#インタビュー

株式会社エコリング|リユースのエコロジーの輪(リング)と多彩な社会貢献で早々とB Corp認証も得たグッドカンパニー

株式会社エコリング 大和田さん 村上さん インタビュー

大和田 誠太郎
株式会社エコリング コンプライアンス部 部長、同志社大学社会価値研究センター(Value Research Center)研究員。法務・内部統制等の経営法務業務に従事すると共に、コーポレートサステナビリティ部門を兼任。日本LCA学会、日本環境心理学会、日本ベンチャー学会等に所属し、リユースを中心とした不用品の譲渡及び売却行為等の環境配慮行動に関する規定因分析などを行っている。一橋大学大学院国際企業戦略研究科修士課程修了。


村上 洋子
株式会社エコリング コンプライアンス部 サステナビリティ推進課 課長。学生時代にフィリピン大学への留学を経験し、ゴミ山やスラム街でのフィールドワークを通して途上国の社会課題を目の当たりにする。ビジネス系情報番組にて途上国への事業展開にチャレンジしているエコリングの取り組みを見たのをきっかけに新卒で入社。2020年よりB Corp認証の取得に携わる業務を開始。現在は、インナーブランディングやサステナビリティ推進に係る業務全般に従事し、リユース事業を通じた社会課題の解決を目指す組織づくりに取り組んでいる。

introduction:

不用品を「なんでも買取」「全て売り切る」というポリシーのエコリング。リユース業と連動して、様々な社会課題や自社の職場改革にも熱心に取り組んでいます。2021年には、その証となるB Corp認証を取得し、グローバル展開している日本企業としては初の快挙となりました。

今回は、コンプライアンス部長の大和田さんとサステナビリティ推進課長の村上さんとサステナビリティ推進課の村上さんに、周囲にもエコと社会貢献の輪を広げる同社の歴史から現在に至るまでのお話を伺いました。

ものの「価値を見いだし」エコロジーの輪を広げる

-御社の業務概要をご紹介ください。

大和田さん

姫路市に本社を置く、リユースをメイン業務としている企業です。大きな事業の核は二つあります。一つ目は、おもに一般の個人の方々から不用品のお買取りをさせていただき、必要な方々に販売させていただくビジネスモデルです。もう一つが、自社独自のインターネットオークション「エコリングtheオークション」のプラットフォーム運営です。

業務とは異なりますが、SDGsや社会課題に対しても、自然と力が入ります。リユース業を通じての貢献活動以外にも、国内外の子どもたちを対象に、様々な取り組みを展開してきました。

-御社の創業のきっかけと、企業理念などをお聞かせください。

大和田さん:

なぜリユース業だったか、を包み隠さず話しますと、創業者桑田一成の個人的な体験が背景にあります。桑田は郵政省出身で、郵政民営化のタイミングで退官し、その後いろいろな仕事に挑戦しました。うまく行かなかった時期には、身の回りのものをオークションに出品して生計の足しとしたそうです。不要なものが現金となるありがたさを痛感し、のちのリユースでの起業に繋がったとのことです。

弊社の企業理念は、ものの「価値を見いだす」ことにあります。お客様にお持ちいただく商品に正しい価値を見いだし、買っていただけるお客様にその価値をきちんとお伝えする。そのようにして、一人一人が「価値を見いだす見識」を広げ続け、この世の中に無駄な物はないことを証明していき、事業を通じて社会課題をも解決していくことを使命と捉えています。

この企業理念を土台に、「なんでも買取」をキャッチコピーとして掲げ、それらの商品を売り切る、利用しきる、ということをポリシーとしています。

そのリユースビジネスのプロセスで、誰もが簡単に参画できるエコロジーを提案し続け、各個人を結びつける役割を担い、エコロジーの輪(リング)を広げていくという想いが、社名「エコリング」の由来となっています。

「不要」とされるものにも必ず「必要」とする人や場がある

-御社のリユース業のシステムを、同業他社と異なる点も合わせてお聞かせください。

大和田さん:

買取と販売のビジネスモデルにおいては、二つの大きな特徴があります。一つ目が、買取において、買い取り専門店のみで展開している点です。現在220店舗弱の体制ですが、商品の陳列販売はしていません。ここが他のリユース業者さんと異なる点と言えます。このシステムによって、小さい店舗構えでもフランチャイズ加盟店となっていただけ、効率的に店舗を展開をすることができました。

二つ目が、「なんでも買取」のキャッチコピーの名のとおり、他社に断られるようなボロボロ・クタクタの商品でもお引き受けする点です。買い手がつかないものは殆どありません。「買ってから考える」という企業精神がありまして、必ず必要とされる方がいる、という信念のもとに次の買い手を探します。そのままでリユースしてもらうのが難しい場合は、分解してリサイクルの原料として販売するなど、限りなく廃棄のない運営ができていると自負しております。

「EcoRing the Auction(エコオク)」については、一般消費者の方がオープンに参加できるシステムではなく、古物商の許可を受けているプロの方だけが事業目的で参加するプラットフォームを展開しています。

最近は、個人事業主や副業などからなるなどSmall B(スモールビジネス)と称される新しい仕事のかたちが増えており、いろいろなところで中古品を仕入れて販売することも流行りつつあります。古物商の認可自体は、企業や事業者だけに開かれた許可ではなく、一般の個人の方でも申請することができ、特に問題が無ければどなたでも許可を受けることができるものです。弊社では、Small Bの古物商の方の参加を積極的に進め、とても好評をいただいています。

また、オークションの開催者として、弊社には盗品やコピー品の二次流通を防ぐ義務があります。しっかりした商品だけを流通させる責任を全うするためにも、参加者は古物商の認可証を持つ方々のみとして、一般開放はしない方針です。

子どもたちに「商品の価値を見極める大切さ」を伝える

-多彩な社会課題の解決にも取り組まれているとのこと。まずは、子どもを対象としたご活動について詳しくお聞かせください。

大和田さん:

キッザニア甲子園・福岡に「リユースショップ」パビリオンを出展しています。(※キッザニア:子どもがいろいろな仕事やサービスを体験することで社会の仕組みを学ぶことができる職業・社会体験施設)とはいえ、現在の小学生は、リデュ―ス・リユース・リサイクルの3Rを高学年で学びます。弊社にしかできないことを考えたときに、伝えたかったのが「商品の価値を見極める大切さ」だったんです。

情報社会の現代、インターネットで調べられないことはありません。ただ、本当にそれが合っているか?という二次的な自分のチェックは必要です。フェイクニュースも多々あり、同時に、物理的な「物」にも偽物は多く出回っています。「真贋」は弊社のビジネスに根幹する部分でもあり、子どもたちにもぜひ学んでほしいと思っています。

パビリオンでは、子どもたちに「鑑定士」の仕事の内容を伝え、実際に宝石の鑑定をしていただきます。ダイヤモンドやルビー、サファイヤなどの宝石を見たあと、鑑定する宝石の天然石と人工石や合成石との違いを知ってもらいます。その後、宝石の鑑別書に間違いがないかをルーペを使って鑑定し、最後に宝石にグレードを付けます。

正しい知識で価値を調べるだけでなく、自分の視点で商品の美しさや、魅力を伝える力が求められるため、世界中の美しいものにたくさん触れ、審美眼を養うことが大切だよ、という話を最後にさせていただきます。

–子どもたちからは、どんな反応や感想が返ってきますか?

大和田さん:

たくさんの宝石に触れる機会もめったにないですから、「ドキドキした」「本物に触れるとは思わなかった」という驚きや喜びが多く返ってきます。本物でなければ意味がありませんから、我々の商品から選びぬいた宝石をキッザニアさんにお渡ししているのですが、担当者の方もドキドキ、という感じです。

感想は全てポジティブなものばかりですが、「これまで自分が正しいと思っていた情報も見直そうと思った」などと言ってもらえたときはことさら嬉しいですね。「2~3年前にもらったルーペで、今もいろいろなものを観ている」というツイートを見かけたときも、やってよかったな、と思いました。

保護者にも好評です。実は、デジタル社会で小さいうちから端末に触れている子どもたちの情報事情にまつわる保護者の不安も耳にしていて、そのような課題に弊社が力添えできればと感じたことも、キッザニア出展のきっかけの一つでした。

-困難にある子どもたちへの寄付や支援も多彩に行われているとのこと。代表的なお取り組みをご紹介ください。

村上さん:

2018年あたりから、買取させていただいたお客様のなかで、寄付を望まれる方々が出始めました。そこで、店頭に寄付の箱を置き、入れていただいた品物、あるいは換金で購入したものをアジアの貧困地域の子どもたちに寄付する「えがおプロジェクト」をスタートさせました。

自社店舗でのみ運営していたのですが、箱を見た方が自分の店にも、と所望してくださり、協賛が20店舗ほどに広がりました。ところがコロナ禍となり、衛生面から箱の新規設置を中止することになりました。

現在は、弊社の「宅配買取」のビジネスモデルを利用して「えがおプロジェクト」を続けています。買取対象の品物をご送付くださり、かつその査定額(もしくは現物)の寄付をご希望のお客様には、日本赤十字社などのいくつかの選択肢から寄付先をお選びいただけます。その選択肢に「えがおプロジェクト」を移行したかたちです。3年間で108万円が貯まりましたので、23年7月に37名でタイに研修で行ったおりに、貧困地域の小学校にエアコンや扇風機等の家電製品や、文房具セットなどの教育ツールを寄贈してきました。

「いいこと1510喜風チャリティ」は、公益社団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」さんとパートナーシップを組み、参加者様から1,510円の参加費と品物の寄付をいただき、難病の子どもさんやご家庭への支援につなげています。

「天使園プロジェクト」は、青梅市にある児童養護施設今井城学園さんを卒業して自立を目指す若者たちへのサポートです。お客様から、海外旅行などで使い残した外貨を寄付していただき、弊社が日本円に替えて新品のPCを購入して寄付するかたちがひとつ。もうひとつ、弊社で買取した家具や家電製品のなかから、自立に必要な家財道具を寄付させていただくかたちがあります。

「障がい者ア―ト協会」さんへの支援では、障がい者の方々の絵を本社ビルに飾ることの対価として、スポンサー費用をお支払いしています。その他、様々なかたちで社会や地域に弊社の仕事の特質を活かした支援をさせていただいています。

B Corp認証は経済性と社会課題を追及する「良い会社」の証

-日本ではまだ数少ないB Corporation(通称B Corp)認証を取得されていますが、これまでのお話だけでも、さもありなんと納得いたします。まずは、B Corp認証の概要と、御社がそれを取得なさるまでの流れをご解説ください。

大和田さん:

B Corp認証は、米国ペンシルベニア州に本拠を置く非営利団体のB Labが運営する認証取得制度です。対象は営利法人に限定され、経済性だけでなく社会的利益も両輪で追及している企業にしか認証は授与されません。従って、B Corp認証の取得は、社会的活動をしっかり行っている「良い会社」の証といえます。

弊社は、2021年6月に日本で7社目に取得しましたが、グローバル展開もしている企業としては日本初となりました。2023年9月現在では、日本では31社ほどが認定されていますが、注目を浴びている認証制度であり、今後申請が増えていくことが予想されます。岸田政権も、このような認証制度を日本でも制度化しようと試みておられ、弊社も内閣府の委託事業の担当者や内閣官房などから何度かインタビューを受けました。

当時の認証取得の流れは、最初にWEB上で300問越えの設問に回答し、200点満点中80点以上を取れれば、申請する資格を得られました。ハードルが低く感じるかもしれませんが、すべて一律の点数というわけではなく、1問で0.1や0.2点といったものもあるので、予想以上に苦労した記憶があります。

初めてトライしたのが2018年でしたが、リユース事業を営んでいますし、環境への配慮や社会貢献活動もそれなりの実績を重ねていたことから、80点を取るのは難しくないと思っていました。ですが、結果は14点でしたが、まだまだと嘆息したものです。自分たちで「出来ている」と回答しても、あちらに「出来ていない」と評価されたことは、しっかりと向き合っていただいて、ちゃんと見ていただけるということが嬉しかったです。

その後のチャレンジで80点をクリアして、ようやく申請のステップに進むことができ、面接やエビデンスの提出を5~6回繰り返し、足掛け3年越えで認証取得ができました。認証が注目され始めた現在は、申請に進めても、面接まで1〜2年待つようですが、主催側も待機の改善に努めているとのことです。

ボトムアップで社内制度も改革できる風通しの良い社風

-B Corp認証では労働環境も審査対象だそうですが、認証を獲得した御社の職場環境はどのような点が「良き会社」なのでしょうか?

村上さん:

まず、女性が働きやすい職場であることが挙げられます。弊社は様々な企業賞を受賞していますが、兵庫県と姫路市での女性活躍推進企業賞受賞において、一番評価されたのが、ボトムアップの社風でした。

女性だけで編成された、サステナビリティを推進する委員会があるのですが、そこで話し合われてきた働き方や会社の制度の改革案が採用されて、会社が年々変化してきた事実があり、各種企業賞の受賞にも繋がりました。他にも、社員満足度向上委員会などの様々なチームがあり、部門横断の取り組みは実に活発です。制度変革の具体例では、数年前に、子育て中の時短勤務適用が(法律上は未就学児まで)小学校卒業時までに延長されました。

2023年3月「ひょうご・こうべ女性活躍推進企業(ミモザ企業)」認定式

他にも、従業員への支援として行っている健康管理の制度は、ユニークなものが多いと評価されています。メンタルケアなども細やかですし、禁煙に挑戦する従業員には、禁煙外来費への補助が出たりもします。

B Corp認証では、従業員にとっても良い会社であることが加点ポイントですから、弊社のこのような職場環境も認定取得の要因となっています。

-御社があらゆる角度から「良い会社」であることがよく判りました。最後に、今後への展望をお聞かせください。

大和田さん:

現在、SDGsや社会課題解決の気運が高まっています。弊社は創業以来、社会課題を解決する使命感を持って事業活動と並行して実施してきましたが、公表してきませんでした。これは、創業者である桑田の日本人的な美徳感覚として、開示すべきでないと判断してきたことにあります。 

しかし、SDGsが提唱されはじめ、このような活動を開示することが世界的にはスタンダードになりつつあると判断し、2018年より当たり前のようにやってきたことを開示しようと舵を切りました。今後もお客様やステークホルダーを巻き込み、社会や環境の課題解決をみんなで達成していきたいと考えています。

村上さん:

コロナ禍では社会に向けての発信が難しく、社内での制度構築を主に進めていましたが、去年から、社外と連携する取り組みが増えてきました。例えば、2022年11月にリリースしたアプリでは、弊社を利用してくださったお客様が、そのことでどれくらいCO₂削減に貢献できたかを確認できます。また、昨年は姫路市の障がい者福祉施設や京都府の専門学校の学生さんと連携して「もったいないフェス」なども開催できました。

今後も、様々な施設や教育機関など外部とも連携しながら、「良いこと」を外に広く発信していきたいと思っています。

-まさに「エコの輪」が広がりますね。今日はありがとうございました。

関連リンク

株式会社エコリング公式HP:https://ecoring.co.jp/