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世界水の日とは?制定された背景や実施イベント、私たちにできること

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私たちが生きていくうえで、なくてはならない存在である「水」。飲み水としては勿論、農業や製造分野など、様々な場面で活用されています。そんな重要な資源である水について、考えアクションを起こす日が「世界水の日(World Water Day)」です。

本記事では、「世界水の日について知り、自分にできる範囲で取り組みたい」という人に向けて、世界水の日の基本情報や世界各国で行われているイベント、個人にもできることなどをお伝えします。

世界水の日とは

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「世界水の日(World Water Day)」とは、「淡水に関する国際デー」です。

世界中の人々が「安全に使える水(淡水)と水の管理方法を、この先もずっと続けていくためにはどうすればよいか」を考え、地球の現状を知り、アクションを起こす日になります。加えて、2019年に採択された国際目標である、SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」を達成するための行動を促す日でもあります。

「世界水の日」では毎年テーマが設定されており、2022年は「GROUNDWATER – MAKING THE INVISIBLE VISIBLE (地下水-不可視なものを可視化する)」。2023年は、「ACCELERATING CHANGE(水と衛生の危機対応の変化を加速させる)」でした。

1992年に国連総会にて採択

1992年の6月に、ブラジルで行われた地球サミットで「アジェンダ21(※)」が採択された際、「世界水の日の制定」が勧告されました。その後、同年の12月に開催された国連総会にて決定し、1993年から毎年3月22日を「世界水の日」としています。

(※)アジェンダ21

持続可能な開発のための具体的な行動計画。大気や森林、砂漠、生物多様性、海洋など様々な分野について記されている。

世界水の日が制定された背景

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では、なぜ「世界水の日」が制定されたのでしょうか。その背景を見ていきましょう。

世界で起きている水問題

現在、地球上では、

  • 安全な水を手に入れられない人が世界に20億人いる
  • 水に対する脆弱性が高い又は極めて高い地域に暮らす人は、子どもを含めて14億2,000万人
  • 地域によっては、整備されていない水源や水を汲むのに30分以上かかる水源に依存している
  • 急激な人口増加や都市化の進行、気候変動、異常気象などにより安全な水の量が減少傾向にある
  • 水需要が増加しているため、2025年には39億人が水不足の影響を受けると予想されている
  • 水紛争の問題(※)

など、水に関する多くの問題を抱えており、世界中の国や関連団体が解決に向けた取り組みを進めています。しかしそれだけでは、いつまで経っても問題の解決にはいたりません。私たち個人の取り組みも不可欠なのです。

そこで、多くの人々に水に関する現状を伝え、水資源の大切さなどを広めるために、「世界水の日」が制定されました。

(※)水紛争

世界水の日には具体的に何を行うのか

続いては「世界水の日」に、具体的にどのようなことを行っているのか知りましょう。

様々な場所で「水」に関するアクションが行われる

毎年世界水の日になると、関連団体や企業が、その年のテーマにそった内容のイベントやセミナー、キャンペーンなどを開催します。

例えばスコットランドのビール―メーカーは、2020年3月20~22日に、24カ国にある250以上の醸造所と協力し、「Brewgooder Global Gathering 2020」というキャンペーンを実施。利益の全てを、途上国の人々が安全な水を確保できるようにするために、活動している団体に寄付しました。

また日本でも、SNSを活用した参加型キャンペーンが開催されたり、子どもたちが中心となり話し合いを行う、「世界水の日こども会議」などが行われたりしています。

このように企業や団体では、一人でも多くの人に水問題について関心をもってもらうために工夫を凝らしているのです。

【世界】世界水の日に行われたイベント

「世界水の日」に、具体的にどのようなことをするのか理解したところで、ここからは実際に世界で行われたイベントを紹介します。

国連水会議

2023年3月22~24日に、46年ぶりとなる「国連水会議」がニューヨークで開催され、オンラインとオフラインを合わせて、10,000人ほどが参加しました。当日は、下記の5つのテーマをもとに話し合いが行われました。

  • 健康のための水:安全な飲料水と衛生へのアクセス
  • 持続可能な開発のための水:水、水・エネルギー・食料間のアクセス、持続可能な経済と都市への開発を重んじる
  • 気候、レジリエンス(強靭性)、環境のための水:海の源から生物多様性、気候レジリエンス、災害リスク削減まで
  • 協力のための水:国境を越えた国際水協力、部門横断的な協力、2030アジェンダの水関連目標
  • 水の国際行動の10年:国連事務総長の行動計画によるものを含め、「行動の10年」の目標の実施を加速させる

引用元:2023年国連水会議:プレスキットから【5つのテーマ領域に関する事実と数字】|国際連合広報センター

会議では、世界中で起きている水に関する危機から脱却するための行動計画、「水行動アジェンダ」が採択され、サイドイベントでは、コロンビアやコンゴ共和国などが提唱していた「淡水チャレンジ(※)」も発足しました。

(※)淡水チャレンジ

水環境の生物多様性と生態系サービス(機能)の回復、持続可能な利用を補助するための取り組み

【日本】世界水の日に行われたイベント

日本でも、「世界水の日」に関する様々なイベントが開催されています。

ウォーターエイドジャパン主催の「Blue4Water」

Blue4Water(ブルー・フォー・ウォーター)」は、水問題に対して関心をもってもらうことを目的に、ウォーターエイドジャパンが毎年3月22日に行っている参加型キャンペーンです。

参加方法は3通りあり、自分が挑戦しやすいものを選べます。

身近なものを青く染めよう!・青い服を着たり靴を履いたりする
・青い小物を身につける
・青いネイルをする
・青い花を飾る など
SNSを青く染めよう!・青いものの写真を撮り、X(旧:Twitter)やInstagramなどのSNSに「#Blue4Water」とつけて投稿する
周りの人に広めよう!・友人や家族、職場の人に、3月22日が「世界水の日」であることや、自分が調べた知識を教える

指定の場所に集まったり、何か特別な物を準備したりする必要もないため、誰でも気軽に参加できるキャンペーンとなっています。

レキットベンキーザー・ジャパン株式会社の『水の惑星プロジェクト』

引用元:PRTIMES

レキットベンキーザー・ジャパン株式会社では、3月22日から「『水の惑星プロジェクト』~”地”よりも”水”が多い”地球”のこと、楽しく学んで節水しよう!~」を実施しました。このプロジェクトは、水の大切さと水がもたらす恩恵について学ぶ機会をつくり、節水のためのアクションの促進を目的として行われました。

プロジェクトの第一弾では、「地球の歩き方」とコラボし、「水」をテーマにした冊子「水の惑星の歩き方」を数量限定で発刊。第二弾では、水について楽しく学べる「あたりまえ地球の水クイズ」を特設サイトにて公開しました。

世界水の日に私たちができること

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続いては、「世界水の日」に私たちができることを紹介します。

「世界水の日」について知り、広める

これは「世界水の日」に限ったことではなく、何かに対して興味を持ったり、問題を解決しようとしたりする時は、まずはその対象について深く知ることが大切です。そのため、気になる単語や国際デーを見つけた時は、関係のある専門機関や書籍を活用し、正しい知識を得ましょう。

「世界水の日」に関しては、ユニセフ(国連児童基金)World Water Day Kids Summit Projectなどがあります。そして、知ったことを友人や家族などに話すことによって、「世界水の日」の認知度向上にもつながります。

普段の水の使い方を振り返る

「世界水の日」を機会に、自身の生活を振り返ってみましょう。

  • 歯を磨いたり食器を洗ったりする時に、水を出しっぱなしにしていないか
  • 顔を洗う時に、必要以上に水を出していないか
  • 大量の洗剤を使い食器を洗っていないか
  • 食べ残し、飲み残しが極力出ないように心掛けているか
  • 油で汚れた皿は拭き取ってから洗っているか

など、生活を振り返り少し意識や行動を変えることによって、きれいな水を保てます。

必ずしも、大きなアクションを起こさなければいけないというわけではありません。

まずは、このような小さなことから始めてみましょう。

世界水の日とSDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」との関係

最後に、SDGs目標6と世界水の日の関係性を確認していきましょう。

「世界水の日とは」でも述べたように、この日は、水の大切さや持続可能な管理の方法、世界で起きている危機などについて知ったり考えたりする以外に、SDGs目標6の達成に向けたアクションを人々に促す日でもあります。

目標6は、「淡水と衛生」に焦点を当てた内容となっており、地球に暮らす全員が、水と衛生施設を使用できるようにし、持続可能な水と衛生管理を実現させることが目的です。

ターゲット【6.1】にも、

2030年までに、全ての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。

引用元:JAPAN SDGs Action Platform|外務省

と、記されています。

その他の、水に関するターゲットも、

  • 上下水道の問題の改善
  • 水質の改善
  • 水不足への対処と水利用効率の改善
  • 統合的な水資源の管理
  • 水に関する生態系の保護や回復
  • 安全な水の確保と管理方法を持続化するために、地域コミュニティの参加を促進させる

などが盛り込まれており、水問題を多方面から改善しようとしているのです。

そのため、政府や多くの企業、団体、個人が「世界水の日」を知り、知識を深めてアクションを起こすことによって、これらのターゲットをクリアし、目標6の達成に近づきます

【関連記事】SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」の現状と日本の取り組み事例・私たちにできること

まとめ

「安全に使える水(淡水)と、その管理方法を、この先もずっと続けていくためにはどうすればいよいか」を考え、地球の現状を知り、個々がアクションを起こすように促す「世界水の日(World Water Day)」。

日本では、蛇口を捻ると簡単に水を得られるため、水問題の深刻さや水が貴重であることに対して、あまり深く考えていない人も少なからずいるでしょう。しかし、「世界水の日」をきっかけに世界の現状を知ることによって、この問題がもっと身近なものになるはずです。

当日は、日本でも様々なイベントが開催されます。気になったり何か行動したいと思ったりした人は、ぜひ参加してみてください。誰もが安全な水を手に入れられる世界に近づけるために、一人ひとりが無理のない範囲で行動しましょう。そのアクションが、安全な水を手にいれられる人を増やし、SDGs目標6の達成に貢献します。

〈参考文献〉
食洗機を使えば手洗いよりも1回あたり約50L*も節水できる!『水の惑星プロジェクト』~”地”よりも”水”が多い”地球”のこと、楽しく学んで節水しよう!~ 3月22日「世界水の日」より開始|PRTIMES
3月22日は世界水の日|Blue4Water 2023|特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン
国連水会議が閉幕!水行動アジェンダの採択と「淡水チャレンジ」の発足が実現|WWFジャパン
【今日は何の日?】3月22日:世界水の日 / World Water Day|フリー・ザ・チルドレン・ジャパン
水資源|国土交通省
3月22日は世界水の日 子ども5人に1人が必要な水を得られず 水の安全保障をすべての人に|日本ユニセフ協会
3月22日は「世界水の日」気候変動や紛争で悪化の一途をたどる水の危機46年ぶりに国連水会議も開催|公益財団法人 日本ユニセフ協会
アジェンダ21(あじぇんだにじゅういち)|全国地球温暖化防止活動推進センター
水資源:「世界水の日」|国土交通省
国連広報センターX(旧:Twitter)
World Water Day:世界水の日|公益社団法人 国際農林業協働協会
「世界水の日」|独立行政法人 国際協力機構