#インタビュー

株式会社ファンデリー|旬をすぐに届けて、食卓から日本の未来を変えたい

旬すぐ

株式会社ファンデリー 経営企画室 髙橋さん インタビュー

髙橋 茉央

株式会社ファンデリー 経営企画室 管理栄養士

2020年株式会社ファンデリーに入社。MFD事業部営業グループで、お客様から『ミールタイム』のご注文や栄養相談をお電話で承っていた。その後MFD事業部バリューイノベーショングループで『ミールタイム』の商品開発やカタログ制作を、CID事業部で『旬をすぐに』の製造を経験し、2022年に現部署へ。現在は広報の仕事に従事している。

introduction:

2004年から糖尿病や腎臓病の患者さんに向けた宅配食サービス「ミールタイム」を手がけてきた株式会社ファンデリー。2020年には、若い世代をターゲットにした「旬をすぐに」を開始しました。ファンデリーがなぜ、若者向けの宅配食サービスを始めたのか、そこには栄養の専門家ならではの視点、人々の健康と農業の発展に貢献したいという情熱がありました。今回、同社経営企画室の管理栄養士、髙橋茉央さんに話を伺いました。

患者さん向け宅配食ミールタイムから、若者向け「旬をすぐに」へ

–まずは御社の紹介をお願いします。

髙橋さん:

弊社は、2000年創業のヘルスケア事業を軸とする会社です。2004年から糖尿病や腎臓病の患者さん向けの宅配食サービス「ミールタイム」を開始しました。ミールタイムは、医療機関を中心にサービスの案内をしており、ご契約頂いた患者さんには管理栄養士が担当に付きます。患者さんから、病院の定期受診で採血した血液検査のデータを担当者に提供していただき、それを見ながら宅配食の提案をしています。

このサービスを利用した患者さんの中には、血糖値や体重、中性脂肪のデータが短期間に改善する人もいて、たいへん好評いただいています。他にも困ったことやお悩みがあれば、担当者に電話で相談できるなど、個別に健康のサポートができるのがミールタイムの特色です。

たらの甘酢あんかけ

そして2020年からは、20代から30代の若い世代をターゲットにした「旬をすぐに」というサービスを開始しました。

「旬をすぐに」は、旬の食材を中心に作られたこだわりの冷凍食品を1つ当たり300〜500円台で購入できるサービスです。現在は250種類ほどのメニューを展開しており、肉や魚、野菜に至るまで、すべて国産食材を使用していることに加え、82種類もの食品添加物を使っていないことも特長です。お子様のいるご家庭など、食品添加物を気にしているお客様でも安心して召し上がっていただけます。

新鮮な地下水で育つ柔らか食感「アスパラと豚肉の甘辛味噌炒め」
爽やかな瀬戸内の風が吹く「チキンのレモンクリームソース」
エスニック料理の真髄を味わう「辛口グリーンカレーとタイ料理」

–若い世代をターゲットとした「旬をすぐに」を開発したきっかけはあったんでしょうか?

髙橋さん:

弊社がミールタイムを展開する中で、健康を保つには、若い頃の食生活から見直すことが大切だということに気がつきました。

糖尿病を発症するのは中年以降の方が多く、実際にミールタイムの利用者も60代から80代と年齢層が高めです。糖尿病のコントロールは食事療法が重要ですが、中年以降の人がある日「さあ今から食事を変えましょう!」と言われても、なかなか難しいものです。

そのため、若いうちから食生活を整えて病気の予防につなげたいと思ったことが、「旬をすぐに」を開発したきっかけのひとつです。

とはいえ、若い人はお菓子を食事代わりにしたり、ファストフードやコンビニ弁当で済ませたりなど、自分の食事をおざなりにしてしまう人も少なくありません。その中で、どのように「旬をすぐに」の商品を手に取っていただくかが課題でした。

そこで、「おいしさ」と「価格」の両面で満足できるメニューを提供することにこだわりました。「おいしさ」の面で言うと、メニューの開発は、弊社の管理栄養士と、銀座料亭で研鑽を積んだ高野料理長、ミシュラン店で修業しブルガリア大使館で料理長を務めたムッシュ坂本、帝国ホテルで20年の実績を持つ中華の鉄人である飯野料理人といったメンバーが担当し、ご自宅でも一流シェフの味を楽しんで頂けるようにしています。

実際にサービスを利用したお客様からは、「冷凍とは思えないほどおいしい」とよく言っていただいています。

これはメニューへのこだわりはもちろんですが、瞬間冷凍にも力を入れているからです。通常の瞬間冷凍はマイナス30℃ですが、弊社はマイナス70℃で冷凍できる独自の技術を持っているため、より鮮度を保つことができるのです。

「価格」の面では、食材の買い取りからメニュー開発、調理、販売に至るまで、埼玉にある自社工場で行い、無駄なコストをかけずに価格を抑えています。

旬の食材をメインにしているのも、時季の作物は栄養価が高いことに加えて、収穫量が多いため、価格も抑えられるメリットがあるからです。

規格外野菜の取り引きを可能にしたシステム「旬すぐ共栄会」

–続いては調達について教えてください。ファンデリーでは、旬の食材をどのように仕入れているのでしょうか?

髙橋さん:

弊社では、一般の市場に出ているものではなく、独自の生産者ネットワークである「旬すぐ共栄会」からすべての食材を調達しています。共栄会に加入していただいている生産者さんから直接食材を買い取ることで、時季の食材を市場価格よりも安く仕入れることができます。

また、共栄会から規格外の野菜も買い取っています。日本は農産物の出荷基準が厳しく、少しでも規格からはみ出ると「規格外野菜」となり、市場に出荷できません。規格外野菜と言っても、ちょっとサイズが大きかったり、見た目が良くなかったりするだけで、味は市場のものと全く遜色ないにもかかわらずです。

さらには採れすぎた野菜も出荷できないことがあります。豊作なのに出荷できないなんて、矛盾しているように感じますよね。「豊作貧乏」という言葉がありますが、今の市場は、採れすぎた野菜は、出荷すればするほど生産者が損をしてしまう仕組みになっています。野菜は供給と需要の関係上、価格のコントロールが難しいのです。

これらの出荷できない野菜は、畑に残したままトラクターで潰すなどして廃棄せざるを得ない現状です。まだ十分食べられる野菜を廃棄するのはもったいないですよね。そこで「旬すぐ共栄会」に加入していただいている生産者さんから規格外野菜を弊社に送っていただくようにしています。

埼玉の自社工場には、近隣の生産者さんが「余ったから」と言ってトラックで直接持って来ることもあるのです。まさにFace to Faceのお付き合いです。そして、送っていただく規格外野菜の量は制限していません。というのも、先ほどお伝えしたようにメニューを自社で開発しているため、買い取った食材をどのように使い切るかを、すぐに社内で考えられるからなのです。

–「旬すぐ共栄会」にはどなたでも加入できるんですか?

髙橋さん:

どなたでもOKです。全国どの地域にお住いの生産者さんでも弊社サイトから入会していただけます。

また、新たに契約してくださる生産者さんを探すため、弊社の管理栄養士と調理人が「旬すぐカー」で全国を巡ることもしています。

私たちが実際に田畑や漁港を見て、そこにある食材でどんなメニューが作れるかをイメージするのです。地域を見て回りながら、生産者さんに直接お会いして買い取りの交渉をしたり、県庁に伺って、生産者さんを紹介していただいたりすることもあるんですよ。これは他社にはない弊社の強みだと思いますね。

そして出会った生産者さんたちに「廃棄予定の野菜を買い取りたい」と話すと、皆さん歓迎してくれます。せっかく育てた野菜を市場に出せず、廃棄せざるを得ないのは生産者さんにとって辛いことですからね。加えて生産するためにかかったコストが無駄になるし、廃棄するにもコストがかかりますよね。野菜が規格外になったり採れすぎたりすることは生産者さんにとって大きな問題なのです。

このような活動を通して、北海道から沖縄まで全国各地の生産者さんと契約できているため、さまざまな食材が工場に入ってきます。

人も農業も元気にしたい!ファンデリーが見据えるミッション

–規格外野菜の活用は生産者さんだけではなく、食品ロスの削減にも貢献していますよね。

髙橋さん:

そうですね。生産者さんと直接取り引きして廃棄野菜を少しでも減らす取り組みは、食品ロス問題へのアプローチともなり、SDGsの達成にも貢献できると思っています。

そればかりではなく、規格外の野菜が売れたら生産者の収入アップにもつながります。日本は食糧自給率が低い上に、農業従事者の高齢化がすすみ、農業の衰退が心配されていますよね。若い人が農業に携わらないのは、「儲からないから」という理由もあると聞いています。そんな中で規格外の野菜を買い取ることで、一次産業で働く人を少しでも応援したいという願いもあります。これは目標8「働きがいも経済成長も」の達成に関係していると思います。

–ここまでお話を伺い、「旬をすぐに」の魅力が伝わってきました。サービスを開始して3年ほど経ちますが、実際にどのような方が利用されているのでしょうか?

髙橋さん:

現在、20代から50代と、幅広い世代の方にご利用いただいています。

若い世代の人にサービスを知っていただくため、SNSでの発信に力を入れています。実際、SNSを見て弊社のサービスを知ったお客様が大多数です。

「旬をすぐに」は①会員登録②ECサイトから注文という短いステップで手軽に利用できる点もポイントです。これだけで、瞬間冷凍で鮮度を保ったメニューが自宅に届くので、ぜひ一度サイトに目を通していただけると幸いです。

–ファンデリーのお話を伺っていると、「食事から健康を」というミッションはもちろん、農業へも貢献したいとの思いが伝わってきます。

髙橋さん:

そうだと嬉しいです。弊社としては、単に宅配食を広めるだけでなく、若いうちから自分の食べるものに気を使い、健康を大切にすることを伝えていきたいと思っています。

他にも、「旬をすぐに」のサイトでは商品ごとにページがあるのですが、メニューに使われた食材の部分をクリックすると、生産者のお名前と顔写真が表示されます。

どんな生産者が作ったものなのか、お客様が知ることができる機会を提供しているのです。生産者の動画も載せているので、ぜひご覧ください。

また、現在、日本は高齢化に伴って医療費も増大していて、社会問題になっています。弊社には管理栄養士や調理人といった食のプロフェッショナルが多数在籍しているため、宅配食でお客様の健康を支え、少しでも医療費の削減に貢献したいと思っています。

–本日は貴重なお話をありがとうございました。

関連リンク

株式会社ファンデリー:https://www.fundely.co.jp/

旬をすぐに:https://shunsugu.jp/top