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マイクラでSDGsを自分ごと化!2023年のマインクラフトカップのSDGsテーマの紹介も

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マイクラは、プログラミングや情報教育要素もあることから、近年ではゲームの域を超え、子ども達の興味を惹きつけ、創作意欲を高める新しい学習方法として確立され始めています。地球上の様々な問題やSDGsについて学ぶことができるマイクラの魅力や、教育現場での活用方法について理解を深めましょう。

そもそもマイクラとは?

​​マイクラとは、Microsoft社が提供するゲーム「マインクラフト(Minecraft)」の略称です。2023年現在、販売数は2億3,800万本以上を記録しており、世界で最も売れているゲームとなっています。

ゲームの中では、プレイヤー本人がキャラクターとなって世界に入り込み、土や木材、石など全てがブロックで作られたアイテムを自由に組み合わせて、一から自分だけの世界を創造します。マイクラで出現する世界は「ワールド」といわれ、砂漠や草原などの自然を模した世界が広がっており、その仮想空間は非常に広大で限りがありません。

建造物をいくらでも作ることができ、決められたゴールや目的、制約がなく自由度が高い点が魅力の一つです。

プレイヤーの思いのままに世界観を表現でき、創造性、計画性を養えるゲームとして人気を集めているマイクラですが、近年ではプログラミング要素があることが注目され、学習ツールの一つとして、「教育版マインクラフト(Minecraft Education Edition)」を採用する学校が増えています。

教育版マインクラフトとは

「教育版マインクラフト(Minecraft Education Edition)」とは、マインクラフトのゲーム性に加え、プログラミング教育や情報教育要素を持つ学習ツールです。クラスメイトや指導者と共に協同することで、協調性も養うことができます。

日本では、2020年からプログラミング教育が必修科されると同時にマインクラフトへの関心が高まりました。現在は、文部科学省のプログラミング教育にも教材として取り入れられ、子どもたちの想像力と熱量を引き出す教材として注目されています。

一人で好きな世界を思いのままに作れる通常版と比べ、教育版では最大40名の生徒が同時に同じ世界で作業できます。お互いの現在地を把握したり、相手にダメージを与えないようにしたりする機能など、教育者側で管理できる「Classroom Mode」が搭載されており、安心安全に楽しく学ぶための工夫が施されていることも特徴です。

近年では、この教育版マインクラフトを使い、満19歳の参加者がテーマに沿った作品を発表して競う大会「マインクラフトカップ」が開催されています。次で詳しく見ていきましょう。

マインクラフトカップではテーマにSDGsが設定されている

マインクラフトカップは2019年から毎年開催されており、2023年で5回目を迎えました。年々規模が拡大し、日本全国はもちろん、海外からの参加者も増えています。大会は、各年ごとにテーマが設定されており、それに沿って作られた作品に、構想力・調査力・技術力・計画推敲力・テーマ性・表現力の6項目で評価がつけられます。

2021年と2022年でどのようなテーマが設定されたのか、それぞれ簡単に確認しましょう。

2021年

2021年はSDGs時代のみんなの家、未来のまちがテーマとなりました。SDGsのエッセンスも取り入れられており、17目標の中から重点目標として「3:すべての人に健康と福祉を」「7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「15:陸の豊かさも守ろう」がピックアップされました。

2022年

2022年のテーマ生き物と人と自然がつながる家・まち〜生物多様性を守ろう〜です。この年はSDGsの17目標から14:海の豊かさを守ろう」「15:陸の豊かさも守ろう」が重点目標として選ばれ、作品の中で表現することが課題になりました。

2021年、2022年ともに大会パートナーである積水ハウスがテーマを提供しており、家やまちづくりにおける人と自然の共存について考える機会を作っています。

>>SDGsの各目標に関して詳しくまとめた記事はこちらから

各大会のテーマと最優秀作品

次に、実際にどのような作品が寄せられたのか、各テーマの最優秀賞作品を見てみましょう。ここでは2020〜2022年の大賞作品を紹介します。

どの作品もテーマに沿って参加者の想いが込められた素晴らしい作品です。

2020年テーマ「未来の学校~ひとりひとりが可能性に挑戦できる場所~」

2020年は新型コロナウィルスの流行によって全国の学校が休校になり、再開後も今までの学校生活には戻らず制限されることが増えました。

そのような背景の中、未来の学校はどのような姿になってほしいか、SDGsを取り入れて構想するテーマが課題となりました。

最優秀賞は小学校高学年の浦添昴さんの作品「未来への5つの約束〜キレイな水と渓谷の洞窟学校」が選ばれました。これは、食・エネルギー・環境・まちづくり・教育をより良いものにするため守るべき5つの約束が表現された世界です。

  • 自給自足の生活の中で食べる分だけの魚を獲る
  • 魚を放流する仕組みを再現

など、生命が循環する世界を表しています。

また、バイオマス発電所や農場、海洋汚染を学習するエリア、サンゴ養殖エリアなど様々な角度から海や自然について学び、保護する活動ができるように工夫が施されています。

2021年テーマ「SDGs時代のみんなの家、未来のまち」

2021年も新型コロナウィルス感染症は世界的に流行が続き、私たちを取り巻く環境やライフスタイル、住まいのあり方、家族や友人との繋がり方が見直される時代になりました。

新しい生活様式が生まれ家で過ごす時間が増える中、未来へ続く持続可能な家やまちづくりについて考える課題が与えられました。

その中で大賞に選ばれたのは、熊谷武晴さんの作品「EREC-地球蘇生実験都市-」です。

これは、地球を緑豊かな惑星に再生するヒントは、地球外にあるだろうという考えのもと作られた世界です。宇宙博物館、太陽系外地球型惑星ジオラマ、光合成エネルギー発電所などが点在するまちを表現しました。

オゾン散布超高高度航空機で、地球温暖化やオゾンホールの拡大問題を防ぎ解決するという設定で世界を作成しており、SDGsの目標については、「7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「13:気候変動に具体的な対策を」「14:海の豊かさを守ろう」「15:陸の豊かさも守ろう」が考えられた内容になっています。

2022年テーマ「生き物と人と自然がつながる家・まち~生物多様性を守ろう~」

2022年は、参加者が生活を便利で豊かにするための開発活動が自然や生き物を様々なリスクにさらしている現実を理解した上で、生物多様性の保全が未来の暮らしを作り出すことについて考えるテーマが設定されました。SDGsに関しては、「14:海の豊かさを守ろう」「15:陸の豊かさを守ろう」の要素のあるワールド作成が課題となっています。

この年から年齢別に3部門での評価体制が取り入れられ、ジュニア部門・ミドル部門・ヤング部門でそれぞれ最優秀賞が選ばれています。

今回はその中から、ジュニア部門で最優秀賞を受賞したCCさんの作品「空飛ぶ雷さまの方舟」を紹介します。

空飛ぶ方舟は、雷エネルギーを使って人間が壊してしまった土地を再生し、地球の生物多様性を守ります。そして、各土地の性質に合う在来種を増やすため、地球へ降り立った探査機が、壊された土地や生き物を持ち帰り、保護して再生するという世界を表現しています。

他にも、方舟の雷さまが落とす雷で舟を動かすための電力が作られたり、雷さまが降らせた雨を生活用水として活用し、汚くなった水をろ過する仕組みも設置されたりしています。

審査員からは「この方舟に乗れば、地球上の問題が全て解決されるのではないかという夢と希望満載の作品だった」と評価を得ました。

次からは、2023年のマインクラフトカップについて詳しく見ていきましょう。

2023年のテーマ

2023年は「誰もが元気に安心して暮らせる持続可能な社会〜クリーンエネルギーで住み続けられるまち〜」がテーマに掲げられています。

国籍、性別、人種、年齢関係なく、誰もが自分の個性を出してのびのびと暮らせる社会の実現や、石油やガスなどの化学燃料だけではなく、CO2排出を抑えたクリーンエネルギーを使ったまちづくりなど、様々な問題を考えなければなりません。

SDGsは5,7,11の中からひとつ取り入れる

SDGsについては、「5:ジェンダー平等を実現しよう」「7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「11:住み続けるまちづくりを」の中から一つを取り入れた世界の表現が課題となっています。

2024年2月に全国大会が開かれます。

受賞すると何かもらえる?

では、受賞すると何がもらえるのでしょうか。ここでは、過去に受賞者に授与されたものを紹介します。

見学ツアーも

受賞者にはトロフィー、賞状、マインクラフト関連商品が授与された他、2022年の最優秀賞チームには日本財団パラアリーナと日本マイクロソフト本社の見学ツアーが副賞として与えられました。

参加者は、日本財団パラアリーナで、障がい者の方々が使いやすいよう工夫された設備について学び、「健常者には気付けないような細かい工夫がされていた」、「設計上小さい工夫でも全て意味があることがわかった」などの感想が寄せられました。

日本マイクロソフト本社ではオフィスの見学をしたり、最優秀賞受賞者同士自分の作品を発表したりするなどの機会が提供されました。

マインクラフトカップへの応募方法

ここではマインクラフトカップへの応募方法を紹介します。
応募作品のルールも細かく設定されているので、しっかり確認して大会に挑戦してみましょう。

  1. 公式ホームページよりチームメンバー全員分の参加登録をします。
  2. 1〜30名でチームを組みましょう。複数名のチームの場合はチームリーダーが他のメンバー全員を招待しチームに参加してもらいます。
  3.   教育版マインクラフトを使える環境を準備しましょう。環境としては以下の3点が必要です。
    ・PCもしくはタブレット端末(Windows10、Windows11、MacOS、iPad、Chromebook)
    ・通信インターネット環境
    ・教育版マインクラフト(Minecraft Education Edition)のライセンス
  4. テーマと条件に合わせてどのような世界を作るか考えます。どのような施設が必要か、未来はどのようなまちづくりが望ましいかをチームで考え、役割分担をして完成までのスケジュールも立てます。
  5. 世界の方向性が決まったら教育版マインクラフトを使って作成に入ります。チームで作成する場合はマルチプレイに接続し作業を進めましょう。
  6. 応募期間内にマイページから作品をアップロードし提出して応募は完了です。

応募までのスケルジュール

提出物に関するルールの詳細は、応募要項ページの「応募作品時の要件と提出物について」を参考にしてください。

他にもマイクラでSDGsが学べるイベントも

マインクラフトカップ以外にもマイクラを使ってSDGsを学べるイベントが開催されています。

プログラミング教室MYLABの「マイクラでSDGsを学ぼう!」

プログラミング教室MYLABでは、毎年夏休みと冬休み期間に「マイクラでSDGsを学ぼう!」というイベントを開催しています。

小学3〜6年生を対象に、マイクラの世界の中にある国で起きるエネルギー問題や他国への食糧支援について考えたり、テロや自然災害などに対してチームで協力して対処したりします。

SDGsの理解を深め、ゲームの中で発生する様々な問題に関して考え行動するプログラムが体験できるでしょう。

まとめ

マインクラフトはゲームの領域を超え、教育ツールの一つとして確立されつつあります。

頭の中で構想した未来の世界をゲームの中で形にできる面白さがあり、子ども達の創作意欲や仲間と一緒に作業をすることでの協働性を伸ばしてくれる教材です。

マインクラフトで地球上の様々な問題やSDGsについて学び、環境や生物を守るために自分にできることを考えるツールとして使ってみてはいかがでしょうか。

参考:
第5回Minecraftカップ大会ホームページ
マインクラフト公式サイト Minecraft Education
文部科学省『小学校を中心としたプログラミング教育ポータル』
Microsoft『教育版マインクラフト徹底解説!』
SEKISUI HOUSE Minecraftカップ2022全国大会 積水ハウス
日本財団パラアリーナホームページ
プログラミング教室MYLAB『【2022年12月25日(日)開催】冬休みにマイクラ(Minecraft)で SDGs を学ぼう!』