報告書に名前が挙がっている国のうち3分の1は、個人や団体が報復を恐れて協力を控えるか、匿名での報告にしか応じないというものだった。
「この数字は衝撃的だが、多くの報復事件が報告されていません」と、人権担当事務次長補(OHCHR)のイルゼ・ブランズ・ケフリス氏は木曜日、国連人権理事会で述べた。
人権分野における国連とその代表者、機構との協力と題したこの報告書では、権利侵害の被害者、人権擁護者、ジャーナリストが、拘束、制限的な法律の対象、オンラインとオフラインの両方での監視など、国や非国家主体による報復や脅迫にいかに苦しんできたかが詳細に説明されている。
報復の裾野は広い
今回取り上げた事例はすべて、2021年5月1日から2022年4月30日の間に起こったもので、国連の人権機構に協力したり、国連の手続きを利用して情報や証言を共有し、人権侵害や虐待に対する救済を求めたりした個人やグループが関与している。
また、国連に協力しようとした人、あるいはそう思われた人も影響を受けた。
「報復に対する加盟国の誓約や共通のコミットメントなど、前向きな進展があったにもかかわらず、この報告書は、国連に人権に関する懸念を提起したために、人々がどの程度まで追求され迫害されているかを改めて示しています」と、ブランズ・ケフリス氏は述べた。
不穏な動き
国連に協力する個人やグループに対する監視は、全ての地域で引き続き報告されており、報告によればオンライン監視やサイバー攻撃の拡大の証拠も増えているとのことだ。
更に、COVID-19の大流行によって加速した大規模なデジタルシフトは、サイバーセキュリティ、プライバシー、オンライン空間へのアクセスに関連する課題をさらに増大させた。
同時に、国連との協力を妨げたり罰したりする政府の制限的な法律の使用や影響により、この1年間に長期の実刑判決や自宅軟禁が行われたこともあった。
また、多くの国で繰り返し同様の脅迫の申し立てが報告されており、これはあるパターンを示している可能性があるとOHCHRは述べている。
「抑止効果」
国連に協力しない、あるいは身の危険を感じて匿名で協力するという自己検閲も、世界的な傾向になっている。
監視やモニタリングの強化、刑事責任への懸念は、報告書が言うところの、違反行為の報告に対する沈黙の「抑止効果」を生み出し、人々が国連にこれ以上協力することを止め、他の人々がそうすることを抑止している。
例年通り、この報告書は先住民族や少数民族の代表者、環境や気候変動の問題に取り組む人々、また年齢や性的指向、性別に基づく差別に苦しむ可能性のある人々など、特定の集団やグループに脅迫や報復が不釣り合いに影響を与えていることを示している。
OHCHRの高官は、「被害者の女性だけでなく、証言を共有し国連に協力する女性の人権擁護者や平和構築者にも影響を及ぼすリスクは依然として厳しい」と述べ、「全ての人が安全に国連と関わることができるように」努力することを誓った。
ゼロ容認
最後に、彼女は人権理事会と「国連システム全体が、脅迫や報復を許さないという明確なメッセージを送り続けなければならず、この問題に断固として対処するために行動を起こさなければならなりません」と述べた。
私達は、しばしば加盟国によって定められた指令に応えて、私達と関わる人々をよりよく支援し、力を与え、保護する必要がある。
「私達の活動の影響力と信頼性は、それにかかっており、何よりもまず、私たちに信頼を寄せてくれる人々に対して、それを行う義務があるのです。」
報告書で言及されている州の一覧はこちら。
New report shows people in 42 countries across the world faced reprisals and intimidation for cooperating with the UN on #HumanRights, highlighting disturbing trends over the past year, incl. surveillance, restrictive legislation and self-censorship: https://t.co/jU2V8kHxXh pic.twitter.com/oTTHbPv9ny
— UN Human Rights (@UNHumanRights) September 29, 2022
この記事はUN NEWSの記事を翻訳したものです。
Original article: https://news.un.org/en/story/2022/09/1129052
公開日:2022/09/29