#インタビュー

株式会社WORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ)| 笑顔溢れるワークスタイルとは?自社をモデルとして、良い働き方・オフィス設備の改善を中小企業に提案

株式会社WORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ) 瀬尾さんインタビュー

瀬尾直樹

1980年2月、兵庫県神戸市生まれ。広告代理店勤務を経て、2016年より株式会社 WORK SMILE LABOへ広報兼デザイナーとして入社。当時社運を賭けたプロジェクト『ワクスマ』を世の中に知って頂くためにマーケティング・ブランディングに従事。またその一環として自社のSDGsの取り組み事例を明文化し発信。

社員数50名以下の中小企業の『働き方』を追求する会社として、先駆的な働き方を実践し、外部に情報発信し続けます。

Introduction

明治44年、文具店として始まり、オフィス機器販売の石井事務機センターをへて、WORK SMILE LABOとして生まれ変わった同社。働くうえでの笑顔を大切にしつつ、職場環境の改善とビジネスの発展を合わせて達成してきました。

今回は、WORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ)瀬尾さんに、SDGsにも関係の深いテレワークやパートナーシップを中心にお話を伺いました。

「笑顔」で「働く」「研究所」とは?

–本日はよろしくお願いします。早速ですが、会社のご紹介をして頂けますか。

瀬尾さん:

もともとは事務機器を扱う会社として、職場環境やビジネスにおいてノウハウを蓄積してきました。今では、自社をモデルとして、同業他社や中小企業への「笑顔溢れるワークスタイル創造提案業」へと変化しています。

–販売業とコンサルティング業。二面を合わせ持つ、とてもユニークな存在ですね。WORK SMILE LABOという社名も素敵です。

瀬尾さん:

「笑顔」で「働く」「研究所」という意味ですが、その「笑顔」は、楽しい笑顔だけではありません。努力して目標を達成できたときの笑顔、他者に認められたときの笑顔。働くうえでそんな笑顔を大切に、という意味をこめています。

–働きがいにつながる笑顔、ということですね。

瀬尾さん:

はい。SDGsの項目でいえば、8番の「働きがいも経済成長も」です。弊社では、ここを最も大事にしています。

中小企業におけるテレワークの先駆者

–では、SDGsに取り組むようになった背景をお聞かせください。

瀬尾さん:

弊社のSDGsは、おもにテレワークと結びついています。背景は2016年に遡ります。中小企業は社員が少ない場合が多く、当時の弊社も例外ではなく、総務部は女性三人のみでした。ところが、その一名のお子さんが、病弱だったんです。

–親として、お子さんのケアという問題が出てきますね。

瀬尾さん:

社員本人は元気でも、お子さんが病気になれば、看病で会社を休まざるを得ません。それは親の役割ですし、仕方のないことです。ただ、度重なると、周囲への負担も本人の心苦しさも増してきます。

–子育て中の社員の切実な「あるある」ですよね。

瀬尾さん:

結局、社内の空気も悪くなり、当事者はやめざるを得なかった。そのような事例が続いたんです。

–どんな組織でも、子育て、親の介護中などの社員のありかたは課題ですね。

瀬尾さん:

そうですね。そして中小企業の問題の一つは、社員が辞めた場合に次の人材の確保がしづらい、ということです。ここをなんとか解決せねば、という思いがありました。

–それがテレワークの導入につながったわけですね。

瀬尾さん:

はい。当時は、在宅勤務という言い方でしたが。その結果、子どもをもつ社員、とりわけ女性が働きやすくなったのです。

当時、テレワークは大手企業では導入されていましたが、中小企業としては弊社が先駆的な事例となりました。この取り組みが評価も得て、表彰もされました。(2018年総務省テレワーク先駆者百選総務大臣賞受賞)

–今でこそ、コロナ禍で一挙に広まったテレワークですが、その当時の導入に、周囲の抵抗はありましたか?

瀬尾さん:

弊社が、その当時でもテレワークの導入に成功できたのは、テレワークなら仕事を続けられる、という社員に限った選択肢として始めたからです。そのため、「総務部でのみ」というスモールスタートでした。

–家での仕事の方がやりづらい、という人もたくさんいると思いますし、強制やいっせいに導入というのは難しいですよね。

瀬尾さん:

今はコンサルティングの立場からもテレワークを推奨していますが、本当に必要とする人たちから小さく始め、かつ、コロナ禍のような有事の際に使える基盤を作っておくことが大事です。

–つねに柔軟な選択肢を提示されるのですね。

瀬尾さん:

そうです。かつては、会社の都合に合わせるのが普通の働き方でした。でも今は、社員の多様な働き方に会社が合わせることを求められます。そういう体制作りが必要なんです。

–社員からの評判もよかったのですね。

瀬尾さん:

もちろんです。弊社の社員は女性が半数で、子育て中の場合も多い。制度を使った人からは、「それがあったからこそ仕事を続けられました。」との声をいただいていますし、その結果、他の社員や会社の利益にもなります。今や、女性の力を活用せねば経済はまわりません。女性が働きやすい環境作りは、企業が成長していくために必須です。

–時短勤務などの対応もされていますね。

瀬尾さん:

時短は一時間から、休暇も一時間単位でとれる、など柔軟な働き方ができるようにきめ細かな対応をしています。企業の成長に繋がる大事な働き方です。

–とはいえ、世間ではまだまだ有給休暇が取りにくいという声もあると思います。御社ではそこをどう解決したのでしょうか?

瀬尾さん:

社長自らが小学生の父親で、学校行事に出てから出社、などとやっています。人によってのフレキシブルな働き方が、社内文化として当たり前になっています。

–2022年4月現在、岡山県の希望就職先ランキング第一位ですね!このような働きやすさが反映されてのことでしょうか。

瀬尾さん:

そうであろうと思います。ランキングというよりも、よい学生さんと出会えればOKなんですが。とはいえ、岡山県で一位とはありがたいことです。

事務機器業界を巻き込む働き方の改革・利益の改善とは?

–SDGsでいう「パートナーシップで目標を達成」にも取り組まれていますね。

瀬尾さん:

弊社のSDGsは、ここまで話してきた目標8との関連はもちろんですが、パートナーシップの部分が大きいですね。というのも、事務機器を扱う企業は、オフィスの必需品を売るため、多くの中小企業を顧客として抱えているからです。

–パートナーシップありきで成り立っているのですね。

瀬尾さん:

地域に根ざした仕事ですし、face to faceの関係性に強味があります。同時に、事務機器業界は、まだまだ新たな働き方への感度や取り組みに弱い部分があり、デジタル化も遅れています。

–だからこそ、コンサルティング業が生きるんですね。

瀬尾さん:

はい。今の時代、新たな働き方やデジタル化に対応できないと取り残されてしまう可能性もあるでしょう。テレワークにしても、事務機屋さん自体がそれをできる会社にならないとですし、そのような働き方をしていなければ、エンドユーザーに伝えられません。

–体験、体感に基づく話は、本当に説得力があります。

瀬尾さん:

事務機器業界を巻き込み、ともに発展していきたいですね。また、テレワークは、情報のセキュリティの担保など、いろいろなIT機器を導入せねば成立しません。テレワークのパッケージとして周辺機器も売れる。なので、ひとつのビジネスモデルとして、いろいろな商品が売れるチャンスですよ、ということもコンサルします。

–商機を促し、商品を使うノウハウまで伝える。一石二鳥ですね。

もはや、SDGsはきれいごとではない

–そのほかに取り組まれているSDGsはありますか?

瀬尾さん:

多くの中小企業は、SDGs?だから何なの?が本音です。道徳的に大事なことだとは判っていても、お金にならないならスタートしない、お金になるならやる、となりがちです。

二宮尊徳が、有名な言葉を残しています。「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」。SDGsには、素晴らしい道徳性があります。確かにきれいごとかもしれない。でも、それを語りさえできない企業は淘汰されると思っています。

–本当に、時代は音をたてて変わっています。

瀬尾さん:

いまの学生たちは、SDGsを学んで社会に出てきます。そんな子たちは、SDGsに取り組まない会社、考えすらしない会社にがっかりするでしょう。

–ひと昔前ならきれいごとと感じたかもしれませんが、今の地球の環境は待ったなしですね。気象も「前例のない」の繰り返し。きれいごとではなく、自分ごとになっています。

瀬尾さん:

そうです。もはやきれいごとではなく、社会の一員として取り組まねば、というところがあります。また、投資家や金融機関が、企業のそこを見る時代にもなりました。環境のことも困った人のことも気にしません、という会社に融資はしがたい、となってくるんです。

とはいえ、中小企業のSDGsへの意識はまだまだ薄いので、啓発していきたいですね。この次の世代に何を残すの?ということが問われている世の中になってきていますし、SDGsに対する感度を高くして、みんなで良い社会を作っていきましょう、と。

自社がモデルとなり、多くの企業や人々と未来へ繋がる

–今後の展望をお聞かせください。

瀬尾さん:

一社でできることは、限られています。そこで、弊社がビジネスモデルとなって、多くの企業や人を巻き込んでいきたい。そのためには、パートナーシップが大事です。そのパートナーシップを結んでもらうためには、実績が必要です。

–エビデンスがないと聞いてもらえないということですね。

瀬尾さん:

はい。SDGsに関しても、2022年から弊社の専務が岡山青年会議所のトップに就任し、岡山県のSDGsアンバサダーになっています。

青年会議所も岡山県も、SDGsに熱心に取り組む拠点です。地の利を活かして、つねに働き方へのチャレンジを重ね、多くの事例を外部に発信しながら、成長していきたいですね。

–これからのご展開が益々楽しみです。本日は、ありがとうございました。

関連リンク

株式会社WORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ):https://wakusuma.com/