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​​アクティブラーニングはもう古い?メリット・デメリット、問題点や具体事例を簡単に解説

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文部科学省では、これからの学校教育に、「主体的・対話的で深い学び」の実現を掲げてきます。

近年、耳にするようになったSDGsにも、「質の高い教育」が目標のひとつとして取り上げられ、これからの社会を生き抜くには、文字の読み書きに加えて自ら課題をみつけ考える力を養うことが求められています。

そこで注目されるのが、アクティブラーニングの存在です。

アクティブラーニングは、もともとは大学の授業で使われていた「能動的」な学習を意味する用語でしたが、現在は小中学校でも取り入れられるようになりました。

そこでこの記事では、

  • アクティブラーニングとは何か
  • ESD、SDGsとの関係性
  • アクティブラーニングから主体的な学びへ

の3つのポイントを詳しく見ていきます。

さらに現役の教員の先生からの声も集めているので、リアルな現状を知ることができます。

では早速、アクティブラーニングの定義について確認しましょう。

目次

アクティブラーニングとは?

アクティブラーニングとは、従来の教員による一方的な講義形式の授業とは異なり、生徒が主体的となり能動的に考えるように導く教育法のことです

具体的には、

  • 発見学習
  • 調査学習
  • 体験学習
  • グループディスカッション
  • ディベート

などがあります。

アクティブラーニングとこれまでの教育との違い

これまでの授業というと、教室に座って先生の話を聞くという受動的なスタイルが一般的でした。対してアクティブラーニングは、生徒が積極的に参加できるようにして、

  • 認知能力
  • 判断能力
  • 社会能力

の育成を目指します。

ではなぜこの能力を育成する必要があるのでしょうか。

アクティブラーニングはなぜ必要なのか

経済産業省は2018年、企業の求める人材の観点から、「人生100年時代の社会人基礎力」として

  • 前に踏み出す力
  • チームで働く力
  • 考え抜く力

の3つの能力が求められるとしています。

このように、時代とともに社会で求められる力も刻々と変化しており、その都度柔軟に対応していかなければなりません。

このような時代を生き抜くためには、「一人で思う、二人で語る、みんなで考える〜実践!ロジコミ・メソッド/追手門学院大学/成熟社会研究所」(※1)によると、

  • 絶えず学び直しを通じて知識をアップデートする
  • 新たなスキルを獲得する

ことが大切で、この2つを実践するアクティブラーニングが不可欠です。

もう少し踏み込んで見ていきましょう。

未来を生き抜くために!絶えず学び直しを通じて知識をアップデートする

社会は常に変化しており、これまで当たり前だと思っていたものが、数年後はまったく違う考え方になっているかもしれません。

亀の甲より年の功ということわざがあるように、

  • 先生の言うことは絶対
  • 親の言うことに従っておこう

と、年長者の豊富な経験は尊重すべきという時代がありました。

例えばスポーツにおける水分補給。

その昔、運動している最中に水分を補給することは体力低下を招くとして、禁止していたケースが見受けられました。しかし現在では水分が不足すると体調不良やパフォーマンスの低下が起きることから、こまめな水分補給が推奨されています。

つまり、今の当たり前が時間の経過とともに非常識になる可能性があります。

近年では全世代にスマホが普及し、膨大な情報にアクセスしやすくなりました。今後はその中から本当に正しい情報を取捨選択しながら、絶えず学び直し、知識をアップデートしていくことが求められているのです。

アクティブラーニングのメリット

ここではアクティブラーニングのメリットについて見ていきましょう。

便利すぎる社会を味方に!技術革新を利用し、新たなスキルを獲得する

野村総合研究所の報告書(※2)によると、将来、技術革新により日本の労働人口の約49%が、AIやロボットなどの人工知能で代替可能になると予測されています。残り半分の業務は、人間にしかできない、

  • 創造性
  • 協調性
  • 柔軟性

が求められるものです。

今後、この社会を生き抜くためには技術革新と上手に付き合い、アクティブラーニングをAIにはできない能力を培う必要があるでしょう。

そのためにはどのようなことを意識する必要があるのでしょうか。

先述したように私たちは、わからないことや気になったことがあってもスマホで調べたら、すぐに情報が得られる、とても便利で効率的な時代に生きています。

そんな時代だからこそ、さらに踏み込んだアクションを起こしてみると、別の疑問が浮上し、面白い情報が入ってくることだってあり得るのです。

具体的にニュースを例に見ていきましょう。

仮に「◯◯県で世界初のバイオマス発電所が運転開始。年間27万トンのCO2削減へ」といった内容が報じられたとします。このニュースを見て、

  • 「なるほど。年間27万トンのCO2を削減するのか」
  • 「バイオマス発電ってすごいな」

と、情報をそのまま受け取るだけで終わらせるのが従来の教育です。対してアクティブラーニングでは、

  • 「これまでの発電方法は、どれだけCO2を排出しているんだろう?」
  • バイオマス発電以外にどんなエネルギーが地球に優しいんだろう?」

というように、得た情報をもとに疑問や違和感を持つことで、1つの事実から発展させて思考を深めることができ、新しい価値観を得られるのです。

このように、アクティブラーニングを取り入れることで、これからの社会を生き抜く力が身につくとされていますが、どのような経緯で学校教育に導入されるようになったのでしょうか。

アクティブラーニングはいつから始まった?

ここでは、アクティブラーニングが導入された経緯を見ていきます。

アクティブラーニングが導入されたのは、「学力低下」が理由

日本でアクティブラーニングを最初に導入したのは大学で、その背景には学力低下が挙げられます。

日本では、1999年、大学生の数学能力が著しく低下しているという報告書を発表。そこで2012年、中央教育審議会によってまとめられた答申「新たな未来をきずくための大学教育の質的転換」でアクティブラーニングの必要性がまとめられました。

その内容は次の通りです。

生涯にわたって学び続ける力、主体的に考える力を持った人材は、学生からみて受 動的な教育の場では育成することができない。従来のような知識の伝達・注入を中心 とした授業から、教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋琢磨し、相互 に刺激を与えながら知的に成長する場を創り、学生が主体的に問題を発見し解を見い だしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である

中央教育審議会 新たな未来を築くための 大学教育の質的転換に向けて

これ以降、大学ではアクティブラーニングが主流となり、学生たちは、

  • ディスカッションの準備のために本を読んで予備知識を増やす
  • 必要に応じてキャンパス外でフィールドワークをする

など、能動性が求められるようになりました。

中でも論理的思考を必要とする医学系の大学は、早くから導入されています。(※4)

そしてこの考えが徐々に高校・中学校・小学校と降りてきて、本格的にすべての年代で導入されるようになったのです。

ではなぜアクティブラーニングが学力向上に結びつくのでしょうか。

ラーニングピラミッドでわかる、効率的な学習方法

この答えの1つに、ラーニングピラミッドがあります。

ラーニングピラミッドとは、1960年代にアメリカメイン州にある国立訓練研究所が提唱した学習内容の定着度合いを示すものです。

このパーセンテージに明確な根拠が示されているわけではありませんが、このような経験をしたことがないでしょうか?

授業や講義を受けても、その内容は次の日には知識が薄れているのに、受けた後に周りの人に「この講義では、こんなことを学んだよ!詳しく説明すると◯◯だよ。」と、アウトプットをした内容はずっと覚えている。

筆者も、人に教えた教科においては高得点だった、という記憶があります。

当時、絵を描くことが得意だったため、オリジナルの歴史漫画を描き時代背景や出来事を家族に紹介していました。それを作る過程で自然と内容が頭に定着していたようで、あえてテスト勉強をしなくても高得点を取ることができていました。

筆者の体験のように、先生の説明をただ聞くといった受動的な学びではなく、実際に体験したり他者に教えるなど能動的な取り組みにより、定着力が上がったという経験をしたことがある人が多く存在します。そのため、能動的なアクティブラーニングが有効であるとされているのです。

アクティブラーニングは批判もある?デメリットについて

ここまで見ると、アクティブラーニングはメリットが多いように見えますが、一方で課題もあります。

アクティブラーニングはもう古い?

アクティブラーニングは、実は今は教育現場では「主体的・対話的で深い学び」という言葉が用いられることがほとんどです。

新学習指導要領のなかでもアクティブラーニングではなく、「主体的・対話的で深い学び」で統一されています。

この理由として、アクティブラーニングの定義が曖昧であったため、現場の混乱を招いたことが挙げられるようです。

とはいえ根本の考え方は同じであるため、ここではアクティブラーニングで表記を統一して説明を続けていきます。

失敗事例

アクティブラーニングの導入による失敗事例が報告されているので紹介します。

アクティブラーニングは、グループワークが多くなります。よって、グループワークに抵抗のある児童・生徒が不登校になったという事例もあります。

株式会社AL&AL研究所の代表取締役社長、小林昭文さんのもとに、アクティブラーニングを実践している学校から次のような相談が寄せられました。

「本校の生徒が不登校になってしまいました。本校では多くの先生たちがアクティブラーニングに取り組んでいるので、その生徒のクラスでは1日に2〜3時間はグループワークなどを取り入れた授業があったようです。それで、そういうことが苦手な生徒にはとてもプレッシャーになったようなんです。」

授業研究AL&AL

このような問題は、アクティブラーニングは「こうでなければならない」という概念が一人歩きしている可能性があります。

こうした課題に小林さんは、

  • 事前の対応
  • 授業中の対応
  • 事後の対応

が必要だと考えています。

また、筆者の友人に教員がいるため、この課題について話を聞いたところ、話しやすい環境づくりをしておくことが大切だと話していました。

例えば、「先生、今日のワークは静かに過ごしてもいいですか」という相談を受けた場合、「いいよ。理由を聞いてもいいかな」と、意図を組んであげる必要があるでしょう。

アクティブラーニングのおおまかな概要がわかったところで、もう少し踏み込んでESDやSDGsとの関係を見ていきましょう。

アクティブラーニングの教育方法・学習方法

ここまでアクティブラーニングがどのようなものなのかを見てきました。ここからは具体的にどのような学習方法なのかを見ていきましょう。

アクティブラーニングの学習方法に決まった形はありません。状況や環境に合わせて様々な学び方が展開されています。ここでは、アクティブラーニングの学習手法の中のひとつである、グループワークを3ステップにて紹介します。ある問題に直面した際、もしくは、あるトピックについて考えを深めたい場合に有効な手段です。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

ステップ1:自分を知る【発見・気づき編】

「これは何?もやっとする!」この感覚を無視せず追求してみよう!

普段の生活の中で、何かにモヤモヤしたり、これってどういう意味?何かおかしくない?と感じることはありませんか。

どんな小さなことでも、無視せずに調べてみることがアクティブラーニングの第一歩です。

ステップ2:他者に伝える【情報共有・対話】

ステップ1で気づいたこと、調べたことを他者に伝えてみましょう。

ここで大切なのは、一対一の対話からスタートすることです。理由としては、

  • 相手の話をじっくり聞く
  • しっかり自分の意見を伝える
  • 信頼関係を築く

などの練習になるためです。

ステップ2では、価値観の共有がメインとなり、自分と相手の考え方の共通点と相違点を発見します。異なる視点は否定せずに「ここがわからないから意見を聞かせてほしい」と素直に聴くことがポイントです。

また、

  • 自分だったらどう思うか
  • どう行動するか

を考えられるようになるのがステップ2です。

ステップ3:グループワークにチャレンジしてみる

いよいよここでグループワークに挑戦となります。

グループワークを始めるには、あらかじめ役割分担とルールを決めておくと円滑に進められます。

  • 必要な役割分担
    ・進行役であるファシリテーター
    ・スイッチャー(ファシリテーターを影でサポート。場の雰囲気を切り替える)
    ・記録係
  • ルール(一例)
    ・事前にテーマを周知する
    ・否定せず受け止める
    ・所要時間を決める
    ・強要しない

また、グループワークにおいて場の雰囲気づくりはとても大切です。発言が苦手、という方も発言しやすい場にするためにも、本題に入る前に自己紹介や雑談を取り入れると良いでしょう。

グループで話し合うことで、

  • グループ内での自分の役割
  • 自分の意見をわかりやすく説明する
  • 所要時間内で話をまとめる力
  • 多方面から物事を考えられるようになる

などから学べます。

このステップを繰り返すことで、子どもたちは主体的に学ぶ能力を養えるでしょう。

ここまででアクティブラーニングがどのようなものか、なんとなく分かってきたところで、次は、教育現場での導入事例を見ていきましょう。

アクティブラーニングの導入事例・学校の取り組み

学校教育で、自律型学習者を育てる「新渡戸文化学園」の事例をご紹介します。

東京都中野区にある同学園は、創立93年の歴史ある学校です。

2018年から、「幸せ創造者の育成」を教育目標に掲げ、生徒も教員も主体性を発揮できるような学校改革に取り組んでいます。さまざまな取り組みのなかから2つをピックアップして紹介します。

44%の教師が、別の肩書きを持つ個性豊かな学校

新渡戸文化学園の先生たちの44%が、

  • 絵本作家
  • YouTuber
  • 大学教員
  • ライター
  • 俳優
  • 元プロスポーツ選手

など、とてもユニークな経歴を持っており、得意分野を活かして生徒と接しています。

これにより、教師自身が生き生きと働くことができ、その姿を見た子どもたちが「大人って楽しそう」と思えるようにしたいとの狙いもあるそうです。

脚本家の養成を授業で!「キッズシナリオ教室」

新渡戸文化小学校のデジタルクリエーションクラブでは、オリジナルのシナリオを制作し、映像化して発表するという脚本家になりきるワークが実施されました。

ワークではシナリオ作り、キャラクター作り、ipadでの撮影、修正、編集、映像公開までが一連の流れとなっており、生徒は興味津々の様子だったそうです。

現役教員に聞くアクティブラーニング(主体的・対話的)の実態

最後に、教員を勤めるの友人に、アクティブラーニングを通して、

  • どのような授業が増えたのか
  • 子どもたちの変化
  • 教師と子どもの関係の変化

を教えていただきました。

補足

先述したように、現在教育現場では「アクティブラーニング」ではなく、「主体的・対話的で深い学び」が使われています。

そのため、インタビュー内では「主体的・対話的で深い学び」での表記となっています。

教科書の内容を超える学習

–主体性を大切にする学習ではどのような授業が増えましたか?

一つ目に、教師が正解を求めない問いをするようになりました。

例えば、小学校5年生の社会では自動車について学びますが、教科書には自動車工場の条件(土地が平ら、海に近い、高速道路に近いなど)が記載されています。

5年生にもなるとこちらが説明しなくても、教科書からその条件を読み取ります。ですから、私たち教師は「自動車工場に必要な条件は何だろう?」ではなく、「あなたはトヨタの社長です。日本のどこかに新たな自動車工場をつくることになりました。何県何市に建てますか?その理由も含めて班で意見をまとめましょう」とするわけです。

–その場合は、どのように授業を展開するのでしょう?

教科書にあるヒントを見つけそれをもとに班の仲間と地図帳を開いて話し合いながら正解ではなく納得解を見つけていく。

そして、保護者参観などと被れば、最後の児童の発表を聞いてどの班の意見に一番納得したか保護者に投票してもらうこともしました。児童たちはとても主体性を発揮していました。

–そのような授業の割合は増えていますか?

そうですね。最近では大人でも迷ってしまう正解のない問いを子ども達にするようになりました。そのような問いに対して児童が導き出した意見はなるべく肯定してあげたい。どれが本当の正解なのかはわからないことが多いですし。

また、私が担当しているクラス会議でも児童の主体性に任せています。

児童の変化

–こうした学習で、子どもたちに何か変化はみられましたか?

  • 授業を楽しむ児童が増えた
  • 自分らしさを発揮できる子が増えた
  • 学力による児童同士の格差が少なくなった
  • 助け合える児童が増えた

と感じています。

教師の関わり方にも変化が

–子どもたちと教師の関係に変化はありましたか?

「私からは、「〇〇しなさい」と言わなくなり、児童に仕事を任せることが増えましたね。

また、ゆっくり児童の話を聞けるようになりました。

児童に対して正解のない問いをしている分、児童を良い意味で学力のみの評価をしなくなり、良いところを自然と発見できるようになりました。

また、別の小学校教員Bさんには学級づくりについて伺ってきました。

もっとも重要なのは環境づくり

–学級づくりで大切にされていることを教えてください。

主体的、対話的な授業スタイルというのは、手段です。私がもっとも大事だと思うのは、他者への思いやりのある学級です。それが前提にないと、児童たちは自分の意見を述べることに恐怖を感じたり、主体的に行動しにくくなります。

–思いやりのある学級経営をするために、どうされていますか?

基本的にはこうしなさい、こうあるべき、という指導はしません。ただ、やっていいことと悪いことの線引きは明確に的確に伝えます。

例えば、人を傷つけることは絶対にNG。そういうところは教師がはっきりと伝えます。

子どもたちは、褒められることが大好きです。なので、人のいいところ探しの時間を設けています。褒める時も、人と比較して優劣を見つけるのではなく、過去の自分と比べてどう変化したかに意識しています。

–従来の学習と比較すると、どのような変化がありましたか?

子どもたち主体の学習スタイルは、国が学習指導要領として明確にする前から行なっていました。そのため大きく変わったことは特にないんですよね。

子どもたちはもともと生まれ持って主体的なんですよ。私たち教員はその力を伸ばしてあげたい。だからこそみんなが主体性を発揮しやすい学級経営が大事なんです。

–最後に、今後の課題について教えてください。

私個人の見解ですが、答えのない問題に取り組む場合、教師は下準備に力を入れていかないといけないですね。

先日、社会の授業で、「水はどこから来るの?」というテーマを出しました。

  • 雨が降って、雨が土壌に染み込んで川に流れる
  • 浄化して学校で使えるようになる

というのが一般的な回答になるのですが、児童たちは学校周辺を探検し、学校の水がどこからきているのかみんなで考えます。

児童たちの考えはとても柔軟です。いろんな視点で物事を考えていますから、すべての問いに答えられるよう、教師側の事前知識が本当に必要です!

そして教師側の本当の出番は、児童たちが導き出した内容をまとめるという作業です。とはいえ「これは違うんじゃない?」というような口出しはしないようにしています。

なかなか大変ですが、こちらが勉強になります。

アクティブラーニングとESDやSDGsとの関係

アクティブラーニングは、近年耳にするようになった持続可能な開発に関係する目標、ESDやSDGsに良い影響を与えます。

まず、ESDについて解説しましょう。

ESDとは

ESD(Education for Sustainable Development)とは、2002年に持続可能な開発に関する世界首脳会議で日本が提唱した「持続可能な開発のための教育」を指します。

ESDとアクティブラーニング

ESDでは、

  • 気候変動
  • 生物多様性の損失
  • 資源の枯渇
  • 貧困、人権問題

などの問題を解決できるような人材を育てる教育です。

これはアクティブラーニングと通じるものがあり、球上で起きている問題を自分ごととして捉え、課題の解決に向けて何ができるかをみずから考えることが求められています。

SDGsとは

SDGsとは、誰一人として取り残さないという強い信念のもと、2030年までに達成すべき17のゴールと169のターゲットから成り立つ国連が掲げた世界共通の目標です。

SDGsとアクティブラーニング

SDGsでは、目標4に「質の高い教育をみんなに」が掲げられており、その対象となるのは学校に通う子どもたちだけでなく、大人も対象です。

SDGsの課題は、環境、社会、経済とさまざまな問題がありますが、アクティブラーニングを実践することで、すべての課題に対し主体的に立ち向かう能力を養うことに繋がります。

このように、アクティブラーニング、ESD、SDGsすべてを関連づけながら教育に取り組むことで、持続可能な社会を形成できると考えられています。

まとめ

今回は、アクティブラーニングの基礎と、主体的で対話的な深い学びの実践についてご紹介しました。

SDGsが浸透し始め、世界共通の目標を達成するには、私たちが物事に対しどう反応し、どう行動するかがカギとなります。

アクティブラーニングからも理解できるように、共通の目標を達成するための手段はひとつではなく、100人いたら100通りのやり方がある、ということです。

また、インタビューからもみて取れるように、主体性を発揮できる土台を作ることが、アクティブラーニングを実践する上で重要です。

多様な意見や価値観を共有して、良いと感じたことを取り入れる、そして成長する、この繰り返しが大きな課題クリアにつながるでしょう。

<参考文献>
※1 一人で思う、二人で語る、みんなで考える〜実践!ロジコミ・メソッド
※2 野村総合研究所「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」
※3 Kokugakuin Junior College「学習指導要領の歴史と教育意識」
※4 J-STAGE「佐賀大学におけるアクティブ・ラーニング20年の実践」
※5 文部科学省「新しい学習指導要領の考え方-中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ-」