バラエティー豊富な化粧品やスキンケア製品が集まるコスメショップ。
日本でもさまざまなショップがありますが、化粧品業界がもたらす環境問題について考えたことはありますか?
この記事では、オーストラリアで環境保全に取り組むコスメショップ・Meccaのエコ活動について詳しくご紹介していきます。
Meccaの基本情報
オーストラリアのビクトリア州に本社を構えるMecca(メッカ)は、1997年にオープンしたコスメショップです。
当時わずか29歳だったジョー・ホーガン氏が自宅を売却した資金で店舗を立ち上げ、NARSやヴィンセント・ロンゴをはじめとするオーストラリアの実店舗で販売されていないブランドを扱うコスメショップとして地位を確立しました。
2024年時点ではヨーロッパ発祥の高級ブランド、アメリカのプチプラブランド、自社ブランドのMecca Maxといった幅広い製品を取り扱っており、オーストラリアだけでなくニュージーランド、イギリス、中国にも店舗を展開しています。
化粧品業界が環境に与える影響
私たちにとって身近な化粧品は、環境への負荷が大きいことでも知られています。
有害物質による環境汚染、天然資源の枯渇、マイクロプラスチックの発生といった多方面における問題が指摘されていますが、特に深刻なのが包装やパッケージの廃棄量です。
美容製品の包装やパッケージは適切にリサイクルされるケースが少なく、毎年1200億個も廃棄されています。
サスティナブルな地球をつくっていくためにも、美容製品の廃棄物を正しく処理することが求められています。
Meccaが取り組むエコ活動の事例
ここでは、Meccaがどのように環境問題の解決に取り組んでいるのかをチェックしていきましょう。
包装に関するリサイクル
化粧品業界が環境に与える影響として、最も懸念されているのが包装による廃棄物の増加です。
Meccaはオーストラリア包装協約機構(APCO)に参加し、リサイクル対応型の包装の設計に力を入れてきました。
2024年時点で全ての包装が100%リサイクルOKとなっており、顧客が自宅で再利用した後にリサイクルできる仕様にしています。
また、オンラインショップにおいては67%がリサイクル素材の包装を選ぶことも可能です。
もちろんオンラインショップの包装も全てリサイクルに対応しているため、包装による環境破壊を未然に防げます。
M-PACTFULブランドの導入
環境に優しい化粧品を販売すべく、MeccaではM-PACTFULブランドと呼ばれるエコフレンドリーな製品を販売しています。
M-PACTFULはMeccaとImpactful(影響力が強い)を掛け合わせた造語で、持続可能性が高い消費財ブランドを認証するプログラムのことです。
MeccaはM-PACTFULブランドを認証するにあたって、製品やブランドの環境レベルを検証する世界的プラットフォーム・Provenanceと提携しています。
Provenanceは専門知識を基に製品やブランドの持続可能性をチェックし、一定のレベルを超えている場合のみ認証しています。
M-PACTFULブランドを受けている製品は全て環境への優しさに配慮されているという証明になることから、エコ意識の強い顧客の製品選びに役立つシステムです。
尚、購入したい製品がM-PACTFULブランドかどうかを見分けたいときは、Meccaの公式ホームページから該当製品を閲覧します。
M-PACTFULブランドに含まれる場合は製品の詳細の下にマークや検証に関する詳細が記載されており、持続可能性について納得した上で製品を購入できます。
TerraCycleプログラム
オーストラリア発祥のMeccaでは、お隣の国・ニュージーランドで生まれたオーガニックスキンケアブランドのEmma Lewishamの製品も取り扱っています。
オーストラリア内に実店舗で販売する店舗がほとんどないことから、Emma LewishamはMeccaの人気商品のひとつとなっています。
そこでMeccaはEmma Lewishamと提携し、使用済みのスキンケア容器を回収するリサイクルプログラムをはじめました。
TerraCycleプログラムと呼ばれており、Meccaの店舗内に回収ボックスを設置することで誰でも手軽にEmma Lewishamの容器をリサイクルできます。
回収された容器は専門業者にて殺菌され、Emma Lewishamの製品を詰め替えて再度販売されます。
また、詰め替えが難しい容器に関しては、提携している業者に引き渡して部品をリサイクルする仕組みです。
劣化が激しい容器も同様に分解してリサイクルされるため、廃棄物の無駄を最小限に抑えられます。
尚、MeccaではEmma Lewishamの空容器の最小持ち込み数を4つとしています。
まとまった数を回収することでより効率的にリサイクルできるため、結果として二酸化炭素の排出量削減に繋がっているのです。
Beauty Circleプログラム
MeccaはEmma Lewishamだけでなく、その他の製品の容器も回収しています。
各店舗にてTerraCycleプログラムとは別に回収ボックスが設置され、顧客が買い物のついでに手軽にリサイクルできるシステムを構築しています。
尚、Beauty CircleプログラムではMeccaで取り扱っていない製品の回収も受け入れており、回収された容器は新たなパッケージとして生まれ変わる仕組みです。
サンプルに関するリサイクル
化粧品やスキンケアの販売において、欠かせないのがサンプルです。
「買ってみたけど合わなかった」「肌荒れを起こすから使えない」といった理由で廃棄されるのを防ぐためにも、Meccaでは多くのコスメショップ同様にさまざまなミニサンプルを提供しています。
包装のリサイクルにこだわっているMeccaは、サンプルのパッケージへの配慮も忘れていません。
地元メーカーと提携して100%リサイクル素材のサンプル用パッケージを製造しており、2024年から全店舗にて導入されています。
ユニフォームのリサイクル
Meccaの店舗スタッフのユニフォームは、シンプルなTシャツとエプロンです。
消耗品である衣類は数年着用した段階で廃棄の対象となりますが、Meccaでは衣類のリサイクルに特化する企業・Blocktexx Australiaと提携することで廃棄物削減に貢献しています。
Blocktexx Australiaに送られた衣類は、ポリエステルと天然繊維を分離させることで新しい生地として生まれ変わります。
分離プロセスによって全ての繊維を無駄なく再利用できるため、衣類の100%リサイクルに成功しているのが特徴です。
電子廃棄物のリサイクル
Meccaでは、店舗や工場で発生する電子廃棄物のリサイクルにも力を入れています。
故障やシステムのアップデートによって廃棄する予定のコンピューター、キーボード、プリンター、電話などをIT企業のBlue Connectionsに送り、まだ使えるものに関してはBlue Connectionsにて再販及び再利用します。
再販価値のないものはBlue Connectionsの認定電子廃棄物リサイクルパートナーに引き取られ、分解することで細かい部品までリサイクルできるのがメリットです。
専門業者の下で適切にリサイクルされることから、各製品に含まれる有毒化学物質による環境汚染リスクも大幅に削減できます。
二酸化炭素の排出量削減
Meccaでは、自社だけでなくサプライチェーン全体において二酸化炭素の排出量削減を目指しています。
そのために、以下のような取り組みを行うことで二酸化炭素の排出量を抑えています。
・輸送および配送ネットワークの向上
・冷暖房システムの改善
・各店舗へのLED照明の導入
・配送センターにおける100%再生可能エネルギーの導入
Meccaではさらなる環境保全のために、今後もエコな企業づくりへの道を模索しています。
まとめ
化粧品業界は、廃棄物をはじめとするさまざまな環境問題を抱えています。
しかし、化粧品やスキンケア製品を完全に世界から排除することは難しいため、Meccaでは環境保全に取り組むことでエコな未来づくりに力を入れています。
私たちも、化粧品やスキンケアを購入する際は環境に優しい製品を選ぶことが大切です。
できることから少しずつ始めていき、サスティナブルな地球を目指していきましょう。