ヘナはナチュラリストか肌が敏感な人やアレルギーのある人、あるいは年配の方が使うもので、なんとなくを使うことはネガティブチョイスのような状態と捉えられがちです。しかし、「普通のヘアカラー酸化染毛剤と同じように扱われて欲しい。」との思いから、ヘナについて気になる疑問を、美容専門の編集者/ジャーナリストライターで、毛髪診断士・認定指導講師でもある伊熊さんに伺いました。
目次
ヘナのメリットって?
–まずはヘナのメリットを伺っていきます。
メリット①:髪にハリやコシが出る
ヘナはタンパク質に絡みつくので紫外線やカラーで損傷したキューティクルをコートし、髪の内部成分が流れ出るのを防ぎます。そのため髪にハリやコシが出て、常に艶やかな状態になります。また、猫っ毛など髪質に悩みのある方にもおすすめです。
メリット②:髪と頭皮に優しい
一般的なカラーリング剤はアルカリ性です。髪がアルカリ性に傾くと乾燥しやすくなるので、頭皮や髪本来のpH値である弱酸性に戻していく処理が必要があります。
一方でヘナは酸性です。髪が引き締まるため、こちらはきしみが起きやすいという特徴があります。アルカリに傾いた髪にヘナを使うと最初は激しくゴワつきます。しかし、何度も重ねていくうちにpHが安定するため、きしみやゴワつきがなくなり、ツヤのある髪に変わっていきます。
ヘナのデメリットは?
–続いては、ヘナのデメリットを伺います。
染まるのに時間がかかる
ヘナは美容室で施術したその日にすぐ染まるわけではなく、日が経つにつれてだんだん色が出てくる性質なので即効性はありません。
一般的なカラーリング剤は、日が経つにつれてカラーや髪の内部成分はどんどん抜けていきますが、ヘナはその逆ですね。使えば使うほど色が入ります。ブリーチをしても抜けづらくなるので、普通のカラーで、カラーチェンジがしにくいということもデメリットの一つですね。
ヘナはどのくらいのサイクルで使えば良い?
特に決まりはありません。ヘナそのものがトリートメントに向いてるので、白髪のない人にもぜひ使ってほしいです。
ヘナは体に良くないのでは?
ヘナはインドの伝承医学アーユルヴェーダにも使われていて、体を冷やす作用や消炎効果があります。5000年前から使われ続けてきた長い歴史のある薬草ですから、信頼できるものと思っていいでしょう。
「ヘナが叶える女性活躍・地方創生」 SDGsとの関わりとは
–ヘナとSDGsの関わりについてお聞かせください。
そうですね、SDGsの観点で言うとヘナは女性活躍、地方創生といった分野に貢献しています。
まず女性活躍についてですが、日本の市場で出回っているヘナはインド原産のものがほとんど。インドという国は女性の地位がとても低く、女性が仕事をしたくても働き口がないという話はよく聞きます。ヘナの葉の収穫は、そういう女性達の雇用の受け皿となっているそうです
–地方創生についてはどうでしょうか。
ヘナというのは基本的にインドや南アフリカといった暑い地域で育つものですが、実は日本でも沖縄など暖かい地方で栽培されている国産のヘナがあるんです。
もちろん天候や土壌など環境が違うので収穫物の性質は変わってきますがそうです。先ほどご紹介した「みんなでみらいを ヘナカラー」も日本のある離島で作られているそうです。もともとサトウキビを作っていた耕作放棄地を利用してヘナが栽培されています。
–なぜそこでヘナを育てることになったのでしょうか
サトウキビは背が高くて、1本1本がとても重たい作物です。農家さんの高齢化が進んで、サトウキビの収穫を続けられなくなった人たちがヘナを栽培するようになったそうです。ヘナは低木ですし1年に何回も収穫できます。サトウキビと比べたら、栽培・収穫が楽なんです。
カラーリングにヘナという選択肢を
–最後に、伊熊さんのヘナへの思いについて語っていただいてもよろしいでしょうか。
今、ヘナはナチュラリストか肌が敏感な人やアレルギーのある人、あるいは年配の方が使うもので、なんとなくネガティブチョイスのような状態ですが、普通のヘアカラーと同じように扱われて欲しいなと思っています。
–酸化染毛剤だけじゃなくてヘナもありますよ、ということですね。
そうです。例えば、美容室に行ってカラーをするときに、頭皮が赤くなったり腫れたりしているのに本人も美容師さんもそれを隠したり、見て見ぬふりをして染めてしまう。これが肌だったらそんなことはしないはずです。でも他に選択肢がないと思っているからそうなってしまう。
–それで薬剤のダメージなどが積み重なってアレルギーを起こしてしまうんですね。
そういう人はすごく多いです。頭皮は肌なんだっていう認識が薄い印象があります。施術する側もされる側もきれいにしたい、きれいになりたいという意識があるので髪の健康やウェルネスといったことよりも、見た目が可愛いとかおしゃれの方を優先しがちになるわけです。
おしゃれも気持ちを高揚させるものですから、確かに必要です。でも、美容は健康という土台の上に乗っているもの。土台がないなら、まずはそっちを整えていかなくちゃいけないんだと思います。
–本日は貴重なお話、ありがとうございました。