#17の目標

【札幌市】令和5年度・SDGs経営表彰受賞の企業の取り組みを紹介!

近年、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが注目を集める中、SDGs(持続可能な開発目標)に積極的に取り組む企業が全国で増えています。

札幌市商工会議所では、地域特有の課題に向き合いながら創意工夫を凝らしたSDGs活動が評価され、企業が表彰される「SDGs経営表彰」を行なっています。

今回は、札幌市でSDGs経営表彰を受賞した企業を取り上げ、それぞれがどのような活動を通じて地域社会や環境に貢献しているのかをご紹介します。

札幌市のSDGs経営表彰とは

札幌sdgs

「SDGs経営表彰」は、札幌市商工会議所が持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指す優れた企業を表彰する制度です。

この表彰制度は、受賞企業の取り組みを模範事例として地域社会や経済界に発信し、SDGsの普及・促進を図るとともに、会員企業がSDGs達成に向けた活動を推進することを目的としています。

表彰は総合賞のほか、「ダイバーシティ」「経営マネジメント」「環境マネジメント」「気候変動アクション」の4つの部門賞と特別賞である「札幌SDGs2030ホープ賞」に分かれています。

令和5年度は総合賞に9社、各部門賞に計18社、特別賞に7社が選ばれ、合計34社の受賞が決定しました。

この表彰制度は、地域全体で持続可能な未来を目指す重要な一歩として注目されています。

受賞企業紹介【令和5年度・総合賞】

では早速、令和5年度の総合賞を受賞した企業の取り組みを紹介します。総合賞では、4つの部門に総合的に取り組む企業が表彰されています。

イオン北海道株式会社「イオン北海道がずっと大事にしてきたこと。SDGsはその延長線上にありました。」

札幌sdgs

イオン北海道株式会社は、商品開発から製造、販売まで行う総合小売業として、「脱炭素の推進」「プラスチック削減」「食品廃棄物削減」の3つを中期経営計画の重点取り組み項目と定めています。

そんな中、以下の分野での取り組みを通じて受賞となりました。

  • 脱炭素の推進
  • プラスチック削減の取り組み
  • 食品廃棄物削減の取り組み
  • 地域と連携した取り組み
  • 植樹活動
  • 防災への取り組み

具体的な取り組み内容

例えば、脱炭素の推進のための取り組みとして、店舗や事業所では、冷暖房の温度調整や消灯カードを活用した照明の節電など、全従業員が省エネ意識を持つ取り組みを行っています。

リニューアル時には省エネ型の冷凍・冷蔵ケースやLED照明を導入するほか、2021年には太陽光パネルを設置して再生可能エネルギーの利用を拡大しています。

食品廃棄物削減の取り組みとしては、食品の鮮度を保つため、水産部門には真空包装機、畜産部門にはガスフラッシュMAP包装機を導入しています。

また、未開封かつ賞味期限内の加工食品を店舗で集め、必要な団体に届ける「フードドライブ」活動も展開しています。

さらに、地域と連携した取り組みとして、地域活性化や市民サービス向上を目指し、「ご当地WAON」を活用した取り組みを進めています。「ほっかいどう遺産WAON」の寄付金を内浦湾沿岸の縄文文化遺跡群などに活用し、地域文化の保存にも寄与しています。

イオン北海道株式会社の基本情報

名称イオン北海道株式会社
代表者名代表取締役社長 青栁 英樹
住所〒003-8630 札幌市白石区本通21丁目南1番10号
電話番号011-865-4120
URLhttps://www.aeon-hokkaido.jp/corporation/

石屋製菓株式会社「しあわせをつくるお菓子」という企業理念のもと「100年先も、北海道に愛される会社へ」

札幌sdgs

石屋製菓株式会社は、北海道を代表する銘菓「白い恋人」を始めとした「しあわせをつくるお菓子」を作っている企業です。

計6個の分野での取り組みを行なっての受賞です。

  • 約束1「安心・安全」商品製造すべての工程で安心安全を推進します。
  • 約束2「コンプライアンス」法律や倫理を遵守するコンプライアンス体制を確立します。
  • 約束3「環境」環境負荷を軽減する取り組みで持続可能な製品づくりをします。
  • 約束4「スポーツ振興」スポーツを通じて子供たちに夢や希望を与えます。
  • 約束5「地域社会」北海道・地域社会に様々な形で貢献します。
  • 約束6「雇用労働環境」だれもが安心して働ける職場にします。

具体的な取り組み内容

石屋製菓は、北海道の地域密着型電力会社である株式会社エゾデンを通じ、株式会社エネットの再生可能エネルギー導入支援メニュー「EnneGreen」を活用しています。

2022年から北広島工場や宮の沢工場で再エネ由来の電力を使用し、2023年にはさらに北海道企業局の水力発電由来の電気を適用しました。

この取り組みにより、敷地内全体の年間7,300トンのCO2排出量が実質ゼロとなっています。

さらに、「白い恋人」の化粧箱や紙袋、出荷時のダンボール箱には、適正に管理された森林木材を使用したFSC®認証紙を採用。贈答品としての品質を保ちながら、環境負荷の軽減を実現しています。

なお、白い恋人パーク内で剪定された大量の枝葉は、札幌市円山動物園に寄付され、動物のエサとして役立てられています。

円山動物園で作られるゾウのフンを堆肥化したものを利用したユニークな取り組みとして、白い恋人パークのイベントで来園者にプレゼントし、資源循環の大切さを発信しています。

これらの活動を通じて、石屋製菓は地域環境の保護やエネルギーの持続可能な活用に取り組み、北海道に根ざした企業としての責任を果たしています。

石屋製菓株式会社の基本情報

名称石屋製菓株式会社
代表者名代表取締役社長 石水創
住所〒063-0052 札幌市西区宮の沢2条2丁目11-36
電話番号0120-375-562
URLhttps://www.ishiya.co.jp/

株式会社京王プラザホテル札幌「ともに”シリワール”を育む広場」 ~SDGsを推進する合言葉~」

札幌sdgs

京王プラザホテル札幌は、「シリワール」を共通言語として、SDGsを推進しています。

※シリワールとは、“土地” を意味するアイヌ語「シリ」、“土地の個性” を意味するフランス語「テロワール」を組み合わせた京王プラザホテル札幌オリジナルの造語

下記の取り組みを行なっての受賞となりました。

  • 北海道、札幌という地域、お客様に寄り添う取り組み
  • 地球規模の環境や愛すべき北海道の自然に寄り添う取り組み
  • 従業員に寄り添う取り組み

具体的な取り組み内容

特に話題になったのは、「 “北海道の小動物” プロジェクト」です。

このプロジェクトでは、北海道の可愛らしい小動物をテーマに「癒し」を提供する専属チームが活動しました。

人気の高い「雪の妖精」シマエナガをモチーフとしたコンセプトルームは、これまで約1,000名が利用する大好評のプランとなっています。さらに、シマエナガをテーマにしたケーキやランチコース、カクテル、エコバッグなど、多彩な商品開発を展開しています。

館内装飾では、廃材をアップサイクルしたシマエナガのオブジェや北海道の野草で作ったドライフラワーを用いることで、SDGsを意識した取り組みも進行中。

これらは地元メディアを中心に50以上のメディアで取り上げられ、SNSを通じても多くの反響を呼び、地域需要喚起に大きく貢献しています。

また、この活動を通じて、北海道の自然や文化への関心を高めることも目的としています。

さらに、地域の食材を生かし、北海道の食文化を楽しめる朝食ビュッフェも人気の取り組みです。

「北海道産食材の新しい楽しみ方」を提案するメニュー構成により、まるで旅をするかのような体験を提供。2022年度には喫食率がコロナ前の56.3%から66.9%に向上し、地域内経済の循環に貢献しました。

また、複数のランキングサイトで札幌市内ホテルTOP10入りを果たし、そのうち2サイトで1位を獲得するなど、高い評価を得ています。

株式会社京王プラザホテル札幌の基本情報

名称株式会社京王プラザホテル札幌
代表者名代表取締役社長 本田 敏人
住所〒060-0005 北海道札幌市中央区北5条西7丁目2番地1
電話番号011-271-0111
URLhttps://www.keioplaza-sapporo.co.jp/

受賞企業紹介【令和5年度・ダイバーシティ部門】

続いて、部門賞の紹介です。部門賞は計4つあり、まずはダイバーシティ部門の受賞企業の紹介です。

株式会社クロスティホールディングス「持続可能な社会の実現とグループの持続的な成長の両立にむけ各事業活動を通じてサステナブルな社会の実現を目指します」

クロスティホールディングス

株式会社クロスティホールディングスは、以下のグループ会社8社の強みを掛け合わせて、住生活の創造を追求する企業です。

  • 株式会社エコテック
  • アルティ株式会社
  • 株式会社水研工業
  • 株式会社エコライフシステム
  • 株式会社コネクト
  • 株式会社ブリッジ
  • 株式会社カイセイ
  • 株式会社アスペックコーポレーション

クロスティホールディングスグループでは、電気・空調・水道工事、住宅のアフターメンテナンスなど、人の暮らしに欠かせないライフラインに関わる仕事を手掛けています。

当グループのミッションは、顧客や取引先から求められる「なくてはならない存在」となること。グループ各社が連携し、各々が顧客のニーズに応えるための価値を高めています。

8つのグループ会社をまとめるホールディングスは、財務や戦略、ITなど多岐にわたる支援を行い、各社が自立しながらも協力し合える環境を整えています。

クロスティホールディングスグループは理想的な住生活の実現に向けて、常に進化し続けます。

下記分野において重点的に取り組みを行い、受賞となりました。

  • 労働環境改善
  • 女性活躍促進
  • 健康経営実践

具体的な取り組み内容

労働環境改善として、建設DXやIT活用による業務効率化と残業時間短縮を実施しています。女性活躍推進、健康経営の取り組みとしては、「札幌市ワーク・ライフ・バランスplus企業認定」を取得、産休・育休制度の利用促進、禁煙推奨・屋内禁煙などを行っています。

また、より働きやすい環境づくりを行い、2040年までに女性管理職比率を40%に引き上げ、エンゲージメントスコアを65点にすることを目標としています。

さらに、持続可能な社会を目指し、太陽光パネルの増設、PHEV車の導入など環境負荷低減に取り組んでいます。グループ全体で社会基盤の整備に貢献し、より良い未来を共に築いていくことを目指しています。

株式会社クロスティホールディングスの基本情報

名称株式会社クロスティホールディングス
代表者名代表取締役 林 秀樹
住所〒 007-0837  札幌市東区北三十七条東15丁目1-1
電話番号011-751-0133
URLhttps://www.crossty-hd.ne.jp

受賞企業紹介【令和5年度・経営マネジメント部門】

続いて、経営マネジメント部門の受賞企業の紹介です。

ラーメン札幌一粒庵「地産地消をコンセプトにエコな店舗運営を行っています」

グラシアス

札幌駅前にある、行列のできる人気ラーメン店・ラーメン札幌一粒庵を営むグラシアス有限会社が受賞となりました。

2004年、「元祖・ラーメン横丁」の一角で創業したラーメン札幌一粒庵は、2024年に20周年を迎える老舗ラーメン店です。

「北海道の良い食材を丁寧に料理してじっくり味わう」をテーマに、スローフードの精神を取り入れています。主原料である小麦には特に強いこだわりがあり、北海道産小麦を100%使用した自家製麺を提供しています。

また、道産の4種のチャーシュー、無化調スープのヘルシーメニュー、日高産ホエー豚や天然行者ニンニク、国産野菜と北海道産小麦で作る手作り餃子など、地産地消をコンセプトにした高品質な料理が人気です。地元の恵みを存分に味わえる一杯です。

SDGsの目標のうち、下記3つに取り組んでいます。

  • 8.働きがいも経済成長も
  • 12.つくる責任・つかう責任
  • 15.陸の豊かさも守ろう

具体的な取り組み内容

グラシアス有限会社では、環境保全と地域社会への貢献を重視しています。

イートイン店舗では、日本の森林を守る間伐材や国産材を使用し、障害者の仕事づくりや食堂の排水削減を目指した「樹恩割り箸」を提供しています。

この割り箸は全国5ヵ所の知的障害者施設で製造されています。

また、「ラーメン札幌一粒庵」の箸袋は、札幌市立みなみの杜高等支援学校の生徒が企画・デザイン・制作したものを採用しています。

さらに、オンラインショップではエコ包装を選べる設定を設け、環境負荷の軽減にも取り組んでいます。

グラシアス有限会社の基本情報

名称グラシアス有限会社
代表者名取締役 大島 陽
住所〒060-0004 札幌市中央区北4条西1丁目1番ホクレンビル地下1階
電話番号011-219-3199
URLhttps://ichiryuan.com/

会員企業様の取り組み

今回は惜しくも受賞しなかったものの、SDGsに取り組んでいる企業は他にもいらっしゃいます。札幌商工会議所に登録している他の企業の取り組み内容も見てみましょう。

特定非営利活動法人札幌チャレンジド

札幌チャレンジド

特定非営利活動法人札幌チャレンジドは障がいのある方々(チャレンジド)の自立をサポートするため、パソコン講習や就労・就職支援を行うキャリアデザインセンターとして活動しています。

子どもから大人まで、障がいの種類や特性に関わらず、一人ひとりの状況に寄り添いながら支援する団体です。

具体的な取り組み内容

就労継続支援A型では、在宅就労(テレワーク)を推進し、データ入力や動画監視、Webアクセシビリティチェックなどの業務を企業から受託しており、一人ひとりに合った働き方を実現しています。

また、就労移行支援では、視覚障がい者向けの専門的な就職支援も行うなど、職場へのスムーズな移行をサポートします。パソコンやコミュニケーションのスキル習得を通じて高い就職率を実現しています。

さらに、放課後等デイサービスでは、ほぼマンツーマンの個別学習を提供し、パソコン学習を通じて子どもたちの自信を育むとともに、療育の質を高めています。

就労定着支援では、職場で長く働き続けられるよう、定期的な相談支援を実施。身体、精神、発達、軽度知的障がい、難病など、さまざまな特性に配慮した環境を整えています。

札幌市障がい者ICTサポートセンター事業や北海道との官民連携事業、北海道庁との連携も進めています。また、企業との協力体制のもとで安定した業務受託を行っています。

これらの取り組みにより、札幌チャレンジドは利用者一人ひとりの可能性を広げ、「ITでマザル、ハタラク、拓き合う。」社会を目指しています。

特定非営利活動法人札幌チャレンジドの基本情報

名称特定非営利活動法人札幌チャレンジド
代表者名理事長 加納 尚明
住所〒060-0807 札幌市北区北7条西6丁目1 北苑ビル2階
電話番号011-769-0843
URLhttps://s-challenged.jp/

まとめ

今回は、札幌商工会議所によるSDGs経営表彰の企業の一例を紹介しました。

それぞれの企業が、脱炭素や廃棄物削減、地域連携など、多様な取り組みを通じて持続可能な社会の実現に向けて貢献していることがわかりました。

これらの活動は、地域社会への直接的な貢献だけでなく、未来を見据えた企業の姿勢を示すものでもあります。

札幌市内で進むこれらの取り組みが、新たなビジネスモデルやSDGsの普及につながると同時に、持続可能な未来への道標となることでしょう!