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NCDs(非感染性疾患)とは?生活習慣病との違いや発症原因、対策方法や私たちにできることを解説

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「NCDs」と聞いて、すぐに意味が分かる人はまだ少ないかもしれません。NCDsは「非感染性疾患」のことで、不健康な食事や喫煙などの生活習慣によって引き起こされる予防可能な疾患のことです。

これは近年世界中でリスクが拡大し深刻な問題となっています。

SDGs目標3でも「非感染性疾患(NCDs)のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する」と明示され、2030年までに世界が解決するために努力すべき目標に挙げられています。

では、NCDs(非感染性疾患)とはどのような病気なのでしょうか?疾患の種類、世界と日本の現状や対策、SDGsとの関係、私たちにできることなどを知り、NCDsを予防して健康な生活を目指しましょう!

NCDs(非感染性疾患)とは

「NCDs」とは、Non Communicable Diseasesの略語で、「非感染症疾患」のことです。WHO(世界保健機関)はNCDsの定義として

  • 不健康な食事
  • 運動不足
  • 喫煙
  • 過度の飲酒
  • 大気汚染

などが原因の、

  • がん
  • 糖尿病
  • 循環器疾患
  • 呼吸器疾患
  • メンタルヘルス

などを代表とする慢性疾患の総称としています。

生活習慣病との違い|NCDs(非感染性疾患)=生活習慣病+呼吸器疾患+メンタルヘルス

日本では生活スタイルの変化に伴い

  • 成人病(脳卒中・がん・心臓病)
  • 生活習慣病(成人病が1996年頃から生活習慣病と呼ばれるように)

という言葉が使われるようになりました。近年では国際的に、この生活習慣病に、

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)※=呼吸器疾患
  • メンタルヘルス

を加えてNCDs(非感染性疾患)と呼ばれています。*1)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

たばこの煙や大気汚染などの有害物質によって引き起こされる肺の炎症。

それではNCDsで定められている疾患について、それぞれ確認していきましょう。

生活習慣病とは

脳卒中、がん、心臓病を生活習慣という要素に着目し捉え直した用語

NCDsで定められる疾患について

NCDsは主に、生活習慣や生活環境によって引き起こされる病気です。それぞれ確認していきましょう。

がん

がん「悪性腫瘍」と呼ばれることもある病気です。腫瘍とは体の中に何らかの原因でできた異常な細胞が作ったかたまりです。悪性腫瘍はこのような腫瘍のうち、

  • 浸潤する…無秩序に増殖しながら周囲に浸み出るように広がる
  • 転移する…体のあちこちに飛び火して新たなかたまりを作る

などの特徴を持つものを指します。

【日本人におけるがんの要因】

※グラフ中の「全体」の項目は、原因が「生活習慣」や「感染」と思われる割合をまとめたものです。2つ以上の生活習慣が複合して原因となった場合も含みます。

上のグラフから、特に男性は生活習慣が原因でがんを発症するケースが多いことがわかります。がんの予防には、

  • たばこを吸わない
  • 飲酒量を減らす
  • 健康的な食生活を心掛ける
  • 適度な運動をする
  • 適正体重を維持する

などが効果的と言われています。

【がんリスクを減らす健康習慣】

糖尿病

糖尿病とは、インスリン※がうまく働かない、またはインスリンの分泌量が足りないために、血糖値が増えてしまう病気です。血糖値を何年も高いまま放置してしまうと血管が傷つき、慢性合併症が起きてしまいます。

糖尿病の慢性合併症は、大きく分けると細小血管症と大血管症の2つがあります。

インスリン

血液中の糖を細胞に取り込むために必要な物質。細胞が糖をエネルギーとして使うための鍵のような存在。

【糖とインスリンの働き】

細小血管症

細小血管症は糖尿病の特有な合併症で、細かい血管が傷つくことによって引き起こされます。細小血管症の慢性合併症は、

  • 網膜症(視力の低下・失明)
  • 腎症
  • 神経障害

などがあります。

大血管症

大血管症は、

  • 高血糖
  • 高血圧
  • 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)
  • 中性脂肪(TG=トリグリセリド)
  • 肥満
  • 喫煙
  • 加齢

などが動脈硬化を招き、体の比較的大きな血管に障害を起こします。それにつながる臓器にも障害が起き、大血管症を引き起こします。

【動脈硬化症】

大血管症の症状は、

  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 末梢動脈疾患
  • 足壊疽※などの足病変

などが代表的です。

(足)壊疽

感染症または血栓症などによる虚血が原因で、体が腐敗・壊死する重篤な症状。放置すれば致命的となる。

【糖尿病の慢性合併症】

循環器疾患(循環器病):心疾患・脳卒中

心疾患(心臓病)と脳卒中をあわせて「循環器疾患」と呼びます。日本人の死因は、

1位:がん

2位:心疾患

3位:老衰

4位:脳卒中

ですが、心疾患・脳卒中の総数は1位のがんと並ぶほどの数です。どちらも動脈が詰まって血流が遮断される病気です。

【主な死因別にみた死亡率推移(人口 10 万あたりの割合)】

心疾患(虚血性心疾患)

心疾患(虚血性心疾患)の代表的な例は、

  • 狭心症※
  • 心筋梗塞※

です。症状として「胸痛」が起こります。

※狭心症…心筋(心臓の筋肉)への酸素の供給が行き届かないなどの原因で引き起こされる胸の痛みや息切れ。心筋梗塞の前段階にある状態で、治療しなければ心筋梗塞に移行し突然死に至る可能性が非常に高い。

心筋梗塞

心筋へ血液を送る冠動脈が閉塞し、血流が途絶えることによって起こる心筋の酸素不足。冷や汗・吐き気などをともなう強い胸の痛みや圧迫感が生じ、時間とともに心筋が壊死していく。冠動脈の部位によっては突然死を招くこともある。

脳卒中

2021年の厚生労働省の統計によれば、脳卒中は日本人の死因の第4位です。脳卒中は、

  1. 脳閉塞
  2. 脳出血
  3. くも膜下出血

の3つが含まれる病気です。脳卒中の前触れとして「一過性脳虚血発作」※という病気もあります。

一過性脳虚血発作

脳梗塞の前触れ発作。血管が詰まり脳梗塞のような症状が起きるが、何らかの要因でその詰まりが解消され、症状が消失する。放置すると脳梗塞を発症する可能性があるので早期の検査が必要。

【一過性脳虚血発作】

これらの病気は全てにおいて、

  • 半身麻痺(まひ)
  • 言葉の障害(呂律がまわらないなど)
  • 意識の障害

などの共通の症状が起きます。

【脳の部位ごとの機能と障害された場合の症状】

上の図からもわかるように、脳卒中が原因で起こる症状は多岐にわたりますが、以下の典型的な5つの症状を覚えておくことが大切です。

  1. 片方の手足・顔半分の麻痺(基本的に額は含まない)・しびれが起こる
  2. 呂律(ろれつ)が回らない、言葉がでない、他人の言うことが理解できない
  3. 力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする(体のバランスが取れない)
  4. 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける
  5. 経験したことのない激しい頭痛がする

これらの症状が自分や周囲の人に起きたら、すぐに救急車を呼び、病院で受診しましょう。脳梗塞では発症してから4.5時間(4時間30分)以内のみ行える特殊な治療※があります。

※カテーテルによる血管の詰まりをとる治療などがあり、治療が早ければ早いほど後遺症を軽くすることができる。

【4.5時間以内のみ行える特殊な治療の概念】

呼吸器疾患:慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、たばこの煙大気汚染などによる有害物質が原因で肺に炎症が起こり、咳や痰が多くなって呼吸がしにくくなる病気です。COPDの肺は、

  • 痰や炎症により気管支が狭くなる
  • 炎症により肺胞※が壊れて弾力を失う

といったことが起こり、空気がうまく吐き出せなくなってしまいます。

肺胞

気管支の先端についているブドウの房のような形の袋で、肺胞壁で血液のガス交換(血液中の二酸化炭素を受け取り、酸素を供給する)が行われる。

【COPDの肺の様子】

COPDは肺の病気ですが、肺でのガス交換が上手くいかないことにより、

  • 虚血性心疾患※
  • 骨粗鬆症
  • 糖尿病
  • がん

など、全身のさまざまな病気を引き起こすリスクを上げます。

虚血性心疾患

心臓の周りに通っている冠動脈が動脈硬化などが原因で狭くなったり閉塞したりして、心臓を動かす筋肉に血液が行かなくなること(心筋虚血)によって起こる疾患。

【COPDによって引き起こされる病気】

COPDは肺がんになる確率が高いと考えられます。喫煙者であればまずは禁煙することが重要です。また、がんの早期発見のために定期的に検査を受けることも大切です。

【慢性閉塞性肺疾患の年齢別・性別総患者数(令和2年)】

【喫煙習慣者の年次推移(性・年齢別】

上のグラフからはCOPDが喫煙率の高い年代・性別で多く発症していることがわかります。

メンタルヘルス

メンタルヘルスとは、こころの健康状態のことです。気分が落ち込む、ストレスを感じることは自然なことですが、長く続いたり生活の支障が出てきた場合には早めに専門機関に相談しましょう。

メンタルヘルスは、自分では不調に気が付きにくいことも特徴です。

  • 気分が沈んで元気が出ない
  • イライラする
  • 落ち着かない
  • 不安な気持ちになる
  • 胸がどきどきする
  • 息苦しい
  • 食欲が出ない
  • 眠れない

などを感じたら、メンタルヘルスの不調かもしれません。

【メンタルヘルスの不調による症状の例】

メンタルヘルスはこれまでに挙げた病気とも深く関わっています。ストレスにより

  • 自律神経
  • 内分泌系
  • 免疫系

のバランスが崩れると、体の病気を引き起こし、その不調がメンタルヘルスにさらに悪い影響をもたらすという負のスパイラルに陥ってしまう危険があります。また、体の病気による不調が原因でメンタルヘルスの不調につながることもあります。

メンタルヘルスの不調は、日本の長年にわたる深刻な問題となっている自殺の原因の1つにも挙げられます。自殺は、全体で見た死因の構成の中では大きな割合ではありませんが、年代別に見ると特に若い世代から40代まででは大きな割合を占め、見逃せない問題であることがわかります。

【令和3年の性・年齢階級別にみた主な死因の構成割合:男性】

【令和3年の性・年齢階級別にみた主な死因の構成割合:男性】

【令和3年の性・年齢階級別にみた主な死因の構成割合:女性】

【自殺死亡者数の推移 男女別・総数】

メンタルヘルスに関しては、さまざまな相談機関や支援機関があります。どうしていいかわからなくなったら、ひとりで悩まずに相談しましょう。*2)

【誰でも利用できる心の相談窓口】

【誰でも利用できる心の相談窓口】
【誰でも利用できる心の相談窓口】

NCDsの疾患を一通り確認したところで、NCDsの原因を考えていきましょう。もともと「成人病」「生活習慣病」に呼吸器疾患とメンタルヘルスを加えたものなので、おおよその見当はつきますね!

NCDsを発症する原因は?

NCDsの原因は、

  • 不健康な食事
  • 運動不足
  • 喫煙
  • 過度の飲酒
  • 大気汚染

が原因と冒頭で触れましたが、このような生活習慣や生活環境といった原因に加えて、

  • 遺伝的要素

も発症のしやすさに影響しています。つまり血縁関係のある人でNCDsに挙げられている病気を発症した人がいたら、特に同じ病気には気をつけるべきと言えます。

【NCDsの疾病の発症に関わる要因】

NCDsに挙げられている疾患に共通点としてかなり進行するまで自覚症状がほとんど現れないという特徴があります。そのため、せっかく健康診断を受けてそれらの病気のリスクを指摘されても、積極的に予防や治療に行動を移せない人も多くいます。

しかし、少子高齢化が進む日本において、一人一人がより長く健康に生きる(=健康寿命をのばす)ことは非常に重要なことです。また、NCDsの原因に

  • 大気汚染や受動喫煙による有害物質
  • 生活環境における過度なストレス

なども含まれていることから、NCDsの対策は個人的に行うだけでなく、社会全体で解決するべき課題として「健康を支え、守るための社会環境の構築」への取り組みが推進されるようになりました。*3)

次は、世界のNCDsの現状について見ていきましょう。

NCDsの世界の状況

世界的にも死亡や疾病負担※の原因で、NCDsの占める割合は増加傾向にあります。下のグラフは2016年までの世界の死亡・疾病負担の割合を表しています。

疾病負担

国・地域・集団などにおける疾病の影響を財政コスト・死亡数・患者数などの指標で数値化したもの。疾病が社会に及ぼす負担。

【世界の死亡・疾病負担の主要原因】

このグラフは新型コロナウイルス感染拡大の前の記録ですが、世界全体の傾向として、生活習慣や生活を取り巻く環境が原因のNCDsが人々の健康や死に与える影響が大きくなっていることがわかります。

高所得国(主に先進国)の現状

先進国の多くでは高齢化が進み、NCDsを患う人も増加傾向にあります。これは、NCDsが65歳以上になると特にリスクが高まることも原因の1つです。

このことから世界の先進国では、健康寿命を伸ばすことが重要な課題となっています。また、NCDsの中でもうつなどのメンタルヘルスの不調の治療が進んでいないことも問題になっています。

【早期死亡原因のトップ 4 の疾患(地域別)】

CVD

Cerebral Vascular Disorder(脳血管障害)またはCardio Vasucular Disease(心血管疾患)などの循環器疾患。

低・中所得国(主に発展途上国)の現状

開発途上国でも経済成長と都市化にともない、NCDsは主な死亡の原因となりつつあります。生活水準が高くなるにつれ、

  • 喫煙
  • 飲酒
  • 高カロリーな食事
  • 運動量の低下

などのNCDsにつながる習慣が増加しているからです。開発途上国では2008年は28%だったNCDsによる死亡率が、2030年には46%ほどに増加すると予測されています。*4)

ここまで見てきたように、NCDsの患者数や死亡数の増加は世界的な問題として認識されています。それでは、日本ではNCDs対策としてどのような取り組みが行なわれているのでしょうか?

日本のNCDs対策への取り組み

日本は世界トップレベルの長寿国として有名です。少子高齢化も深刻ですが、NCDs対策を確認する前に、まず健康寿命について確認しておきましょう。

日本の健康寿命とNCDsの関係

日本の平均寿命は2022年データで、

  • 女性:88歳
  • 男性:82歳
  • 男女平均:84.3歳(世界1位)

世界でも最も長生きの国です。世界の平均寿命は、

  • 女性:76歳
  • 男性:71歳
  • (男女平均データなし)

という結果が発表されています。

また、日本の平均健康寿命は2019年データで、

  • 女性:75.5歳
  • 男性:72.6歳
  • 男女平均:74.1歳(世界1位)

となっていて、世界平均の

  • 女性:64.9歳
  • 男性:62.5歳
  • 男女平均:63.7歳

と比べて、男女ともに世界の平均より10年以上長くなっています。しかし、この平均寿命と平均健康寿命の差は日本で、

  • 女性:12.5年
  • 男性:11年
  • 男女平均:10.2年

と男女平均でも10年以上あり、死亡前に平均して10年ほどは「健康とは言えない期間」または「不健康な期間」を過ごしていることがわかります。誰もが「生きている間はできる限り健康で過ごしたい」という願いとともに、近年日本では「できる限り長く働きたい」と思う人が増えています。

長く続いた不景気などの影響もあり、現在働き盛りの年齢の人たちの多くは、その親の世代ほど老後のための資産形成ができず、老後の生活に不安を感じる人も少なくありません。できる限り長く健康でいるためには、NCDsのリスクを上げない生活を心がけることが重要です。

では、具体的な取り組みを見ていきましょう。

厚生労働省の取り組み

厚生労働省では、2019年に「健康寿命延伸プラン」を策定しました。健康寿命延伸プランでは、2040年までに2016年と比べて3年以上健康寿命を延ばし、75歳以上にすることを目標としています。

先ほど見た日本の健康寿命は2019年データで男女平均74.1歳まで上がっているので、目標までもう少しです。しかし、同時に平均寿命も延びているので、平均健康寿命と平均寿命の差はあまり変わっていないのが現状です。

この、平均健康寿命と平均寿命の差が小さくなれば、

  • 人が生涯で不健康な状態で過ごす期間の割合が少なくなる
  • 社会全体の医療費への支出が増加しない
  • 介護の負担(介護休職・介護離職・介護費用など)が増加しない
  • 働く人が病気で長期欠勤突然死するなどのリスクが下がる
  • 長く働き続けることで収入が確保できる
  • 健康な生活により幸福度が上がる

などの効果が期待できます。

健康寿命延伸プランの具体的な取り組みとして、健康に無関心な人達も含めたNCDsの予防・健康づくりの推進と、地域と保険者間の格差解消※のために、

  • 自然に健康になれる環境づくり
  • 行動変容(健康への意識を高めるなど)を促す仕掛け

など、新たな手法も活用しつつ取り組みを推進します。さらに具体的な内容として、

  • 次世代を含めた全ての人の健やかな生活習慣の形成
  • 疾病予防・重症化予防
  • 介護予防・フレイル※対策
  • 認知症予防

などが挙げられています。

地域と保険者間の格差

地域ごとの医療格差や健康保険の種類(保険をする側)の違いによる格差など。

フレイル

加齢が原因で心身が衰えた状態 

【健康寿命延伸プランの概要】

自然に健康になれる環境づくりでは、

  • 健康な食事・運動ができる環境
  • 孤立を防ぐための居場所づくりや社会参加の機会

行動変容を促す仕掛けでは、

  • 行動経済学や科学的知識に基づいた啓発など
  • インセンティブ※

がさらに具体的な内容として提示されています。*5)

インセンティブ

目標を達成するための刺激や誘因。例えば目標を達成すると報奨金がもらえる、など。

次は世界と日本の企業・団体によるNCDs対策の事例を紹介します。

企業・団体のNCDs対策

日本でも近年、企業に「健康経営」の推進が政府より促されています。これは不健康な生活が招くNCDsによる家庭・企業・国や地方自治体への負担を防止・軽減するための対策の1つです。

【関連記事】健康経営とは?注目されている理由とメリット・企業の取り組み事例・SDGsとの関係

以前はNCDsが深刻な問題となっているのは主に先進国でした。しかし近年は、開発途上国でも経済成長や生活スタイルの変化によってNCDsは問題となっています。

まずは世界的なNCDsの問題解決を目指す団体を見てみましょう。

世界|Access Accelerated(アクセスアクセラレーテッド)

Access Accelerated(アクセスアクセラレーテッド)は、世界の20社以上の医薬品企業や世界銀行グループ、国際がん連合(UICC)などの集まりで、NCDsの予防・診断・治療へのアクセス向上を重点に、連携しながら低所得国などを支援しています。2017年に発足し、日本からも多くの製薬企業が参加しています。

具体的には、世界中の専門知識・技術・経験などが集結し、NCDsの予防・診断・治療を必要としている低中所得国の人々へ薬・医療を届ける活動をしています。世界中で死亡原因の大きな割合を占めるNCDs患者増加の問題は、低中所得国に重い負担をかけています。Access Acceleratedは国際的なリーダーシップと世界的な連携で各国の政府機関とも協力し、

  • 地域の需要に合った解決方法の開発
  • 医療システムの向上をサポート

などをはじめとする、さまざまな取り組みによって、世界中の人々がより健康で生産的な生活が送れることを目指しています。これらの活動はSDGs目標達成も強く意識しています。

【Access Acceleratedが達成を目指すSDGs目標】

日本|NCDアライアンス・ジャパン

【NCDアライアンス・ジャパンのロゴ】

NCDアライアンス・ジャパンは、社会全体のNCDs対策推進のために日本医療政策機構※が運営する、市民社会のために共同で活動するための基盤となる役目を担う団体です。患者・当事者の視点から課題を見つけ出し、

  • 政策の提言
  • 患者・当事者への支援
  • 調査・研究

を行っています。NCD Alliance(アライアンス)は2013年に発足した約170の国と地域で活動する市民団体・学術集団からなる世界的な活動基盤で、当初より日本の窓口として活動していた団体が2019年にNCD Allianceの正式加盟メンバーとなり、NCDアライアンス・ジャパンとなりました。

【NCDアライアンス・ジャパンの主な活動】

NCDアライアンス・ジャパンの活動をもう少し詳しく確認してみましょう。

政策の提言

社会全体でNCDsの共通課題を解決するために、患者・当事者の視点に立って取り組むべき課題を特定し、政策として提言します。また、国内・海外の先進的な事例の紹介もしています。

患者・当事者支援

患者・当事者間の疾患を超えた交流の機会を提供します。また、国が開催する医療政策に関わる検討会や委員会などへ当事者が参加するための支援や、患者・当事者の政策への提言能力、リーダーシップ能力の強化のための支援もします。

【NCDアライアンス・ジャパンの患者・当事者支援活動】

調査・研究

NCDsの課題解決に向けた政策立案・決定の良い事例に関する情報収集を行います。政策実行・普及を目的とした、

  • 効率的な検討のための論点の洗い出し・発信
  • NCDsについての認知向上のためのウェブサイト・SNSの運営
  • 世論調査
  • 国際連携の促進

など、調査・研究にとどまらず、さまざまな取り組みを展開しています。

このほかにも日本・世界では多くの機関・団体・企業がNCDsの問題解決のために活動しています。日本でも年々健康への意識は高まる傾向にあると言えるでしょう。*6)

次の章ではNCDs問題解決への努力とSDGs目標達成との関係性について考えてみましょう。

NCDsとSDGsの関係

圧縮済みSDGs画像

「企業・団体のNCDs対策」でもすこし触れたように、NCDsとSDGsには深いつながりがあります。特に関係の深い目標をいくつか確認しましょう。

SDGs目標3:すべての人に健康と福祉を

世界の主要な死亡の原因となっているNCDsの課題解決への努力は、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」の目標達成に貢献します。特に、

  • 3.1:2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
  • 3.8:すべての人々に質の高い基礎的な保健サービスヘのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンヘのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
  • 3.9:2030年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病を減らす。
  • 3.a:すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
  • 3.b:主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS 協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。
  • 3.c:開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。

などのターゲットに深く関わっています。

【関連記事】SDGs3「すべての人に健康と福祉を」私たちにできること・現状と日本の取り組み事例

SDGs目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

近年では開発途上国でも経済の発展・生活の都市化などによって、NCDsのリスクが高まる傾向にあります。しかし、NCDsへの対策に取り組むには資金・技術・人材・知識・経験などの不足により、開発途上国にとって大きな負担となっています。

SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」のターゲット

  • 17.9:すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。(死因統計の強化を含む)

に示されているように、先進国や先進的な技術を持つ企業・団体は、開発途上国とパートナーシップを結び、それらの国の支援を行うとともに、国際的な友好関係を築くことでSDGs目標16「平和と公正をすべての人に」にある、

  • 16.1 :あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。

というターゲットの目標達成にも貢献します。

このほかにも、NCDsの問題解決のための活動内容によって、さまざまなSDGs目標・ターゲットにつながっていきます。その中でも、SDGs目標では最後の17番目にある「パートナーシップ」がそれぞれの取り組みをより強力に進める鍵となっています。*7)

【関連記事】

SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」現状と日本の取り組み、私たちにできること

SDGs16「平和と公正をすべての人に」の現状と日本の取り組み事例、私たちにできること

NCDs対策として私たちにできること

NCDsは私たちひとりひとりが心がけることにより、リスクを下げることができます。NCDsを予防するために1人でも多くの人が健康的な生活を送ることが、一番有効なNCDsの課題解決への方法とも言えます。

健康で充実した生活を送ることは、あなたの幸福度を上げることにもつながります。「いつかやめよう」と不健康な習慣を続けていると、不調を感じたころにはNCDsの症状がかなり進行していた、という事態に陥るかもしれません。

それでは、もう一度NCDs予防のために大切なことをおさらいしましょう。

  • タバコは止めましょう
  • 適度な運動を心掛けましょう
  • バランスの取れた食生活を送りましょう
  • アルコールは適量に
  • 精神的ストレスを避けましょう
  • 睡眠をしっかりとりましょう
  • 定期的に検査を受けましょう

近年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、コロナウイルスに感染しなくても感染対策のための生活が原因でNCDsのリスクが高まっています。人とのコミュニケーションが減ったり、体を動かす機会が減ったりすると、不調を招く可能性があることをしっかりと理解して、コロナ下でも健康に生活できるように工夫しましょう。*8)

【おうち時間で始めるコロナ下での「新・健康生活」のススメ】

よく「失って大切さに気が付くもの」の1つとして「健康」が挙げられていますね!まずはあなたの体と心をよく知り・大切にして、「人生100年時代」と呼ばれるこの時代と将来を健康に、幸せに過ごしましょう!

まとめ:NCDsを予防して長く健康に生きよう!

NCDsは今や世界中の人々にとって深刻な問題です。しかし、正しい知識と自己管理によって、大幅にリスクを軽減できるものでもあります。

あなたが健康で幸せな生活を送ることによって、個人や社会全体の医療費削減、職場での活躍など、NCDsの予防がもたらすメリットは良い連鎖を生みます。

健康は素晴らしい財産です。あなたもぜひ「100歳まで健康」を目指して、健康な生活習慣と体づくりを心がけてください。

〈参考・引用文献〉
*1)NCDsとは
JHPN『非感染性疾患(NCDs)』(2021年5月)
特定非営利活動法人 日本医療政策機構『NCDとは』
厚生労働省『生活習慣病とは?』
*2)NCDsで定められる疾患について
国立研究開発法人がん研究センター『科学的根拠に基づくがん予防』(2022年07月)
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター『糖尿病とは』(2022年4月)
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター『糖尿病の慢性合併症について知っておきましょう』(2015年11月)
厚生労働省『e-ヘルスネット 循環器病
厚生労働省『令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況 死亡数・死亡率(人口10万対),死因簡単分類別 』p.11
国立循環器病研究センター『不安定狭心症』
国立循環器病研究センター『急性心筋梗塞』
国立循環器病研究センター『脳卒中』
環境再生保全機構『COPDってどんな病気ですか?』
環境再生保全機構『ぜん息などの情報館 他にどんな影響がありますか?』
環境再生保全機構『ぜん息などの情報館 患者調査(厚生労働省)』
厚生労働省『国民健康・栄養調査 成人喫煙率(厚生労働省国民健康・栄養調査)』(2020年12月)
日本心臓財団『疾患別解説 虚血性心疾患とは』
厚生労働省『e-ヘルスネット 慢性閉塞性肺疾患 / COPD』
厚生労働省『こころの健康サポートガイド』p.4(2011年3月)
厚生労働省『令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況 死亡数・死亡率(人口10万対),死因簡単分類別 』p.12
厚生労働省『令和3年中における自殺の状況』p.3(2022年3月)
厚生労働省『自殺・うつ病等対策プロジェクトチームとりまとめについて』
厚生労働省『メンタルヘルスとは』
*3)NCDsを発症する原因は?
日本生活習慣病予防協会『生活習慣病とその予防』
*4)NCDs|世界の状況
Pfizer『NCD(非感染性疾患)白書2020』p.23
Pfizer『NCD(非感染性疾患)白書2020』p.24
*5)日本のNCDs対策への取り組み
UNFPA『State of World Population(世界人口白書 2022)』p.132,p.134
 WHO『World Health Statistics World health statistics 2022』
厚生労働省『e-ヘルスネット 健康寿命延命プラン』
*6)企業・団体のNCDs対策
健康経営とは?注目されている理由とメリット・企業の取り組み事例・SDGsとの関係
Access Accelerated
資料3 「WHO NCDs Global Action Planについて」 (mhlw.go.jp)
NCD Alliance Japan『NCDとは』
NCDアライアンス・ジャパン『非感染性疾患*と向き合える包摂的な社会の実現に向けて~NCDsと生きる人とともに~』
NCDアライアンス・ジャパン『NCDアライアンス・ジャパンとは』
*7)NCDsとSDGsの関係
日本WHO協会『SDGsとWHO』
外務省『JAPAN SDGs Action Platform』
国際連合広報センター『SDGsロゴ(縦・横)』
*8)NCDs対策として私たちにできること
厚生労働省『コロナ下での「新・健康生活」のススメ』p.2
厚生労働省『新・健康生活のススメ』