SDGs目標1「貧困をなくそう」達成に向けた取り組み7選

貧困といえば、途上国での問題というイメージが強いかもしれません。しかし、日本でも貧しい生活に苦しんでいる人が多くいます。

SDGs目標1「貧困をなくそう」では世界中の貧困をなくすことが掲げられています。

この記事では、SDGs目標1「貧困をなくそう」の解決に向け、現在行われている企業の取り組みをまとめました。

貧困について理解を深め、既に行われている取り組みを知ることで、今日からの行動に何か変化が起きるかもしれません。

ではまずは目標1がどのような目標なのかを確認しましょう!

SDGs目標1「貧困をなくそう」ってどんな目標

目標1「貧困をなくそう」は、世界中で貧しい生活を送っている人たちが、人間らしい生活を送れるよう、抱えている課題をみんなで解決していこう、といった内容です。

そして目標1には7個のターゲットが設定されています。

ターゲットとは

掲げられた目標に対する課題や、それを達成するための手段が記されたもの。

【1.1】【1.a】のように【目標番号 . 数字もしくはアルファベット】で表記されている。

・右側が数字の場合→目標に対する課題

・右側がアルファベットの場合→目標を達成するための手段や措置

となっている。

では一通り確認してみましょう。

2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

2030年までに各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。

各国において最低限の基準を含む適切な社会保障制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。

2030年までに、貧困層および脆弱層をはじめ、全ての男性および女性が基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。

2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靭性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の、経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。

あらゆる次元での貧困撲滅のための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、様々な供給源からの多大な資源の動員を確保する。

各国、地域、および国際レベルで貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを設置し、貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援する。

難しいことばが並んでいるので理解しにくいですよね。

SDGsの目標1をしっかり把握するために、もう少し噛み砕いて見ていきましょう。

世界には貧困で苦しんでいる人がたくさんいる

街を歩いていると支援団体が駅で募金の声掛けを行っていたり、テレビでユニセフのCMが流れていたりするのを見かける機会があると思います。そのため、頭の片隅に「世界には貧しくて困っている人がいる」という認識は多くの人は持っているはず。

とはいえ、どのくらいの人たちが貧困に苦しんでいるかは想像しにくいですよね。

2013年時点で、世界人口71億人6200万人のうち、約7億6000万人が貧しい生活を強いられています。1990年時点では貧困者数が約18億人であったため減少はしているものの、2020年の新型コロナウィルスの影響によって貧困者の数は再び増加すると言われています。

また、貧困は途上国だけの問題ではありません。先進国でも各国が定めた生活水準を下回る世帯が多く存在します。思っている以上に、私たちにとって貧困は身近な問題なのです。

次からは重要なキーワードをいくつかピックアップして、さらに踏み込んで世界と日本の現状について見ていきます。

キーワードと世界・日本の現状を知ろう

目標1の中でもとりわけ重要なキーワードは、

  • 1日1.25ドルの生活
  • 絶対的貧困
  • 相対的貧困

の3つです。この3つの内容がわかると、貧困の現状が見えてくるでしょう。

1つずつ見ていきます。

1日1.25ドルの生活

目標1のターゲット1.1のでは貧困の定義として具体的に「1日1.25ドル未満で生活する人々」と書かれています。

1.25ドルは日本円に換算すると約139円前後(2021年7月時点)。私たちの身近なものだと、コンビニのおにぎり1個分に相当する金額です。

「コンビニのおにぎり1つでは生きていけない……!」と思うかもしれませんが、実際に1.25ドル未満で生活している人々は世界に約7億人いると言われています。

世界の現状

約7億人の貧困層が特に多い地域は、

  • インドやバングラデシュなどの南アジア
  • サハラ砂漠より南のタンザニアやナイジェリアなどのアフリカ

です。

この地域では、

  • 安全で清潔な水が飲めない
  • 病気になっても医療を受けられない
  • 学びたくても学校がない、お金がないなどの理由で学べない
  • 低賃金で働かされる

といった問題が発生しています。さらには、気候変動の影響も深刻です。

地球温暖化が原因と考えられている気候変動により、近年、異常気象が頻繁に発生。

南アジアやアフリカでは異常気象による干ばつが発生しており、貧困が加速しています。

貧困地域のほとんどは農民であるため、長期間雨が降らないことで農作物が育たなければ収入を得られません。

今後1.25ドル未満の生活から脱却するためには、金銭や施設、食料の支援以外にも、気候変動による影響を受けにくいインフラ整備、農業手法の確立を目指さなければならないでしょう。

ここまで読んでもどうしても日本ではあまり見られない問題であるため、関係なさそうに見えます。

そこでポイントとなるのが「絶対的貧困」「相対的貧困」です。

それでは、この2つの貧困について解説していきます。

絶対的貧困と相対的貧困

まずは「絶対的貧困」と「相対的貧困」の定義を確認します。

「絶対的貧困」とは

人間の生活の基本である衣・食・住が保証されていない状態。住む家や着る服がなかったり、日によって食事ができなかったりする生活を指します。

これは主に途上国で見られる貧困の形です。

相対的貧困とは

住んでいる国の生活水準に比べて、経済的に生活するのが難しい状態。

例えば、金銭的理由で進学を諦めたり、大学に進学できたとしても、学費を払うために生活のほとんどをアルバイトに費やすといったことも相対的貧困に当てはまります。

先進国では相対的貧困が年々増加。私たち日本においても他人事ではありません。

では実際に日本の貧困はどのような状況にあるのでしょうか。

日本の現状

世界から見ても、相対的貧困が増加している日本。特にこどもの貧困が増加しています。

厚生労働省より発表された「2019年の国民生活基礎調査」では、子どもの約7人に1人が貧困に値すると発表しました。

以下は日本財団がまとめた子どもの貧困率の推移です。

子どもの相対的貧困率の推移

引用元:日本財団「日本の子どもの7人に1人が経済的なハンデを背負っている。いま「第三の居場所」が、なぜ必要なのか?」

図からは1985年に比べて増加していることがわかります。

貧困の理由として、

  • 育てる親の収入が低い
  • ひとり親の家庭で育っている

ことが挙げられます。

厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課が発表した「ひとり親家庭の現状と支援施策について~その1~」によれば、ひとり親の平均総所得は年間306万円と言われています。両親共働きで子どもを育てるのと比べると負担はかなり大きいですよね。

平均総所得が低い理由として、ひとり親は女性の割合が多いことや正社員になりにくく、非正規で安定した収入を得られないことなどが挙げられます。

またコロナが蔓延したことで働ける環境がなくなり、収入が減ってしまう家庭も少なくありません。

加えて、周りの人に親の収入が低いことを相談できず、飢餓や進学などを我慢してしまうこともあるのです。

このように、貧困には2種類ありますが、どちらも解決しなければ「貧困をなくそう」の達成は困難です。

そこで貧困を撲滅するために、支援団体や企業がさまざまな取り組みを行っています。次では、実際に取り組みを進めている支援団体や企業を見ていきましょう。

貧困をなくすための取り組み

まずは、支援団体から見ていきましょう。

【女性の人権を守りたい】プラン・インターナショナル

プラン・インターナショナルは、内閣府に認定された公益財団法人です。子どもや若者を中心に支援、特に女の子の権利を守るためのサポートを行っています。

いまだに途上国の社会では女性の立場が低い状況にあり、約3人に1人の女の子が18歳未満で結婚を強いられたり、家事を任されて学校に通えません。

  • 「女の子だから、学校に行かせない」
  • 「女の子だから、家事をする」

そんな世界を変えるためにも、プラン・インターナショナルでは「ガールズプロジェクト」といった支援を行っています。

たとえば、リベリアでは戦争を機に教育環境や仕事をする場が激減しました。リベリアのシングルマザーの多くは、子どもたちを学校に通わせるために、望まない性産業で稼いでいます。

そこで、プランインターナショナルで行っているガールズ・パワー・プロジェクトでは、性産業以外で働けるように石鹸づくり、美容などといった職業訓練を支援しています。

【ひとり親でも豊かな食事を!】認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン グッドごはん

認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが取り組んでいる「グッドごはん」は、ひとり親家庭を対象とした事業です。

総務省統計局の家計調査によると、家計の出費で最も多いのが食費です。

相対的貧困に陥っている家庭は、この食費が確保できずに、


  • 仕事をさらに増やす
  • 子ども
    お腹が空いても我慢

といった状況になってしまいます。

そこでグッドごはんではひとり親世帯を対象に食品の配布を行なっています。

私たちはこの活動を寄付により支援することができます。金額は1,000円から受け付けていて、たとえば3,000円の寄付をすると、ひとり親1世帯分(18,000円相当)を渡すことができます。

また「自分で渡す食品を決めたい」という人には、お金ではなくフードドライブといったお米やお菓子などの食品を寄付する方法も選択可能です。

【経済的に塾に通えない子供に学習のサポートを】NPO法人キッズドア

経済的に貧しい子どもたちは進路にも悩みます。NPO法人キッズドアは、経済的に進学が難しかったり、塾に通えない子どもたちのために学習支援を行っています。

行きたい学校があっても受験費用や学費のことを考えると、親に相談できないまま諦めてしまう子どもたちもたくさんいるのです。

キッズドアでは

  • 医学部や看護学部を目指す受験生を無料サポート
  • 学費完全無料のエンジニア養成機関のセミナー

などを開催しています。

学習支援のほかにも家や学校以外の居場所を提供したり、

  • 企業のオフィスツアー
  • マナー講座

など、子どもたちにキャリア体験をさせる活動も積極的に行っています。

それでは次に、企業の取り組み4社を紹介します。

【フェアトレード認証商品を販売】エスビー食品株式会社

カレーやスパイスで有名なエスビー食品株式会社。販売している主な香辛料(こしょう・唐辛子・マスタードなど)の調達を持続可能な方法で調達することを目指しています。

エスビー食品会社は2003年に輸入者・販売業者として国際フェアトレード認証を取得。2009年より、フェアトレード認証商品として「有機スパイス」を販売しています。

フェアトレードとは

公平な貿易。これまで生産者にはわずかな対価しか支払われていませんでした。これを是正し、生産者が人間らしい生活が送れるように、正当な対価を支払う貿易の仕組みのことを指します。

これにより、途上国の生産者の生活が守られます。

また原料の購入数によって生産者組合に奨学金を支払い、途上国の子どもたちの教材や共同の水タンクなどに使われています。

【フェアトレードをさらに詳しく】

フェアトレードとは?背景や明日から消費に活かすポイントも

【大きな出費が抑えられる】学生服リユースShopさくらや

写真はイメージです

学生服のお悩みゼロを目指して」という目標を掲げている学生服リユースShopさくらや。子どもたちが中高校生に進級したときに必要な学生服は思った以上に高額ですよね。

子どもたちの年齢が近い場合、2人分の制服を購入しなければならないこともあり、負担はかなりのものになります。

そこで学生服リユースShopさくらやは、卒業して使わなくなった制服を買い取り、これから入学予定、通っている子どもたちにお手頃価格で販売しています。

また店舗によっては「おしゃべり会」を開催。子どもたちや学校の悩みを話せる機会を設けて地域活性化にも貢献しています。

ほかにも、

  • 買取した制服は就労支援施設の障がい者が洗濯を担当
  • 体操服の刺繍取りは地元の高齢者に依頼

など、持続可能な社会の実現を目指しています。

【家の要らないもので1人の命が救えるかもしれない】古着deワクチン

片付けしている際に「要らなくなった洋服をどうにかしたい。でも捨てるのはもったいない」といったシチュエーションに遭遇することありますよね。古着でワクチンでは、要らない洋服を送るだけで途上国の雇用につながったり、世界の子どもにワクチンを寄付できる仕組みをつくりだしています。

  • 雇用面
    途上国に送られてきた洋服が売れるものなのかどうかの選別や、選別した洋服の販売などといった雇用を生み出しています。
  • ワクチン
    古着deワクチンが販売している専用キットに要らない服を詰めて送ると、5人分のワクチンを寄付が可能です。

さらにはその仕組みは世界だけでなく、日本の福祉作業所の障がい者雇用にも。主に福祉作業所では古着を回収する専用キットの製造や封入、発送の仕事を依頼しています。

【生理用品の出費が減らせる】生理用吸水ショーツ Nagi

株式会社BLASTでは「Nagi」という生理用吸水ショーツを販売しています。

毎月訪れる生理。経血の量によってはナプキンやタンポンをセットで買っている人も多く、大きな経済的負担にもなります。

最近では、生理用品を買うのが難しい学生が増えています。NHKによれば、学生の5人に1人は経済的困難で生理用品を購入するのが難しいというデータも出ています。

その理由としては、コロナ禍でアルバイトに出勤できずに収入が減ってしまったためで、ナプキンが買えず、トイレットペーパーで代用している人も。

このような課題があるなか、「Nagi」の吸水ショーツは普通のショーツと同じように履くだけで約1年使用可能です。また、ショーツ1枚でナプキン6枚分の吸水量。節約になりますし、ナプキンやタンポンのゴミ削減にもなります。また、22歳以下には500円割引を実施しており、経済的に生理用品を買うのがなかなか難しい子どもや学生に優しい取り組みです。

私たちにできること

ここまで支援団体や企業の取り組みを見てきましたが、貧困をなくすための取り組みは、私たちにもできることがあります。

ここでは個人的にできる3つの方法を紹介します。

募金

私たちにできること1つ目は「募金」です。募金はすぐにでも行動を起こせる「できること」のひとつです。

とはいえ募金先はしっかり調べてから決めたいですよね。そんなときに便利なのが先ほど紹介したプラン・インターナショナルです。こちらはプロジェクトごとに寄付が可能なため、自分の考えに合った募金先を選べます。

プロジェクト内容の例としては、

  • ベトナムの「早すぎる結婚の防止」
  • グアテマラの「先住民族の女の子の収入向上」プロジェクト

など。

募金する側としても、なぜ寄付する必要があるのかどこに寄付されるのか詳しく書いてあるので安心して募金できます。

他にも募金を受け付けている代表的な団体をピックアップしたので、ぜひチェックしてみてくださいね。

フェアトレード商品を購入

フェアトレード商品を購入するのも、目標1の達成につながります。私たちが何気なく「安いから」思って購入している洋服や食べ物。

これらの商品は、大量生産するために長時間・低賃金で働いている労働者がいるから、安価な商品の販売が実現しているのです。

フェアトレード認証ラベルが貼られた商品を購入することで、生産者には正当な対価が支払われます。バナナやチョコレート、コーヒーなどについているのでぜひ買い物の際に見てみてくださいね。

貧困の現状を知る

貧困の現状を知ることも大切な行動です。現状を知ることで、何か行動に起こそうと思う人も増えるでしょうし、誰かに貧困の状況を伝えねばとなるかもしれません。

そういった貧困の知識を持った人が増えることで、貧しい生活で困っている人が抱えている悩みを吐き出せたり、解決に導ける可能性も大いにあります。

まずは貧困の現状を知ることができるサイトをピックアップしたので、ぜひ確認してみてくださいね。

まとめ

SDGs目標1「貧困をなくそう」達成に向けた支援団体や企業の取り組みを紹介しました。

貧困は途上国のみならず、先進国でも増加しています。日本にも相対的貧困で苦しんでいる人々が多く存在していて、身近な問題です。貧困をなくすための企業の取り組みを知り、自分ができることがないか探してみてはいかがでしょうか。

参考文献
・世界銀行「世界の貧困に関するデータ」
・世界銀行「新型コロナウイルス感染症により2021年までに極度の貧困層が最大1億5,000万人増加」
・フェアトレードジャパン「なぜフェアトレード?」
・日本経済新聞「アフリカ南部 大干ばつが経済に深刻な打撃」
・朝日新聞デジタル「子どもの7人に1人が貧困状態 18年調査で高い水準に」

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)