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「もっと収入のいい仕事に就きたい」

「役に立つスキルを身に付けたい」

「職場のデジタル化が遅れていると感じる」

などと思ったことはありませんか？教育訓練給付制度は、働く方の能力開発やキャリアアップを支援する制度です。この制度を活用することで、より良い職場への再就職やキャリアアップにつなげることができます。

あなたも利用できるかもしれません！その時のために、教育訓練給付制度について知っておきましょう。

教育訓練給付制度の対象となる条件や支給金額、申請方法などをわかりやすく解説します。

教育訓練給付制度とは

教育訓練給付制度とは、厚生労働省が運営する制度で、働く人が自らの能力を向上させるための教育訓練を受ける際に、受講料の一部を給付するものです。教育訓練給付制度では、次の３つの目的を掲げています。

具体的には、受講費用や生活費の一部が補助され、就業機会の拡大や雇用の安定化を目的としています。ただし、受講する教育訓練には一定の条件があり、また給付金額にも制限があります。

【教育訓練給付制度の概要】

教育訓練給付制度でのハローワークの役割

ハローワーク（公共職業安定所）※は、教育訓練給付制度を利用する方々にとって重要なパートナーです。制度の利用に関する情報提供や手続きのサポートを通じて、受講者が円滑に教育訓練を受けることができるよう支援しています。

具体的には、以下のような役割を担っています。

教育訓練講座の情報提供

ハローワークでは、教育訓練講座の情報を提供し、受講者が適切な講座を選ぶ手助けをします。ハローワークでは、教育訓練講座の一覧や詳細、受講資格、費用、期間などの情報を提供し、求職者が自分に合った講座を見つける手助けをしています。

また、教育訓練講座の受講に関する手続きや申し込み方法も案内しています。

受講申請のサポート

ハローワークでは、教育訓練給付制度の受講申請の手続きをサポートします。求職者が受講を希望する講座がある場合、ハローワークの担当者がその講座に関する詳細な情報を提供し、受講に必要な手続きや書類の準備方法を案内します。

同時に、受講資格や費用、期間などの条件についても説明し、求職者が受講に適しているかどうかを判断するお手伝いをします。また、必要な申請書類の作成や提出方法についてもアドバイスを行い、円滑な受講手続きを支援します。

給付金の支給

ハローワークは、受講者が教育訓練を修了した後、給付金の支給手続きを行います。給付金の支給に関する手続きや条件の確認を行い、受講者が適切に給付金を受け取ることができるようサポートします。

【教育訓練給付制度でのハローワークの役割】

教育訓練給付制度を活用することで、労働者はスキルアップを図り、企業側も人材育成につなげることができます。次の章では、教育訓練給付制度の特徴を確認しましょう。*1）

教育訓練給付制度の特徴

教育訓練給付制度は、職業能力向上や転職支援を目的としています。つまり、個人的な自己啓発や趣味のための教育訓練は対象外です。

この制度の対象となるのは一定の条件を満たす教育訓練です。具体的な条件は労働局や公共職業安定所で確認することができます。

また、受講期間や給付金額に制限があります。受講期間は一定の期間内に限られ、給付金額も一定の範囲内で支給されます。

対象となる教育訓練はそのレベルに応じて３種類に分けられ、それぞれ条件や支援の内容などが違います。

①専門実践教育訓練

専門実践教育訓練は、中長期的キャリア形成に役立つ訓練で、受講費用の50%（年間上限40万円）が支給されます。資格取得後に雇用されると、さらに20%（年間上限16万円）が支給されます。

対象講座の例：

支給対象者

雇用保険の被保険者または離職者が、厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合に支給される給付金です。

支給額

②特定一般教育訓練

特定一般教育訓練は、労働者の速やかな再就職や早期のキャリア形成に役立つ教育訓練に対して、受講費用の40％（上限20万円）が支給されます。

対象講座の例：

支給対象者

支給額

③一般教育訓練

一般教育訓練は、①と②以外の雇用の安定や就職の促進に役立つ教育訓練に対して、受講費用の20％（上限10万円）が支給されます。

対象講座の例：

支給対象者

支給額

【支援を受けられる主な資格・講座リスト】

教育訓練給付制度の対象となる教育訓練は、厚生労働省のホームページで検索することができます。

対象講座の検索はこちら→厚生労働省教育訓練講座検索システム

対象となる人

教育訓練給付制度は、次の要件を満たす労働者であれば、誰でも利用することができます。

教育訓練給付制度は、雇用保険に加入している方が利用できる制度です。加入していない方は利用することができません。

【教育訓練給付の内容】

このように、教育訓練給付制度は主に「すでに働いている人」のスキルアップを目的としています。次の章では、どうしてこのような制度が必要とされるかの背景について考えていきましょう。*2）

教育訓練給付制度が必要とされる背景

教育訓練給付制度が必要とされる背景にはさまざまな要素があります。

日本の産業・経済の状態

日本の産業・経済は、「第四次産業革命」※と呼ばれる急速な変化を遂げており、新たな技術や業務方法の導入が進んでいます。日本の産業もこの急速な変化に対応するためにDX※など、さまざまな取り組みを行っていますが、新しい技術に対応できる人材が不足しています。

このような状況下なので、労働者の職業能力のさらなる向上や新たなスキルの習得が求められています。

【関連記事】第四次産業革命とは？特徴や生活に及ぼす影響、課題をわかりやすく解説

【関連記事】デジタルトランスフォーメーション（DX）とは？取り組み事例・SDGsとの関係を解説

低所得者層の現状

日本では、低所得者層の割合が高く、経済的な困難を抱える人々が存在します。彼らにとっては、教育訓練を受けることが難しい場合があります。

教育訓練給付制度は、経済的な負担を軽減し、低所得者層の職業能力向上を支援する役割を果たしています。

将来的な労働者人口の減少

日本では少子高齢化が進んでおり、将来的には労働者人口が減少すると予測されています。このような状況下では、労働者のスキルアップや再就職支援が重要となります。また、日本の世界的な競争力は近年弱まりつつあると言われています。日本も国際競争力を維持するためには、労働力の質の向上が必要です。

教育訓練給付制度は、労働者の職業能力を向上させ、生産性の向上や雇用の安定化に寄与することが期待されています。

教育訓練給付制度は、国際的な競争力を高めるためにも重要な役割を果たしているのです。*3）

教育訓練給付制度のメリット

教育訓練給付制度には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか？

経済的な負担を軽減

教育訓練給付制度では、受講者に対して給付金が支給され、受講者は教育訓練にかかる経済的な負担を軽減することができます。給付金を受けることで、自身のスキルアップに前向きに取り組むことができます。

職業能力の向上

教育訓練給付制度を利用することで、受講者は自身の職業能力を向上させることができます。新たなスキルや知識を習得することで、自身のキャリアアップや転職の可能性が広がるでしょう。

就職や再就職の支援

教育訓練給付制度は、就職や再就職を支援する役割も果たしています。求職者が需要のあるスキルを持つことができれば、就職活動の競争力が高まります。

また、転職を考えている人にとっても、新たなスキルや知識を身につけることで、転職先の選択肢が広がるでしょう。

国際競争力の向上

教育訓練給付制度は、日本の国際競争力を高めるためにも重要です。他の先進国では、教育訓練制度が充実しており、労働者のスキルアップが積極的に支援されています。

教育訓練給付制度を利用することで、労働者は自身のスキルや知識を向上させ、日本全体の国際的な競争力を高めることができます。

オンライン講座も対象

教育訓練給付制度は、全国どこでも受講可能なオンライン講座も対象となっています。時間や場所に縛られることなく、自分のペースで学ぶことができます。

このように、教育訓練給付制度を利用することで、労働者は就職や転職に有利になり、経済的に自立することにつながります。また、教育訓練給付制度は、労働力不足の解消に貢献し、日本の産業・経済の発展に貢献することができます。

次の章では、注意しておきたい教育訓練給付制度のデメリットを確認しましょう。*4）

教育訓練給付制度のデメリット

教育訓練給付制度には以下のようなデメリットが存在します。これらを知っておき、制度を利用する際に失敗しないようにしましょう。

教育訓練給付制度には制約がある

教育訓練給付制度は、一定の条件を満たす必要があります。特定の職種や業種に限定されている場合があるので、制度を利用する前に自身の目指す職種や業種が対象になっているか確認することが必要です。

自己負担の必要性

教育訓練給付制度では、給付金の一部を自己負担する必要がある場合があります。つまり、受講者自身が一定の金額を支払わなければならないことがあります。

自己負担が必要な場合、予算を考慮して制度を利用するかどうか判断する必要があります。

給付金の返済

教育訓練給付制度を利用する際には、給付金の返済義務がある場合があります。返済期間や利子の有無など、具体的な条件によって異なります。

例えば、受講期間中に勤務先からの給与を受け取っていた場合や、一定期間内に離職した場合などです。返済義務が発生する場合、将来の収入やキャリアプランを考慮して制度を利用するかどうか判断する必要があります。

また、上記以外でも

などの特徴もデメリットと言えるかもしれません。デメリットを理解した上で利用しないと、せっかく受給しても効果的に活用できない可能性があります。事前にデメリットを理解した上で、メリットとデメリットを天秤にかけ、慎重に判断してください。

次の章では教育訓練給付制度の具体的な申請方法を紹介します。

教育訓練給付制度の申請方法

教育訓練給付制度の申請方法は以下の手順で行います。

①受講予定の講座を選ぶ

教育訓練給付制度が対象となる講座を選びます。指定された講座であることに注意してください。ハローワークでは、スキルアップのための専用の窓口があり、相談することができます。（予約が必要な場合があります）

②受講申し込みをする

選んだ講座に申し込みをしましょう。講座の詳細や申し込み方法は、教育機関のウェブサイトや担当者から入手できます。必要な書類や手続きについても確認し、提出期限を守りましょう。

③給付金の申請書類を準備する

教育訓練給付制度の給付金を受けるためには、申請書類の提出が必要です。申請書類には、個人情報や受講講座の詳細、自己負担金の支払い証明などが含まれます。教育機関や関係機関の指示に従い、正確に書類を準備しましょう。

④受講する

事前申請が承認されたら、受講を開始します。受講期間中は、勤務先から給与を受け取っていないことが条件となる場合があるので、注意が必要です。

⑤給付金の受給

給付金が支給されます。給付金の受給方法や支払いスケジュールは、教育機関や関係機関から通知されます。支給された給付金は、自己負担金の返済や講座料の支払いに利用することができます。

【給付手続き】

制度を利用する時の注意点

教育訓練給付制度を利用するための注意点をいくつか挙げておきます。

教育訓練給付制度を利用する際には、これらの注意点に留意しましょう。また、制度を利用する際には、関係機関や教育機関の指示に従い、正確な情報を提供することを心掛けましょう。

手順をしっかりと把握し、必要な手続きを丁寧に進めることで、スキルアップへの第一歩をスムーズに踏み出すことができます。もし疑問や不明点があれば、関係機関や教育機関に相談することをおすすめします。

次の章では、教育訓練給付制度に関してよくある疑問にお答えします。*5）

教育訓練給付制度に関してよくある疑問

それでは、おさらいも兼ねて、よくある疑問に答えていきます。

在職中でも活用できる？

教育訓練給付制度は在職中でも活用できます。ただし、受講する教育訓練が厚生労働省の指定する教育訓練であることが条件となります。また、教育訓練の受講期間中は、失業給付などの他の雇用保険給付を受け取ることができません。

45歳以上・50歳以上でも活用できる？

教育訓練給付制度は、年齢による制限はありません。つまり、45歳以上・50歳以上でも活用することができます。

また、教育訓練給付制度には、年齢に応じた特別枠という制度もあります。これは、45歳以上の方や50歳以上の方が、より多くの支援を受けられるように設けられた制度です。

具体的には、受講料や生活費の一部が支援されることがあります。

自分が対象となるか知る方法はある？

自分が教育訓練給付制度の対象となるかどうかを知る方法は、

などがあります。また、教育訓練給付制度は、雇用保険に加入している方を対象としています。自分が雇用保険に加入している場合には、被保険者証を確認し、被保険者期間内であることを確認することができます。

対象となる資格一覧はどこから確認できる？

教育訓練給付制度の対象となる資格については、厚生労働省が定めた「産業別資格等一覧表」に掲載されています。

「産業別資格等一覧表」は、厚生労働省のHPで確認することができます。ハローワークのHPでも、「産業別資格等一覧表」のリンクが掲載されています。

また、「産業別資格等一覧表」に掲載されていない資格でも、それが産業界で求められていると認められれば、教育訓練給付制度の対象となる場合があります。

次の章では、教育訓練給付制度とSDGsの関係について解説します。*6）

教育訓練給付制度とSDGs

教育訓練給付制度は、SDGs（持続可能な開発目標）のうち、

に深く関連する制度です。この制度を通じて、雇用保険に加入している人々が、職業能力の向上やキャリアアップを目指すための教育訓練を受けることができます。

日本の経済・産業・労働環境においては、グローバル化や人口減少などの影響により、高い職業能力を持つ人材の需要が高まっています。また、低所得者問題に関しても、職業能力の向上が重要な課題となっています。こうした課題に対して、教育訓練給付制度は一定の役割を果たすことができます。

このことから教育訓練給付制度は、

にも貢献すると考えることができます。

以上のように、教育訓練給付制度は、SDGsに関連する目標を達成するために重要な制度の１つとなっています。

まとめ

教育訓練給付制度は、あなたがスキルアップを目指すための大きなサポートとなります。何歳になっても、新しいことを学ぶことはできます。向上心を持ち、生涯学習を続けることは、あなたのキャリアや人生において大切な要素です。

教育訓練給付制度は、あなたが職業能力を向上させるための経済的な支援を提供します。スキルアップは、自己成長やキャリアアップにつながるため、自信を持って仕事に取り組むことができ、将来の可能性も広がるでしょう。

そして常に学び続ける姿勢を持つことで、時代の変化にも柔軟に対応できるはずです。社会のニーズや技術の進化に合わせて自分をアップデートすることは、将来の成功につながる重要なポイントです。

ぜひ、教育訓練給付制度を活用し、あなたの新たなステージに挑戦しましょう！自分自身の成長に向けて、一歩踏み出すことで、未来の可能性が広がります。あなた自身の力を信じて、新たな一歩を踏み出してみてください。

〈参考・引用文献〉
*1）教育訓練給付制度とは
厚生労働省『教育訓練給付制度』
政府広報オンライン『教育訓練給付制度があなたのキャリアアップを支援します』（2023年1月）
*2）教育訓練給付制度の特徴
厚生労働省『ハロートレーニング（離職者訓練・求職者支援訓練）』
厚生労働省『教育訓練給付制度』
厚生労働省教育訓練講座検索システム
厚生労働省『教育訓練給付制度のご案内』
*3）教育訓練給付制度が必要とされる背景
厚生労働省『教育訓練給付』（2023年2月）
厚生労働省『教育訓練給付について』（2019年4月）
厚生労働省『厚生労働省におけるデジタル推進人材育成の取組について』
*4）教育訓練給付制度のメリット
厚生労働省『教育訓練給付について 教育訓練給付金とは』
ハローワーク『教育訓練給付制度』
*5）教育訓練給付制度の申請方法
政府広報オンライン『教育訓練給付制度があなたのキャリアアップを支援します』（2023年1月）
厚生労働省『教育訓練給付制度のご案内
*6）教育訓練給付制度に関してよくある疑問
厚生労働省『Q＆A～一般教育訓練給付金～』
厚生労働省『専門実践教育訓練給付金に関するよくあるご質問』
厚生労働省『教育訓練給付制度の対象となる講座の受講を希望される方』
厚生労働省『教育訓練給付の講座指定等に関するQ&A』
*7）教育訓練給付制度とSDGs
経済産業省『SDGs』