ファッションが好きな方の中には、「もっとサスティナブルなブランドを選びたい」「環境に負荷がかかるファストファッションから脱却したい」といった悩みもあるのではないでしょうか?
オーストラリア生まれのOrotonは、環境に優しいファッションを目指しているブランドです。
この記事では、Orotonの基本情報、ファッションと環境問題の関連性、Orotonが行うエコ活動について深堀していきます。
環境保全とファッションの両立を叶えるためにも、エコ大国・オーストラリアのブランドが行う取り組みをチェックしましょう。
目次
Orotonの基本情報や商品展開
Orotonは、1938 年に設立されたオーストラリア最古の高級ファッションブランドです。
本社をシドニーに構えており、オーストラリア国内外で約50店舗を展開しています。
オーストラリア国内では、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、クイーンズランド州、西オーストラリア州、南オーストラリア州、オーストラリア首都特別地域の計6つの州に店舗があり、直営店以外にアウトレット店舗があるのも特徴です。
レザーバッグや革小物をメインに販売していますが、近年では衣類、アクセサリー、サングラス、ミラー、傘なども取り扱っています。
価格帯はバッグで3万円台~で、革小物では5,000円程度のものも多くなっています。
ファッションと環境問題の関連性
2,000年代前後に、世界中でファストファッションが流行しました。
国内外においてファストファッションブランドが確立され、格安でトレンドファッションにトライできるという点が多くの人々から支持されてきました。
しかし、衣類の製造には、多くの温室効果ガスの排出が伴います。
原材料の仕入れ、輸送、染色、縫製といった過程を経ることで、年間9万キロトンの温室効果ガスが発生されると言われています。
実にスギの木64億本分の年間吸収量にも匹敵し、環境に大きな負荷がかかっているのです。
また、トレンドを手軽に追えるということは、不要になる服が増えることを意味します。
廃棄物の大幅な増加に繋がるため、環境を守るためにもサスティナブルなファッションについて考えることが大切です。
Orotonが行うエコ活動とは?
オーストラリアの一流ブランドとして知られるOrotonは、環境保全への意識が高い企業です。
以下では、Orotonが実際に行っている取り組みについて見ていきましょう。
レンタルプログラム
よりサスティナブルなファッションブランドを目指すためにOrotonが導入したのが、自社商品のレンタルプログラムです。
ファストファッションの流行により、世界では年間に800億着もの衣類が消費されています。
20年前と比べると実に400%増となっており、オーストラリアは1人あたりの繊維製品の消費量が世界でもトップクラスの国として知られています。
そこで、衣類の不必要な生産と廃棄を削減すべく、Orotonはレンタルプログラムサービスを提供するRntrと提携して自社製品をシェアできるシステムを構築しました。
通常のオンラインショッピングと同様に製品を選び、レンタルしたい日を設定して支払いを済ませます。
Orotonから製品が届いたら、規定の日程までに返却するという仕組みです。
最も多いのは衣類ですが、顧客のニーズに応えてバッグのレンタルも行っています。
新製品も豊富に取り扱っていることから、「買う前にレンタルできるから本当に必要な衣類だけ購入するようになった」「気軽に環境に優しい取り組みに参加できるのが嬉しい」と顧客から好評価を得ているプログラムです。
レザー不使用の製品を販売
Orotonは、元々は革製品を中心に提供していました。
しかし、サスティナブルな製品の選択肢を増やすために、近年ではレザー不使用のアイテムを多く販売しています。
麻やリサイクルボトルなどから生まれたビーガン素材のアイテムを展開しており、製造過程で発生する温室効果ガスの削減に貢献しています。
Avaniコレクション
Avaniコレクションは、廃棄物削減とリサイクル促進から生まれたエコなシリーズです。
ガーデニング用手袋の端切れを基にしたリサイクルレザーが使用されており、バッグ、ペンシルケース、キーケースなどが販売されています。
プラスチック不使用で60%がリサイクルレザーのAvaniコレクションは、丸みを帯びた独創的なデザインと環境への優しさから高い人気を博しています。
カーボンオフセットを目的とした提携
環境及び気候変動プロジェクトに気軽に参加できるプラットフォームシステム・Climaと提携を結び、3つのプロジェクトに対する経済的な支援を行っています。
顧客自身がプロジェクトに参加している実感や意欲を抱けるように、Orotonでは顧客が会計時に無料でいずれかのプロジェクトを指名できる仕組みになっています。
以下は、Orotonが支援する3つのプロジェクトの詳細です。
ムーンビダリー地区の森林保全
2015年にはじまったクイーンズランド州ムーンビダリー地区のプロジェクトでは、原生林の再生に取り組んでいます。
農地開拓による森林伐採や環境破壊が深刻化していたことから、不動産所有者とパートナーシップを結んで土地全体を緑化することが決まりました。
保全対象となっているエリアは、15万ヘクタールにも及びます。
実に東京ディズニーランド約3,000個分に相当する広範囲エリアとなっており、プログラムは2024年に完了する予定です。
原生林の再生によって合計97万5,000トン(スギの木7,000万本分の年間吸収量)の温室効果ガスを削減できると同時に、野生動植物の保護にも繋がります。
ダーリングリバー地区の保全
ニューサウスウェールズ州ダーリングリバー地区で行われているのが、アカシア森林とユーカリ森林を復元するプロジェクトです。
補助再生と呼ばれるプロセスを導入しており、種子の成長促進によって永続的に原生林を保護できる仕組みになっています。
ダーリングリバー地区には、多くの固有種が生息しています。
森林、土壌、水の保全はエコシステムの保護に直結するため、生物多様性の維持に役立つ点もポイントです。
尚、プロジェクトによって5,342ヘクタールの森林が保全されると言われており、例えると東京ドーム約1,200個分に匹敵します。
2120年まで続く長期プロジェクトとなっていますが、将来的に3万5,000トン(スギの木248万本分の年間吸収量)の温室効果ガスを除去できます。
コンゴ民主共和国の熱帯雨林保護
国外への環境保全活動として行われているのが、30 万ヘクタールにも渡るコンゴ共和国の熱帯雨林と湿地を守るプロジェクトです。
世界で2番目に大きいとされているコンゴ共和国の熱帯雨林と湿地ですが、焼畑農業や伐採による木々の消失が懸念されていました。
マルミミゾウなどの絶滅危惧種も数多く生息していることから、プロジェクトによる自然保護とエコシステムの維持が目的です。
また、現地で暮らす人々に焼畑農業の代替え案なども提供し、持続可能な農業の確立も計画しています。
このプロジェクトにより、30年間で合計1億トン(スギの木71億本分の年間吸収量)の温室効果ガスの除去に繋がります。
Orotonは日本でも買える?
2023年11月時点において、Orotonは日本未上陸のブランドです。
ただし、東京都赤坂に位置するセレクトショップ・RestirがOrotonの公式仕入れ業者となっており、製品の一部取り扱いを行っています。
また、Orotonの公式ホームページでは、日本を含む海外への発送に対応しています。
バッグ、革小物、服、アクセサリー、サングラスといった幅広い製品が対象となっているので、日本からOrotonの製品を購入したい方はチェックしてみましょう。
尚、現在販売されていないモデルなどに関しては、BUYMAなどの海外商品通販サイトで取り扱っているケースも多くなっています。
まとめ
オーストラリア生まれのOrotonは、廃棄物削減、エコ素材の使用、カーボンオフセットへの貢献など、多方面における環境保全活動に力を入れています。
人々がファストファッションからすぐに脱却するのは難しいかもしれませんが、Orotonのように環境に優しいブランドを選んだり、スローファッションを少しずつ取り入れたり、自分自身にできることからはじめてみてはいかがでしょう?