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LEDライトのメリット・デメリット!防災に最適な商品の紹介も!

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クリスマスシーズンになると各地でイルミネーションが見られますが、その多くにLEDライトが使われています。他にも、信号灯や道路交通の表示板、屋外用大型ディスプレイなどLEDはさまざまな用途で使用されています。

しかし、その歴史は意外と浅く、白色LEDが実用化されたのは1996年のことです。LEDの実用化には3人の日本人研究者が深くかかわり、彼らは後にノーベル物理学賞を受賞しました。

発明されたLEDライトは、長寿命ですぐに発光する性質やランニングコストの低さなどからさまざまな場面で活用されるようになりました。今回はLEDライトの歴史や特徴、メリット・デメリット、おすすめの防災用品、SDGsとの関わりについて解説します。

LEDライトとは

LEDとは、「光る半導体」「発光ダイオード」などと訳します。

「Light Emitting Diode」の頭文字をとったものです。

※半導体

電気を良く通す金属などの「導体」と、電気をほとんど通さないゴムなどの「絶縁体」との中間の性質を持つシリコンなどの物質や材料のこと

出典:日本半導体製造装置協会*1)

半導体はパソコンを動かすために必要なCPUやスマートフォン、デジカメ、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器など幅広い電化製品で使用されています。

LEDの光はLEDチップという小型の半導体から出ています。半導体にはマイナス電子を多く持つN型半導体と、正孔というプラス電子と同じように働くものを多く含むP型半導体があります。

【LEDの発光原理】

出典:パナソニック*3)

LEDチップに電気を流すと、マイナス電子と正孔がぶつかり合って結びつく再結合という現象が起き、このとき余分なエネルギーが光として放出されます。これが、LEDの発光の仕組みです。

LEDライトかどうかの見分け方

電球を廃棄するとき、LEDかそうでないかの見分けはとても重要です。なぜなら、種類によって処分方法が異なるからです。電球は大きく分けると蛍光灯、白熱電球、LEDライトで使うLED電球の3つとなりますが、種類を見分けるポイントは器具についている品番です。

蛍光管FまたはEFからはじまる品番のもの有害ごみ
白熱電球LDA、LDCなど不燃ごみ
LED電球L、LE、G、NL、R、KEなど不燃ごみ
出典:八王子市*3)

今回は八王子市の例を取り上げましたが、自治体ごとでゴミのルールは異なりますので、それぞれの自治体のルールに従って廃棄するようにしましょう。

LEDライトの歴史

今でこそ、私たちの生活に必要不可欠となったLEDライトですが、いつ頃から使われるようになったのでしょうか。ここでは、LEDライト開発の歴史についてまとめます。

LEDライト開発年表

LEDライトの開発の歴史を年表形式でまとめました。

1962年ホロニアックが赤色LEDを発明
1972年クラフォードが黄緑色LEDを発明
1993年赤崎勇・天野浩・中村修二らが青色LEDを発明
1995年緑色LEDの実用化
1996年白色LEDの実用化
2014年青色LEDの発明者3人がノーベル物理学賞を受賞

青色発光ダイオードの発明

LED開発の歴史をみると、赤色や黄緑色のLEDが1960年代から70年代にかけて開発されているのに対し、青色LEDの開発は赤色LEDの開発から30年近くかかっています。なぜ、これだけ長い時間が必要だったのでしょうか。

その理由は青色LEDの材料選びが難航したからです。最初は炭化ケイ素を用いようとしましたが、発光しにくい物質だったため実用化には至りませんでした。その後、セレン化亜鉛という物質を使うと十分な光を確保できたものの、使っているうちに明るさが低下してしまうという問題が発生してしまいます。*4)

炭化ケイ素・セレン化亜鉛に変わる物質として注目されたのが窒化ガリウムでした。しかし、窒化ガリウムの高品質の結晶を作るのは困難で、扱いが難しいものでした。*4)

困難極まりない青色LEDの開発に挑んだのが赤崎勇天野浩です。赤崎は赤色LEDの開発を行った実績がある人物で、1981年から名古屋大学に在籍していました。天野浩は赤崎研究室の大学院生でした。

彼らは2年間で1,500回以上の実験を繰り返し、高品質の窒化ガリウム結晶を作り出すことに成功します。こうして、青色LED開発の道が開かれました。そして、この技術を製品化の段階までレベルアップしたのが中村修二でした。*5)

中村は日亜化学工業の研究者でしたが、窒化ガリウムの大きな結晶を作り出す技術を開発し、大量生産の道筋を付けました。こうして、長年の懸案だった青色LEDの開発が達成できたのです。*5)

青色LEDの誕生でLEDのフルカラー対応が可能に

青色LEDが開発されたことにより、LEDで全ての色を表示できるようになりフルカラーに対応できるようになりました。その理由を知るには「光の三原色」の考え方を知らなければなりません。

私たちは光を「赤」「緑」「青」の3つの色に分解して理解しています。

【光の三原色】

この3つの色を重ね合わせることで、さまざまな色の光に調整できるのです。青色LEDがないと赤と緑だけとなるため、表現できる色が限られてしまいます。全ての色を表現するには青色LEDの開発が必須だったというわけです。

ちなみに、3つの色を完全に重ねると白になります。青色さえできてしまえば、照明などで使用される白色LEDの開発がかなり容易になることがわかります。

LEDライトの特徴

LEDライトには蛍光灯や白熱電球と異なる特徴があります。寿命の長さや消費電力が少ないこと、すぐに点灯すること、衝撃に強いことなどがあげられます。それぞれについてみてみましょう。

消費電力が少なく長寿命

LEDライトは従来の蛍光灯や白熱電球に比べ、消費電力が少なく寿命が長いという特徴があります。

【消費電力と寿命の比較】

出典:COOL CHOICE*6) 

一般的な60形の電球の消費電力が54Wであるのに対し、同じ形のLEDライトは8Wの電力しか消費しません。つまり、LEDライトの消費電力は一般電球の約14.8%に過ぎないことになります。

寿命という点でもLEDライトは優れています。一般的な60形電球の寿命は約1,000時間ですが、LEDはその40倍の約40,000時間です。24時間点灯した状態でも1,666日、約4年半以上もの間、電気がつき続ける計算となります。*6)

すぐに点灯する

LEDは電子の動きがそのまま発光と結びついているため、画面の色の切り替わりがとても速いという特徴があります。他にも、色の切り替わり速度を応答速度といいますが、これが速いLEDは電気が通ってすぐに反応し、残像が少ないという点も挙げられます。画面の切り替えが多く、反応速度の早さが重要なゲーミングPCのディスプレイなどに最適です。

衝撃に強い

衝撃に強いこともLEDの特徴です。白熱電球も蛍光灯もガラス素材でできているため、衝撃に弱いという弱点があります。対してLEDライトは、ポリカーボネートなど衝撃に強い素材でできているため丈夫です。

LEDライトのメリット

LEDライトには従来の電球にはない特徴がいくつも備わっています。それを活用することで低コストでの運用や害虫対策、環境対策などの面で効果が発揮されます。LEDライトの3つのメリットについて解説します。

低コストで長時間使用できる

LEDライトのメリットはランニングコストが低いことです。

【白熱電球と電球形LEDライトのコスト比較】

出典:COOL CHOICE*6) 

購入費用を見ると、白熱電球の方がかなり安価となっています。最近は電球型LEDの価格がだいぶ安くなっていますが、それでも500円前後であるため、電球の購入金額だけ見ると白熱電球に軍配が上がります

しかし、日々の電気代を含めて考えると結果が変わります。電球形LEDの消費電力量は白熱電球の7分の1弱となるため、電気代を大幅に節約できます。その要素を加味して考えると、約9ヶ月でコストが逆転するのです。

また、40,000時間交換不要のLEDライトと1,500時間ごとに交換が必要な白熱電球では交換頻度に大きな差が出てきます。電球の寿命で見れば、LEDライトは白熱電球26個分になりますので、交換費用をかなり抑えることができます。

紫外線を出さないため虫が寄り付きにくい

虫が寄り付きにくいこともLEDライトの良いところです。夜に虫が街路灯などに集まるのは、街路灯で使用している蛍光灯などが紫外線を放出し、それに虫が引き寄せられているからです。

LEDライトは蛍光灯などと発電方式が異なるため紫外線を発生させません。LED照明に変更すれば、虫が寄り付きにくくなるでしょう。

消費電力が少なく、環境にやさしい

消費電力の少なさは環境負荷の低減につながります。日本の電気がどのように作られているかを知るため、電源構成を見てみましょう。

【日本の一次エネルギー供給と電源構成】

日本の発電は天然ガスや石炭、石油を燃料とした火力発電に大きく依存しています。2021年をみると、火力発電の割合が合計で72%にも達しています。火力発電は化石燃料を燃焼させるため二酸化炭素を排出し、環境負荷が大きい発電方法です。LED照明を利用して電力消費量を減らせば、それだけ二酸化炭素の排出削減に協力できます。

LEDライトのデメリット

経済性が高く、長期間使用できるためごみの削減にもつながるなどLEDライトにはさまざまなメリットがあります。しかし、全くデメリットがないわけではありません。ここではコスト面と機能面のデメリットを解説します。

他の電球より高コスト

コストには購入費などの初期費用(イニシャルコスト)と継続して使用するときのランニングコストの2種類があります。LEDライトはランニングコストに非常に優れている半面、イニシャルコストの面では蛍光灯や白熱電球に劣ります。

家庭用の電球のように使用する個数が限られていれば、イニシャルコストよりもランニングコストを優先して多少高くても買い替えたほうがコストパフォーマンスがよくなるでしょう。

しかし、事業所や工場のように使用している電灯の数が多い場合は、初期費用の高さがネックとなります。白熱電球が1個100円でLED電球が1個500円であれば400円の差額が出ます。これが、100個であれば40,000円、1,000個であれば100,000円の差となります。この差は決して無視できるものではありません。

部分的に暗く感じることがある

LEDライトは従来の電球に比べ光が直線的に進みます。LEDの光は一方向に進む指向性が強いため、部屋の明るさにムラが出てしまうことがあります。そのため、部屋の一部が暗く感じられるかもしれません。

もっとも、この性質については改善されつつあります。全方向のタイプでは約260度にわたって光が広がるため、以前よりも暗くなりにくくなっています。

防災にも!おすすめLEDライト4選

長寿命で衝撃に強いLEDライトは防災グッズとしても優れています。ここでは、おすすめのLEDライト商品を5つ紹介します。

Panasonic 乾電池エボルタNEO付き強力ランタン(でかランタン)

災害時に停電すると、自宅に被害がなくても不安になるものです。そんなときに家族が集まる場所に光り輝く強力なランタンがあれば非常に心強いものがあります。「でかランタン」はその名の通り「でかい」「明るい」光で部屋中を照らしてくれます。

おすすめポイント

明るさが4段階で調整できることや、小雨でも使用できるので屋外でも使用しやすい作りです。

商品の詳細はこちらをご覧ください。

GENTOS Gシリーズ フラッシュライト(GF-114RG)

自分が見たい場所をピンポイントで照らしたいのであれば、手持ち式の懐中電灯がおすすめです。手持ち式懐中電灯は色々なメーカーの商品がありますが、一番のおすすめは災害時の使い勝手が良いGENTOSの懐中電灯です。置いた時に転がりにくい8角形である点など、使用するときの状況を考えて作られています。また、2mの高さから落下しても大丈夫なように作られています。

おすすめポイント

耐塵・耐水機能がありますので、雨の中でライトを使って何かを探すときなどに便利です。フォーカス機能があるので、見たいところを集中的に見たり、広範囲を明るく照らしたりといった調整ができます。

商品の詳細はこちらをご覧ください。

藤原産業 SK-11充電式LEDヘッドライト SLH-012

手に懐中電灯を持った状態では、どうしても片手がふさがってしまい不自由です。そこで活用したいのが頭に装着するタイプのヘッドライトです。SK-11は最大1,000ルーメンとかなり明るく、4時間の充電で最長84時間使用可能です。

おすすめポイント

この商品の特徴は、ライトの調整ができることと、防雨機能がついていることです。ライトの出力はHigh、Mid、Lowの3種類です。また、防雨機能があれば荷物を持って雨の中を非難するときも非常に便利です。

商品の詳細はこちらをご覧ください。

YAZAWA ソーラーランタン LA9S01BK

停電が長引くと、夜の明かりの確保に苦労します。ロウソクを使うという方法もありますが、火災リスクがあるためできるだけ避けたいところです。そんなときに活用できるのが太陽光で充電できるソーラーランタンです。YAZAWAのソーラーランタンは6時間で満充電となり、8時間使用可能です。

おすすめポイント

一番のおすすめポイントはUSB充電が可能なところです。micro-USBの端子がついていますので、対応するスマートフォンの充電が可能です。また、乾電池でも点灯するので悪天候のときでも安心して使用できます。

商品の詳細はこちらをご覧ください。

LEDライトとSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」との関わり

LEDライトは消費電力が少なく、経済性に優れた照明器具です。消費電力が少ないということは、それだけ火力発電由来の電力使用量を削減できるため、二酸化炭素の排出削減に貢献できます。

先述したように、LEDライトの長所の一つに電力消費量の少なさがあります。白熱電球の7分の1の電力で点灯するため、これまでよりも少ない電力で照明を点灯できます。現代社会の生活において、照明は必要不可欠です。

建物の電力消費のなかで、照明が占める割合は決して小さなものではありません。

【エネルギー消費量の内訳】

出典:COOL CHOICE*9)

照明に使用する電力を少しでも削減できれば、その分だけ電力消費量を減らすことができ、二酸化炭素の排出削減に貢献できます。近年、異常気象の頻度が増していることを考えると、もはや対策に一刻の猶予もないといえます。

まとめ

今回はLEDライトについてまとめました。従来の白熱電球や蛍光灯に比べて電力消費量が少ないLEDライトは経済性に優れた素晴らしい発明です。さらには、白色LEDに不可欠な青色LEDは日本人の研究者によって開発され、3人の研究者はノーベル物理学賞を受賞しました。

LEDライトは経済性に優れているだけではなく、耐久性も高いので防災に役立ちます。加えて、消費電力が少ないため二酸化炭素の排出削減効果も期待できます。今後の電灯交換の際、経済性がよく環境にやさしいLEDライトを選択してみてはいかがでしょうか。

参考
*1)日本半導体製造装置協会「半導体とは
*2)八王子市「電球(蛍光管・LED電球・白熱電球)の見分け方
*3)パナソニック「LEDの発光原理
*4)応用物理学会「世界を照らす窒化ガリウム(GaN)青色発光ダイオード(LED) 全発電量の7%削減の省エネ効果 須田 淳 結晶工学分科会・企画幹事/名古屋大学 – 応用物理学会
*5)LED TOKYO「なぜ青色LEDはノーベル賞を受賞したか?日本人による革命的発明の裏側 – LED TOKYO | 2022年導入面積日本No.1
*6)COOL CHOICE「LED照明って、何がお得なの?
*7)資源エネルギー庁「S+3E | 日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」
*8)スペースシップアース「SDGs13「気候変動に具体的な対策を」の現状と私たちにできることを徹底解説 – SDGsメディア『Spaceship Earth(スペースシップ・アース)』
*9)COOL CHOICE「省エネしながらより快適に! 建物のエコ照明化