#SDGsを知る

就活にはSDGsが必須?学生が企業に求めるSDGsやよくあるSDGs質問も紹介

近年、SDGsという言葉をよく聞くようになりました。

「SDGs」とは、「2030年までに持続可能でよりよい社会を目指すための開発目標」のことで、17のゴールと169のターゲットから構成されます。

実際に、学校の授業でもSDGsが取り上げられるようになったこともあり、若年層はSDGsへの意識が高まっています。

それでは、SDGsは就活にどれほど影響を与えているのでしょうか?今回は、「学生が企業に求めるSDGs」「企業側が学生に求めるSDGs」の2つの側面からデータを交えて紹介し、最後には就活時によくあるSDGsに関する質問についても触れていきます。

就活生のSDGs認知度はどれくらい?

たしかに、若年層はSDGsへの意識が高いと耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか?

まずは就活生が、SDGsにどれくらい取り組みたいと考えているのか?企業のSDGsをどれくらい意識しているのか?といった内容を調査データをもとに見ていきます。

就活生の7〜8割はSDGsを認知している

株式会社IDEATECHが、20〜24歳の2023年春に就職予定の就活生547名を対象に「23卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」に関する調査を行いました。

その結果、23卒就活生の73.1%が「SDGs」について認知しており、22卒と比較すると2.3%増加しています。

認知度が高い理由としては、学校教育でもSDGsが導入され始めていることや、SNSやニュース記事を通して情報が自然と入ってくるなどといったことが考えられます。そのため、「内容を詳しく説明できる」ほどではないものの、「ある程度知っている」人が一番多いことも納得できますね。

就活生が最も関心の高い目標は「ジェンダー平等を実現しよう」

SDGsを認知している就活生の中で、SDGs17の目標のうち関心の高いものは、「5. ジェンダー平等を実現しよう」が37.7%、「3. すべての人に健康と福祉を」が32.3%、「1. 貧困をなくそう」が32.1%でした。昨年度の調査でも就活生の間ではジェンダー平等に一番関心があったことから、今後も引き続き関心のあるトピックとなるでしょう。

就活で企業のSDGsを意識している?

このように、年々就活生の間で認知度が高まっているSDGsですが、実際に就活において「企業が取り組むSDGs」を意識することはあるのでしょうか?

株式会社i-plugが実施した、23卒の学生と企業を対象とする「SDGsへの理解度と就職/採用活動」に関する調査によると、「エントリーに進む企業を選択する際、SDGsに関連する取り組みを重視する」と答えた学生は43.6%でした。

他にも、株式会社IDEATECHの「23卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」に関する調査によると、就職先を選ぶ上で、「企業のSDGsに対する姿勢や取り組みを重視する」の項目は、前年度比から7.2%増加した24.5%でした。

現状では、就活時にSDGsを最も重視する就活生は多くはありません。とはいえ、SDGsへの認知度が年々高まっていることから、今後就活の軸としてSDGsを気にする学生が増えることは予測できます。

それだけでなく、SDGsと意識せずとも近い価値観で企業を選んでいることもあります。

例えば、就職先企業を選ぶ上で重視されている「職場の雰囲気の良さ」や「福利厚生の充実」は、

  • 男女ともに育休制度が使いやすい職場環境か
  • 出産や子育てに関する制度が充実しているか
  • 困った際に先輩に質問しやすく、自身のスキルを伸ばせる環境か

といったことも含まれていると考えられるため、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標8「働きがいも経済成長も」と関係しています。

このように、SDGsを軸に企業をみていなくても、SDGsに関連した視点から企業を選んでいる就活生はたくさんいるので、数値だけで判断してはいけないでしょう。

企業は就活生に対してSDGsを意識している?

ここまで、就活生のSDGsに対する姿勢をみてきましたが、企業側は就活生に対してSDGsをアピールしているのでしょうか?

株式会社i-plugが実施した、23卒の学生と企業を対象とする「SDGsへの理解度と就職/採用活動」に関する調査によると、採用活動においてSDGsに関連する取り組みを学生へアピールしている企業は約3割でした。

まだまだ多いとはいえませんが、

  • SDGsを意識している学生は年々増えている
  • 社会の潮流として企業としてもSDGsへの積極的な取り組みが求められている

といった現状があります。これを踏まえると、今後企業も自社のSDGsに関する取り組みをPRしつつ、就活生がどれだけ「SDGsに興味があるか」といったことも意識するようになると予想されます。

就活にSDGsの知識は必要?

ここまでSDGsの重要性はなんとなく分かってきたものの、本当に今の就活においてSDGsの知識は必要なのか?と疑問を抱く人もいると思います。しかし、就活においてSDGsの知識を持つことは企業分析に役立つのです。

株式会社ベイニッチは、東京・千葉・埼玉・神奈川在住で21〜24歳の、2022年春に就職予定の就活生550名を対象にした「22卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」調査を実施しました。

この調査では、Q1で就職先企業を選ぶときに「SDGsに対する姿勢や取り組み」を重視すると答えた人は、理由として「企業の社会的役割を重視したい」「将来性のある企業だと判断できる」「コロナ禍で持続可能なビジネスモデルの必要性を実感したから」といった回答が上位でした。

つまり、就活生はSDGsという視点から、企業の持続可能性を測っていることがわかります。現在、取り組まなくてはならない課題に対して真摯に取り組む企業に対しては、顧客の立場からも、就活生の立場からも安心できるため、将来働き続けられる職場であると判断できるのです。

企業が就活生に求めるSDGs知識|面接時によくある質問と回答例

最後に、実際に企業は就活生にどのようなSDGs知識を求めるのか?面接時によくある質問と回答例をご紹介します。

ポイントとして、SDGsの目標すべてを暗記する必要はありません。基本的な概要を抑えた上で、「志望企業」と「自分のやりたいこと」につながるSDGsについて知識を深めると良いでしょう。他にも時事ニュースや最新事例なども抑えておくと、他の質問やグループワークなどにも役立つので把握しておいて損はありませんよ。

それでは具体的な質問と回答についてみていきましょう。

SDGsについてどう思いますか?

回答例

SDGsをビジネスチャンスと捉えることで、市場での競争力を得ることができると思います。

例えば、日本では令和4年に脱プラに向けて「プラスチック資源循環法」が施行されました。これにより、小売店やコンビニは、カトラリーなどの使い捨てプラスチックから、環境に配慮された素材への切り替えなどの対応に迫られました。

その際に、環境に配慮された素材を使用したカトラリーやストローを制作している一部の会社に受注が集中したといいます。

SDGsは今後必ず取り組まなくてはいけない課題であり、日本政府も必ず対応してきます。自社と親和性のあるSDGsを見極め、事業として取り組むことで、他の企業とも差をつけられるチャンスになると考えます。

企業の視点も含めた意見を述べると印象に残ります。

SDGsの17の目標のうち、一番関心のあるものはどれですか?その理由も教えてください。

回答例

(不動産会社と仮定します。)私が一番関心のある目標は「住み続けられるまちづくりを」です。ゼミでも環境問題とまちづくりという観点から、卒論執筆に取り組んでいます。

関心のある理由としては、SDGsは1人の力だけでなく、多くの人々の協力があって大きなインパクトを残すことができます。その多くの人々が協力するコミュニティの中でも、まちは生活に最も身近であるためです。

御社のように、家を建設するだけでなく、まちのコミュニティデザインまで一貫して関わることのできる事業形態に魅力を感じました。

関心のある分野と会社の取り組みが一貫していると尚良いでしょう。

企業がSDGsに取り組むメリットについて、あなたの考えを聞かせてください。

回答例

会社のブランド力をアピールできます。

近年、「ESG投資」の市場は増え続けており、投資家からの要望も高まっていると言います。

そこで、企業が自社のサービスを活用したり、新規事業を立ち上げたりして、社会課題の解決に向けて取り組むことで、投資への要望に答えるだけでなく、顧客との信頼関係を結ぶことができます。

このように、SDGsの取り組みは企業のブランド力を高め、さまざまなセクターにアピールできるというメリットがあります。

SDGsに関する新規事業について、あなたのアイディアを教えてください。

回答例

(飲料メーカーと仮定します。)生産されるときに排出したCO2を炭酸水やお酒に生かすのはどうでしょうか。実際に、海外の飲料メーカーでは数社生産に取り組んでおり、今後需要が増えていくと考えられます。

実際に若年層の間では、SDGsに取り組みたいがなかなか実践できていないと言う人も多くいます。そのため、数百円で買うことのできるSDGs商品を販売することで、潜在的なニーズにも応えられるかと思います。

→志望業界の先行事例を収集しておくことで、面接などでの急なアイディア出しに答えることができます。

まとめ

今回、就活においてSDGsがどれほど重要になっているのか、実際に就活ではどのような質問をされるのか、さまざまな観点からご紹介しました。

現在、就活生の中でSDGsの認知度は年々高まっており、現在では70%を超えています。その中でも「ジェンダー平等」について興味があるということがわかりました。

企業に対してSDGsの取り組みを重視すると答えた就活生は40%以上で、認知度に呼応して今後も増えていく見込みです。実際に就活生はSDGsの視点から、企業の持続可能性・将来性を測っており、企業の取り組みは必須といえるでしょう。

実際に面接でもSDGsに関する質問がされることもあり、ある程度の基礎的な知識は必要になっています。「気になる時事ニュースは?」といったよくある質問や、最後に聞かれる逆質問の際にも転用できるので、紹介した回答例をもとに自分の回答も考えてみてはいかがでしょうか。

〈参考文献〉
株式会社i-plug「23卒学生と企業を対象とした「SDGsへの理解度と就職/採用活動」に関する調査を発表」
株式会社IDEATECH「【就活解禁間近!】23卒就活生の73.1%が「SDGs」について認知、「企業選びで重視」は22卒より7.2ポイントUP」
株式会社ベイニッチ「22卒就活生の約7割が、SDGsについて認知 企業選びにも影響し「将来性の指標になる」の声 〜ベイニッチ、「22卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」に関する調査実施〜 」