#SDGsを知る

アーモンドミルクとは?メリット・デメリット、おすすめ商品・レシピも

アーモンドミルクとは?メリット・デメリット、おすすめ商品・レシピも

原始時代から人類が食料としてきた自然からの贈り物、ナッツ類。なかでもアーモンドは「天然のサプリメント」として人気です。

すでにおつまみや料理に大活躍のアーモンドですが、本記事では、アーモンドミルクにスポットを当て、注目を集めている背景や、メリット、デメリットを整理し、おすすめの商品やレシピを紹介していきます。

アーモンドミルクとは

アーモンドミルクとは、アーモンドを原料として作られる飲料です。

茹でる、もしくは湯につけたアーモンドの実を、砕いたりすりつぶしたりしたものに、水をくわえて滑らかにし、それを濾して作ります。

第3のミルクのひとつ

アーモンドミルクは、アーモンドの香ばしい風味を持ちながら、すっきりした味わいの植物性ミルクです。オーツミルクライスミルクと並んで、牛乳、豆乳に次ぐ第3のミルクと呼ばれています。

アーモンドミルクの成分・栄養素

もう少し踏み込んで、アーモンドミルクの特徴を確認していきましょう。賢く選び、健康生活に生かしていきたいですね。

まずは、市販の商品で牛乳、豆乳、アーモンドミルクの主な成分・栄養素を比べてみましょう。

牛乳豆乳アーモンドミルク
カロリー122kcal113kcal39kcal
タンパク質6.6g8.3g1.0g
脂質7.6g7.3g2.9g
コレステロール25mg0mg0mg
糖質9.6g3.3g0.9g
食物繊維0g0.4g3.0g
ビタミンE0.2mg4.4mg10.0mg

表に整理してみると、アーモンドミルクが牛乳や豆乳に比べ、カロリー、タンパク質、脂質、コレステロール、糖質が少なく、食物繊維やビタミンEが多いことがわかります。

アーモンドミルクはどんな味?

アーモンドミルクは、アーモンド本来の香ばしさを保っています。味については「かなりあっさりしている」印象を持つ方が多いようです。

他のミルクと同じように、温めて飲むこともできます。

アーモンドミルクが注目を集める背景

ナッツとしてのアーモンドは、原始の時代から食料とされてきましたが、アーモンドミルクも、中世から料理に使われた記録が残っています。

そのアーモンドミルクが、近年再び脚光を浴びるようになってきたのはなぜでしょうか。その背景を見ていきましょう。

健康志向の高まり

下の表は近年の食生活への取り組みの調査結果を表したものです。宗教上の理由やアレルギーを心配する人はもちろん、それとは深く関連しなくても、多くの人の間で健康志向が高まり、自然食ブームも見られるようになりました。

そんな方達を中心に、ナッツそのものの価値が見直され、それまで「おつまみ・お菓子」としてのナッツ類が、健康食品として人気が出てきたのです。

それに伴い、植物性ミルクの売り上げも伸びてきました。

多様な食品が選べるようになった現代、健康で長生きするための食品を選ぶ方が増えてきたのですね。

環境への配慮

年々深刻化する地球温暖化に伴う気候変動。原因である温室効果ガス排出を抑えることは世界の課題です。その中で、残念ながら農業分野からも多くの温室効果ガスが排出されています。

下のグラフをご覧ください。

ミルクをコップ1杯(200ml)生産するのに必要な温室効果ガスの排出量、使用土地面積、使用水量を表したグラフ
出典:BBC

【図の見方】

上から牛乳・ライスミルク・豆乳・オーツミルク・アーモンドミルク

赤が温室効果ガスの排出量

黄色が利用する土地

青が水の利用量

畜産に必要な飼料や設備の維持には多大なエネルギーが必要となりますが、その過程で温室効果ガスが排出されます。また、牛の「げっぷ」はメタンガスの発生元でもあり、牛乳が与える環境負荷が大きいことが分かります。

植物性ミルクは、温室効果ガスの排出が少ないという点で「地球にやさしい」飲料といえるのではないでしょうか。

アーモンドミルクのメリット

イメージ画像

続いては、アーモンドミルクのメリットについて見ていきましょう。他の植物性ミルクとも比べながら確認します。

メリット①ヘルシーで高い栄養価

アーモンドミルクが牛乳や豆乳に比べて「カロリー、タンパク質、脂質、コレステロール、糖質が少ない」ということはすでにお話ししました。ダイエット中の方や糖質制限をされている方などにはとても嬉しいミルクですね。

ここでは、他の植物性ミルクと比べてみましょう。

アーモンドミルクオーツミルクライスミルク
カロリー39kcl40kcal64kcal
タンパク質1.0g0.5g1.6g
脂質2.9g2.0g0g
コレステロール0mg0mg0mg
糖質0.9g4.3g19.6g
食物繊維3.0g1.5g0.2g
ビタミンE10.0mg記載なし記載なし

アーモンドミルクには食物繊維やビタミンEが豊富に含まれていることも大きなメリットです。

ビタミンEは抗酸化作用の高い栄養素です。抗酸化作用とは、身体が酸化する(さびる)、つまり老化することを予防したり緩やかにしたりする作用です。

また、皮ごと湯につけたりゆでたりして作るので、同じく抗酸化作用の高いポリフェノールやビタミンBの仲間である葉酸量も増えています。

そしてミルクにして飲むことで消化吸収もよくなります。お年寄りや小さなお子さんにもやさしいですね。

メリット②ヴィーガンベジタリアン、乳・豆乳アレルギーの方も飲める

アーモンドミルクは植物性なので、いろいろな理由でヴィーガンスタイルの食生活を実践している方でも安心して飲めます。

また、動物性食品を摂らないことで不足しがちなビタミン類を補うことができます。

加えて乳製品や大豆にアレルギーのある方にもうれしいミルクです。

このように様々なメリットがあるアーモンドミルクですが、デメリットも確認していきましょう。

アーモンドミルクのデメリット

ここでは、3つの観点からデメリットをまとめました。

  1. アレルギー
  2. タンパク質
  3. 原料の産地

ナッツアレルギーのある方は飲めない

各商品のパッケージには「本品に含まれるアレルギー物質:アーモンド」と明記されていますので、注意してください。

タンパク質が不足

残念ながら、豆乳以外の植物性ミルクはタンパク質があまり含まれていません。成長期やスポーツをなさる方は、必要に応じてタンパク質を補充することをおすすめします。

原料のアーモンドが外国産

下のグラフをご覧ください。日本のアーモンドはほとんどカリフォルニアから輸入しています。

日本のアーモンド輸入統計
出典:Oregon Cherry Growers アーモンド統計情報 | OCG

外国から原料を輸入するということは、

  • 価格が高価になる
  • 流通の過程でCO2が発生する
  • 消毒等、長距離輸送による耐える衛生処理をしなくてはならない

などの問題につながってしまいます。

近年、小豆島の他瀬戸内地域や鹿児島など、日本でもアーモンド栽培を始める農家が出始めました。地産地消が進むことに期待したいと思います。

アーモンドミルクに関するよくある質問

最近知名度はあがってきたものの、アーモンドミルクについては、まだ疑問を持たれる方も多いようです。代表的な質問について、一緒に考えていきましょう。

ダイエットに効果がある?

カロリー・脂質・糖質が少なく、食物繊維が多いので、ダイエット効果は大いに期待できそうです。

しかし、上で成分・栄養素を比較したのは、砂糖不使用の商品です。砂糖を使用しているものについては、その分カロリーも高くなるため、パッケージの表示に注意するようにしましょう。「自然の甘さを楽しむ」「飲み過ぎないようにする」といったことを意識すると良いかもしれません。

体に悪いって本当?気になる危険性について

この点についての心配は、添加物のチェック正しい飲み方で解決できそうです。

市販のアーモンドミルクには、乳化剤などが添加されているものが多い傾向にあります。乳化剤は、水と油をうまく混ぜ合わせ安定させる働きをするもので、安全な食品添加物として厚生労働省が認めています。

他の添加物についても安全基準内で使用されており、成分同様パッケージで確かめることができます

とは言え、たくさん飲み過ぎては結果的に多くものを体に入れてしまうことになるため、多くの製造元が「1日当たり200mlを目安に」としています。

アーモンドミルクについて疑問を解いていただけたでしょうか。ではおすすめのアーモンドミルクをご紹介します。

おすすめのアーモンドミルク

牛乳や豆乳に比べると後発感があるアーモンドミルクですが、最近はスーパーやコンビニでも見られるようになりました。

ここでは、筆者の住んでいる地方都市のどのスーパーでも購入できた、シェアの広いものを2点ご紹介します。

ラインナップが豊富:アーモンド効果

成分比較にも登場してもらった江崎グリコ株式会社の製品です。アーモンドペーストは国内で製造されています。

ラインナップが豊富で、応用範囲の広い砂糖不使用のものから、成分を強化したものまでありますので、自分に合ったものを楽しんで選んでください。

公式HPには、レシピも豊富に掲載されています。

世界に広まるアーモンドミルク:アーモンド・ブリーズ

アメリカ合衆国カリフォルニア州のアーモンドの専門会社、ブルーダイヤモンドグロワーズ社の製品です。日本では、ポッカサッポロフーズ&ビバレッジ社が提携・販売しています。

どの地域のどの販売店でも購入できそうな代表として2商品をあげましたが、ネット通販ではこの他の商品も購入できます。

アーモンドミルクを使ったレシピ2選

次は、おすすめレシピを紹介します。

アーモンドミルクは、その他の植物性ミルクと同様に、牛乳の代わりに多くのレシピに使えます。現存する世界最古の料理本(「料理小本」 Libellus Arte Coquinaria )にも登場するそうです。

ここでは、洋風・和風の代表レシピを各1つずつご紹介します。

洋風定番:ブランマンジェ

洋風定番:ブランマンジェ

フランス語で「白い食べ物」を意味する、中世から現代までの人気レシピです。

とても簡単に作れることも長い間「定番」として伝わった理由かもしれません。

<材料>1人分

  • アーモンドミルク 100ml
  • コーンスターチ(小麦粉や米粉など、とろみをつけるもの)大さじ1
  • 砂糖(好み)
  • トッピングしたい場合は、果物やジャム適量

<作り方>

  1. 鍋に材料を入れ、よく混ぜる。
  2. とろ火でゆっくりかき混ぜながら煮る。
  3. 全体にトロミがついたら火を止め、粗熱を取る。
  4. 好みの型に入れ、冷やす。

トッピングを工夫すると、素敵なデザートになりますね。

和風代表:呉汁風アーモンドミルク鍋

和風代表:呉汁風アーモンドミルク鍋

「呉汁」は、日本各地に伝わる料理です。元々は大豆ペーストを使いましたが、最近は豆乳を使う簡単レシピが人気なようです。

好きな材料を一口大に切って煮込み、豆乳の代わりにアーモンドミルクを使って仕上げるだけでできあがり。味噌と合わせても美味しく、冬にうれしいレシピです。

それでは最後に、SDGsとの関係を一緒に確認していきましょう。

アーモンドミルクとSDGsの関係

SDGsとは、2015年に国連で採択された国際的な目標で、持続可能な社会の実現をめざして17の目標と169のターゲットが掲げられています。

17の目標は、「社会」「経済」「環境」の3つの側面から設定されていますが、どれか1つの達成をめざせばよいというものではなく、すべてに同時進行で取り組むことが求められています。

アーモンドミルクについて理解を深めながら利用していくことは、様々な目標の達成に貢献しますが、ここでは特に密接なかかわりを持つSDGs目標15「陸の豊かさを守ろう」との関係について説明します。

sdgs15

SDGs目標15「陸の豊かさを守ろう」は、生態系の保護・回復・持続可能な利用を推進し、森林を管理し、砂漠化・土地劣化を阻止・回復しようというターゲットを掲げています。

大きなメリットと広い応用範囲を持つアーモンドミルクですが、その生産環境に心配な点があります。

アーモンドの栽培に必要な大量の水とミツバチ

温室効果ガス排出や土地利用でかなり低い数値を示しているアーモンドミルクの生産ですが、他の植物性ミルク生産に比べ、水の利用量が多いという特徴を持ちます。アーモンド1粒の栽培に水は4L必要と言われています。

日本の主な輸入先であるカリフォルニアは乾燥地帯で、常に水不足の心配をかかえ、地下水の大量利用による地盤沈下も懸念されています。

また、100%ミツバチの受粉行動に頼るアーモンドの収穫は、「ミツバチの過労死につながる例も多く出てきてしまいました。

しかし、そんな大きな問題を解決しようとしているカリフォルニア・アーモンド協会とその関係者の取り組みこそ、SDGs貢献の大きなモデルなのです。

目標15「陸の豊かさを守ろう」に貢献するアーモンド協会の取り組み

カリフォルニア・アーモンド協会は、カリフォルニア大学を始めとする研究団体や、受粉業者などの関連業者、非営利機関などと新しいパートナーシップを築き、「2025年に向けたアーモンド農業の目標」を設定、取り組んでいます。

「使用する水の量」の削減については、次のような数値目標を設定し、すでに成果もあげつつあります。

2-25年に向けたアーモンド農園の目標
出典:カリフォルニア・アーモンド協会

さらに、BFFプログラム(Bee Friendly Farming Program ミツバチに優しい農業プログラム)を作り、ミツバチの健康を維持するとともに、生態系の保護に努めたり、養蜂家への教育・サポートにもより一層力を入れています。

また、果皮を家畜用飼料、酪農資料、発電などに利用することで、「廃棄物0」も目指しています。

アーミンドミルクを生産する側の努力に目を向け、見守ったり応援したりすることが、私たち自身が「陸の豊かさ」を守る手だての1つになるのではないでしょうか。

まとめ

この記事では、アーモンドミルクについて、成分や栄養、そのメリット・デメリット、さらにおすすめの商品やレシピについてまとめてきました。

古くから人々は、砕いたアーモンドをミルクにする前に圧搾してオイルを取り、食用ばかりではなく美容オイルとしても利用してきました。砕いたアーモンドを撹拌し続け、アーモンドバターも作ってきました。アーモンドミルクを通して歴史を感じますね。

このアーモンドがまた注目を集めつつあります。

ヘルシーさと応用範囲の広いアーモンドミルクは、ラインナップも増えてきました。上手に選んで健康維持に生かしましょう。

飲む際には、生産関連者の取り組みに関心を持つことも大切です。

<参考資料・文献>
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
文科省:食品データベース
第3回日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査 by Vegewel【21年12月】
アーモンドミルク研究会
BBC
アーモンド統計情報 | OCG
アーモンド効果|グリコ
アーモンド・ブリーズ | ポッカサッポロ
カリフォルニア・アーモンド協会
オーツミルクとは?期待できる効果と栄養素、お腹を壊すなどのデメリットを解説
ライスミルクとは?効果と栄養・甘酒との味の違い、簡単な作り方 – SDGsメディア『Spaceship Earth(スペースシップ・アース)』
ナッツの歴史:KEN・ALBALA著 (原書房)
ピーナッツで長生き:井上浩義著 (文芸春秋)
日本酒と酒粕:藤井力(福島大学食農学類)
SDGs:蟹江憲史(中央公論新社)