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心理的、社会的支援を必要とするガザ地区の住民は3分の1にものぼる

平和と安全

国連人道問題調整事務所(OCHA)は、ガザ地区の住民、特に子どもたちの間で精神疾患を抱えるケースが増加している。多くの子どもたちはすでにメンタルヘルスサービスや心理的なサポートを必要としていた。と報告している。

8月初旬から8月7日の停戦に至るまで、過激派のパレスチナ人が、イスラエルに対して約1,100発のロケットや迫撃砲を浴びせる一方で、イスラエル国防軍はガザの目標に対して約147回の空爆を行った。そのような激烈な暴力行為は3日以上続き、8月8日、国際連合安全保障理事会の発表において、トル・ウェネスランド国連中東和平担当特別調整官が、パレスチナ人45人が死亡、360人が負傷、イスラエル人70人が負傷したと報告した。

<2022年8月、深刻な状況下、イスラエルによる空爆によって破壊された現場>

子どもたちに甚大な被害を及ぼす

国連児童基金(UNICEF)中東・北アフリカ地域事務所のアデル・ホドル代表は停戦を歓迎する声明の中で、8月、ガザ地区では、17人のパレスチナ人のこどもたちが遺体に囲まれていた。この紛争は、ガザ地区に住む全ての若者に甚大な被害をもたらしていると述べた。さらに「多くの子どもたちにとっては、この15年間で5回目の紛争であり、長期間暴力に晒され続けているという心理的影響とともに暮らしている。」と述べた。

パレスチナ占領地域の為の国連人道調整官であるリン・ヘースティングズは、ガザに住む、紛争によって家に甚大な被害を受けている家族を訪れた後、「ガザの人道的状況はすでに悪化している。そして、直近の深刻化は事態をさらに悪化させるだけだろう。我々は人道的ニーズが確実に満たされるよう、全ての関係者とともに動く用意ができている」と述べた。

<11歳の少女、リン・マタールが、パレスチナにあるラファ難民キャンプの祖父の家に隣接している家が、イスラエル軍に急襲された後、自ら経験した困難な場面について語っている様子>

心理的な苦しみと失望の状態にある生活

疾病予防・管理プログラムのユセフ・シャヒーン代表は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によって運営されているワークショップにて87,000ケース以上を扱っており、メンタルヘルスや心理的なサポートプログラムはガザ地区において最も重要なプログラムのうちの1つだと述べた。

「我々は今まさに事例研究に取りかかっているところだ。もし心理的なサポートを必要とされる場合、治療の準備はできており、治療による効果も確認されている。鬱やてんかんのような一般的な症状だけでなく、精神的な理由に起因した慢性的な身体の病気ではこれまでの事例とは違う症状がみられている。」

<2022年8月ガザ地区の子供たち>

65%の人々が貧困にあえいでいる

ガザのメンタルヘルスプログラムに所属するサミ・オワイダ医師は、ガザ地区の住民に立ちはだかる心理的課題は、15年以上続いているイスラエル国防軍の占領や地区の封鎖が原因であると考えた。ガザ地区で暮らす65%以上の人々は、貧困線に属しており、60%以上の人々は雇用がない。

オワイダ医師のコメントは、UNRWAのヘルスプログラムのガーダ代表に賛同された。彼女は、「ガザの人々は、経済的・社会的・政治的状況の悪化のせいで、心理的な不安や失望のもと暮らしている」と述べた。

2021年3月、ガザのほぼすべては破壊され、何百人もの人々が殺されるか負傷するなどした。それが原因で心理的なショックを引き起こした。また、電気や水の供給不足、貧困の拡大、雇用喪失などの課題は、ガザの住民がすでに置かれていた健康問題や心理的状況をより悪化させ、さらに精神状態を不安定にしている。

ガザ地区には200万人以上の人々が暮らしている。しかし、メンタルヘルスに関する病院は1つしかなく、50人しか収容できない。さらにその地区の5つの行政区域に解放されている状況だ。

この記事はUN NEWSの記事を翻訳したものです。

Original article: https://news.un.org/en/story/2022/09/1125712

公開日:2022/09/04