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PHVとは?ハイブリッド・PHEVとの違い・補助金制度と今後の予定・課題

そろそろ自動車も環境に優しいものを選びたいと思いませんか?しかし、充電スポットが十分に整備されていない場所に行くときなどを考えると、

「現状EVを選択するのは難しいかな…」

というのが、福岡市在住の筆者の率直な気持ちです。しかし、PHVならこのような心配を解決できる可能性があります。PHVは、エコカーの中でも高い走行性能と経済性を兼ね備えた魅力的な車です。

今後、さらに需要が高まることが予想されるPHVについて、知っておきたいメリット・デメリット、HV・EV・FCVとの比較などを解説し、おすすめ車種も紹介します!

目次

PHVとは

【トヨタ プリウスPHEV 外部給電アタッチメント】

 PHVとは、ガソリンエンジンと電気モーターの両方を搭載し、外部からの充電が可能な車です。PHVはPlug-in Hybrid Vehicle(プラグインハイブリッド車)の略称です。

ガソリンエンジンと電気モーターの両方を使うことで、燃費の向上や環境への貢献を実現し、EVによくある「充電切れ」の心配も解消します。また、外部からの充電ができるので、充電環境が整っていれば、ほとんど電力で走行することもできます。

PHVの歴史

PHVの歴史は比較的新しいものです。最初のPHVは、2007年にトヨタ自動車が「プリウスPHV」として発売しました。当初は限定的な販売でしたが、その後の需要の高まりを受けて、他の自動車メーカーからもPHVが発売されるようになりました。

【国内のEV・PHVの車種数の推移】

2009年時点では1車種のみだったPHVは、2021年には40車種にまで増加していることからも、PHVの需要が高まってきていることがわかります。

PHVとPHEVとの違い

PHVとPHEVは、

  • PHV=Plug-in Hybrid Vehicle
  • PHEV=Plug-in Hybrid Electric Vehicle

の略称ですが、どちらもガソリンエンジンに加えてモーターとバッテリーを備え、外部から電気を充電できるHV(ハイブリッド車)です。この2つの名称は、メーカーによって、または車種の世代によって呼び方が違うだけで、基本的に仕組みや性能は同じものです。

充電方法や性能はそれぞれのモデルによって、同じメーカーから発売されていても違いますが、PHVとPHEVの違いは「PHEVの方が電気で動くことをより主張しているものの、仕組みや性能の違いを表してはいない」と覚えておきましょう。

このように電動モーターとバッテリーを搭載した自動車を、世界的には「xEV」という総称で呼ぶこともあります。

【「xEV」の種類】

PHVの仕組み

【プラグインハイブリッド自動車(PHV)】

PHVは、ガソリンエンジンと電気モーターの2つの動力源を持っています。PHVは、走行時には、ガソリンエンジンと電気モーターが協力して動力を発生させます。低速走行時には、電気モーターが主に動力を発生させます。

また、停車中や渋滞時には、エンジンが停止し、電気モーターだけで走行することもできます。バッテリーの電力が不足した時には、ガソリンエンジンが発電してバッテリーを充電したり、直接駆動力になったりします。

【EV・PHV・HVの違い】

上の図からも、PHVEVとHVの中間的存在なのがわかります。次の章では、このようにEVとHVの両方の機能を搭載したPHVの特徴に迫ります。*1)

PHVの特徴

PHVの最も注目すべき特徴は、外部の電源からバッテリーが充電できることです。バッテリーを充電することで、電気モーターだけで一定の距離を走行することができます。

このため、バッテリーを切らさなければ、ガソリンをあまり使わずに走ることができます。また、バッテリーがなくなっても、ガソリンエンジンが動力を提供します。ガソリンエンジンは燃料を使って発電し、バッテリーを充電することもできます。

PHVの充電方法と充電時間

PHVの充電方法は、主に以下の3種類があります。

100Vの普通充電

家庭用のコンセントに専用のケーブルをつないで充電します。満充電までに長い時間がかかりますが、どこでも充電できるのがメリットです。

200Vの普通充電

専用のコンセントを設置して充電します。100Vよりも早く充電できますが、設置費用が必要です。自宅や一部の駐車場などに設置されています。

急速充電

専用の充電器に接続して充電します。最も早く充電できますが、高速道路やショッピングセンターなどにしか設置されていません。また、使用料金がかかる場合もあります。

PHVの充電方法は、自分の使い方や予算に合わせて選ぶことができます。一般的には、自宅では200Vの普通充電をし、外出先では急速充電を利用すると効率的です。100Vの普通充電は、緊急時や移動先でコンセントがある場合に便利です。

充電時間は、

  • 自宅で充電する場合:約3~8時間程度
  • 公共の充電スポットで充電する場合:約30分~2時間程度

が目安です。PHVは車種によってバッテリー容量や対応する充電方法も異なるので、正確に知る必要がある時は各メーカーのホームページで調べましょう。

PHVの走行モードの種類

次に確認したいことが、走行モードについてです。PHVの走行モードは、主に以下の3種類があります。

EVモード(電気モード)

電気モーターのみで走行するモードです。電気モーターのみを使用するため、ガソリンを使わずに走行できます。

短距離の通勤や買い物など、低速での走行に適しています。燃費が非常に良く、排出ガスもほとんど出ません。

HVモード(ハイブリッドモード)

電気モーターとガソリンエンジンを組み合わせて走行するモードです。高速道路や長距離の移動に適しています。

ガソリンエンジンが自動的に作動し、電気モーターと協力して効率的に走行します。燃費が良く、電気モーターの力を利用することで、エンジンの負担を軽減します。

CHARGEモード(充電モード)

ガソリンエンジンを使用して、バッテリーを充電するモードです。長距離の移動後やバッテリーの残量が少ない場合に使用します。

エンジンの力でバッテリーを充電するため、充電時間が短縮されます。

ただし、これらの車種は走行モードの呼び方や切り替え方法が異なる場合があります。また、一部の車種では手動で走行モードを切り替えることができない場合もあります。

PHVの安全性能

PHVは安全装備も充実しています。トヨタのプリウスを例に見ていきましょう。

自動(被害軽減)ブレーキ

前方に車や歩行者がいるときに、衝突の危険があると判断したら、ブザーや表示で警告し、ブレーキをかけてくれます。

ペダル踏み間違い時加速抑制装置

アクセルとブレーキの踏み間違いや、アクセルの踏みすぎなどで起こる衝突被害の軽減に寄与します。例えば、駐車場から出るときにアクセルを思い切り踏んでしまったり、前方に障害物があるのにアクセルを踏んでしまったりしたときに作動します。

車線逸脱警報

カメラで道路の白線を認識し、ハンドル操作がなく車線からはみ出しそうになると、ブザーや表示で知らせてくれます。

先進ライト

夜間や悪天候時にヘッドランプの明かりを補助する機能です。例えば、カーブや坂道などで前方の視界が悪いときに、ヘッドランプの向きや光量を調整してくれます。

このように、PHVは

  • 燃費が良い
  • 環境性能
  • 安全性能
  • 快適性能

と、充実した機能が揃った魅力的な自動車と言えます。このように高性能なことも要因で、現状ではPHVは高額な車種がほとんどです。

しかし、PHVには税金面での優遇措置や補助金などの支援制度があります。次の章では、PHVの税金や補助金制度について見ていきましょう。*2)

PHVの税金や補助金制度

まずは、税金優遇措置ついて確認します。

税金の優遇措置

PHVは、エコカー減税の対象車種となっており、自動車取得税自動車重量税100%自動車税概ね75%減税されます。また、プリウスPHVは初回車検時の自動車重量税も免税されます。

【自動車の税って何があるの?】

補助金制度

次に、国や自治体から受けられる補助金について確認します。

国からの補助金

国から交付される補助金は、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」※と呼ばれ、経済産業省と環境省によって実施されています。CEV補助金には新車購入補助金リース車両購入補助金の2種類があります。

新車購入補助金は、PHVの新車購入時に交付される補助金、リース車両購入補助金は、PHVのリース車両購入時に交付される補助金です。

CEV

Clean Energy Vehicleの略で、環境性能に優れたクリーンエネルギー自動車のこと。

しかし、補助金を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

  • 補助金の申請は先着順であり、予算がなくなったら終了する
  • 補助金の対象となる車両は、一定期間内に購入し、新規登録された新車であること
  • 補助金を受けたPHVは一定期間(3年または4年)手放さないこと
  • 補助金を受けた車両は、災害時等に国や地方公共団体からの要請があれば、可能な限り協力すること
  • 家庭で使う電力が再生可能エネルギー100%になること(環境省の補助金の場合)※

などが条件となります。

※【PHVへの環境省の補助金】

環境省のPHVへの補助金は、CEV補助金の中でも特に高額なものです。最大で80万円もらえる場合もあります 。しかし、その代わりに家庭で使う電力が再生可能エネルギー100%になることが条件となります。

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力など自然から得られるエネルギーのことです。再生可能エネルギー100%の電力会社に切り替えるか、自宅に太陽光発電システムなどを設置する必要があります。

【CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)】

地方自治体からの補助金

地方自治体からも、PHVの購入やリース契約を支援する補助金制度を実施しているところがあります。

【東京都】

東京都では、「ZEV補助金」※という制度があります。ZEVを購入した個人や事業者に対して、最大で30万円の補助金を交付しています。

ZEV

ゼロエミッションビークル(Zero Emission Vehicle)の略で、排出ガスがゼロの車のこと。EV(電気自動車)、PHV、FCV(燃料電池自動車)など。

【関連記事】ZEV規制とは?クレジットの計算や世界・日本の現状

【千葉県千葉市】

千葉県千葉市では、「次世代自動車導入事業補助金」という制度があります。次世代自動車とは、環境性能に優れた車のことで、EV、PHVなどが含まれます。千葉市では、次世代自動車を購入した個人に対して、一律で5万円の補助金を交付しています。

【北海道】

北海道では、「北海道ZEV導入促進事業」という制度があります。ZEVを購入した個人や事業者に対して、最大で10万円の補助金を交付しています。

補助金の申請方法や詳細な条件は、地域によって異なるため、国や自治体のホームページで確認しましょう。また、車を購入するディーラーに相談することもできます。

【次世代自動車等の導入に対する支援制度一覧表】

【EV・PHV・FCV対象の購入補助事業】

日本のPHVの税金や補助金制度は、現状手厚いと言えます。これらの制度を活用すれば、初期費用や維持費を大幅に削減できるでしょう。

ただし、これらの制度は予算や期間に限りがあるため、終了する前に申請することが大切です。また、申請条件や手続き方法は各制度ごとに異なるので、詳細は各機関のホームページなどで確認してください。

次の章ではPHVのメリットをまとめます。*3)

PHVのメリット

PHVは、燃費の良さや環境への貢献、快適な走行性能など、様々な面で魅力的な車です。また、先進的な装備やテクノロジーも充実しており、より安全で快適なカーライフを実現することができます。

燃費の良さ

PHVは、電気とガソリンの2つのエネルギー源を使い分けることで、燃費を向上させます。

例えば、通勤や買い物などの短距離移動では電気モードを利用し、ガソリンをほとんど使わずに走行することができます。

また、長距離移動時にはガソリンエンジンが効率的に動作し、高い燃費を実現します。

【EVとガソリン車の年間走行ごとの燃料費の比較】

環境への貢献

PHVは、電気モードの使用により排出ガスや騒音を大幅に削減します。通勤や買い物などの短距離移動なら、ゼロエミッション※で走行することができます。

また、充電に再生エネルギーを利用することで、さらに環境への負荷を軽減することができます。

【ガソリン車とEVのLCAにおけるCO2排出量の比較】

ゼロエミッション

環境への排出物や汚染物質を一切出さず、地球温暖化や大気汚染を引き起こさないこと。

【関連記事】ゼロエミッションとは?推進理由や日本の取組事例、私たちにできることも

快適な走行性能

PHVは、電気モーターのトルク特性※を活かしたスムーズな加速や静かな走行が特長です。信号待ちや渋滞時にはエンジンが停止し、静かな車内空間を提供します。

また、EVモードの使用により、静かで振動の少ない走行を実現します。

電気モーターのトルク特性

電気モーターが回転する際に発生するトルク(回転力)の性質を示したグラフのことで、一般的に回転速度に対するトルクの変化を表す。低回転域では高いトルクを発生し、回転速度が上がるにつれてトルクが減少するという特性がある。電気モーターの選定や制御に重要な役割を果たす。

【発車時の車内の騒音レベル】

充実した装備やテクノロジー

PHVは、先進的な装備やテクノロジーが搭載されています。具体的な例としては、車線逸脱警報や衝突回避支援、ハンズフリーシステムなどが挙げられます。

これらの装備やテクノロジーにより、安全性や利便性が向上し、快適なカーライフを実現します。

PHVはエコカーとして優れているだけでなく、快適性や経済性も高い車だと言えます。しかし、PHVにも注意したいデメリットが存在します。*4)

PHVのデメリット

PHVはエコカーとして人気がありますが、購入前にデメリットを理解しておくことが大切です。これらに注意して、自分のライフスタイルやニーズに合った車選びをしましょう。

充電インフラの整備状況

PHVは電気モードでの走行が可能ですが、充電インフラの整備状況には地域によって差があります。PHVの購入を考えるときは、自宅や職場周辺に充電ステーションがあるかどうかを確認する必要があります。

特に地方などでは充電ステーションの数が限られている場合があるため、長距離移動が多い人は注意が必要です。

充電時間の長さ

PHVはEV同様に、相応の充電時間が必要です。充電時間は充電器の種類や充電残量によって異なります。

急速充電器を利用すれば30分程度で充電ができますが、一般的な家庭用コンセントでの充電では数時間以上かかることがあります。長距離移動をする際には、充電時間を考慮し、移動計画をしっかりと立てる必要があります。

車両価格が高い

PHVは、一般的なガソリン車に比べて車両価格が高い傾向があります。これは、PHVの電気モーターやバッテリーなどの高性能な部品や技術によるものです。

また、電気モーターやバッテリーなどの高価な部品を搭載しているため、ガソリン車に比べてメンテナンス費用が高くなる場合があります。購入を検討する際には、予算や経済的な負担を考慮し、自身のニーズに合った車両を選ぶことが重要です。

車内スペースが狭い

PHVの一部車種では、バッテリーの搭載スペースの関係で車内スペースが制約される場合があります。トランクスペースが狭くなったり、後部座席が狭くなり快適性が低下したりすることがあります。

車内スペースが重要な人や、大きな荷物をよく積む人は、車種ごとの仕様に注意する必要があります。

バッテリーの寿命

PHVのバッテリーは、一定の充放電サイクルを繰り返すことで劣化します。バッテリーの劣化によって、EVモードでの走行距離が短くなったり、充電時間が長くなったりする場合があります。

バッテリーの寿命を考慮し、適切なメンテナンスを行うことが大切です。

このような点を確認し、自身のニーズに合った車を選ぶことで、失敗せずに満足度の高いPHVの購入ができるでしょう。次の章では、これから多様化するモビリティ事情に備え、PHV・HV・EV・FCVの違いを確認しておきましょう。*5)

PHVとHV・EV・FCVとの違いを比較

まずは、PHV・HV・EV・FCVについて、それぞれ確認しておきましょう。

  • PHV(プラグインハイブリッド車):ガソリンエンジンと電気モーターを搭載し、充電可能なバッテリーを持つハイブリッド車。
  • HV(ハイブリッド車):ガソリンエンジンと電気モーターを搭載し、バッテリーはエンジンやブレーキなどで充電される。主にガソリンエンジンでの走行が主体。
  • EV(電気自動車):電気モーターのみで走行する車両。バッテリーを充電して電気モーターを動かすため、ゼロエミッションで環境に優しい。
  • FCV(燃料電池車):水素を燃料として使用し、燃料電池で発電して電気モーターを動かす車両。水素を酸素と反応させることで発電し、排出されるのは水だけなので環境に優しい。

【関連記事】電気自動車(EV車)とは?メリットとデメリット・充電の仕組み、今後日本で普及する?

【関連記事】FCV(燃料電池自動車)とは?特徴やデメリットと将来性を徹底解説

【関連記事】環境に優しい車の種類や特徴を紹介!今後の車づくりに求められるポイントも

【EV・PHEV・FCV】

PHVとHV・EV・FCVとの特徴の比較

PHVとHV・EV・FCVとの特徴の比較を表にまとめました。

PHVとHV・EV・FCVとの特徴の比較

以上の表からわかるように、PHVはEVとHVの中間的な特徴を持っています。EVのように電気のみで走行できることで燃費や環境性能が高く、HVのようにエンジンを利用できることで航続距離が長くなります。

PHVとHV・EV・FCVとの所有コストの比較

次に、PHVとHV・EV・FCVとの所有コストの比較を簡単にまとめました。

それぞれの車種は異なる所有コストがかかるため、予算や環境に合わせて選ぶことが重要です。また、燃費や充電インフラの整備状況も考慮する必要があります。

PHVとHV・EV・FCVとの保険料の比較

PHVとHV・EV・FCVとの保険料の比較を簡単にまとめます。保険料は車種や保険会社、運転者の条件によって異なるため、具体的な保険料は保険会社に問い合わせるか、各保険会社のホームページを確認しましょう。

PHVとHV・EV・FCVとの保険料の比較

保険料は、各保険会社によっても、そのほか車両価格、燃費、排気量、年式、事故歴などの要素によっても異なります。保険に加入する際には、これらを十分に考慮して複数の保険会社の保険料と保証内容を比較することが大切です。

これらの比較からも、PHVは日本の充電インフラ整備が進行する移行期間の今後しばらく、バランスの取れた便利な自動車となるでしょう。次の章では、最近は選択肢も増えてきたPHVの中から、おすすめの国産PHVを紹介します。*6)

おすすめの国産PHV4選

ここでは、おすすめの国産PHV4選をご紹介します。燃費の良さと電気モーターのパワーを兼ね備えたこれらの車種は、環境に配慮しながらも快適な走行を実現します。

トヨタ プリウス PHV

【プリウスのPHEV Z(PHEV・2WD)<オプション装着車>】

トヨタは、2023年1月に新型プリウスのプラグインハイブリッド車(PHEV)を発表しました。PHEVモデルは、

  • コンパクトかつ大容量な駆動用バッテリー
  • 高出力の駆動用モーター
  • 高効率なガソリンエンジン

などを組み合わせた最新のプラグインハイブリッドシステムを搭載し、EV走行距離は105kmを実現しています。また、PHEVならではの給電機能により、バッテリーに蓄えた電力からアウトドア・レジャーなどで活用できる給電モードに加え、停電や災害などの非常時にはエンジンで発電することでより多くの電力を供給できる機能を備えています。

【トヨタ プリウスPHEVのソーラーパネル】

さらに、トヨタは新型プリウス PHEVにソーラー発電システムを搭載しました。ソーラーパネルで発電した電力は、駐車中は駆動用バッテリーに充電し、走行中は補機バッテリー系統に給電します。

このシステムにより、1年間でEV走行1,200km分に相当する電力を生成することができます。また、充電スタンドがない駐車場や災害等で停電した場合でも、太陽光さえあれば充電ができます。

レクサス NX450h+

【レクサス NX450h+version L】

レクサス NX450h+は、スタイリッシュなデザインと高品質な内装が特徴です。14インチのタッチスクリーンディスプレイや、17スピーカーのマークレビンソン製オーディオシステムなど、充実した装備が魅力です。

また、NX450h+は最新のテクノロジーも備えています。先進的な安全機能やドライバーアシストシステムにより、安全なドライブをサポートします。さらに、洗練された装備や内装、快適な乗り心地も大きな魅力です。

都会での走行からアウトドアアクティビティまで幅広いシーンで活躍します。長距離ドライブや日常の通勤など、どのようなシーンにも最適です。

三菱 アウトランダー PHEV

【三菱 アウトランダー PHEV】

アウトランダー PHEVは、四輪駆動システムを搭載しており、悪路や雪道などの悪条件でも安定した走行ができます。また、電気モーターのトルクを活かした低速走行も得意としています。

アウトランダー PHEVは、先進の安全運転支援システム「MI-PILOT」を搭載しています。MI-PILOTは、高速道路の同一車線走行や渋滞追従走行をサポートするシステムで、ドライバーの負担を軽減します。

また、

  • 自動ブレーキ
  • レーンキープアシスト
  • アダプティブクルーズコントロール

などの機能を備えており、安全運転をサポートします。

マツダ CX-60 PHEV

【マツダ CX-60 PHEV】

マツダCX-60 PHEVは、後輪駆動ベースのi-ACTIV AWD※に加えて、大容量バッテリーを車体下部に搭載しています。重心を低くすることで走りが安定し、加減速時や爽快なコーナリングといったシーンでも「走る歓び」を体感できます。

また、マツダ独自のスカイアクティブ技術※により、軽量化と剛性の向上を実現し、快適な乗り心地を提供します。また、静粛性も高く、上質なドライビング体験を提供します。

i-ACTIV AWD

後輪駆動を基本とし、必要に応じて前輪にトルクを配分することで、優れた走行性能と燃費性能を両立するシステム。

スカイアクティブ技術

エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシー、サスペンションなど、自動車の各部を総合的に最適化することで、燃費や走行性能を向上させる技術。

PHVのラインナップは、どれも魅力的な車種ばかりですね!次の章では、PHVの今後の動向について考察します。*7)

PHVの今後の動向

PHVは、今後もますます普及していくことが予想されています。その理由は、たくさんありますが、代表的なものを見ていきましょう。

政府による補助金が充実

PHVは、政府による補助金が充実しており、PHVの購入を検討している人にとって大きなメリットとなっています。補助金の額は、車種や価格によって異なりますが、最大で55万円の補助金が受けられます。

【次世代自動車の新車販売実績と政府の普及目標】

充電インフラの整備推進

政府は、PHVの普及を促進するために、充電インフラの整備を進めています。この事業では、電動車の普及状況を踏まえながら、2030年までに15万基の公共充電スポットの整備を目指しています。

今後も、充電インフラの整備が進んでいくことで、PHVの利便性が向上し、より多くの人がPHVを利用できるようになるでしょう。

環境規制の厳格化による需要の増加

世界各国で環境規制が厳しくなる中、低燃費・低排出ガスの車種への需要が高まっています。PHVは、電気自動車(EV)のように電気モーターで走行することができ、ガソリンエンジンも搭載しているため、長距離ドライブでも安心して使用できるという大きなメリットがあります。

そのため、今後も日本のみならず世界で需要が増加すると予想されます。

【自動車の電動化 長期ゴール(2050年まで)】

もはやHVはエコとは言えない?

今後、HV(ハイブリッド車)は、エコカー減税の対象から外れる可能性があります。しかし、PHVはEVと同様にエコカー減税の対象となる可能性が高いとされています。

【関連記事】日本でガソリン車が廃止になるって本当?対象車種や新車販売終了の理由、世界の動向も

バッテリー技術の進化による性能向上

PHVやEVに必須の自動車用のバッテリー技術は、急速に進化しています。今後もよりコンパクトで高性能なバッテリーが開発され、PHVの性能が向上することが予想されます。

自動運転技術の進化による需要の増加

自動運転技術の進化により、PHVの需要が増加すると予想されます。自動運転車には、多くのセンサーやコンピューターが必要で、電力消費が多くなるため、PHVのような電気モーターを搭載した車種が適しているとされています。

このように、PHVは今後も需要が高まると予想されます。HVは、環境規制の厳格化により、エコカーとしての認知度が低下しているため、PHVを考える人が増える可能性があります。

次の章ではPHVへのよくある疑問にお答えします。*8)

PHVに関してよくある疑問

PHVは、まだまだ歴史が新しく、知識が浸透していないかもしれません。ここでは、今後さらに注目を集めることが予想されるPHVの、よくある疑問について解説します。

燃費はいいの?

PHVは、ガソリン車やHVに比べて燃費が非常に良いと言えます。電気モーターでの走行が可能で、電気だけで走行することもできます。

そのため、通勤や短距離移動などでの利用では、燃費が非常に良くなります。また、エンジンも搭載されているため、長距離移動でも快適にこなせます。

プリウスとプリウスPHV、どちらがおすすめ?

プリウスとプリウスPHVの両車種にはそれぞれメリットがありますが、今後の自動車事情を考えると、環境に配慮した車両であるPHVの需要が増えていくと予想されます。環境規制の厳格化充電インフラの整備など、PHVの普及を後押しする要素が増えています。

したがって、今後の自動車事情を踏まえると、プリウスPHVの方がおすすめと言えます。

PHVを購入して後悔したという声も聞くのはなぜ?

PHVを購入して後悔する理由としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 充電設備が整っていない場合は、充電に時間がかかるため、利便性に欠ける場合がある。
  • 充電ができない場合は、ガソリンエンジンを使用する必要があるため、燃費性能が低下する。
  • 購入価格が高く、メンテナンス費用も高くなる場合がある。
  • 電気自動車(EV)に比べて航続距離が短いため、長距離移動の際にはガソリンエンジンを使用する必要がある。

これらの理由から、PHVを購入する際には、以下の点に注意することをおすすめします。

  • 充電設備が整っているかどうかを事前に確認すること。
  • 充電できない場合の対処法を考えておくこと。
  • 購入価格やメンテナンス費用を含めた総費用を検討すること。
  • 長距離移動が多い場合は、EVよりも航続距離が長いPHVを選ぶこと。

以上の点を考慮し、自分に合ったPHVを選ぶことで、購入して後悔することを避けることができます。

補助金はある?

はい、PHVには補助金があります。日本国内では、政府や地方自治体が実施する補助金制度があり、PHVの購入に対して補助金が支給される場合があります。具体的には、エコカー減税EV普及促進費補助金などがあります。

ただし、補助金の額や条件は自治体によって異なるため、詳細な情報は自治体のホームページなどで確認することをおすすめします。また、補助金制度は予算が限られているため、申請期間や予算枠が埋まってしまった場合には、支給されない場合もあります。

次の章では、PHVとSDGsの関係について考えてみましょう。

PHVとSDGsの関係

PHVの普及と利用は、環境保護や持続可能な開発目標の達成に向けた1つの手段となっています。これに関連するSDGs目標をいくつか挙げます。

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」

PHVは、電気自動車(EV)と同様に、再生可能エネルギーを利用して走行できます。再生可能エネルギーは、化石燃料に比べて二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、気候変動の原因となる温室効果ガスの削減につながります。

また、PHVは、EVよりも航続距離が長く、充電スポットが少ない場合でもガソリンで走れるため、電気自動車への移行を促進する役割を果たします。

SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」

PHVは、先進的な技術を用いて開発された車です。PHVは、ガソリンエンジンと電動モーターの制御や充電システムなどに高度な技術が必要です。このことから、PHVの普及は自動車産業や関連産業の技術革新や競争力向上に寄与します。

PHVは、EVと同じ規格の充電設備を使用できるため、EVインフラの整備や普及にも貢献します。EVインフラは、電力供給や通信システムなどにも関わるため、産業や社会全体の基盤を強化することができます。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」

PHVは、都市部や地方部で共通して利用できる車です。PHVは、都市部では電気自動車として空気汚染や騒音を減らし、地方部ではガソリンエンジンとして移動手段を確保できます。PHVは、人々の暮らしや交通に応じて柔軟に切り替えられるため、住みやすく持続可能なまちづくりに貢献します。

また、PHVは、V2H(Vehicle to Home)※というシステムを利用して、家庭用蓄電池としても活用できます。V2Hは、太陽光発電などの再生可能エネルギーをPHVに蓄電し、必要に応じて家庭に供給することもできます。V2Hは、エネルギーの自給自足や非常時の備えに役立ちます。

V2H(Vehicle to Home)

EVやPHVなどの電気自動車から、家庭用に電力を供給するための変電システム。これにより、停電時や災害時には車両のバッテリーを利用して家庭用電力を確保することができる。

【V2Hとは】

SDGsの目標は、それぞれ単独で達成を目指すものではなく、全ての目標が直接的、または間接的に影響しあって達成に向け進んでいくものです。上に挙げたSDGs目標が直接的にPHVに関連するものと考えると、そこから

  • SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」
  • SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」
  • SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」

などにも、間接的につながっていきます。PHVの普及は将来の持続可能な社会への足がかりとも言えます。*9)

>>各目標について詳しくまとめた記事はこちらから

まとめ

PHVはHV(ハイブリッド車)と比べると、より環境に優しいと言えます。PHVは電気モーターの利用が多く、ガソリンエンジンの使用量をかなり減らすことができます。

また、FCV(燃料電池車)と比べても、PHVは充電インフラが整備されている地域であれば利用しやすい自動車です。PHVは高価ではありますが、燃費が良く、快適な走行と環境への配慮を両立させています。

PHVは、ガソリン車とEVの良いとこ取りをした自動車と言えます。環境に優しいとはいえ、インフラ整備、バッテリーに使われるレアメタル、リサイクルなどの問題もあり、一気に全ての自動車をEVにすることは困難ですから、持続可能な社会への移行期間のニーズに柔軟に答えることができるPHVは、今後ますます注目を集める車種となるでしょう。

PHVの購入を検討している方は、ぜひ一度試乗してみてはいかがでしょうか。燃費の良さや静かな走行、充電など、PHVならではの魅力をぜひ実際に体感してみてください!

〈参考・引用文献〉
*1)PHVとは
TOYOTA『新型「プリウス」(PHEV)を発売』(2023年3月)
経済産業省『クリーンエネルギー自動車導入促進補助金について』p.10(2022年6月)
資源エネルギー庁『「電気自動車(EV)」だけじゃない?「xEV」で自動車の新時代を考える』(2018年8月)
次世代自動車振興センター『クリーンエネルギー自動車とは?』
環境省『次世代自動車ハンドブック』
*2)PHVの特徴
TOYOTA『TOYOTA、プリウスならびにプリウスPHVの安全・安心機能を強化』(2020年7月)
熊本トヨペット『プリウスPHV 安全性能』
環境省『次世代モビリティ ガイドブック 2019ー2020』
環境展望台『電気自動車(EV)』(2016年3月)
*3)PHVの税金や補助金制度
経済産業省『自動車関連税制(自動車重量税、自動車税・軽自動車税(環境性能割、種別割))』
経済産業省『中小企業等のカーボンニュートラル支援策』(2023年4月)
ZEV規制とは?クレジットの計算や世界・日本の現状
環境省『Ⅳ 導入支援制度』
資源エネルギー庁『自動車の“脱炭素化”のいま(後編)~購入補助も増額!サポート拡充で電動車普及へ』(2022年11月)
資源エネルギー庁『第2節 自動車等の様々な分野において需要家が多様なエネルギー源を選択できる環境整備の促進』
次世代自動車振興センター『全国の補助事業 中央省庁等の補助制度・税制上の優遇措置制度』(2020年度)
国土交通省『自動車環境総合改善対策費補助金(地域交通のグリーン化に向けた次世代自動車の普及促進事業)』(2023年度)
経済産業省『令和4年度補正予算・令和5年度当初予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」、「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」』
経済産業省『地域未来投資促進法に基づく支援措置』(2023年7月)
*4)PHVのメリット
環境省『ゼロカーボン・ドライブとは?』ゼロエミッションとは?推進理由や日本の取組事例、私たちにできることも
次世代自動車振興センター『ガソリン車から乗り換えて変わること』
資源エネルギー庁『自動車 省エネレッスン』
*5)PHVのデメリット
参議院『自動車産業のカーボンニュートラル実現に向けた課題』(2019年9月)
*6)PHVとHV・EV・FCVとの違いを比較
電気自動車(EV車)とは?メリットとデメリット・充電の仕組み、今後日本で普及する?
FCV(燃料電池自動車)とは?特徴やデメリットと将来性を徹底解説
環境省『ゼロカーボン・ドライブとは?』
環境に優しい車の種類や特徴を紹介!今後の車づくりに求められるポイントも
資源エネルギー庁『自動車の“脱炭素化”のいま(前編)~日本の戦略は?電動車はどのくらい売れている?』(2022年10月)
*7)おすすめの国産PHV4選
TOYOTA『新型「プリウス」(PHEV)を発売』(2023年3月)
LEXUS『見積りシミュレーション NX450h+ version L』
TOYOTA『PHV 環境仕様』
三菱自動車工業株式会社『アウトランダー PHEV』
マツダ『MAZDA CX-60』
*8)PHVの今後の動向
資源エネルギー庁『電気自動車(EV)は次世代のエネルギー構造を変える?!』(2017年10月)
資源エネルギー庁『「xEV(電動車)」の世界展開を核とした2050年の長期ゴール~「自動車新時代戦略会議」中間整理発表』(2018年9月)
日本でガソリン車が廃止になるって本当?対象車種や新車販売終了の理由、世界の動向も
経済産業省『充電インフラの普及に向けた取組について』(2022年11月)
経済産業省『充電インフラ整備促進に関する検討会 事務局資料』(2023年6月)
経済産業省『令和3年度補正予算「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」・令和4年度予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」』
東京都『ゼロエミッション・ビークルの普及に向けて』
資源エネルギー庁『クルマの環境価値はどうやって高める?xEVの次の5年』(2018年9月)
*9)PHVとSDGs
経済産業省『SDGs』
環境省『ゼロカーボン・ドライブとは?』