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SDGsウォッシュとは?原因と企業の具体例・対策を解説

2015年に国連で採択されたSDGsの達成期限が2030年に迫る中、大企業だけでなく中小企業も、本格的に取り組みを進めることが求められています。

帝国バンクレポートが2022年に公表した「SDGsに関する企業の意識調査」によると、自社におけるSDGsに積極的な企業の割合が前年よりも向上しました。

しかしSDGsへ取り組む企業が増えた一方で、その内容と実態が異なる「SDGsウォッシュ」という言葉が囁かれるようになっています。

そこで今回は、SDGsウォッシュについての基本的な解説や、企業がSDGsウォッシュを回避する方法について、具体例を交えながらご紹介します。

SDGsウォッシュとは

SDGsウォッシュとは、企業がSDGs目標を掲げて活動しているように見えて、実態が伴っていない状況を指す言葉です。

簡単に言い換えれば、「SDGsのふりをした、見せかけのビジネス活動」とも表現できます。

SDGsウォッシュはグリーンウォッシュが語源

SDGsウォッシュの語源は、英語の「グリーンウォッシュ(Greenwashing)」が語源といわれています。

1986年に環境活動家のJay Westerveld氏が、自身のエッセイの中で、とあるホテルが「環境に良い」と掲げる活動に対して、環境問題の観点から批判をしたのが始まりでした。

その文章の中で、グリーンウォッシュが「環境に良いとしながらも、実際は環境問題への対策を何もせず、ビジネスのことしか考えていない」という意味合いで使われたことから、環境問題へ取り組むと見せかけて、実際は何もしていないビジネス活動を指す言葉として一般に広まりました。

SDGsウォッシュはグリーンウォッシュ同様、近年SDGsに取り組む企業が増える中で、実態が伴わず、うわべだけのビジネス活動が見られるようになり、それを批判する言葉として使われるようになっています。

では次に、世間から「SDGsウォッシュ」と見られることで、企業にどのような影響が出てくるのかを知っておきましょう。

SDGsウォッシュは企業にどのような影響があるのか

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本来のSDGs目標に沿った活動を出来ていない「SDGsウォッシュ」は、以下のような影響を与える可能性があります。

  1. 企業のイメージダウン
  2. 炎上リスク
  3. 投資の減額・停止

ひとつずつ見ていきましょう。

①企業のイメージダウンに

SDGsの目標を掲げておきながら、実際の活動内容が目標に沿っていないという状況は、世間から見た企業のイメージダウンにつながります。

たとえば、目標15「陸の豊かさも守ろう」に取り組むことを掲げ、植林活動を行う団体へ売り上げの一部を寄付している企業があるとします。

しかし商品の製造工程で、植林活動だけでは追い付かないほどの二酸化炭素・有害ガスを排出したり、相殺できない量の木材を伐採したりといった実態があれば、企業の活動内容がSDGsの目標に沿っているとは言えません。

植林活動に貢献できると思って商品を購入していた消費者からすれば、「騙された」と感じ、イメージダウンは避けられないでしょう。

②炎上リスクも

企業の掲げる活動内容がSDGsにそぐわない場合、イメージダウンに加えて主にSNSやメディアを通じて炎上するリスクも考えられます。

例として、目標8「働きがいも、経済成長も」を意識したセミナーや広告を作ったとします。

しかし、登壇者・広告に登場する人物がすべて特定層の男性だったり、男性優位の働き方を提言したりした場合、これは目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは一致せず、SDGsを推進しているとは言いにくい状況です。

すると、SNSやメディアを通じて「SDGsウォッシュ」と批判され、炎上する可能性が出てきます。

このように、ひとつの目標にだけフォーカスし、ほかの目標への理解が浅いまま企業活動を行うことは、炎上のリスクを招くこともあるのです。

そして一度イメージが下がってしまうと、再び信頼を得ることは難しく、場合によっては企業の活動自体が困難になる可能性もあるでしょう。

③投資家からのネガティブな印象を持たれる

SDGsウォッシュによって投資家が懸念を示すこともあります。

実際、欧米では既に「環境や社会・人権に配慮しない企業への投資をしない」と宣言している投資家が多く存在し、SDGsに取り組まない、もしくは取り組んでいると見せかけているビジネス活動は、ネガティブなイメージを持たれてしまいます。

企業にとって、資金源の確保は重要な問題です。応援してくれる投資家のためにも、持続可能な社会を求めてビジネス活動へ、早急に方向転換する必要があります。

SDGsウォッシュと指摘された企業事例

では、実際にどのようなケースがSDGsウォッシュに当てはまるのでしょうか。ここでは、過去にSDGsウォッシュと指摘・批判された企業の事例をいくつか見ていきましょう。

世界最大の政府系ファンドが投資を撤退

ノルウェーでは、世界最大の政府系ファンドといわれるノルウェー政府年金基金プログラム(SWF)を持ち、上場株式企業への投資を行っています。

その運営母体であるノルウェー中央銀行投資管理部門によると、2012年以降およそ300の企業を投資対象から外したことを明らかにしました。

対象外となった企業の名前は明らかになっていませんが、理由は「ESG投資の審査結果に照らし合わせ、持続可能性のリスクがあると判断したから」とのことです。

つまり、企業がSDGsの目標に含まれる環境や人権・経済といった要素にコミット出来ていないため、ファンド側が「もうお金を渡しません」と企業の応援をやめてしまったのです。

ESG投資とは

株主である投資家が、企業の経営側に対し、環境(Environment)・社会(Society)・ガバナンス(Governance)の3点に配慮して、持続可能な経営を求める投資方法のこと。社会的責任投資ともいう。

また2021年時点では、9社がすでにブラックリスト入りのため投資を停止し、65社が審査中としています。

人権問題の疑いから、商品の販売差し止めへ

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SDGsのアジェンダで「人権の保護」や「だれ一人取り残さない」といったメッセージが見られるように、労働の搾取や児童労働・マイノリティへの差別といった人権問題は、SDGsの中でも重大な課題のひとつです。

しかし2021年、以前から問題視されている中国・新彊ウイグル自治区での強制労働に関して、日本の企業を含む4社がフランスNPO団体から告発され、フランス当局がこの件を審査中と発表しました。これを受け、アメリカでは該当商品の販売が停止される事態に。

該当企業のウェブサイトを見ると、サステナビリティのページには明確に「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」という項目があります。

それでも企業の責任者は、強制労働の件に関して明確な立場表明を避けたため、欧米をはじめ世界中から批判を受けました、

人権に関するガイドラインを守らないことはもちろんNGですが、事実かどうかに関わらず、企業の責任者が「強制労働は良くない」と立場を明確にしないことは、消費者や取引先から「問題意識がない」とみなされてしまい、企業活動が苦境に立たされるリスクを強めてしまいます。

更生の陰に隠れたSDGsウォッシングも

近年、環境問題に取り組む企業が増えています。しかし一方で、掲げた方針と実際の活動内容が沿っていない場合が多いのも事実です。

ある大手企業の飲食チェーン店では、商品の原料となるフライオイルにパーム油を使用していますが、過去に「環境や人権に配慮されていないものを使っている」と指摘され、大きな批判を浴びました。

パーム油を作るためには広大な土地が必要で、以前からインドネシアをはじめとした東南諸国の森林が次々と伐採されていることが問題となっていました。これは森林減少に加えて、オランウータンやゾウといった動物たちの住まいを奪い、生態系の崩壊につながるためです。

さらに、生産地の8割以上を占めるインドネシアとマレーシアでは、労働者に対する過酷な労働環境も疑問視されています。

このような背景があり、この企業は2017年より持続可能なパーム油生産を審査するRSPO認証を受けたものだけを使うと宣言しています。

しかし、あるNPO団体の告発によると、この企業は今もまだ安価なパーム油を求め、環境や人権を無視した森林伐採を続ける動きが見られるといいます。

この事態を受けて、新たな森林伐採の停止を呼びかける署名キャンペーンが行われるなど、再び批判の嵐が巻き起こりました。

SDGsウォッシュと批判される2つの原因

以上のように、SDGsウォッシュにはさまざまな例があることが分かりました。

では次に、なぜSDGsウォッシュといわれてしまうのかについて、2つの原因から考えていきましょう。

①サプライチェーンの管理不足

企業は、自社がSDGsウォッシュに陥らないよう注意することに加えて、サプライチェーン(生産・流通における一連の流れのこと)の管理が不可欠です。

例えば製品を生産する際、取引先の企業が人権を無視した労働環境で従業員を働かせたり、輸送に大量の二酸化炭素を排出したりすることも考えられます。

この場合、取引先企業の問題ではあるものの、発注主である企業にも責任が求められるのです。

SDGsというと、自社の取り組みに焦点が当てられがちで、取引先まで目を向ける意識はまだまだ持たれていないのが現状です。SDGsウォッシュと指摘されないためにも、サプライチェーン全体で課題解決に向けた取り組みを検討していかなければなりません。

②SDGsへの間違った理解、認識不足

SDGsへの誤った理解もSDGsウォッシュを招く原因です。炎上リスクの章で取り上げたように、1つの目標のみに取り組み、その他の目標については考慮しないケースはこの中の1つとして挙げられます。また、現在行っている事業とSDGsをただ結びつけただけで「自社がSDGsに取り組んでいる」としてしまうことも間違った認識と言えます。

本来、SDGsは2030年の達成を目指して、それぞれ(国や企業、個人など)が野心的な目標を掲げて取り組みを進めていくものです。この野心的な目標を達成するためには、現在の事業内容だけでは達成が困難とされており、SDGsを取り入れ革新的な取り組みを見出すことが求められています。

つまり、既存の事業内容とSDGsを結びつけただけでは、根本的な問題解決には至らず、SDGsに取り組んでいるとは言えないのです。

SDGsの表面的な部分だけを調べるのではなく、しっかりと本質を理解してから事業に取り入れることが重要でしょう。

では、SDGsウォッシュを回避するためにはどうすれば良いのでしょうか。

SDGsウォッシュを回避する方法

SDGsウォッシュといわれてしまう原因について見てきましたが、企業がSDGsウォッシュと指摘されないためにはどのようなことが必要なのでしょうか。

ここでは、SDGsウォッシュを回避する方法について述べていきます。

企業がSDGsへの理解を深める

企業がSDGsウォッシュを行ってしまう大きな原因として、

  • SDGsウォッシュを行っている自覚(悪意)がある場合
  • SDGsウォッシュを行っている自覚がない場合

の2パターンを挙げることができます。

前者が悪質なことはもちろんですが、SDGsウォッシュを行っている自覚がない場合はどんな原因があるのでしょうか。

根本には「SDGsへの理解が浅いこと」があります。

例えばオーガニックコットンを使用している製品を販売している企業が、商品の製造過程で提携工場が人権を無視した労働者を雇用していることを知らずに「SDGsに貢献した製品」として宣伝・販売した場合、消費者からは「SDGsに貢献している」ように見えても実態は「SDGsウォッシュなのです。

サプライチェーンにおける人権の重要性に理解がある企業であれば、取引先企業にも事前に調査や確認をしてから取引を行うべきです。

SDGsを深く理解することが、SDGsウォッシュを防ぐ近道であるのです。

SDGsウォッシュは見分けられる?

SDGsウォッシュに明確な見分け方はありませんが、広告やキャンペーンの中に「おかしいかも」と疑うポイントを見つけることは可能です。

  • 明確な主張や方向性を避ける曖昧な表現
  • 値段が安すぎる
  • 客観的に見て、別の視点(他の目標への配慮など)が欠けていると感じる

曖昧な表現の場合は、その企業への問い合わせも有効

特にSNSやウェブサイトの文面は、商品・サービスの内容を知るのにもっとも分かりやすい手段といえます。

たとえば、たったひと言「環境に配慮した商品です」とだけ書かれている場合と、具体的にどのような活動を行っているのかが分かる文章では、信頼度合いに差が出るもの。曖昧な表現は、何かを隠しているのかもしれません。

また値段が安すぎる場合は、本当にサプライチェーンや自社社員への配慮が足りているのか、調べてみましょう。もし何も情報がなければ、SDGsウォッシュの疑いが高くなります。

広告の写真や文言だけに頼らず、

  • 事業内容やほかの活動について自分で調べてみる
  • それでもわからない場合は企業に問い合わせる

ことも有効です。

調査されることはある?

SDGsウォッシュかどうかを、国や専門機関から調査されることはあるのか疑問を抱く人もいると思います。

事業内容がSDGs目標に沿っているかどうかを調査する機関は、現時点では特にありません。

しかし日本をはじめ、世界各国では環境や人権などの問題に取り組む研究機関・非営利団体などが存在し、企業にはたらきかけて適切なアクションを取ってもらえるように動いています。

そのため、SDGs目標とそぐわない活動内容があれば都度指摘し、改善を求めてくることも少なくありません。

またそうした状況を知った消費者・投資家も、同じように改善を求めるでしょう。企業としては、SDGs目標へ取り組むうえで表面だけの活動にならないよう、常に注意が必要です。

では、企業が正しくSDGsを自社の事業内容に落とし込むためにはどのようにすれば良いのでしょうか。次では、その方法をステップ別に詳しく見ていきましょう。

SDGsウォッシュといわれないためにSDG compass(SDGコンパス)を活用しよう

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SDGsウォッシュを避けるための有効策のひとつとして、SDG compassの活用が挙げられます。

SDG compassとは、企業がSDGsを事業に取り入れる際に必要な行動方針をまとめたもので、2016年に、GRI(Global Reporting Initiative)、国連グローバルコンパクト、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)によって作成されました。

SDG compassは、主に大規模な多国籍企業を想定して作成されていますが、中小企業や企業以外の組織も参考になる内容がまとまっています。

5つのステップが用意され、企業がSDGsへ最大限に貢献できるビジネス戦略を示しています。

  • ステップ1|SDGsを理解する
  • ステップ2|優先課題を決定する
  • ステップ3|目標を設定する
  • ステップ4|経営へ統合する
  • ステップ5|報告とコミュニケーションを行う

では、ひとつずつ確認していきましょう。

ステップ1|SDGsを理解する

企業の経営方針・事業内容へSDGsを取り入れる前に、まずはSDGsとは何か?を理解するところからはじめましょう。

SDG compassでは、SDGsの概要と各目標の説明に加え、なぜ企業にとってSDGsが大切なのかを理論的に説明しています。

SDGsについての正しい知識と認識を身に着けて初めて、企業の基本的な行動指針を設定することができます。

ステップ2|優先課題を決定する

SDGsについて理解が進んだら、次は企業として取り組む優先課題を決めましょう。

社会における企業の立ち位置や事業内容によって、どの目標を重点的に取り組むべきかが変わってきます。

どのように設定するのかを考えるには、マッピングを利用するのが便利です。

バリューチェーンにおけるSDGsのマッピング
出典:SDG Compass

上の図のように、事業に関わる工程を細かく書き出し、その中でSDGsに貢献できそうな課題を抽出します。

そのうえで、企業として優先的に取り組めそうな課題を設定していくとよいでしょう。

優先課題の決定の際には、ポイントが2つあります。

①ステークホルダーとのコミュニケーションを行う

企業としての意思決定には、一部の経営陣だけではなく、仕事に従事する社員や、資金を提供してくれる投資家といったステークホルダーからの意見を聞き、取り入れることも大切です。

そうすることで、ステークホルダーの持つ企業への関心や課題・利害について十分に把握でき、企業の活動方針を決める際の参考になります。

②正の影響だけでなく、負の影響にも目を向ける

マッピングの図の中にあるように、今できることを更に伸ばす「正の影響の強化」だけでなく、現状では課題が残るからこそ解決に努める「負の影響の最小化」にも注目しましょう。

負の影響を最小化することは、今は達成できていないからこそ、SDGs目標に最大限の貢献を果たせるチャンスだ、と考えることができます。

このように、事業内容の中でできることを、マッピングを通して見つけていきましょう。

ステップ3|目標を設定する

優先課題が決まったら、今度は具体的な目標を設定します。

SDGsの達成期限は2030年と、期限が明確に決まっています。そこで、限られた時間の中でいかに目標を達成するか、具体的な数値を示していくことが重要です。

例えば、SDG compassでは次のような事例が示されます。

  • 女性役員の数を2013年末のベー スラインと比較して2020年末までに40% 増加させる
  • 2018 年から 2020 年までの3年間の平均水使用量を、2006 年から 2008 年までの平均水使用量と比較して、50% 削減する目標を設定し、短期的な変動の影響を排除する

このような目標を決定する際に大切な考え方が、「アウトサイド・イン・アプローチ」です。

SDG compassがまとめた以下の図を見てみましょう。

目標設定アプローチの採用
出典:SDG Compass

従来、企業の活動指針によく使われてきた目標設定の考え方は、左側の「インサイド・アウト・アプローチ」でした。

これは、自社が収集した過去のデータや現在の潮流にもとづき、将来を予測して目標を立てていくやり方で、その達成度を評価する際は、同業他社と比較するのが通例です。

対してアウトサイド・イン・アプローチは、

  • 社会や世界全体で求められているニーズに基づいた目標設定
  • 科学的根拠に基づいたデータ、もしくは外部の調査結果を利用
  • 評価方法は、事業が対処できる社会のニーズが基準

というように、企業の内側でニーズやデータを生み出すのではなく、外側にある社会を基準とした考え方です。SDG compassでは、この「アウトサイド・イン・アプローチ」を推奨しており、今後の持続可能な社会をつくるために必要な考え方と言えます。

アウトサイド・イン・アプローチにより企業の目標が設定出来たら、SDGsのコミットメントをウェブサイトなどで公開し、持続可能な社会へ貢献する姿勢を発信することもポイントです。

ステップ4|経営へ統合する

目標の設定まで整ったら、いよいよ企業の経営へ統合するステップに入ります。

これまでの過程で設定した目標を達成するために、活動の中で具体的な行動へ落とし込みましょう。

例えば、ファッションアイテムを生産する企業として、SDGs目標12「つくる責任つかう責任」を優先課題と設定した場合、ステップ3で定めた具体的な目標をもとに、以下のような行動が考えられます。

  • 2023年までに、有害物質が含まれる染料の使用を洗いだす
  • 2024年までに、該当の染料を禁止

このように、具体的な年数と内容を反映し、計画的に行動へ移せるように実際の活動へ取りこんでいくことが大切です。

その際、自社だけで解決しようとせず、競合他社や地域の学校・自治体など別の組織とパートナーシップを組めば、目標の達成がより現実的になります。

ステップ5|報告とコミュニケーションを行う

最後のステップは、目標達成への進捗を定期的に公表し、ステークホルダーとの報告・コミュニケーションを行うことです。

進捗の報告方法には、GRI(包括的準)やCDP(課題別報告メカニズム)といった、国際的に認識された基準を用いることが有効的です。

ほかにも、コミットしている目標に応じて、国連人権報告書やCDSB(Climate Disclosure Standards Board、企業の気候変動情報開示の標準化を目指す)国際枠組みを使い、効果的に分かりやすく報告書を作成しましょう。

作成が終わったら、ウェブサイトなどに公表して一般公開するのが最適です。そうすることで企業の透明性を確保でき、ステークホルダーとのコミュニケーションが円滑に進みます。

定期的に報告を行うことで、ステークホルダーや社会のニーズを都度確認し、すばやく軌道修正を行いながら目標の達成へ近づくことも可能です。

このように、着実にステップを踏むことで、SDGsへの取り組み状況を分かりやすく提示できるため、SDGsウォッシュと指摘されるリスクを回避することができます。

まとめ

今回はSDGsウォッシュについて、どのようなケースが当てはまるのかについてや、企業としてSDGsウォッシュを指摘されないための方法についてご紹介しました。

17つの項目やアジェンダを理解するのには少し時間が必要ですが、企業の活動がSDGsウォッシュに該当しないように、まずはSDGsについて知るところから始めましょう

そのうえで、自社が取り組めることを洗い出し、SDGsの目標達成へ向けて最大限に貢献できるようアクションを起こしていきましょう。

<参考文献>
EARTH.ORG
Bloomberg
UN
国際連合広報センター
THE GUARDIAN
WWF
SumOfUs
SDG Compass