近年、注目度がどんどん増しているNFT。あなたはNFTの可能性を知っていますか?
NFTの可能性はアートに留まらず、社会貢献やビジネスにも革新をもたらすと言われています。今後のデジタル社会において、必ず知っておきたい「NFTとは何か?」をはじめ、NFTをSDGsに活用するためにはどうしたらいいのかを、活用事例事例やメリット・課題などから考察していきます。
NFTの力で社会を変える可能性を知り、ビジネスに活かしましょう!
NFTをSDGsにどう活用するのか

近年アート分野などで注目を浴びているNFTは「非代替性トークン」とも呼ばれ、ブロックチェーン技術を基盤にしてデジタルデータを唯一無二に証明することができます。さまざまな分野での活用が期待されているNFTを利用すれば、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けても、革新的な手段となる可能性があります。
では、NFTはSDGsにどう貢献できるのでしょうか。まずはじめに、NFTの基本を確認しておきましょう。
そもそもNFTとは
NFT(Non-Fungible Token:ノンファンジブル・トークン)とは、ブロックチェーン技術を使って作られる特別なデジタルデータのことです。これは、他のデータとは違って、複製したり改ざんしたりすることが難しい唯一無二のデータを指します。
通常のデジタルデータとは違い、ブロックチェーン上で特別な番号を付けることで、そのデータの持ち主や本物であることを確認できます。この特性から、NFTのデータは他のデータとは違って、価値が高くなる特徴があります。
【ブロックチェーンの種類】
NFTは取引履歴がブロックチェーン上に記録されるため、
- デジタルデータに固有の印を付けることで、所有権を示すことができる。
- 特定のアプリ内だけでなく、広い市場で自由に取引できる。
- 標準規格に従って作られたNFTは同じ方法で扱える。※
- 標準規格に合ったNFTは、ウォレットやオンラインマーケットで簡単に使える。
- 取引量の制限や二次売買時に自動的に売り手に一部が支払われる機能(ロイヤルティ機能)など、追加機能を付与することができる。
などの特長があります。これにより、著作権侵害や転売の問題を防止することができます。
※NFTには標準規格があるため、その規格に従って作られたNFTは同じ方法で扱えるようになります。これは、標準規格によってNFTのデータ構造や取り扱い方法が統一されるためです。
つまり、同じ規格に従って作られたNFTは、どのようなブロックチェーン上でも同じように認識され、取引することができるのです。
【NFTの特徴】
この特徴を活かして、近年では、
- デジタルアート作品
- ゲームアイテム
- トレーディングカード
- 資格証明書
- 所有権証明書
などにNFTが利用されています。*1)
NFT活用で期待できる効果

近年、デジタルデータに新たな価値を与える革新技術として注目を集めているNFTですが、活用すると、具体的にどのようなことができるのでしょうか?NFTがもたらすと言われている3つの大きな効果を確認しましょう。
①アクセス可能性の向上
NFTの活用により文化財や芸術作品の所有権がデジタル化されると、
- 所有権の明確化と証明
- 高度な検索機能による作品へのアクセス
- バーチャル空間での展示
などが可能になり、世界中の誰もがアクセス可能になると予測されています。このことから、世界中で文化的な学びや体験が深まり、人々の教育水準が向上すると共に、持続可能な社会構築を推進します。
さらに、文化の保護と普及を促進することにより、異なる文化や伝統への敬意が深まり、多様性が保護されることになります。このような取り組みは、社会の包摂性を強化し、人々の誇りやアイデンティティの保持にもつながると考えることができます。
これらの努力が、SDGsの目標
- SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」
- SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」
への貢献につながることが期待されています。
②透明性とトレーサビリティの向上
NFTは取引履歴をブロックチェーン上に記録するため、
- 全ての参加者が同じデータを持つため、特定の誰かだけがデータを改ざんすることは非常に困難
- 誰でも取引履歴を閲覧することができ、NFTの所有者や取引履歴を透明化し、不正行為を防止する
などの特徴から、取引の透明性とトレーサビリティ※が高まります。
これにより、資源の効率的管理や公正な取引などが可能となり、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に貢献します。
【関連記事】トレーサビリティとは?IT・食品分野の取り組み事例と導入メリットを簡単解説
③創造的産業の支援
NFTを活用することで、
- 直接販売とロイヤルティの自動化
- 世界中のファンと直接的に繋がる
- 市場の拡大と需要の創出
などが可能になり、クリエイターやアーティストが新たな収益源を得る機会が増えます。これにより、創造的産業の発展や雇用の創出が促進され、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」に貢献することが期待されます。
このようにNFTは、新たな可能性を拓く技術です。今後、さまざまな分野での活用が進むことで、SDGsの目標達成にもさらに貢献することが期待されています。*2)
NFT×SDGsの活用事例

デジタル世界での価値の証明というNFTの基本機能が、現実世界の社会課題解決にどのように応用され得るのか、具体的な事例を通じて見ていきましょう。
【NFTの活用事例】
環境保全活動への貢献
近年、NFT技術を活用した環境保全プロジェクトが注目されています。例えば、森林保護や海洋保全を目的としたNFTの販売があります。
これらのNFTは、特定の自然保護活動や再生可能エネルギープロジェクトをサポートするために作成され、購入者はNFTを通じて環境保全活動に直接貢献することができます。このような取り組みは、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」やSDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」などの目標達成に貢献することが期待されます。
活用事例:會澤高圧コンクリートの脱炭素化プラットフォーム
會澤高圧コンクリートは、建設業界における脱炭素化を加速させるために、CO2削減量を可視化できるプラットフォームを導入しています。この取り組みは、セメント・コンクリート業界における炭素排出量の管理を重視し、業界全体での脱炭素化を目指しています。
會澤高圧コンクリートのNFTを活用した脱炭素化プラットフォームの特徴は、
- デカボバッジ:CO2排出量を可視化するための証明書で、製品製造時のCO2排出量や脱炭素技術による削減量を記録する。
- ブロックチェーン技術の活用:デカボバッジはブロックチェーン技術を使用し、改ざんや二重計上が困難なNFT形式で発行されることで、信頼性の高い炭素削減量の記録が可能となっている。
などが挙げられます。會澤高圧コンクリートのプラットフォームを通じて、企業や消費者は炭素削減量の情報に容易にアクセスできるため、より環境に配慮した意思決定が可能となります。
社会的包摂の促進
NFTは、社会的包摂を促進するツールとしても活用されています。途上国のアーティストや少数民族のクリエイターが、自らの文化や芸術をNFTとして世界に発信し、それを通じて収入を得る事例が増えています。
NFT市場が提供するグローバルなプラットフォームを利用することで、従来はアクセスが難しかった市場への参入が可能になり、経済的自立や文化的認知の向上を促すことができます。これは、SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」やSDGs目標16「平和と公正をすべての人に」などの目標に寄与します。
活用事例:稼げるゲーム「Play to Earn(P2E)」
近年、「Play to Earn(P2E)」と呼ばれる、ゲームをプレイすることで報酬を得られるゲームが注目されています。P2Eゲームは、NFT技術を活用することで、ゲーム内アイテムを所有し、売買できる点が従来のゲームとは大きく異なります。
P2Eゲームでプレイするだけでお金を稼ぐことができる理由は、以下の2つです。
①NFT技術によるゲーム内資産の所有
P2Eゲームでは、NFT技術によってゲーム内アイテムがプレイヤーの所有物として証明されます。そのため、プレイヤーは不要になったアイテムを他プレイヤーに売却したり、レンタルしたりすることで、収益を得ることができます。
②ゲーム内経済の構築
P2Eゲームは、ゲーム内通貨やアイテムの取引が活発な経済システムを構築しています。プレイヤーは、ゲームをプレイすることでゲーム内通貨やアイテムを獲得し、それらを売却することで、現実世界の通貨に換金することができます。
【P2Eの例:アクスィー・インフィニティ】
P2Eゲームは、SDGs目標1「貧困をなくそう」をはじめとした社会課題の解決に貢献する可能性を秘めていると言われています。
途上国や経済的に困窮している地域では、仕事や収入を得ることが困難な場合があります。P2Eゲームは、これらの地域の人々に、ゲームをプレイすることで収入を得られる機会を提供します。
また、P2Eゲームは、教育を受けられる機会が少ない地域の人々に、学習の機会を提供することができると期待されています。ゲームを通して知識やスキルを身につけ、将来的によい仕事に就ける可能性を高めることができるのです。
ゲームへの依存症などの課題も存在しますが、P2Eゲームは適切な運用によって、より良い社会を実現できる可能性があります。
教育分野での活用
教育分野におけるNFTの活用も、SDGsの目標達成に貢献する可能性を秘めています。デジタル教材やオンラインコースをNFT化することで、教育コンテンツの希少性と価値を高め、教育機関や講師が適切な報酬を得られるようにすることができます。
また、学習する人はNFTを通じて、学習成果や修了証明をデジタル証明書として保持することが可能になります。これは、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」の目標達成に貢献することが期待されます。
活用事例:シヤチハタによるNFT学生証の開発
【NFTなどの先端技術を実学的に学ぶ機会を創出すべく、包括連携協定を締結】
※左から学校法人創志学園学園長 大塚敏弘氏、シヤチハタ株式会社代表取締役社長 舟橋正剛氏、株式会社ZEXAVERSE代表取締役社長 上瀧良平氏
ハンコメーカーのシヤチハタは、学生証をデジタル上で管理するシステムを開発しました。このシステムは、改ざんができないNFT技術を活用し、オンライン授業の出欠管理などに利用できます。
NFT学生証の特徴は、
- 複製や改ざんができないため、セキュリティが高い
- オンライン授業の出欠管理など、さまざまな用途に活用できる
- 紙の学生証が不要になるため、環境に優しい
などがあります。この他にもNFTは、
- 教材や学習成果の管理:デジタル教材の不正コピー防止や、学習履歴の記録・共有
- 教育ゲームやメタバース教育:ゲーム内アイテムの所有権や、学習成果の可視化
など、教育分野においてさまざまな可能性を秘めています。
シヤチハタの取り組みは、NFT技術を教育分野に活用する先進的なものです。今後、他の企業も追随することで、教育分野におけるNFT活用の加速が期待されています。
これらの事例からわかるように、NFTはSDGsの目標達成に向けた多様な取り組みにおいて、さまざまな可能性を広げています。技術の進化とともに、今後さらに多くの分野での活用が期待される中、NFTが持続可能な社会の構築にどのように貢献していくのか、引き続き注目していきたいですね。*3)
NFTをSDGsに活用するメリット

NFTを活用することによって、これまで解決が難しいとされてきた、
- 偽造品の流通(ブランドイメージの毀損、開発途上国の経済発展を阻害)
- 透明性の欠如(寄付や支援物資の分配などにおいて不正や不公平を生む)
- 希少価値の証明の難しさ(希少価値を証明することが難しく、クリエイターの収益化を阻害)
- コミュニティ形成の難しさ(社会貢献活動や地域活性化などの活動推進に重要ですが、従来の方法では困難な場合がある)
などを解決できる可能性があります。NFTがこれらの課題解決のためにどのような効果があるのかを、メリットとして見ていきましょう。
資金調達の多様化
従来の資金調達方法といえば、銀行融資や投資家へのプレゼンテーションなどが一般的でした。しかし、これらの方法は、審査基準が厳しかったり、準備に時間がかかったり、多くの人に知ってもらうのが難しかったりといった課題がありました。
しかし、NFTを活用することで、
- 作品やアイデアを直接販売できる
- ファンやコミュニティから支援を得られる
- 二次流通市場※で収益を得られる
などが可能になり、誰でも簡単に資金調達できる可能性が広がっています。
透明性と信頼性の確保
NFTはブロックチェーン技術を活用しており、その取引履歴や所有権情報が不可逆的かつ透明に記録されます。このため、寄付や支援金の流れを透明化し、その使途を追跡することが可能になります。
透明性と信頼性の確保は、SDGsの目標達成において重要な要素です。従来の資金調達や寄付には、
- 資金がどのように使われているのか、誰がどのように貢献しているのか、といった情報が公開されていないケースがある
- 資金が不正に流用されるリスクや、寄付金が目的通りに使われないリスク
- 仲介業者を通すことによる、高額な手数料や、手続きが複雑で時間がかかる
といった問題がありました。
NFTを活用することで、これらの問題を解決し、効果的な資金の流れの管理が実現されます。
地域経済の活性化
NFTを用いた地域コミュニティの経済活動は、その地域の特産品や文化を世界に発信する機会を提供します。また、地域のアーティストやクリエイターがNFTを通じて収益を得ることで、地域経済の活性化が促進されます。
さらに、地域コミュニティが自らの魅力を発信することで、観光や交流が促進され、地域の持続可能な発展につながります。
コミュニティの形成促進
NFTを通じて作品や価値観、思想などを共有し、コミュニティが形成されることで、共通の関心事を持つ人々がつながり、協力関係が生まれやすくなります。このようなコミュニティ形成は、SDGsの推進において重要な役割を果たします。
従来のコミュニティは、共通の趣味や地域、活動目的などで繋がることが一般的でした。一方、NFTコミュニティは、
- 特定のNFTプロジェクトやアーティスト、作品などへの共感を基盤に形成される
- インターネット環境があれば、場所や時間帯に縛られずに参加できる
- 多様な価値観や思想を持つ人が集まり、コミュニティの形態も流動的に変化する
などの特徴をもち、最新情報をいち早く入手したり、他のメンバーから知識や経験を学んだりできるほか、メンバー同士で協力して、新たな作品やプロジェクトを生み出すことも可能です。
このようにNFTの活用は、さまざまな可能性を秘めています。しかし、NFTの活用にはまだ課題や問題点も残されています。
次の章では、NFTをSDGsに活用する際の課題や問題点に焦点を当てていきましょう。*4)
NFTをSDGsに活用する際の課題や問題点

NFT自体には、
- ブロックチェーンを用いるため、高額な手数料が発生する場合がある
- NFTを扱うためのツールやサービスが発展途上であるため使いにくい
- NFTの所有権や著作権などの法的な位置付けがまだ明確でない
- NFTの取引における詐欺や偽造などの問題
- NFTの投機的な利用が、市場の混乱を招く可能性がある
などの課題が挙げられます。
SDGsの目標達成に向けたNFTの活用には、現状では以下のような課題や問題点が指摘されています。
環境への影響
NFTの作成や取引には、ブロックチェーン技術が用いられます。現在主流のブロックチェーンシステムは、大量の計算処理を要するため、莫大な電力を消費します。このことは、SDGsの中でも特にSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」という目標に反する可能性があり、NFTの持続可能性を疑問視する意見も出ています。
そのため、環境に配慮したブロックチェーン技術の開発や利用が求められています。
アクセスの不平等
NFT市場への参入には、ある程度の技術的知識やインターネット環境が必要です。特に途上国では、これらのリソースへのアクセスが限られているため、NFTを通じた経済活動から排除される可能性があります。
SDGs目標1「貧困をなくそう」やSDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」などの目標を考えると、このアクセスの不平等は大きな課題となります。
法的・倫理的問題
NFTの普及に伴い、著作権やプライバシーの問題が浮上しています。例えば、NFTによる作品の販売は、既存の著作権法に基づく管理とは異なる新たな課題を生み出しています。
また、デジタルアートの創作物が無断でNFT化されるケースも報告されており、これらの法的・倫理的問題への対応が急務となっています。
投機的な市場の形成
NFT市場は、その新規性と高い収益性から、投機的な行動を誘発する場となっています。このような市場環境は、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」という目標とは相反するという指摘があります。
これは、投機的な行動が持続可能な消費や生産を促進するのではなく、価値の追求や短期的な利益を重視することがマイナスの影響を与える可能性があるからです。SDGsの目標達成に貢献するためには、NFT市場を健全に発展させるための環境整備が重要な課題です。
これらの課題に対処するためには、
- 技術的な改善
- 法的枠組みの整備
- 倫理的なガイドラインの策定
- 広範な国民・消費者が参加する議論の場の設置
などに今後取り組んでいく必要があります。
NFTがSDGsの目標達成に貢献するためには、これらの課題への明確な対策と、全ての関係者の協力が不可欠です。
企業がNFT×SDGsに取り組むためには

NFTを用いることで、透明性の高い取引が可能となり、企業の社会的責任(CSR)活動や環境保護活動を支援する新たな方法を提供します。さらに、NFTはクリエイターや地域社会との直接的な経済的結びつきを強化し、持続可能な開発への貢献を促進することも期待されています。
具体的なNFTを活用した企業のSDGsへの取り組み方の例を確認しましょう。
環境保護プロジェクトの支援
企業は、NFTを通じて環境保護プロジェクトを支援することができます。例えば、森林保護や海洋保全のための資金集めにNFTを活用し、購入者にはその貢献を証明するデジタルアートや証明書としてのNFTを提供します。このような取り組みは、環境への意識を高めると同時に、具体的な支援活動への参加を促します。
ソーシャルグッドな商品の販売
企業が自社の製品やサービスにNFTを組み込むことで、SDGsに貢献するソーシャルグッドな商品の販売を行うことができます。例えば、限定版の商品やサービスをNFTとして発行し、その収益の一部を社会貢献活動に寄付するなどの取り組みが考えられます。
これにより、消費者は自分の購入が直接社会貢献につながるという実感を持つことができます。
トレーサビリティの向上
NFTとブロックチェーン技術を活用することで、製品のライフサイクル※の透明性を高めることができます。原材料の調達から製品が消費者の手に渡るまでの過程を追跡し、その情報をNFTに記録することにより、消費者は製品が持続可能な方法で生産されたことを確認できます。これは、特にSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に貢献します。
【関連記事】LCAはカーボンニュートラルに欠かせない!メリット・デメリット、問題点も紹介
コミュニティとの連携
企業は、地域社会や小規模なクリエイターと連携し、彼らの作品やプロジェクトをNFTとして支援することができます。これにより、地域経済の活性化や文化的価値の保存に貢献するとともに、企業のブランド価値を高めることができます。
これらの取り組みを通じて、企業はNFTの持つポテンシャルを最大限に活用し、SDGs達成に向けた新たな道を切り開くことができます。ここで重要なのは、技術的な革新だけでなく、社会的な課題に対する深い理解と、それを解決するための実践的なアクションを組み合わせることです。
NFT×SDGsは個人でもできる?

近年注目を集めているNFTは、デジタルデータに新たな価値を与える革新技術です。企業だけでなく、個人でもNFTを活用してSDGsの目標達成に貢献することができます。
環境保護活動への参加
個人は、環境保護を目的としたNFTプロジェクトなどに参加することができます。例えば、森林再生や海洋保護を目指すプロジェクトがNFTを発行している場合、それらを購入することでプロジェクトの資金調達に貢献できます。
購入したNFTは、その活動への支援の証となります。
ソーシャルグッドな作品の制作・販売
クリエイティブな才能を持つ個人は、自ら作品を制作し、それをNFTとして販売することで、さまざまなSDGs目標への貢献が可能です。例えば、環境問題や社会問題をテーマにしたアート作品をNFT化し、その収益の一部を関連するNGOやNPOへ寄付することができます。
このような活動は、作品を通じて問題への意識を高めるとともに、具体的な支援にもつながります。
教育・啓発活動への貢献
NFTを利用して、SDGsに関連する教育や啓発活動に貢献することもできます。SDGsの目標や重要性を伝えるデジタルコンテンツをNFTとして制作・配布することで、より多くの人々にそのメッセージを届けることが可能です。
こうした活動を通じて集めた資金を、教育や環境保護のためのプロジェクトに寄付することもできます。
コミュニティとの協力
地域コミュニティやオンラインコミュニティと協力して、NFTを活用したSDGs関連のプロジェクトを立ち上げることができます。共通の目標を持つ仲間と力を合わせることで、より大きな影響力を持つ活動を展開することが可能です。
また、コミュニティ内での知識共有や意識向上にも役立ちます。
これらのような取り組みを通じて、個人でもNFTを活用し、SDGsの目標達成に貢献することが可能です。NFTの活用範囲は今後さらに広がると予想されているので、常に新しい情報にアンテナを張り、学び続けることも大切です。
まずは、自らができることから始め、持続可能な未来への一歩を踏み出しましょう。NFTという新たなテクノロジーを活用することで、個人の行動が大きな変化を生み出すきっかけとなるかもしれません。
NFTの利用に当たって注意すべきこと

ここで注意したいのが、NFTの利用には、注意すべき点がいくつかあるということです。
企業にとっての注意点
まずは企業にとっての注意点を見ていきましょう。
消費者への明確な情報開示
企業は、NFTに紐付いたコンテンツの利用許諾範囲や、著作権に関する情報など、消費者にとって重要な情報を分かりやすく開示する必要があります。NFTの価値は、コンテンツの利用許諾範囲や著作権の状況によって大きく左右されるため、透明性の高い情報開示は、消費者保護と市場の健全な発展に不可欠です。
二重販売のリスクへの対策
同じコンテンツを複数回NFT化して販売する「二重販売」のリスクを防ぐための対策が必要です。例えば、ブロックチェーン技術を活用した透明性の高い追跡システムの導入などが考えられます。
二重販売は、消費者の利益を損なうだけでなく、NFT市場全体の信頼性を損ねる行為です。
偽造NFT対策の強化
偽造NFTの流通を防ぐための技術的な対策が必要です。例えば、NFTの真正性を検証する仕組みや、偽造NFTを検出するシステムの導入などが考えられます。偽造NFTの流通は、消費者に経済的な損失を与えるだけでなく、NFT市場全体の信頼性を損ねる行為です。
適切なマーケティング活動
NFTの価値は、希少性や将来性などによって大きく左右されます。企業は、これらの点を過度に強調した誤解を招くようなマーケティング活動は避け、消費者に冷静な判断を促すような適切な情報発信を行う必要があります。
個人のための注意点
次に、個人が注意すべき点を確認します。
NFTの性質を理解する
NFTは、デジタルコンテンツの所有権を証明するものです。そのため、通常はNFTを購入した人がそのデジタルコンテンツの所有者となります。しかし、NFTがあるからといって、コンテンツそのものの著作権や著作者の権利を持つわけではありません。
つまり、NFTはデジタルコンテンツの所有権を示すものであっても、そのコンテンツそのものの著作権や著作権関連の権利を必ずしも意味するわけではないということです。したがって、NFTの所有権とコンテンツの著作権は異なる概念であり、注意が必要です。
投資目的での購入には注意が必要
NFTは、投資目的で購入することもできます。しかし、NFTの価格は変動が激しく、必ずしも値上がりするとは限りません。投資目的で購入する場合には、リスクを十分に理解した上で慎重に判断する必要があります。
情報セキュリティ対策
NFTの購入や取引には、暗号資産(仮想通貨)が利用されることが多いため、情報セキュリティ対策を徹底する必要があります。パスワードや秘密鍵を厳重に管理し、フィッシング詐欺※などにも注意が必要です。
信頼できるマーケットプレイスを利用する
NFTの購入や取引には、さまざまなマーケットプレイスが存在します。利用する前に、そのマーケットプレイスの安全性や信頼性をしっかりと確認する必要があります。
購入前に情報収集を行う
NFTを購入する前に、そのNFTに関する情報収集をしっかりと行う必要があります。
- 発行者情報
- コンテンツの価値
- 過去の取引履歴
などを確認し、慎重に判断することが重要です。
このようにNFTは、さまざまな可能性を秘めた技術ですが、注意すべき点がいくつかあります。NFTの性質を理解した上で、情報セキュリティ対策を徹底し、慎重に利用することが重要です。
まとめ

NFTは、まだ発展途上の技術です。しかし、その可能性は無限大です。
今後、NFTはより多様な分野での活用が見込まれています。ブロックチェーン技術の透明性と信頼性を活かし、環境保護活動の支援や社会問題への意識向上などの、SDGsの目標達成に向けたプロジェクトがすでに始動しています。
企業は、NFTを利用した新しいビジネスモデルの開発や、社会的責任活動の一環としてNFTプロジェクトへの参加を検討すべきです。特に、サプライチェーンの透明性の向上や、持続可能な資源の利用を証明するためのツールとしてNFTが活用できます。
この時に重要なのは、技術の採用が単なる宣伝目的に留まらず、実際に社会的・環境的価値を生み出すことにつながるよう、慎重に計画し実行することです。
また、個人もNFTの世界で積極的に行動することができます。
- 環境保護や社会問題に関するプロジェクトへの投資
- 自らのアート作品やコンテンツをNFT化して販売
などで、NFTを活用してSDGsの目標達成に貢献することが可能です。
個人の場合、NFTの購入や制作にあたって、そのエコシステム※が環境に与える影響を理解し、可能な限り環境負荷の低いプラットフォームを選択することが大切です。
【関連記事】エコシステムとは?ビジネスにおける意味や取り組み事例をわかりやすく解説
NFTという革新的な技術の活用は、決して一部の専門家や先進的な企業だけのものではありません。私たち一人ひとりも、積極的にNFTについて学び、理解することにより活用することが可能です。
NFTを活用することによって、企業も個人も、将来の可能性が大きく広がります。より良い未来の実現に向けて、NFTを活用した新たな取り組みに挑戦してみましょう!*7)
<参考・引用文献>
*1)NFTをSDGsにどう活用するのか
消費者庁『NFTの動向整理』(2022年6月)
首相官邸『「知的財産推進計画2022 ~意欲ある個人・プレイヤーが社会の知財・無形資産をフル活用できる経済社会への変革~」 』(2022年6月)
*2)NFT活用で期待できる効果
デジタル庁『事務局説明資料』(2023年4月)
NIKKEI COMPASS『NFT』
日本経済新聞『NFT(非代替性トークン)とは 唯一無二の価値担保』(2023年7月)
国民生活センター『特集 NFT の基礎知識』(2023年10月)
*3)NFT×SDGsの活用事例
国民生活センター『特集 NFT の基礎知識』(2023年10月)
日経XTECH『NFTで炭素削減量証明書を発行、會澤高圧コンクリートの次なる挑戦』(2023年9月)
https://youtu.be/X2z_YIeettE
play to earn
日本経済新聞『「稼げるゲーム」貧困を救う NFTで社会課題を解決』(2022年4月)
日本経済新聞『ゲームのお宝は仮想通貨 ブロックチェーン活用』(2024年23月)
クラーク記念国際高等学校『クラーク記念国際高等学校が株式会社ZEXAVERSE、シヤチハタ株式会社と産学連携協定を締結』(2023年3月)
Shachihata Brand Securities『あらゆる透明化の時代・始動へ!ようこそWEB3.0へ』
日本経済新聞『シヤチハタ、NFTで学生証』(2023年2月)
日経XTREND『シヤチハタがNFT事業拡大 高速道の渋滞対策、 学生証、地域創生』(20年12月)
日本経済新聞『NFTに価値裏付けの波』(2022年11月)
日経BP『NFT』
経済産業省『NFTマーケットプレイスにおける正規版コンテンツ流通促進に係る調査事業』(2023年7月)
三菱総研DCS『NFTでコミュニケーション活性化!?エンゲージメント向上を目指したブロックチェーン活用事例』(2023年10月)
*4)NFTをSDGsに活用するメリット
ソフトバンクニュース『話題のNFTって何? 知っておきたい基礎知識を解説』(2022年7月)
*5)NFTをSDGsに活用する際の課題や問題点
経済産業省『事務局説明資料(デジタル時代の規制・制度のあり方について)』
ソフトバンクニュース『「Web3」で私たちの生活はどう変わる? 現状の課題と今後の展望』(2022年11月)
*6)企業がNFT×SDGsに取り組むためには
LCAはカーボンニュートラルに欠かせない!メリット・デメリット、問題点も紹介
*7)まとめ
エコシステムとは?ビジネスにおける意味や取り組み事例をわかりやすく解説