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環境ラベルとは?種類や商品例、SDGsとの関係も紹介

環境ラベルは、環境に配慮した製品に付けられるマークのことです。企業が自社の製品に表示すれば、環境への取り組みになるほか、宣伝広告にも使用できます。とはいえ、その種類は100以上もあるため、何をどのように使ったら良いか分からないこともあると思います。

この記事では、環境ラベルの種類やメリット・デメリット、意味と関連商品、企業での取り入れ方、SDGsとの関係について解説します。

環境ラベルとは

(引用元:環境省「環境ラベル等データベース」)

環境ラベルとは、製品やサービスが生まれてから廃棄されるまでに、環境への負担低減にどのように役立つのかを示すマークです。製品や包装、飲食店の看板などに表示されています。例えば、古紙パルプを配合した製品には「再生紙使用マーク」、使用済みPETボトルを使用している衣料や台所用品などには「PETボトルリサイクル推奨マーク」が付けられており、これらも環境ラベルの一つです。その他にも、地方公共団体が認定して発行されるマークのほか、アメリカやドイツ、中国、タイなど、外国が導入している環境ラベル制度などを含めると、現在100を超える種類があります。

購入者にとっては、環境ラベルを基準にして環境に配慮した消費活動ができるのが利点です。一方事業者にとっては、マークを取得することで環境への取り組みをアピールし、消費者に選ばれる製品やサービス作りに役立ちます。[i]

グリーン購入との関係

環境ラベルは、グリーン購入と密接な関係があります。グリーン購入とは、環境への負担が少ない製品やサービスを購入することです。平成13年4月には「グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)」が施行され、国の機関(国、独立行政法人、地方公共団体及び地方独立行政法人)にグリーン購入を義務付けました。そして同時に、地方公共団体や事業者・国民にもグリーン購入に努めることを求めています。この法律により、世界的な課題である環境問題に取り組み、持続可能な社会をつくることを目指しています。

グリーン購入とは具体的に次の4つを指します。

  1. 買う前に必要かどうかを考える
  2. 環境を考えて作られたものを選ぶ
  3. 長く大切に使えるものを選ぶ
  4. ごみが少なくなるものを選ぶ[ii]

これらを実践していくためには、購入しようとする商品やサービスの環境情報が必要です。そこで、環境ラベルが一つの目印として活用されています。環境ラベルの付いている商品やサービスを積極的に購入することで、グリーン購入に貢献することができます。

グリーン購入は、環境問題への取り組みになるほか、事業者に対して環境に優しい商品やサービスの開発を促進し、経済活動全体を変えていくことが期待されています。

エコマークとの違い

エコマークとは、製品やサービスが生まれてから廃棄されるまでのライフサイクルの中で、環境への負担が少ない商品に付けられる環境ラベルです。つまり、数多くある環境ラベルのうちの1つに位置づけられています。日用品や文具、家電、食品・飲料、サービスなど、さまざまなジャンルで使用されています。[iii]詳しい内容については、後述の「エコマーク」を参照してください。

環境ラベルの種類

環境ラベルは、国際規格を制定する非政府機関「国際標準化機構(ISO)」により、タイプⅠ・タイプⅡ・タイプⅢの3つの種類に分けられています。[iv]

タイプⅠ

タイプⅠは、「第三者が認証する環境ラベル」です。中立公正な第三者機関が、製品やサービスのライフサイクルにおける環境負担を考慮し、基準を策定しています。事業者がマークの申請をすると、第三者機関にて審査を受けた後、マークの使用が認可される仕組みです。タイプⅠのラベル表示に必要な条件は、「ISO14024」という文書にまとめられています。

エコマークブルーエンジェルノルディックスワン

このタイプⅠに該当する日本の代表的なマークは、「エコマーク」です。その他、世界で初めて導入された環境ラベルであるドイツの「ブルーエンジェル」や、北欧5カ国(ノルウェー、デンマーク、フィンランド、アイスランド、スウェーデン)による「ノルディックスワン」などがあります。

タイプⅡ

タイプⅡは、「事業者の自己宣言による環境ラベル」です。「製品やサービスが環境を改善するものである」と事業者自らが市場に主張するために環境ラベルを使用します。第三者による判断はないほか、宣伝広告にも適用されるのが特徴です。タイプⅡのラベル表示に必要な条件は、「ISO14021」という文書にまとめられています。内容は以下のリンクから確認できます。

閲覧のみ:日本産業調査会(JISC)(「q14021」を検索します。ユーザー登録が必要です)

購入:日本規格協会グループ

エコシンボル「暮らし、まいにち、エコ。」マーク

タイプⅡには、NEC(日本電気株式会社)の「エコシンボル」や、ライオン株式会社の「『暮らし、まいにち、エコ。』マーク」などがあります。

NEC(日本電気株式会社)

ハード製品を対象に、環境配慮型製品の開発促進と製品に関する環境情報の提供を行う。

ライオン株式会社

会社独自の「ライオンエコ基準」をクリアした製品に付けられる環境ラベル。

タイプⅢ

タイプⅢは、「環境情報を表示する環境ラベル」です。製品が実際にどの程度環境の負担になっているのかを、定量的なデータにより示します。基準はないので、合格・不合格の判断はしません。そのため、購入するかどうかは消費者に任されます。タイプⅢのラベル表示に必要な条件は、「ISO14025」という文書にまとめられています。内容は以下のリンクから確認できます。

閲覧のみ:日本産業調査会(JISC)(「q14025」を検索します。ユーザー登録が必要です)

購入:日本規格協会グループ

エコリーフ環境ラベル

タイプⅢには、一般社団法人産業環境管理協会が運営する「エコリーフ環境ラベル」などがあります。製品の環境情報を定量的に表示し、インターネットなどを通じて公開することで、グリーン購入に活用できるようにしています。

環境ラベルのメリット

続いては、環境ラベルのメリットについて見ていきましょう。

企業や製品の信頼・イメージの向上

1つ目のメリットは、環境ラベルを使用することにより、製品やサービスだけでなく企業の信頼やイメージが上がることです。次のグラフは、全国の20~70代の消費者1,034名に対して、環境ラベルのうち知っているものをすべて選ぶという調査の結果を示しています。[v]

(引用元:公益財団法人日本環境協会「エコマーク表示に関するイメージ等調査結果(概要)」2021年4月21日)

特に認知度が高いのは、タイプⅠの「エコマーク」でした。そして「統一省エネラベル」や「バイオマスマーク」と続いています。エコマークは、ほとんどの人が知っているマークであることが分かります。

さらに、エコマークが付いていると、「商品のイメージが上がると思うか」「信頼できる機関から認定された商品であると感じるか」を尋ねました。

結果を見ると、8割以上の人が「商品のイメージが上がる」「信頼できる機関から認定された商品であると感じる」と答えています。

エコマークのイメージ調査結果から、環境ラベルが一定のイメージ向上や信頼度アップにつながっていると言えるでしょう。

グリーン購入法への対応による販路の拡大

2つ目のメリットは、グリーン購入法に適合する製品の販売を通じて販路を広げることです。先述の通り、グリーン購入法は国の機関に義務付けられており、地方公共団体や事業者・国民は努力目標となっています。

次のグラフは、1,788の地方公共団体が、グリーン購入に際して何を参考にしているのかを調査した結果です。[vi]

都道府県・政令市、市区の多くは、製品購入の際に参考にしている情報として環境ラベリング制度や環境負担データ表示のラベルを挙げています。環境ラベルを取得して新たな販路を開拓し、顧客を増やしていくこともできるでしょう。

環境ラベルのデメリット

環境ラベルにはメリットがある一方、デメリットがあります。

時間とコストがかかる

環境ラベルは、取得する種類の選定や必要な条件をクリアするための時間がかかる傾向にあります。また、種類によっては申請書を提出し、審査を受けなければなりません。審査機関によっては数カ月を要することもあります。

また、コストも発生します。例えばエコマークの場合、審査料のほかに、1年ごとに「エコマーク使用料」が必要です。審査料は22,000円から、使用料は1年間の出荷販売額に比例した額になります。取得するラベルにより時間やコストに違いがあるため、本格的に動き出す前にある程度の時間とコストを見積もっておく必要があるでしょう。

消費者には判断が難しい場合がある

タイプⅡやⅢの環境ラベルがどの程度信頼できるのかは、消費者が判断することになります。過去には、審査体制の不備などにより、古紙を偽装してエコマークが不正に使用された例がありました。

現在は対策が強化されていますが、消費者は注意が必要です。また事業者側も、信頼を裏切れば環境ラベルの価値を下げることになります。正しい情報提供を行うことが求められます。

環境ラベル一覧と意味を関連商品とともに紹介

ここでは身近なところでよく目にする環境ラベルを紹介します。その他については、こちらから環境省のデータベースで確認できます。➤環境ラベル等データベース

エコマーク

(引用元:環境ラベル等データベース「環境ラベルの情報を見る」)
(引用元:環境ラベル等データベース「環境ラベルの情報を見る」)

「エコマーク」は、環境保全に役立つと認定された商品に表示される環境ラベルです。これまで紹介してきたように、認知度が高いこともあり、一番身近に感じるマークかもしれません。

関連商品

文房具・パソコン・制服・建築資材・土木製品・エンジンオイルなどの製品のほか、スーパーマーケット・ホテル・レストラン・美容室など、幅広い商品が対象になります。

統一省エネラベル

(引用元:経済産業省資源エネルギー庁「小売事業者表示制度(統一省エネラベル等)とは」)
(引用元:経済産業省資源エネルギー庁「小売事業者表示制度(統一省エネラベル等)とは」)

「統一省エネラベル」は、小売事業者が省エネ法に基づき、省エネ性能の評価や省エネラベルなどを表示するマークです。省エネ性能を1.0~5.0の間で評価しています。また、省エネ基準と年間目安エネルギー料金を表示しています。

関連商品

エアコン・テレビ・電気冷蔵庫・電気冷凍庫・電気便座・照明器具(蛍光灯器具のうち家庭用のものに限る)

再生紙使用マーク

再生紙使用マーク
(引用元:環境ラベル等データベース「環境ラベルの情報を見る」)

「再生紙使用マーク」は、古紙パルプの配合率(上のマークは100%)を表し、事業者が自主的に付けるマークです。他にも、古紙パルプ70%以上、80%以上のマークもあります。

関連商品

用紙類・紙製事務用品・印刷物・衛生用紙など

FSC®認証制度(森林認証制度)

FSC®認証制度(森林認証制度)
(引用元:環境ラベル等データベース「環境ラベルの情報を見る」)

「FSC®認証制度(森林認証制度)」には2種類の認証制度があります。1つは、適切な森林管理が行われていることを認証する「森林管理認証(FM認証)」です。もう1つは、森林管理の認証を受けた森林の木材・木材製品であることを認証する「加工・流通過程の管理認証(CoC認証)」です。

関連商品

紙製容器や袋・トイレットペーパー・ティッシュペーパー・はがきなど

グリーンマーク

グリーンマーク
(引用元:環境ラベル等データベース「環境ラベルの情報を見る」)

「グリーンマーク」は、古紙を規定割合以上原料に使用していることを示すマークです。古紙の利用拡大と紙のリサイクル促進を目指しています。

関連商品

トイレットペーパー・コピー用紙・学習帳など

PETボトルリサイクル推奨マーク

PETボトルリサイクル推奨マーク
(引用元:環境ラベル等データベース「環境ラベルの情報を見る」)

「PETボトル再利用品」は、使用済みPETボトルを使用した商品に付けられるマークです。PETボトルメーカーや原料樹脂メーカーの業界団体であるPETボトル協議会が運営しています。

関連商品

衣料関連・布小物・バッグ・ぬいぐるみ・台所用品・清掃用品・家庭用品・園芸用品・寝具・インテリア・文房具・事務用品・収集容器・包装容器・産業土木・建築資材・梱包バンド・スポーツ用品・屋外掲示物

プラマーク

プラマーク
(引用元:環境ラベル等データベース「環境ラベルの情報を見る」)

「プラスチック製容器包装」は、プラスチック製容器包装に表示が義務付けられている「識別マーク」です。使用後に適正に処理するための参考になるように付けられています。

関連商品

カップ麺や卵、薬・化粧品、弁当などの容器や、生鮮食品などのトレイ・パック、お菓子やインスタント食品の袋、レジ袋。ただし、飲料・酒類・特定調味料用のPETボトルは除きます。

企業が環境ラベルを取り入れるには

企業が環境ラベルを取り入れるには、まずどの種類を取得するかの選定が必要です。かけられる時間やコスト、見込まれる効果などを精査した上で、必要な作業や手続きを確認しましょう。それからマークを取得する際に必要な条件をクリアしていきます。その後の進め方は種類によって異なります。

タイプⅠの場合

タイプⅠの場合は、第三者の認証機関の定める必要な書類を準備して審査を受けるのが一般的です。エコマークを例に挙げて、取得までの流れを見ていきましょう。

【例:エコマークの商品認定審査手続き】

➤公益財団法人日本環境協会 エコマーク事務局「認定取得の申請方法

【例:エコマークの商品認定審査手続き】
(引用元:公益財団法人日本環境協会「認定取得の申請方法」)

申込締切日などが決まっているため、計画を立てる際には考慮する必要があります。また、認定基準は商品ごとに決められているので、サイトに掲載されている認定基準書を確認します。

➤認定基準書はこちらから

タイプⅡの場合

タイプⅡは、事業者の自己宣言により環境ラベルを表示できるので、事業所内で基準などを取りまとめます。その際、「ISO14021」において定められている要件を参考にします。ただし、完全に準拠していない項目があってもマークの表示は可能です。

➤「ISO14021」の要件のチェックリストはこちらから(環境省「環境表示ガイドライン」)

タイプⅢの場合

タイプⅢは、決められた機関に測定した環境情報などを提出して認定を受ける場合や、法律の規定に基づき、事業者が自主的に表示を行うなど、いくつかの方法があります。取得したい環境ラベルの情報を確認しましょう。

タイプⅠ~Ⅲまでの大まかな取得方法を解説しましたが、環境ラベルごとに取得の方法が異なるので、個別に確認が必要です。確認方法は、次に紹介する「環境ラベル等データベース」を参照してください。

「環境ラベル等データベース」を活用する

どの環境ラベルを取得するかを選定したり、取得方法を確認したりする際は、「環境ラベル等データベース」を活用すると良いでしょう。主要な環境ラベルが掲載されており、対象になる製品やマークを使用するための基準、手続き方法などについてまとめられています。運営団体も分かるので、詳細を確認することも可能です。

➤環境省「環境ラベル等データベース」はこちらから

環境ラベルとSDGs

最後に、環境ラベルとSDGsの関係について確認していきます。環境ラベルは、目標12「つくる責任つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」に関係があります。また、種類によっては目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」にもつながります。ここでは核となる目標12と目標13を見ていきましょう。

目標12「つくる責任つかう責任」

目標12「つくる責任つかう責任」は、製品のライフサイクル全体を通して環境に配慮するほか、ごみを削減・再生利用・再利用して持続可能な消費・生産を可能にすることを目指しています。

環境ラベルは、製品やサービスのライフサイクルの中で、環境への負担をどのように軽減できるのかを表すマークです。事業者が環境ラベルを使用することで、環境問題に取り組むことができます。また、消費者にとっては、再生利用や再利用の製品が一目で分かるため、ごみの削減にもつながります。

目標13「気候変動に具体的な対策を」

目標13「気候変動に具体的な対策を」は、世界的に問題になっている気候変動に対して、緊急な対策を行うことが掲げられています。

環境ラベルには、気候変動の原因の一つである二酸化炭素を軽減したり、化石燃料の使用を減らしたりするマークがあります。これらを積極的に利用することで、気候変動への取り組みが可能です。

まとめ

環境ラベルは、製品やサービスがライフサイクルの中で環境への負担をどのように減らすのかを示すマークです。消費者にとっては、環境に配慮した商品を購入する目印になる利点があります。一方で、事業者が自社の製品に使用すれば、信頼やイメージが向上するほか、グリーン購入法に対応することで、販路が広がる可能性もあります。

企業が環境ラベルを導入するには、まずどの種類を取得するのかを選定し、手続きの方法を確認することが必要です。時間やコストがかかる場合もあるので、事前に見積もっておきましょう。それから、取得に必要な条件をクリアしていきますが、その際、「環境ラベル等データベース」を活用すると良いでしょう。

環境ラベルは、環境への負担を減らすことができることから、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」と目標13「気候変動に具体的な対策を」に貢献します。企業で取り入れれば、環境への取り組みをさらに強化できるでしょう。

※[i] 環境省「環境ラベル等データベース
※[ii] 環境省「グリーン購入とは
※[iii] 公益財団法人日本環境協会「エコマーク事務局
※[iv] 環境省 環境ラベル等データベース「環境ラベルとは
※[v] 公益財団法人日本環境協会「エコマーク表示に関するイメージ等調査結果(概要)」2021年4月21日
※[vi] 環境省「令和4年度調査結果(令和5年4月公表)