牡鹿観光|石巻の、そして住まいの「よろず屋」として環境と人に優しい家づくり

牡鹿観光 阿部康彦さん 久道雅史さん インタビュー

左:久道雅史さん 右:阿部康彦さん

阿部康彦

1974年神奈川県横浜市生まれ。2006年に石巻に移住すると同時に(株)牡鹿観光に入社。

不動産営業からスタートするも、入社3年目からは建築部門に重心を移し、設計から現場管理、アフター対応などを行う。2022年6月より代表取締役副社長に就任。

久道雅史

1968年宮城県石巻市生まれ。1997年に東京から石巻市にUターンすると同時に建設業・不動産業に従事。2016年に(株)牡鹿観光に入社。「これからも、石巻にいい住まいを。」の想いのもと、注文住宅、建売住宅、中古住宅、リフォーム、不動産売買・仲介・賃貸・相続などの営業活動を中心に行う、住まいの「よろず屋」営業マン。

introduction

自分の住んでいる住宅がどれくらい環境や家計に優しいか、皆さんはご存じですか?

牡鹿観光(おしかかんこう)は住まいに関する事業を展開し、建設業と宅建業をトータルプロデュースで行っている企業です。住まいの”よろず屋”を掲げ、石巻市の住民に寄り添い地域の信頼を得ています。

今回は副社長の阿部さんと建設不動産部長の久道さんに、SDGsへ取り組むきっかけや取り組みの内容、今後の展望についてお伺いします。

住まいに関することならおまかせ~建設業と宅建業両方のアプローチ~

‐‐まずは御社の事業内容について教えていただけますか?

阿部さん:

(株)牡鹿観光は昭和45年設立で建設業と宅建業の両方を生業とし、住まいに関すること全般を業務にしています。近年では「おしかホーム」というブランド名を立ち上げ、注文住宅の建築・建売住宅の販売・リフォーム工事などから、土地建物の買い取りや再販・売買の仲介・アパートの管理・入居者募集などを行っています。

最近では、社会課題になっている「空き家」の利活用や、低断熱住宅・耐震性に不安がある住宅のリノベーションも手がけています。

特に空き家については、相続や世代交代をきっかけに出てくる問題です。弊社は、建築・不動産をトータルプロデュースで行ってきて52年の実績がありますので、地域の方からは「何かあったらおしかホームに」という評判をいただいています。

いいものにアンテナを張り、地域の信頼を得る

‐‐SDGsに取り組むきっかけはなんだったのでしょうか?

阿部さん:

建築や不動産に関するさまざまな会社が集まる大会に参加した際、「SDGs」の話題が出ました。これは良い取り組みだと感じ、17の目標に自分たちの仕事や生活を照らし合わせると、現在やっていることがすでにSDGsに合致していると気づきました。そこで、さらにSDGsに関する取り組みを伸ばしていきたいと考えたのです。

SDGsに会社を後押ししてほしいという狙いもありました。また石巻市としてもSDGsに取り組んでいて、パートナー企業を探していたところも、SDGsへ一歩踏み出す後押しになりました。

久道さん:

隣の東松島市はSDGsの取り組みが進んでいて、3年ほど前に東松島市出身の議員さんからSDGsの話を聞く機会がありました。その後、前述した大会でSDGsのオリエンテーションが行われ、地元の企業中心に「自社の状況に落とし込んで考えよう」となりました。

その結果「自分たちが取り組んでいることがすでにSDGsに関連した取り組みだよな」と気づき、もっと発信にも力をいれていこうということになったのです。

‐‐現在SDGsに対してどのような取り組みをされているか、具体的に教えてください。

阿部さん:

弊社ではCO2排出量の抑制、太陽光システムの採用など環境にやさしい住まいづくりを掲げています。弊社は昔から木造住宅の建築に強いのですが、木造の方が鉄筋コンクリート造に比べ、建てる際や取り壊しの際にCO2排出量が抑えられます。SDGsのCO2排出量削減にも知らず知らずのうちに貢献できていたことが分かりました。

また、2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにするカーボンニュートラルや、家で「消費される電力」より「生み出される電力」の方が多いゼロエネルギーハウス(ZEH)などの基準を意識して建築に取り組んでいます。

日本、そして石巻という地震の多い地域においては、住居の耐震性が重要になってきます。耐震性とCO2排出量の削減を両立させるのは大変なことではありますが、「今以上により安心できる家をつくらなければ」と思い、住居の構造計算を1棟ずつ必ず行うパナソニックの「テクノストラクチャー」という工法を採用し、耐震等級は最高ランクの「3」を標準にしています。

大きな企業の力を借りることは地域貢献にもつながると思いましたし、「いいものに”アンテナ”を張り、しっかり取り組んでいける企業が石巻にもあるよ!」と知ってもらうためでもありました。

このような取り組みに加えて、現場で出た端材は廃棄せずにストックしておき、事務所の薪ストーブを焚くのに使用するなど、細かい部分にも配慮しながらSDGsを展開しています。

久道さん:

実は私は転職組なのですが、端材をストックする会社を初めて見ました(笑)

でも、電気や灯油などを燃料とする暖房器具は使わず薪ストーブだけで冬を越しているので、非常に有効な手法なんだなと実感しています。

阿部さん:

また、建築物に対するSDGsの配慮だけでなく、お客様の快適な暮らしが持続するように、家計に優しいプランでの住宅づくりをしています。これは単に材料を安くするということではなく、生活してからの出費が減るようなご提案をするものです。

例えば、キッチンと洗濯機が離れた場所にあるとします。同時に作業しようとすると行ったり来たりして時間がもったいないですし、特に朝の忙しい時間帯であればストレスも溜まってしまいますよね。そこで生活動線を考慮して、少しでも負担を減らして時間を有効活用できる設計を提案しています。

加えて、家の中の温度差が少ない温熱環境を間取りや断熱材に工夫することで、エアコンなどの光熱費の抑制にもつながりますし、ヒートショック対策にもなります。

この提案によって、場合によっては我々の売り上げが減ることもあります。しかし、これは目先の利益か中長期的な利益かの違いだと考えています。お客様の役に立つ営業をしていると、いい口コミが広まり、こちらからの営業なしに紹介で仕事が舞い込んでくることもあるのです。

「お客様のために」と考え行動していることが、巡り巡って自社のためにもなるという意識で取り組んでいます。

SDGsへの取り組みが地域との繋がりをさらに深めてくれる

‐‐住宅の建築以外の分野でもSDGsにつながる取り組みをされていますね。具体的に教えてください。

阿部さん:

空き家の利活用も行っています。我々のもとには、親御さんが亡くなって空き家になった家を貸したい・売りたいといった相談も寄せられます。この場合は、中長期的な運用方法もご提案しますし、すぐに売りたいという場合は私たちが買い取ります。

全国的にも問題になっている空き家問題に取り組むことで、まちづくりや地域づくりに貢献していきたいですね。

久道さん:

地域のつながりの面では、子どもたちに住文化の教養を身につけてもらう機会を提供していて、具体的には「餅まき」が挙げられます。

私が幼い頃は、上棟式での「餅まき」が日常的にありました。子どもは普段、お餅を好き好んで食べるわけではないんですが、そういうイベントってワクワクして夢中になって拾ったんですよね。

でも、近年では「餅まき」が行われることも少なくなるなど、住文化に触れる機会が激減しているように思います。

私たちが楽しかったこと・心に残っていることは是非子どもへ伝えたい。そこで弊社のお客様には、まずはお菓子をまいてその後にお餅、最後にお金をまくという現代風にアレンジした「餅まき」を提供しています。「教育」という言葉を使っていますが、要は「体験」ですね。

阿部さん:

「餅まき」以外にも色々なイベントをやっています。コロナ前は、ステージでバンド演奏やマジックショーを行ったり、縁日コーナーを設けたりする「感謝祭」をよくやっていました。地域の方と友達になる、おしかホームに馴染んでもらう、という意味合いで続けてきたイベントです。

久道さん:

新たな取り組みとしては、3~4年程前に地元のフードバンクさんがフードドライブの取り組みを始めたので、パートナー企業として活動に協力しています。モデルハウスを食品の回収場所として提供しており、お客様から「今日持ってきたよ!」と声をかけていただきます。SDGsを意識した取り組みを通して、住まいに関することだけでなく地域の方々と繋がりを持てていることを実感できます。

フードドライブとは

余った食品を持ち寄り、フードバンク等へ寄付すること。

社長は根っからのSDGs気質。そのDNAが社員にも

‐‐地域との結びつきが感じられる取り組みを多数展開されているのですね。社員の皆さんに対しては、どのようにSDGsの意識を浸透させているのでしょうか?

久道さん:

「SDGsについて浸透させよう!」という感じではやってないですね。でも昔からペットボトルのキャップや切手を回収するなど、SDGs的な精神は染みついてます。

というのも、社長が根っからのSDGs気質なんです。この会社にいると社長の影響で皆SDGs的な取り組みは無意識のうちに行っていますね。

以前、私が会社の庭の草むしりをしていた際、抜いた雑草を捨てようとしたら、「捨てるな!鳥の餌になるべや!」と止められたんです。

会社で飼ってる鳥の餌に活用するなんて驚きましたが、無駄にしないという観点でSDGsですよね(笑)

こんな会話が日常的に行われているので、買い取った空き家の残置物の中で使えるものはストックするなど、もったいないことをしないような意識があります。お客さんの中に必要な人がいれば配れますしね。

‐‐素敵です。今後はどのようにSDGsに関する取り組みを展開していきたいと考えていますか?

久道さん:

これからも石巻の”よろず屋”として、とにかくお客様の根本的に役に立つことをやっていきたいです。

本当になんでもやっていて、以前、弊社でたくさん動物を飼っているということもあり、警察から「拾得物の期限が切れたうさぎを引き取ってくれませんか?」なんてお願いもされ、受け入れました。

他にもエピソードを挙げるとキリがないんですが、お客様とのつながりを大事に事業を行っていきます。

阿部さん:

そして、社員のSDGsへの理解も深めていきたいです。これまで無意識にやっていた行動が、「実はSDGsにつながっている取り組みなんだ」とみんなが理解できるようにしたい。そして最終的には、子どもたちに「SDGsって何?」と聞かれたら、すぐに答えられるくらいになれればいいなと思います。わかっているのと説明できるのとはまた違いますからね。

さらにアンテナを張り、社内外に発信しながら石巻の「よろず屋」として、とにかくお客様の根本的な役に経つ、社員を大事にするといった仕事をしていきます。

‐‐本日は貴重なお話をありがとうございました!

関連リンク

牡鹿観光:https://oshika-kanko.com/