人生の幅を広げられる場所

–最後に今後どのように事業を展開していくのか、展望をお聞かせください。

太田さん:

「BIZcomfort」のシェアオフィスを、現在の140店舗から2025年までに直営店舗300店に増やしたいと考えています。ただ増やすだけではなく、利用者のニーズや働き方に寄り添ったオフィスづくりを心掛けていきます。

オフィスだけでなく、フィットネス、ワーケーションのリゾート要素やカルチャーが学べるなど色々な要素を取り入れ、より面白いシェアオフィスを提供できれば良いですね。

これにより、スキルアップの勉強の場や、自分が大事にしたい一人の時間など、あらゆる人の自宅でもオフィスでもない快適な場所を展開し、社会的にも意義のある唯一無二のシェアオフィスブランドを目指していきます。

《BIZcomfort 片瀬江ノ島》

BIZcomfortHPより引用
BIZcomfortHPより引用

シェアオフィスでは、良い意味で踏み込みすぎない、顔見知りというくらいの方々と一緒に過ごします。世の中にはどんな人がいるのかを見るために利用するというのも、自分の道を広げるきっかけになるのではないでしょうか。

特に若い方々は、働き方や活躍の仕方に悩むこともあると思うんです。

シェアオフィスには本当にいろいろな方々がいて、「こんなことが商売になるのか」と思うようなユニークな仕事をされている方もいます。

一つの考えに凝り固まらず、様々なことがビジネスになると知るチャンスでもあると思います。

また、利用者の方々は皆さん集中して作業しているので、それに刺激されて頑張ろうと思える場所にもなると思います。感情面のシェアもシェアオフィスならではです。

気軽にドロップインやライトプランなどを使って、一度「BIZcomfort」のシェアオフィスをのぞいてみてください。

–これからどんなシェアオフィスが展開されるのか楽しみですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

関連リンク

株式会社WOOC 公式WEBサイト:https://www.wooc.co.jp/index.html

「BIZcomfort」シェアオフィス : https://bizcomfort.jp/

「BIZcircle」レンタルオフィス:https://bizcircle.jp/