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「強い子のミロ」でおなじみ!オーストラリア生まれのMILOが地球への優しさを求めて取り組むエコ活動の事例

日本でもおなじみのMILOは、オーストラリア生まれの栄養補助製品です。

チョコレート風味で美味しく栄養を摂取できるというメリットがある一方で、実はカカオ由来の製品には環境への悪影響が大きいというデメリットも潜んでいます。

MILOは環境負荷の低減を目指して、持続可能性の高いカカオの採用、再生可能エネルギーの導入、廃棄物マネジメント、植林活動、パッケージの見直しといったさまざまな取り組みを行ってきました。

この記事では、MILOが実践しているエコ活動の詳細について解説していきます。

MILOの基本情報

「強い子のミロ」のキャッチコピーでもおなじみのMILOは、スイスのネスレ社が製造するチョコレート風味の麦芽粉末製品です。

MILOはネスレ社で働いていたオーストラリア人の工業化学者で発明家のトーマス・メイン氏によって1934年に開発され、オーストラリア国内では「マイロ」の愛称で親しまれています。

オーストラリアはもちろん、アジア、アメリカ、南アメリカ、アフリカ、ヨーロッパと世界中で販売されており、カルシウム、鉄、ビタミンDなどの栄養素を手軽に美味しく摂取できるロングセラー商品として知られています。

MILOの商品展開

世界中で似たようなデザインのパッケージを採用しているMILOですが、実は風味、原料、商品のラインナップについては地域ごとにさまざまです。

国ごとのニーズや特徴に合わせた製品が作られており、日本ではパウダー飲料やチョコレートなどが販売されている一方で、オーストラリアではパウダー飲料、シリアル、ミューズリーバーなどが取り揃えられています。

朝食にシリアル、ランチやおやつにミューズリーバーといった使い分けがしやすく、オーストラリア国内では子どもから大人まで幅広い層から人気を集めています。

チョコレートが環境に悪いって本当?

日本でも大人気のチョコレートですが、チョコレートは環境負荷が大きな食品と言われているのはご存知でしょうか?

チョコレートは生産面においてスローフードに分類されており、200g強のチョコレートの生産に1年近く要するケースも多くなっています。

カカオの需要に対して供給が追い付いておらず、カカオの樹齢が高くなればなるほど生産までの時間も長くなります。

そのため、カカオ農家はカカオの生産にあたって同じ土地を使い続けるのではなく、新しいカカオの木を植えるという選択をするのが一般的です。

カカオの木を植えるスペースを確保するために熱帯雨林などが次々と伐採されており、コートジボワールでは違法森林伐採の実に70%がカカオ由来です。

また、森林破壊以外にも、農薬の使用などによって生態系が破壊されるといった問題も深刻化しています。

MILOが行うエコ活動の事例

ここでは、MILOが環境保全のために行っているエコ活動の詳細を深堀していきます。

認定ココアの使用

MILOはカカオ由来による熱帯雨林の開拓を懸念して、レインフォレストアライアンス認証(RAINFOREST ALLIANCE INC.)のココアのみを使用しています。

レインフォレストアライアンス認証は、森林保護、労働者の人権尊重、気候変動への緩和といった3つの持続可能性に着目しており、認証ココアを使うことで環境負荷の低減に繋がる点が特徴です。

スローフードであるチョコレートには、環境問題とは切り離せない深い関わりがあります。

しかし、認証されているココアを原料にすることで、不適切な管理や開拓による森林伐採を防ぎながらチョコレートの製造・販売を実現できます。

廃棄物を活用した再生可能エネルギー

MILOは、2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを達成するという目標を掲げています。

オーストラリアとニュージーランドで販売されているMILOが製造されているのは、オーストラリアのニューサウスウェールズ州に位置するスミスタウン工場です。

年間13,000トン以上のMILOを生産する大規模な工場となっていることから、MILOでは温室効果ガス排出量の削減を実現するために再生可能エネルギーを導入しました。

2024年時点において、工場内のエネルギーは全て風力発電でまかなわれています。

また、風力発電のボイラーに使われている燃料は、地元の木材産業から廃棄されたおがくずです。

おがくずを燃料にすることで蒸気を発生させる仕組みになっており、工場内で消費される燃料の80%がおがくずによるバイオエネルギーです。

MILOでは35年以上にわたっておがくずを燃料に使用しており、工場への再生可能エネルギーの導入だけでなく、本来は廃棄物となるはずだったおがくずを再利用しているという点でも高い評価を受けています。

副産物の有効活用

MILOのスミスタウン工場では、再生可能エネルギーシステムを採用しています。

エネルギー生成の過程で大量の灰が排出されますが、MILOでは本来廃棄物として埋め立てられる灰を有効活用している点がポイントです。

工場から出た灰は、ニューサウスウェールズ州内に位置する地元の造園会社に送られた後に土壌混合物の土壌強化剤として生まれ変わります。

再生可能エネルギーの副産物である灰は豊富な栄養素を含んでおり、質の良い土壌強化剤として重宝されています。

地元の森や各家庭の植物の育成などに役立つことから、廃棄物の削減と同時に森林や花々の保全にも貢献しているのです。

植林活動

カカオ生産による環境被害を緩和すべく、MILOは植林活動をスタートしました。

パートナーシップを結んでいる環境保全団体・Greening Australia、One Tree Planted、Canopyと共にオーストラリア国内の森に植林を行っており、2025年までにオーストラリアに1,000万本の木を植えることを目標に挙げています。

オーストラリアに1,000万本の木を植えることで、約210万トンの二酸化炭素の排出量が削減されます。

実に25,000台以上の自動車の年間の二酸化炭素排出量に匹敵することから、自然景観の回復や生物多様性やエコシステムの維持はもちろん、気候変動による悪影響を防げるところもメリットです。

植物ベースの製品

国によって商品のラインナップが異なるMILOですが、オーストラリアでは植物ベースの製品・MILO Plant Based Energyを販売しています。

主な原材料は大麦麦芽とココア成分で、粉乳の代わりに大豆、オーツ、トウモロコシ繊維といった植物ベースの成分を加えて製造しているところが特徴です。

粉乳は生乳や牛乳を粉状にしたものであり、原料は動物由来です。

畜産業によるメタンガスが温室効果ガスの原因となっていることから、MILOでは100%植物ベースの製品を作ることで環境負荷の低減を目指しています。

MILO Plant Based EnergyはビタミンB群、ビタミンD、鉄、亜鉛をはじめとする豊富な栄養素と豊かな風味を維持しており、よりサスティナブルな飲料を健康的に楽しみたい層から高い支持を得ています。

また、同製品では砂糖の量も減らしており、サトウキビ廃棄物やサトウキビ農園の開拓による森林破壊といった環境問題の緩和に繋がる製品です。

サスティナブルなパッケージ

MILO ではリサイクルや再利用可能なパッケージを採用しており、飲料製品には缶が使用されています。

缶は蓋も含めてリサイクル可能ですが、顧客の中にはステーショナリーケースや貯金箱として使う層も多くなっています。

一部の学校や施設などでは植木鉢の代わりにMILOの空き缶を役立てているケースもあり、廃棄物削減に繋がっているパッケージが魅力です。

尚、MILOの全ての製品には、ARL(Australasian Recycling Label)と呼ばれるオーストラリアの規定に則ったリサイクルラベルが付けられています。

顧客はラベルを見るだけで各梱包材をどのように処理すればいいか判断できるというメリットがあり、オーストラリア政府は企業やメーカーにARLの記載を推奨しています。

不適切なリサイクル方法による梱包材の汚染などを防げるので、各家庭でのリサイクル率アップに欠かせないシステムです。

まとめ

美味しく栄養補給ができるMILOは、環境への優しさにもこだわっています。

サスティナブルなカカオの調達はもちろん、再生可能エネルギー、バイオ燃料、廃棄物の削減、植物ベースの製品製造など、多方面におけるエコ活動を行っています。

さまざま栄養補助食品があふれる現代社会ですが、次回はぜひ環境負荷低減を目指すMILOの製品を手に取ってみてはいかがでしょう?