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介護職の仕事内容は?必要資格やきついと言われている理由も

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人は年を重ねるにつれ、徐々に身体機能が衰えていきます。65歳以上の18.3%、75歳以上の31.5%、85歳以上の57.8%*1)が介護が必要と認定されることを考えると、亡くなる前に2人に1人は介護を必要とするといえます。

そんなときに、私たちがお世話になるのが介護職の方々です。では、介護職とはどのような仕事なのでしょうか。

今回は介護職の仕事内容や働く場所、介護職として働くメリット・デメリット、必要な資格、よくある質問等を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

介護職とは

介護職とは、介護を必要としている人の身の回りの援助や、相談の援助などを行う仕事の総称です。

介護施設で利用者の介護を行う施設介護員、高齢者の自宅を訪問して身体介助や生活援助などを行う訪問介護員、介護事業所の管理・運営を行う管理職マネジメント職などが介護職に該当します。

ヘルパーとの違い

ヘルパーは介護職の一つです。ヘルパーの正式名称は「ホームヘルパー」といい、介護保険法では訪問介護員と呼ばれています。訪問介護員になるには、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の資格を取得しなければなりません。*2)

施設介護員が無資格でもなれるのに比べると、ハードルがあるといえます。ただし、業務内容に大きな違いがあるわけではありません。両者とも身体介護や生活援助が重要な仕事であるという点は共通です。

介護職の仕事内容

介護職の仕事は、利用者を直接サポートする身体介護や体に触れずにサポートする生活援助、施設などでのレクリエーションの企画、介護記録をつける業務などがあります。それぞれの内容を見てみましょう。

身体介護

身体介護とは、介護する人(介護職)が利用者の体に直接触れる介助のことです。身体介護には、以下の内容が含まれます。

移乗介助歩行や車いすでの移動のサポート
入浴介助入浴・衣類の脱ぎ着、体の洗浄、洗髪
排せつ介助トイレへの移動、おむつ交換のサポート
起床や就寝の介助起床・就寝時の声かけ、ベットメイクなどのサポート
服薬介助誤嚥や薬の飲み間違いを防ぐサポート
身だしなみの介助や口腔のケアひげそり、爪切り、整髪、衛生面のケア、歯磨き、入れ歯の手入れ
体位変換自分で体の向きを変えられない利用者のサポート

介護職は、利用者の活動・行動を最も近い場所で支援する役割を担います。

生活援助

利用者の体に触れずに行う生活サポート全般を生活援助といいます。利用者が使用している部屋の掃除、食事の準備、洗濯、ベッドメイク、衣類の整理などが含まれます。また、利用者の必需品を、利用者にかわって買い物をすることも生活援助に含まれます。

レクリエーションの企画

介護施設に勤務している場合、施設で行われるレクリエーションの企画も介護職の重要な仕事です。レクリエーションは、利用者の身体能力の向上や脳の活性化、コミュニケーションの促進、生活の質の向上などを目的として行います。

実施に当たっては、利用者の安全を確保しつつ、幼稚とみなされないような内容を考えなければなりません。もちろん、自尊心を傷つけない配慮も重要です。

介護記録

介護職には介護に関する記録をとるという仕事もあります。介護職どうしで利用者の状態に関する情報を共有するため、介護記録を作成します。情報共有をしっかりすることで、利用者の個性に応じた最適な支援が可能となります。

介護職が働く場所

介護職は、社会の様々な場所で働いています。ここでは、代表的な職場である介護施設・訪問介護の事業所について紹介します。

入所型の介護施設

利用者が施設に入居し、24時間介護サービスを受けられる施設を「入所型」といいます。主な入所型施設は以下の通りです。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム
  • 介護老人福祉施設(老健)
  • 介護療養型医療施設
  • 特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど
  • 介護医療院

参考 厚生労働省*3)

特別養護老人ホームや有料老人ホームなどは、よく耳にする施設の名称ではないでしょうか。特別養護老人ホームは要介護度3〜5の認定を受けた人の施設であるため、介護職のサポートがかなり必要です。

有料老人ホームは民間企業が運営する介護施設で、自立して生活できる人から介護が必要な人まで様々な人が入居しています。かなり設備が充実している施設から一般的な施設まで、かなり幅があります。

上記の区分には含まれませんが、認知症と診断された要介護者が入所する認知症グループホームも広い意味で入所型に含まれます。食事の支度や掃除・洗濯などの生活援助を利用者とスタッフが共同で行います。*4)

通所型の介護施設

利用者が訪れるタイプの介護施設を「通所型」とします。通所型の具体例は以下のとおりです。

  • 通所介護(デイサービス
  • 通所リハビリ
  • 地域密着型通所介護
  • 療養通所介護
  • 認知症対応型通所介護

参考 厚生労働省*3)

通所型の代表はデイサービスです。事業所に通う利用者に対して介護サービスを提供するスタイルで、多くの利用者がいます。このデイサービスは、できるだけ自宅で生活し続けることを目的とした施設です。

デイサービスで提供されるのは、身体機能の維持や向上などを目指す機能訓練、利用者に良い意味での刺激を提供するレクリエーションの実施などが中心となります。もちろん、必要に応じてそれ以外のサービスも提供されます。

訪問介護の事業所

訪問介護とは、利用者の自宅を訪問して行う介護サービスのことです。介護職は事業所でデスクワークなどを行いつつ、利用者の自宅で身体介護や生活援助などを行います。介護を必要とする人の増加にあわせ、訪問介護の事業所数は増加傾向にあります。

基本的な仕事内容は介護施設に勤めているときと変わりませんが、利用者の自宅で介護を行うためプライバシーなどに配慮しなければなりません。

介護職のメリット

介護の仕事は社会で必要とされる仕事であると同時に、いくつものメリットがある仕事です。ここでは、介護職の5つのメリットを紹介します。

勤務時間などを選べる

介護職は、他の職業に比べると勤務時間の融通が利きやすい職種です。通常、週5日・定時勤務が一般的ですが、介護職はシフト制で勤務日・勤務時間が決まります。

子育て期間中の職員であれば、時短勤務やパート勤務などをすることで勤務時間を優先できるかもしれません。より多くの収入を得たいのであれば、深夜割増賃金が支給される夜勤を選択することもできるでしょう。自分のニーズに合わせて働き方を調整できるのは、介護職のメリットといえるでしょう。

未経験からスタートできる

介護職に就いている多くの人が、無資格・未経験の状態からスタートしています。そのため、介護事業所側でも業務のマニュアル化やOJTの実施といった新人サポートを積極的に行っています。

OJT(On-the-Job Training)

職場内訓練のこと。職場の上司や先輩などが未経験者に対して実際の職場で必要な技術やノウハウを伝える実務を通じた研修

働きながら資格を取るサポートしてくれる事業所もあるため、無資格・未経験でも安心して働くことができるでしょう。

景気に左右されにくい

介護の仕事は、景気に左右されにくい職種です。公的制度である介護保険に組み込まれている仕事であるため、高い安定性があります。今後も、介護のニーズは高いと予想できるため、景気動向に関わらず安定して長期間働ける職場です。

他の事業所に転職しやすい

介護職は有効求人倍率が高いため、他の事業所に転職しやすいというメリットがあります。

【有効求人倍率(介護関係職種)の推移】

出典:内閣府*5)
有効求人倍率

有効求人件数(件数)を有効求職者数(人数)で割った数値。1以上であれば、求人が求職者を上回っているので人手不足、1以下であれば求職者が求人を上回っているため人手が余っていると読める

令和3年の介護職の有効求人倍率は3.64で、全職種平均の1.03を大きく上回っています。つまり、介護職を希望する人すべてを採用しても、まだ大幅に不足しているのが現状です。そのため、現職場を退職後にも他の職場で就職しやすい職種だといえます。

ただし、現職場で問題を起こした人でも無条件で新しい職場に採用してもらえるわけではありませんので、注意しましょう。

資格を取得するとキャリアアップできる

介護職は、資格の取得により給与や待遇のアップを目指しやすい職種です。関連する資格があれば、生活相談員やケアマネージャー、リハビリの専門職などにキャリアアップできます。資格については、後ほど詳しく紹介します。

介護職のデメリット

介護職は、以前から「キツイ」「しんどい」といったイメージを持たれがちでした。体力が必要であることや人手不足が深刻であることが、そういったイメージを持たれる理由でした。ここでは、介護職の2つのデメリットを解説します。

体力が必要

介護職は、事務職などと比べると体力が必要です。利用者の身体を支えたり、行動をサポートするには一定以上の体力が必要だからです。また、夜勤のシフトが入ると生活が不規則になるため、健康を維持するための体力も必要です。力仕事に自信がない方や、生活リズムが崩れると体調を崩しがちの人は、慎重に検討すると良いでしょう

職場の人手不足で大変な時がある

先ほどの資料で分かるように、介護職の有効求人倍率は高い状態で推移しています。拍車をかけているのが、介護保険利用者の増加です。

【第1号被保険者(65歳以上)の要介護度別認定者数の推移】

出典:内閣府*5)

2009年には4,696万人だった要介護者は、10年後の2019年には6,558万人まで増加しています。その一方、働き手である生産年齢人口は1995年以降、減少の一途をたどっています。*6)

つまり、要介護者が増えて働き手が減っていることになるため介護事業所の人手不足は必然的といってよいでしょう。職場の働き手が減少すると、一人当たりの仕事量が増えてしまうため仕事がきつくなってしまいます

介護職に就くために必要な資格

通所型の介護施設で勤務する場合、資格がなくても就職することができます。しかし、訪問介護や介護職としてのキャリアアップを目指すのであれば、取得したほうが良い資格があります。ここでは、そうした役職を中心に紹介します。

介護職で持っていた方がよい資格

介護の仕事をする上で持っていた方がよい資格をまとめます。

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)介護資格の入口と言える資格訪問介護を行う際に必要
介護福祉士実務者研修介護福祉士国家試験を受験する際に必須介護職の基本的な業務から認知症対応まで学ぶ
介護福祉士国家資格介護チームのマネジメントなど管理者としても活躍
ケアマネージャー介護保険サービスに必要なケアプランを作成要介護者の介護計画を立案

これ以外にも関連する資格はありますが、キャリアアップを考えるのであれば上記の資格取得を目指すのが順当でしょう。

介護職に関してよくある疑問

ここからは、介護職に関するよくある質問を3つとりあげます。

年収はどのくらい?

介護職員の給与は、徐々に引き上げられつつあります。

【介護職員の月額給与の推移】

出典:厚生労働省*7)

リーマンショックが起きた2009年の月額25.0万円から2020年の月額29.3万円まで、月額で4.3万円、年額で51.6万円上昇しています。2020年の年収は351.6万円となります。

大変・きついイメージがあるけど実際どうなの?

デメリットでも紹介したとおり、介護業界には長い間「大変」「きつい」といったイメージが付きまとっていました。たしかに、体力勝負という点で大変であり、利用者とコミュニケーションを密にとる必要があるため、しんどい面もあります。しかし、働いている人のアンケートを見ると、不満足よりも満足という答えの方が多くなっています。

【介護職員が満足を感じていることTOP5】

出典:厚生労働省*7)

介護職は責任のある仕事ではありますが、その分、やりがいを感じている人も多い仕事といえるでしょう。

向いてるのはどんな人?

介護職に向いているのは、コミュニケーション能力の高い人です。介護の仕事がチームで動く仕事であるため、同僚や先輩・後輩と常に連携をとりながら動く必要があるからです。

また、利用者とのコミュニケーションも非常に重要です。

介護職とSDGs

介護職は多くの人に必要とされている仕事であり、今後ますます重要性を増してくると考えられます。また、介護職はSDGsの「誰一人取り残さない」という理念とも深くかかわる仕事でもあります。ここでは、介護職とSDGs目標3の関わりについて解説します。

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」との関わり

SDGs目標3は「すべての人に健康と福祉をというテーマで、13のターゲットを設定しています。すべての人に公平に福祉にアクセスする機会を提供するという点で、介護とSDGs目標3は関わりがあるといってよいでしょう。

日本では、介護保険の制度を整えてすべての人が何らかの形で介護にアクセスできるよう仕組みを整えてきました。しかし、介護が必要な高齢者が増加するにつれ、介護を必要としているにもかかわらず、介護サービスを十分に受けられない「介護難民」の発生が危惧されています。

介護難民というのは正式な語句ではなく、あくまでもたとえです。しかし、高齢者の増加により、介護を受けたくても受けられない人が現在よりも増えるかもしれません。誰一人取り残さない介護・福祉を実現するため、今後も状況を見守る必要があるでしょう。

まとめ

今回は介護職について解説しました。介護は以前に比べて非常に身近な仕事となりました。待遇についても以前よりも大きく改善されつつあります。しかし、体力面で大変な仕事であることや責任が重大である点などは従来と変わりません。

勤務時間が選択できる点や、資格を取得することで確実にキャリアアップ・待遇改善が期待できる点で、介護は働き買いがある仕事になりつつあります。

しかしながら、介護職として働くことを単なる生活の手段と考えてしまうと、仕事でストレスを感じるかもしれません。介護職は、体力に自信があり、コミュニケーション能力が高い人が向いている仕事なのではないでしょうか。

参考
*1)厚生労働省「図表2-1-4 年齢階級別の要介護認定率
*2)全国社会福祉協議会「訪問介護員(ホームヘルパー)
*3)厚生労働省「公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
*4)日本認知症グループホーム協会「グループホームとは?
*5)内閣府「2 健康・福祉|令和4年版高齢社会白書(全体版)
*6)総務省「総務省|令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少
*7)厚生労働省「介護業界で 働いてみませんか