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タイニーハウスとは?間取りや価格は?風呂トイレ付きは高い?メリット・デメリットを解説

タイニーハウスが注目されるようになった理由の1つに、東日本大震災があります。

2011年の3月に起きた東日本大震災は人や住宅など、さまざまなものに大きな被害を及ぼしました。総務省統計局によると、地震の被害によって13.3万世帯の人々が住宅に住めなくなったと報告しています。

この地震によって私たちは、改めて自然災害の恐ろしさを感じたと同時に、豊かさに対する考え方を見直すきっかけにもなりました。

地震によって崩壊された住宅や家具などを見て、「高いローンを組んで建てた立派な家は、本当に必要なのか」「物を沢山持つことは本当の豊かさなのか」などの疑問をもつように。

やがて「本当に必要なものだけを持つ」ことを意識する人が増え、「持つ豊かさ」から「持たない豊かさ」へと変わっていったのです。

本記事では、

  • タイニーハウスとは、どのようなものか
  • どのような種類と使い方があるのか
  • メリット・デメリット
  • SDGsとの関係性

を見ていきます。

まずは、タイニーハウスとは何かを知りましょう!

目次

タイニーハウスとは?

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タイニーハウスとは、英語の「Tiny(小さな)」と「House(家)」を組み合わせた言葉です。

タイニーハウスの間取りは?

総務省統計局によると、日本の一戸建ての平均的な広さは94.13㎡。タイニーハウスの明確なルールは決まっていないものの、平均的な広さは10~25㎡と言われているため、通常の住宅と比べてとてもコンパクトな設計になっています。

タイニーハウス発祥の地であるアメリカでは、10~40㎡が平均的な広さと言われていますが、なかには9㎡(2.7坪)のタイニーハウスも存在します。このようにコンパクトな設計のタイニーハウスですが、特徴は見た目だけではありません。

シンプルな暮らしを実現する家

先述した通りタイニーハウスは、コンパクトな設計の住宅です。そのため室内には、必要最低限の家具や物のみを置くことになります。人によっては「狭い」と感じるでしょう。

しかし無駄なものを置くスペースがないということは、本当に必要な物だけを手元に置くシンプルな暮らしを実現できる住宅でもあります。

近年、必要最低限の物しか持たない「ミニマリスト」と呼ばれる人々が増えてきました。そういった人を中心に、住宅も「大きな家に住み、物を沢山持っていることが豊かさの象徴」から「身の丈に合った家に住み、必要最低限の物だけで暮らすことが本当の豊かさ」という考え方に変わっていったのです。

ここまでは、タイニーハウスがどのような住宅なのかをお伝えしました。次は、タイニーハウスの種類を見ていきます。

一括りにタイニーハウスと言っても、①移動できるタイプ②基礎がついているタイプの2つに分類され、それぞれにおいて、様々な種類があります。

タイニーハウスの価格に関して

タイニーハウスの価格は種類や規模によって異なりますが、一般的に100〜1,000万円で購入できるものが多いとされています。しかし、注意しなければならないポイントもあるので確認しましょう。

建物自体の価格しか表示されていないことがほとんど

タイニーハウスの販売価格は、建物以外の値段が表示されていないことも少なくありませんが、

  • 土地代
  • 電気や水道などの生活インフラの費用
  • 場所によっては生活インフラを建物に引いてくるための工事費用

なども必要になってきます。

タイニーハウスを購入する際は、表示されている価格が建物のみのなのか、どこまで含まれているのかをしっかりと確認しておきましょう。

タイニーハウスの2つの種類

タイニーハウスは、移動できるタイプと基礎がついているタイプの2種類に分けられます。

それぞれの特徴を説明していきます。

種類①移動できるタイプ

コンテナハウス

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コンテナを住居として活用するコンテナハウスは、無機質な外観がオシャレに見えるという理由から人気があります。

住居以外にもショップやオフィス、モールなど、活用方法の幅が広いところも特長です。また、低価格で手に入り、工期が通常の建物より短いところも魅力と言えるでしょう。

コンテナは、

  • 海上輸送用コンテナ
  • 建築用コンテナ

の2種類があります。

海上輸送用コンテナは中古であれば10万円未満から、建築用コンテナも100万円未満。しかし海上輸送用コンテナは、材質や構造上の理由から建築確認(※)の取得が難しいため、タイニーハウスとして使用するのであれば建築用コンテナを選びましょう。

もう1つの注意点は断熱対策です。コンテナは金属でできており、熱を伝えやすい性質を持っています。そのまま使用すると夏は暑く冬は冷え込むため、人が住むには良い環境とは言えません。コンテナハウスで暮らすのであれば、空調と断熱工事をしっかりと行う必要があります

建築確認とは

建築工事の前に、設計や敷地配置などの計画を建築主事(計画を確認する人)などに確認してもらうこと。建築物が、敷地・構造・建築設備などの法律に違反していないかをチェックする。合格すると「確認済証」が交付され、工事を始められる。

トレーラーハウス

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トレーラーハウスは「シャーシ―」と呼ばれるフレームに建物を乗せ、車で引いて走る移動型のタイニーハウスです。他のタイニーハウスと異なり「建築物」ではなく、「車両」として扱われます

そのため、他のタイニーハウスであれば、建物関連の法律によって規制されることも、トレーラーハウスには関係ありません。

例えば、税金。トレーラーハウスは車両扱いになるため、一般の住宅が支払う不動産取得税や固定資産税も発生しません。さらに車両扱いではあるものの、建物だけでは走れないことから重量税も支払わずに済みます。

また、トレーラーハウスは、

  • 断熱性
  • 気密性
  • 耐震性

にも優れており、四季によって気候が変化する日本でも快適に暮らせます。

一定の場所にとどまらず、その時々で行きたい場所に住宅ごと移動できるトレーラーハウスは、自分らしい豊かな暮らしの実現を可能にしてくれるでしょう。

しかし、トレーラーハウスにもデメリットがあります。

  • 車で引いて移動するため運搬コストがかかる
  • タイヤが付いている分、地面から住宅が離れてしまい玄関の位置が高くなる
  • 住宅の基礎がないため、設置場所によってはトレーラーハウスが地面に食い込む
  • 狭い道は通れない(目的地まで遠回りしないといけない)
  • 定期的なメンテナンスが必要

メリットとデメリットを理解した上で、購入を検討することをおすすめします。

種類②基礎がついているタイプ

続いては、基礎がついているタイプについて紹介します。

プレハブ住宅

プレハブ住宅の「プレハブ」は、プレハブリケーション(Pre-fabrication)の略です。

現場で1から建てるのではなく、事前に部材を加工し組み立てておくことを意味します。そのためプレハブ住宅は、工場で生産・加工・組み立てを可能な限り終わらせ、現場での作業負担を軽減・工期の大幅な短縮を実現しました。

また、工場の厳しい管理体制の中で生産されており、質にバラつきが出にくく品質も安定しています。現場での組み立ても、完成した部材を組み上げていくだけなので、職人の技術や経験によって完成度が左右されることもありません。

デメリットは耐久性と耐火性が低いことです。

プレハブ住宅は、軽量鉄骨造と呼ばれる鉄骨でできた住宅です。鉄骨は一定の温度を超えると、強度が急激に下がり住宅の崩壊につながる恐れがあります。

さらにサビは、耐久性の低下につながるためプレハブ住宅を所有するのであれば、定期的なメンテナンスを欠かさないようにしましょう。

小屋

別名「スモールハウス」とも呼ばれており、タイニーハウスの中でも最も基本的な形です。最近では、無印良品が販売している「無印良品の小屋」がきっかけで、さらに注目されるようになりました。

通常の住宅と同様に基礎があり、10~15㎡ほどの大きさのものが一般的ですが、スモールハウスも規定はないため15㎡以上のものもあります。材質も木だけではなく、アルミやコルクなど種類も増えており、より自分の理想に近い小屋を手に入れやすくなりました。

タイニーハウスが注目され始めたことで、無印良品のように、小屋の販売を行う他のジャンルの企業も参入してくるでしょう。より快適でオシャレなデザインの小屋が増えることで、タイニーハウスの認知度も上がると期待されています。

ドームハウス

ドームハウスは、加工することによって建築材として使用できるほどの強度を持った発泡ポリスチレン(発泡スチロール)製のタイニーハウスです。断熱性や気密性にも長けており、豪雪地帯や強風地帯など特殊な環境でも問題なく建てられます。さらにドーム型は、空気循環に優れ省エネ効果も期待できます。

発泡ポリスチレンは軽量で組み立ても簡単。場所や天候にもよりますが、7日間ほどでドームハウスが完成します。また、発泡ポリスチレンの原材料は炭素水素のみです。

金型に流し込み蒸気を利用して成形するため、環境ホルモンやダイオキシンなどの有害物質が一切発生しません。

高断熱・高気密な性質のため省エネ効果もあり、軽くて丈夫。そのうえ、どの工程でも有害物質が発生しないドームハウスは、とても環境に優しい住宅です。環境問題への意識が高まる現代に相応しい設計といえるでしょう。

このようにタイニーハウスには沢山の種類があり、ライフスタイルや土地の気候などに合わせて自由に選択できます。また、この選択肢の豊富さから住居だけではなく、それ以外の使い方をしている人も少なくありません。

タイニーハウスの使い方や使用用途

タイニーハウスには、コンパクトで場所を取らないからこそできる楽しみ方や使い方もあります。ここからは住宅以外に、どのような使い方があるのかを見ていきましょう。

別荘

もともとタイニーハウスは、セカンドハウスとして使用されることの多い住宅です。「普段、使用するには狭いけれど、週末や長期休暇の短期間なら不便さを感じない」などの理由から別荘として使用する人も少なくありません。

また、一般的な住宅形式の別荘を建てるより低コストで済む点も魅力の1つです。別荘が欲しい若い世代にも、低価格なタイニーハウスであれば比較的手に入れやすいでしょう。

書斎や仕事部屋

新型コロナの影響により、多くの企業でテレワークが導入されました。しかし家で仕事をすると、自分以外の人の生活音が気になり自宅だと集中できないと思う人もいます。

自宅に余っている部屋があれば、仕事部屋として活用できますが難しい人もいるでしょう。そこで注目したいのが、タイニーハウスです。

小型の住宅であるタイニーハウスを庭に設置することで、離れのように使用できます。自宅から一定の距離を保てるので、生活音なども耳に入りづらくなりオンライン会議への参加も可能です。

離れ

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タイニーハウスであれば、お客さんが急に宿泊することになっても対応できます。自宅に泊めることも可能ではありますが、ある程度のプライバシーを確保したい場合に便利です。泊まる側も、気を遣わずに済みリラックスできるでしょう。

趣味専用の部屋

「楽器を弾くのが趣味だから、周りを気にせず演奏できる部屋が欲しい」「集めていたフィギアが増えすぎて飾り場所に困っている」など、趣味に関する悩みの解消にもタイニーハウスは最適です。

住宅の種類も多く防音設備や棚の設置など、ある程度の要望にもこたえられるため、理想に合った趣味専用の部屋が完成します。

しっかりと自分だけの空間を確保することで、誰にも邪魔されず趣味を楽しめると同時に、家族や同居人に迷惑をかける心配もありません。秘密基地のような感覚で楽しく使えるでしょう。

このように自宅として活用する以外にも、多くの使い方があるタイニーハウスですが、なぜ誕生したのでしょうか。次は、タイニーハウスの歴史について詳しく見ていきましょう。

タイニーハウスの歴史

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タイニーハウス誕生には、さまざまな社会問題や出来事が関係しています。

始まりは1997年のスモールハウスムーブメント

タイニーハウスの始まりは、1997年にアメリカの建築家サラ・スーサンカ(Sarah Susanka)が提唱した「スモールハウスムーブメント」です。彼女は「小さな家で暮らす生き方」について主張しました。

その後1999年には、ジェイ・シェーファー(Jay Shafer)が約10㎡のスモールハウスを建設。住宅は「The ELM」と名付けられ、2000年には雑誌の賞を受賞しました。

当時建設したこの住宅は、入り口のデッキまで合わせてサイズが4.2×2.3m。日本の建築法では建築確認が不要のサイズでした。

2005年 自然災害による住宅への影響

2005年に発生したハリケーン・カトリーナ。なかでもジャズ発祥の地であるニューオーリンズは8割が冠水、死者は1,800人以上になりました。この自然災害は、「アメリカ史上最悪の自然災害」と言われています。

建築家マリアンヌ・クサト(Mariannne Cusato)は、ハリケーン・カトリーナの被災地に、快適さと機能性を追求したスモールハウス「カトリーナコテージ」を制作。

この住宅は、多くの建築家から評価を受け、その後さまざまな場所に影響を与えることになります。

2007年 サブプライムローン問題によるリーマンショック

2007年になるとサブプライムローン問題(※)が発生し、この影響でリーマンショックが起こります。この不況はアメリカだけではなく、世界規模にまで発展しました。

リーマンショックをきっかけにアメリカでは、大きな家や物を沢山持つことに疑問を抱く人が増加。必要最低限の持ち物と、ローンを組まずに小さな家に住む考え方「タイニーハウスムーブメント」が起こったのです。

サブプライムローンとは

アメリカの金融機関が信用力の低い人に向けて、車や家を担保に20~30%の年率で融資する低所得者向けの住宅ローン。

日本では東日本大震災がきっかけに

アメリカで起きたタイニーハウスムーブメントが、日本に広まったのは東日本大震災後でした。この自然災害によって多くの住宅やインフラが崩壊し、人々は「物の所有の仕方」や「今までの生き方」に疑問を抱き始めます。

今までは、大きな家に住むことが豊かさの象徴とされる部分が少なからずありました。しかし、東日本大震災で豊かさの象徴が一瞬にしてなくなる姿を見たことにより、タイニーハウスのようなシンプルな暮らしを求める人が増えていったのです。

これがタイニーハウスの歴史になります。続いては、注目されている理由に踏み込んでいきましょう。

タイニーハウスが注目されている理由とメリット

タイニーハウスが注目されている理由は、流行・働き方・自然災害・環境配慮の4つです。1つずつ紹介していきます。

ミニマルな暮らしの流行

近年ミニマリストと呼ばれる人々が増えています。

ミニマリストとは、必要最低限の物しか持たず、シンプルでミニマルな暮らしや生き方をする人です。ミニマリストは2015年の流行語大賞にノミネートされたこともあり、注目度の高さが伺えます。

そして、このミニマルな暮らしが必要最低限の家具や物しか置かないタイニーハウスと相性が良く、注目されるようになりました。

ミニマルな暮らしは、自然と1番気に入った物や大事な物を選ぶようになります。持ち物が最小限ですむため「室内が物で溢れているから、頻繁に掃除しなければいけない」「物が多すぎて部屋を圧迫している」などのストレスからも解消されるでしょう。

自由な働き方ができる

コロナ禍による在宅ワークがきっかけで、「意外とどこにいても仕事はできる」と気づくと同時に、都市部にいる重要性を感じなくなり地方へ移住するケースも少なくありません。

そのためタイニーハウスを購入し地方で暮らしながら仕事を続ける人や、地方と都市部を行き来する二拠点生活を送る人など、自由な働き方ができるようになりました。

また、タイニーハウスのように低価格で家を購入でき、固定資産税や住宅ローンを抑えられる点が、自由な働き方を選ぶことに対するハードルを下げています。

近年多発する自然災害の影響

タイニーハウスが日本に広まるきっかけとなった東日本大震災のように、日本では自然災害が多発しています。地形や地盤の問題は勿論ですが、地球温暖化による気候変動なども関係しているでしょう。

これ以上自然災害による被害を増やさないためにも、私たちは地球温暖化と向き合わなければいけません

タイニーハウスは、先述したドームハウスのように

  • 環境に優しい素材を使用
  • パーツの製造過程で有害物質が発生しない

など、環境に配慮した住宅も存在します。

耐震性や耐久性にも優れているため、災害時の避難場所としての活用も可能です。

環境に配慮した家づくりや暮らしが可能に

タイニーハウスのようにミニマルな暮らしをすることで、環境負荷の軽減にもつながります。

少ないエネルギーで暮らせる

タイニーハウスのコンパクトな設計は、電気や冷暖房といったエネルギーの削減にもつながります。部屋数も少なく、過度なエネルギーを必要としません。そのため、通常の住宅より光熱費を1/3に抑えることも可能です。

なかには太陽光パネルの設置風力発電用の風車を備えている家もあり、環境に優しい自然エネルギーを自ら発電し活用できるタイニーハウスも存在します。

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必要最低限の物で暮らすためゴミが出にくい

通常の住宅よりも空間が限られている分、必要最低限の家具や物しか置けません。そのため、厳選してモノを選択するようになるはずです。これにより、「新しく購入したから、今まで使っていた物は捨てる」となりにくく、結果的にゴミの削減にもつながります。

家づくりに使用する資材も少なくてすむ

組み立てる資材が少ない点も、タイニーハウスの特徴です。通常の住宅より規模が小さい分、必要な資材も最小限に抑えられます。沢山の木材用の木を切らずに済み、環境に優しい省資源な住宅といえるでしょう。

また、通常の住宅よりも小さいため、住んでいるうちに老朽化が進んでもコンパクトな分、修繕する場所も多くはありません。また住宅自体だけではなく、部屋数が少ない分設置する家具や電化製品も減り、初期投資の減少にもつながります。

海外ではパーマカルチャーとセットで考えられることも

パーマカルチャーとは、永続的な循環型の農業を通して人と自然が共存し、持続可能な暮らしを送るためのデザイン手法です。タイニーハウスとパーマカルチャーは、セットで考えられることがあります。

特に海外ではその考え方が強く、オランダのデンハーグにはパーマカルチャーを目指すタイニーハウスの集落が存在するほどです。

そして、この2つの共通点は地球環境に配慮し、自分にとって生きやすいライフスタイルを築き上げるところです。自分が居心地の良いと思う環境にするために行ったことが、持続可能な農業や自然環境の実現につながります。

タイニーハウスのデメリット

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タイニーハウスには、デメリットも存在します。購入を考えている人はデメリットも押さえておきましょう。

プライベートスペースが少ない

コンパクトな設計のため、部屋数が通常の住宅より少なくなります。そのため、必然的にプライベートスペースも少なくなるため、ストレスが溜まってしまうこともあるかもしれません。1~2人で暮らすには最適ですが、それ以上になると窮屈に感じる恐れがあります。

風呂トイレ付きの物件は設置が難しいので少ない

コンパクト且つ移動できるタイニーハウスは、トイレやお風呂の設置が難しいケースがあります。一般的な住宅にあるトイレ、お風呂は上下水道につながっており、タイニーハウスでも同様の工事が不可欠で費用が発生します。そのため、トイレと風呂はない場合や、コンポストトイレやポータブルトイレ、簡易シャワーなどで対応していことがほとんどです。

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ライフスタイルの変化に対応しにくい

「今は夫婦2人だけれど、将来的には子どもを考えている」など、将来的に住む人数が変わる可能性がある場合は、タイニーハウス選びも慎重に行わなければいけません。コンテナハウスのように重ねて2階建てにするなどの方法もありますが、時間や手間もかかります。

基本的にライフスタイルの変化に対応しにくいため、購入する際に「どのような人生設計を考えているのか」を頭に入れて選びましょう。そうすることによって失敗を防げます。

タイニーハウスに関する社会保障制度が整えられていない

少しずつタイニーハウスの認知度も上がってきましたが、まだまだ知らない人が多いことも事実です。そして、比較的新しい暮らし方であることと、利用者が少ないこともあり社会保障制度の整備が不十分な状態です。

今後、社会的に保障されることで安心感が増し、タイニーハウスがさらに注目されるようになるでしょう。

タイニーハウスを所有する際の注意点

通常の住宅と少し異なるタイニーハウスには、いくつかの注意点があります。トラブルを未然に防ぎ、快適に暮らすためにも覚えておきましょう。

建築確認申請が不要な場合も

タイニーハウスを建てる場合は、どの種類の住宅でも基本的に建築確認申請が必要になります。

しかし、

  • 床面積10㎡以下の建物
  • 増築・改築・移転の場合(新築は建築申請が必要)
  • 防火地域・準防火地域以外の地域であること(新築は建築申請が必要)

上記の条件をクリアしている場合は、建築確認申請が不要です。建てる予定のタイニーハウスが、該当していないか確認しましょう。

建物の種類によっては固定資産税が発生する

基礎がある建物は土地に定着しているため、基本的に固定資産税が発生します。そのため、トレーラーハウス以外のタイニーハウスは、固定資産税がかかると考えた方が良いでしょう。

しかしメリットでもお伝えしたように、タイニーハウスは住宅の面積が小さいため、通常の住宅より固定資産税を抑えられます

タイニーハウスとSDGsの関係性

最後に、タイニーハウスとSDGsの関係について確認しましょう。

SDGsとは、2015年に開催された国連総会にて、193の全加盟国が賛同した国際目標です。

2030年までに環境・社会・経済に関する課題解決を目指し、17の目標と169のターゲットが設定されました。また、SDGsは地球上に暮らす全員が協力して目標を達成し、誰一人取り残さない世界を目指します。

そして、タイニーハウスに住むことでSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成につながるのです。

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」

sdgs8

SDGs目標8は、

  • 持続的な経済成長と完全かつ生産的な雇用
  • 働きがいのある人間らしい仕事の促進

に注目した目標です。

タイニーハウスが注目されるようになった背景には、コロナ禍での在宅ワークや大都市で働くことへの重要性が、以前より薄れている現状などの影響も受けています。

「わざわざ会社に行かなくても仕事ができる」「もっと自分らしく働ける場所・居心地の良い場所で仕事がしたい」と思っている人々には、まさに理想の住宅といえるでしょう。

通常よりコストを抑えて家を所有できるため、家を建てることへのハードルも下がり、「地方で暮らす」という選択も実現しやすくなりました。地方自治体としても移住者が増えることによって、地域活性化にもつながるでしょう。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」

sdgs11

SDGs目標11は誰も排除せずに、都市や人間の居住地を安全かつレジリエント(強靭)で持続可能なものにすることを目指します。日本では、地方創生の観点から注目されている目標です。

日本は少子高齢化が進んでおり、その影響を大きく受けているのが地方です。若い世代が減ることで税収も減少、反対に高齢者は増え続けているため、医療費などの支出は増加しています。これにより、地方自治体の運営は厳しい状態になっているのです。

そこで現在、地方移住者を増やすために、注目されているのがタイニーハウスです。「移住したいけれど、家を建てるにはお金がかかるから難しい」という理由で諦めていた人も、建設費と維持費を最小限に抑えられるタイニーハウスであれば移住のハードルを下げられます。

これにより移住者が増え税収も安定し、人々が安心して住み続けられる町を実現できるでしょう。同時に、目標11の達成にもつながります。

まとめ

東日本大震災をきっかけに、日本でも存在が知られるようなったタイニーハウス。「必要なものだけを残し、身の丈に合った家で暮らす」ことは、「物を沢山持つことが豊かさの象徴」と思いこんでいた私たちの考え方を正すきっかけにもなりました。

家も物も必要最低限にすることで負担を減らし、人や環境・社会に良い影響を与えてくれます。そしてさらには、SDGsの目標達成にもつながるのです。もし働き方や暮らし方に迷っているのであれば、タイニーハウスで暮らすことも選択肢に入れても良いでしょう。

本当に必要なものだけに囲まれて、心地よく暮らしながら地球環境を良くする。タイニーハウスで暮らすことは、次の世代が笑顔で暮らせる地球を維持するために、私たちがしてあげられることの1つです。

〈参考文献〉
TINY HOUSE 小さな家、可愛い家 |ミミ・サイガー 著 黒崎 敏 訳
SDGs(持続可能な開発目標)|蟹江 憲史著
東日本大震災が住宅及び世帯に及ぼした影響等について|総務省統計局
住宅の規模|総務省統計局
Tinyhouse travelers|相馬由季
コンテナハウスって一体どんなもの?メリット・デメリットについて知ろう|ATS,Japan合同会社
コンテナハウスのすべてを分かりやすく徹底解説!|株式会社コンテナハウス2040.jp
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